海流
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海流(かいりゅう)
海水の運動のうちで,比較的変動が少く,ほぼ一定の方向に流れているものをいう。海水の運動には,波動的すなわち比較的短い周期で繰返すものと,定常的すなわち絶えず一定の方向に流れるものとがあって海流は後者に属する。もちろん,外的原因によって変化しない自然現象はないから,海流も変動している。海水の運動は定常部分と,変動部分とから成ると考えると,定常部分の大きいものが海流で,振動性の変動部分の大きいものが波動であると考えてよいであろう。しかし1日または半日を周期とする潮汐を広義で海流の1種に入れる人もある。大西洋の湾流 (メキシコ湾流 ) や黒潮などは海流の代表的なものである。海流の原因として最も有力なものは,洋上に分布する風によって海面に供給される運動量,あるいはエネルギーである。風以外には緯度による太陽放射の差,降水,蒸発の地域差なども海流の原因となる。海水が運動すると地球自転によって,その運動する方向に対して,北 (南) 半球では右 (左) 側に直角方向に力が作用して,運動方向を曲げようとする。これをコリオリの力という。コリオリの力の大きさは,海水の速さを v とすると,2ω sin φ・v に等しい。 ω は地球自転の角速度,φ は緯度である。このコリオリの力が海流の力学的な釣合いに基本的なものである。顕著な表層の海流系や中・深層のゆっくりとした大規模な海水循環の力学についての理論は大循環理論といわれる。この理論にはストンメルの風成大循環理論,熱塩循環理論,深層理論などがある。