富士フイルム

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富士フイルム株式会社(ふじフイルム、英語: Fujifilm Corporation)は、日本の精密化学メーカーである。カメラデジタルカメラ、一般・エックス線写真・映画用フィルムから印画紙(プリント)、現像装置などに至る写真システムの一式、複写機などのOA機器などのほか、医薬品、医療機器、化粧品健康食品も製造・販売している。

略称は「富士フイルム」、「富士」、「フジ」など。本社は東京都港区に2箇所置いている。東京ミッドタウン本社と西麻布本社(高樹町)で、登記上の本店は後者にある。

概要

正式社名は「富士フルム」である。「富士フルム」は誤植であり、「イ」は小書きしない。写真業界ではノンと並んでよく知られている。また、読み方・発音についても、当社の場合は「フルム」の発音であり、拗音は使わない[1]

企業名「富士」が付いてはいるが、企業系列しては芙蓉グループではなく三井グループに属し、グループの親睦会である月曜会及び綱町三井倶楽部に加盟し[2]、又、双日日新製鋼トクヤマダイセル関西ペイントらとともに旧岩井財閥の企業集団である最勝会グループを形成している[3]。主要取引銀行は三井住友銀行横浜銀行であり、横浜銀行が全国一の地方銀行の地位を保持するのに一役買っている。

2006年(平成18年)10月1日持株会社制に移行、旧・富士写真フイルムは富士フイルムホールディングス株式会社となり、同社の事業を引き継ぐ事業会社「富士フイルム株式会社」を新設し、富士フイルムホールディングスの傘下に富士フイルムと富士ゼロックスを置く体制となった。これを機にCIロゴマークが変更され、永年使われた「FUJI」の組み合わせマークは廃止。ローマ字「FUJIFILM」のマークをアレンジし、FUJIのIの部分を赤と黒の2色配列として[4]、フィルム・写真事業以外の新分野に挑戦する姿勢を打ち出すものにした。

ファイル:富士フイルム 旧ロゴ.jpg
2006年に廃止された旧ロゴ
ファイル:Fuji-film's old sign.jpg
カメラ店の店頭に掲出されている、旧ロゴが使用された看板

また、創業80周年を迎えた2014年(平成26年)1月20日には、同社を含む富士フイルムグループ[5]で用いるコーポレートスローガンとして「Value from Innovation」が制定された[6]

2015年(平成27年)5月11日、米国医療ITシステムメーカー TeraMedica, Inc.(本社:米国ウィスコンシン州ミルウォーキー、テラメディカ社)の買収を完了し、富士フイルムグループの100%子会社として新たにスタートさせた[7]

沿革

製品

日本での写真フィルムはトップシェアを持つ。1960年代から年末年始時期に「お正月を写そう」というテレビコマーシャルを展開している(近年では映像関連以外にも、後述する自社製化粧品や健康食品もこの枠で流されている)。

カメラ分野では1948年(昭和23年)4月発売のスプリングカメラ「フジカシックスIA」を始めに1957年(昭和32年)5月ライカ判コンパクトカメラ「フジカ35M」、1957年(昭和32年)9月フジペット」、1970年(昭和45年)7月ライカ判一眼レフカメラ「フジカST-701」、1986年(昭和61年)4月には自動化されアオリを使用できる6×8cm判一眼レフカメラ「フジGX680プロフェッショナル」、レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)「写ルンです」、インスタントカメラ・チェキと初心者向けからプロフェッショナル向けまで各種フォーマットの各種カメラを販売して来た。

デジタルカメラの時代になってもFinePix(ファインピクス)シリーズやBIGJOBシリーズがあり「スーパーCCDハニカム」というハニカム構造CCDイメージセンサを開発している。また、オリンパスと共同でxDピクチャーカードを開発し、自社製品の記録メディアとして採用していた(2015年現在の製品はSDメモリーカードに統一)。

また過去(1960 - 70年代)には、8ミリフィルム用カメラの生産を行っていた。

8ミリフィルムが衰退しビデオカメラが主流になってくると、Fujix-8シリーズの8ミリビデオカメラ(ソニーからのOEM供給)も販売していた。

レンズメーカーでもあり、大判カメラ用レンズや引き伸ばし用レンズを販売している。レンズ曲線の計算用に、日本初のコンピュータであるFUJICを開発した企業でもある[8]

しかし、2005年(平成17年)・2006年(平成18年)には写真フィルム事業を縮小し、他分野事業への進出を推進している。2008年(平成20年)の会社四季報その他によると、写真フィルムによって培われた技術を上記の液晶ディスプレイや、医療分野(画像、検査用機器等)などの分野へ活用する試みを続けている。液晶ディスプレイに使用される偏光層保護フィルム(フジタック)は、世界で80%ものシェアを誇っている(残りはコニカミノルタ)。

