局部磨製石斧
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局部磨製石斧(きょくぶませいせきふ)とは、いまより約4~3万年前の後期旧石器時代初頭に登場した、刃先に磨きをかけた石斧のことである。大形獣の狩猟や解体、木の伐採や切断、土掘りなど多目的に用いられたと推定される。 石材は、黒曜石、珪質頁岩、チャート、サヌカイト、ガラス質安山岩などを利用している。
この年代は、日本出土のものが世界最古とされている。1949年の岩宿遺跡が初出で、このときは旧石器存否論争、無土器新石器説、中石器時代説を引き起こし、石器資料そのものに関しては摩耗論争さえ巻き起こっている。その後、日本では北海道を除く、関東・中部地方を中心に100箇所から650本ほどの出土がある。手斧が大部分を占め、木材加工よりも骨の粉砕や皮なめしなどに使用された可能性が高い。野尻湖周辺遺跡群から250点あまり出土している。
日本以外ではオーストリアのヴォレンドルフ遺跡出土の約2万5000年前の全面磨製石斧があるのみで、他にロシアのコスチョンキ(約1万4000年前)、アフォントヴァゴラ(約2万年前)、オーストラリアのナワモイン(約2万1500年前)、マランガンガー(約2万9000年前)からの報告がある。コスチョンキ出土資料は製作時に磨いたのか使用痕によるものなのかをめぐって日本国内でも論争が起こった。アフォントヴァゴラの資料は表面採集資料である。オーストラリアの2例は溝部をもつ例として報告されているが、石器実測図からは研磨部分を読み取ることは難しい。とくに海外について、今後の資料の増加とデータの充実が求められる石器である。
日本の局部磨製石斧出土遺跡
下記の遺跡に関しては、石器実測図が『図解・日本の人類遺跡』(東京大学出版会)に出土地点をあらわす地図とともに掲載されている。
- 此掛沢Ⅱ遺跡(秋田県)
- 地蔵田遺跡(秋田県)
- 大台野遺跡(岩手県)
- 磯山遺跡(栃木県)
- 殿山遺跡(栃木県)
- 古城遺跡(群馬県)
- 岩宿遺跡(群馬県)
- 下触牛伏遺跡(しもふれうしぶせ、群馬県伊勢崎市赤堀町、二万数千年前の大規模集落遺跡、2000点あまりの石器・石材出土)
- 大竹遺跡(群馬県)
- 出口鐘塚遺跡(千葉県)
- 三里塚No.55遺跡(千葉県)
- 中台柿谷遺跡(千葉県)
- 中山新田Ⅰ遺跡(千葉県)
- 武蔵台遺跡(東京都)
- 鈴木遺跡(東京都)
- 栗原遺跡(東京都)
- はけうえ遺跡(東京都)
- 高井戸東遺跡(東京都)
- 中見代Ⅰ遺跡(静岡県)
- 太子林遺跡(長野県)
- 白岩藪ノ上遺跡(富山県)
- 西原C遺跡(富山県)
- 長山遺跡(富山県)
- 七日市遺跡(兵庫県)
- 坂井遺跡(兵庫県)
- 戸谷第一遺跡(岡山県)
- 早風A遺跡(岡山県)
- 鴻ノ巣遺跡(広島県)
- 西ガガラ遺跡(広島県)
- 曲野遺跡(熊本県)