年輪
年輪(ねんりん、growth ring)は、通常温帯から寒帯の木の断面に生じる同心円状の模様で、成長輪ともいう。成長輪のうち1年に一つずつ増加するものを年輪という。輪状に見えるのは、春期には幹の肥大成長が盛んで、夏期にはゆっくりになるためであり、色の濃い部分は細胞壁が密に、色の薄い部分は細胞壁が疎になっている。熱帯の樹木にはないことがあるが、乾季と雨季があれば乾季には成長が休止するために成長輪が形成される。
年輪を数えることで、その木の樹齢を知ることができる。また、年輪には大規模な旱魃や山火事、虫害などの痕跡が残されていることがある。この痕跡と様々な記録を比較することにより、その木の過去の生育環境を調査することができる。
広く知られている俗説に、「北半球では南側から日が当たる為、暖かい南側は発育が盛んで年輪の目が広く、北側は目が詰まっているので、切り株があれば大体の方位がわかる」という説があるが、これは誤りである。実際は、たとえば針葉樹が斜面に生えている場合に、木が谷側に傾かないように谷側がより盛んに成長する為、谷側の目が広く山側の目が詰まって育つので方角はあまり関係しない。この時に谷側に形成される材を圧縮あて材と呼ぶ。また広葉樹では針葉樹とは逆に山側に引っ張りあて材が形成される。このように材の成長には様々な要因が関係し、方角だけで決まるものではない。また、年輪を確認するためには切り口が滑らかである必要があるが、自然な原因で木が倒れる場合、根本からひっくり返るか、へし折れるようになる場合が多く、滑らかな面は作られないため、自然の森では年輪の見られる切り株は滅多にない。
なお、珊瑚、魚の鱗など樹木以外にも同様な年輪模様ができる。既製部分から外側に追加する形で成長するものにおいて、季節や時間によってその成長が変化するものではそのようなものが見られる。サンゴ等では昼夜の成長にも差があるため、日輪が見られる例もあり、それらによって、古代の一年の日数が分かった、という例もある。
関連項目
外部リンク
- 年輪から過去をさぐる(年輪年代学入門、鳴門教育大学)