また、同年から化粧品事業に本格参入し、CMに中島みゆき松田聖子2人の大物ミュージシャンを起用した。既存の写真関係やデパート、ドラッグストアなどの化粧品販売ルートではなく、テレビショッピング新聞広告などの通信販売で展開しており、2009年(平成21年)1月6日の読売新聞によると、写真フィルム部門の売上高は会社全体の売上高の5%にも満たないという。現在は、通販による健康食品事業にも進出している。

2011年、低価格競争で苦戦していたデジタルカメラ事業で、単焦点ながら実売価格10万円を超えるデジタルカメラ「Finepix X100」を発売。これがヒットし、プレミアムデジタルカメラ「FUJIFILM X」シリーズへ路線を転換する。2014年にはデジカメ事業は黒字化を達成した[9]

2012年(平成24年)9月、長年行ってきた映画の上映用ポジフィルム及び撮影用のカラーネガフィルムの生産を中止すると発表。

1960年より東芝(旧 東京芝浦電気)と共同でオープンリールタイプの磁気テープを販売し、1969年にはコンパクトカセットを販売。Fシリーズ、FXシリーズ、レンジシリーズ等高性能音楽用のノーマルポジション、ハイポジション、メタルポジションのカセットテープを販売していたが(ちなみに音響機器メーカーのパイオニアにも一時期、OEM供給をした経験がある)、ソニー日立マクセルTDKの3大メーカーに対抗するため、1985年、カセットテープを使い始める中学生にターゲットを絞り、AXIAブランドでコンパクトカセットを新たに製造販売した。斉藤由貴のCM効果もあり、以後人気ブランドになる。

2006年、カセットテープ、およびビデオテープDVD-R/DVD-RWCD-R/CD-RWDATミニディスクや乾電池(富士フイルムブランドでエナジャイザーと提携)と共に製造から撤退した。しかしながら業務用の磁気テープ(LTO等)は、各種データのバックアップ用として需要が高く、富士フイルムを含めた日本企業の占有率は高い[10][11][12]

ファイル:富士 カセット.JPG
FUJI/AXIAのカセットテープ

事業所

  • 本社(東京都港区)
  • 工場
  • 研究所・技術開発センター
    • 先端コア技術研究所(神奈川県南足柄市、神奈川県足柄上郡開成町
    • 有機合成化学研究所(神奈川県南足柄市、神奈川県足柄上郡開成町、静岡県富士宮市、静岡県榛原郡吉田町)
    • アドバンスト マーキング研究所(神奈川県南足柄市、神奈川県足柄上郡開成町、静岡県富士宮市)
    • 医薬品・ヘルスケア研究所(神奈川県足柄上郡開成町)
    • 解析技術センター(神奈川県南足柄市、神奈川県足柄上郡開成町、神奈川県小田原市、静岡県富士宮市、静岡県榛原郡吉田町)
    • 生産技術センター(神奈川県南足柄市、神奈川県足柄上郡開成町、神奈川県小田原市、静岡県富士宮市、静岡県榛原郡吉田町、宮城県黒川郡大和町
    • 画像技術センター(東京都港区、神奈川県足柄上郡開成町)
    • メディカルシステム開発センター(神奈川県南足柄市、神奈川県足柄上郡開成町、東京都港区、埼玉県さいたま市
    • 光学・電子映像商品開発センター(埼玉県さいたま市)
    • フラットパネルディスプレイ材料研究所(神奈川県南足柄市、静岡県富士宮市、静岡県榛原郡吉田町)
    • 記録メディア研究所(神奈川県小田原市)
    • エレクトロニクス マテリアルズ研究所(静岡県榛原郡吉田町)
    • インフォマティクス研究所(神奈川県足柄上郡開成町)
    • 高機能材料研究所(神奈川県足柄上郡開成町)
    • 再生医療研究所(神奈川県足柄上郡開成町)

関連会社

富士ゼロックス
富士フイルムRIファーマ(FRI)
放射性医薬品等のメーカー
富士フイルムイメージングシステムズ(FFIS)
ビジネス分野での画像・情報に関するサービスの提供。
富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(FFEM)
半導体製造用フォトレジスト等販売
富士フイルムオプティクス(FFOP)
光学デバイス、医療機器の製造。
富士フイルム九州株式会社
フジタックの生産。
富士フイルム グローバルグラフィックシステムズ(FFGS)
プロセス資材、富士フイルム印刷システム部営業部門の合併。国内最大の印刷材料商社。
富士フイルム グローバルグラフィックシステムズグラフィックサプライ(FFGSG)
富士フイルムICTソリューションズ(FICT)
自グループの社内システムの運用・保守。
富士フイルム・シミック ヘルスケア(FFCH)
自グループの医療、ライフサイエンス事業開発支援。
富士フイルムシンプルプロダクツ(FFSP)
自動組版ソフトの開発、印刷物生成オートメーション化支援事業。
富士フイルムソフトウエア(FFS)
ソリューションビジネス、組込ソフトウエア開発。
富士フイルム知財情報リサーチ(FFIP)
外国出願および調査分析を専門として、富士フイルムグループ全体へサービスを提供。
富士フイルムテクノサービス(FFTS)
デジタルカメラ関連のアフターサービス、技術サポート
富士フイルムテクノプロダクツ(FFTP)
医療用、写真用、印刷用、理化学用、情報システム機器 他の製造および精密部品加工。
富士フイルムデジタルテクノ
デジタルカメラの生産技術開発、半導体集積回路の生産。
富士フイルムビジネスサプライ(FBS)
用紙、産業用フィルム、事務機販売。ノーカーボン紙「感圧紙」、インクジェット用紙「画彩」発売元。
富士フイルムファーマ(FFP)
医薬品の研究開発、製造、販売。
富士フイルムファインケミカルズ(FFFC)
写真用有機合成薬品、医薬品原薬・中間体、情報電子材料、染料中間体の開発。
富士フイルム プレゼンテック(FPT)
自グループの広告宣伝物制作、印刷、写真ギャラリー運営。
富士フイルム メディアクレスト(FFMC)
CD/DVDメディアの製造 メディアプロテクト技術の開発 データ修復サービス。
富士フイルムメディカル(FMS)
千代田メディカルを吸収合併。医療用X線装置、フィルム等販売。
富士フイルムロジスティックス(FFL)
物流管理・包装および梱包業務。
富士フイルム生活協同組合
グループ社員が加入できる生活協同組合
富士フイルム ヘルスケアラボラトリー
化粧品サプリメントの製造販売。
富士フイルム和光純薬
テラメディカ社[13]
医用画像情報システムの診断画像や各種動画など病院内の各診療科が扱う広範な診療情報を効率的に管理・保管するアーカイブシステムを提供する米国の医療ITシステムメーカー
株式会社フジカラーフォトセンター[14]
富士フイルムイメージングの系列会社として静岡県東部、神奈川県、沖縄県で観光写真、ビデオ制作事業を展開。 

インターネット関連事業

富士フイルム本体が行っている事業

  • 富士フイルム ウェブ写真美術館&ショップ - 著名写真家の作品やアマチュアの優秀な写真を展示し、販売しているウェブサイト。
  • Keitai Picture - 携帯サイトに利用される画像を各携帯電話の機種に合わせて変換配信する携帯向けASPサービス。

子会社および社内ベンチャー事業

  • メディアピックス - 携帯電話で撮影した写真を広告付きでプリントし、配送するサービス。

テレビCM

主なスポンサー番組

ファイル:Fuji Blimp.jpg
飛行船を用いた富士フイルム広告
ファイル:Shimotsui kuha24 fuji.jpg
下津井電鉄線を走っていたフジカラー広告車両
ファイル:芳城屋岡部酒店 (14834265268).jpg
富士フイルムの広告看板(中央)

フジテレビ

TBS


日本テレビ

テレビ朝日

テレビ東京

  • 現在
    • 無し

関西テレビ

主なスポンサー映画

脚注・出典

  1. 企業広告「世界は、ひとつずつ変えることができる。」テレビCM」(ムービー) 富士フイルム、2007年9月22日。
  2. 綱町三井倶楽部会員会社一覧
  3. 長岡禅塾 - 双日公式サイト内のページ。
  4. 但し、フジカラーは従来のマークを継承した文字デザインを引き続き採用。
  5. 富士ゼロックスは除く。
  6. 富士フイルムグループの新コーポレートスローガン「Value from Innovation」を制定 - 富士フイルムホールディングス株式会社 ニュースリリース 2014年1月20日(2014年2月22日閲覧)
  7. 富士フイルム 医療IT事業を拡大 米国医療ITシステムメーカー TeraMedica(テラメディカ)社を買収 -病院内の広範なデジタルデータを管理・保管するアーカイブシステムを展開-”. 富士フイルム株式会社 (2015年5月13日). . 2018閲覧.
  8. 開発者は岡崎文次
  9. 富士フイルム、4~9月期営業益25%増 デジカメ事業が黒字化
  10. なぜ?“磁気テープ”が復活
  11. 大容量磁気テープの実用化技術 「4K」映像で富士フイルム実証
  12. LTOテープ
  13. 富士フイルム 医療IT事業を拡大 米国医療ITシステムメーカー TeraMedica(テラメディカ)社を買収 -病院内の広範なデジタルデータを管理・保管するアーカイブシステムを展開-”. 富士フイルム株式会社 (2015年5月13日). . 2018閲覧.
  14. [1]

関連項目

外部リンク


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