守備妨害
守備妨害(しゅびぼうがい)とは、野球で、守備をしようとした野手をさえぎったり、阻んだり、混乱させたりする行為である。
守備妨害は、攻撃側プレイヤーによる妨害、審判員の妨害、その他の人の妨害に分けて考えられる。守備妨害が発生した場合には、原則としてボールデッドとなる。審判員はタイムを宣告してボールデッドにした上で守備妨害(インターフェア)を宣告し、必要な処置をとる。
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攻撃側プレイヤーの妨害
攻撃側プレイヤーとは、打者、走者はもちろん、ベースコーチや次打者、ベンチにいる選手などが挙げられる。守備妨害が発生したとき、アウトにならずに塁上に残る走者は原則として、妨害が発生した時点ですでに占有していたと審判員が判断した塁まで戻される。ただし、打者走者がまだ一塁に達しないうちに発生した守備妨害の場合は、全ての走者は、投球当時に占有していた塁まで戻される。また、打球が野手に触れずに直接走者に触れた場合は打者走者に一塁までの安全進塁権が与えられ、打者には安打が記録される。
打者の妨害
次の場合は打者の守備妨害であり、原則として打者はアウトになる。公認野球規則では次のような定めがある。
捕手に対する妨害
規則6.06(c)では、次のように定めている。
「打者がバッタースボックスの外に出るか、あるいはなんらかの動作によって、本塁での捕手のプレイ及び捕手の守備または送球を妨害した場合。しかし例外として、進塁しようとしていた走者がアウトになった場合、および得点しようとした走者が打者の妨害によってアウトの宣告を受けた場合は、打者はアウトにはならない。」
「しかし」以降の但し書きは、守備妨害を含む一連のプレイで重複してアウトを取られることを防ぐためである。
この定義に関する具体例としては、次のような場合が考えられる。
- バッタースボックスの外に出るなどの何らかの動作で、捕手の送球や本塁でのプレイを妨害した場合。
- 第3ストライクが宣告(三振)されたあと、捕手の送球や本塁でのプレイを妨害した場合。
- 第3ストライクが宣告されただけ(いわゆる「振り逃げ」が可能)、もしくは四球が宣告され一塁に進むことができる打者走者が捕手を妨害した場合は、打者走者がアウトになる。
- 第3ストライクが宣告された打者がアウトになったあと、他の走者の盗塁を阻止しようとしている、または本塁を守備しようとしている捕手を妨害した場合は、守備の対象となる走者にもアウトが宣告される。どの走者に対して守備が行われていたかが明らかでない場合は、本塁に最も近い走者がアウトになる。
ただし、特に走者が得点しようと本塁に向かってきている場合については、規則7.08(g)で別に定めている。無死または一死で走者が得点しようとしたとき、打者が本塁における守備側のプレイを妨げた場合、守備の対象である得点しようとしている走者をアウトにする。二死であれば打者がアウトとなり、得点は記録されない。
- スクイズプレイのときなどで、走者が得点しようとしているときに打者が反則打球をした場合、日本では2005年までは規則7.08(g)を適用して、無死または一死の場合は守備の対象である得点しようとしている三塁走者をアウトにしていたが、2006年にこの規則が改正され、反則打球の規則を適用して打者をアウトにし、走者は投球当時に占有していた塁に戻すこととされた。
また、特に悪質な場合として、併殺を阻止するために故意に守備を妨害した場合について、規則7.09(g)に定めがある。打者走者が明らかに併殺を阻止しようとして、故意に打球を妨げたり、打球処理しようとしている野手を妨害したりした場合、守備妨害を宣告して打者走者をアウトにするのはもちろん、野手がどこで併殺を狙おうとしていたかに関係なく、本塁に最も近い走者もアウトにする。またこの場合は直ちにボールデッドとなり、他の走者の進塁は認められない。
ただし、次のようなときは守備妨害とならない場合もある。
- 空振りしたバットが、振った勢いや自然な動作で振り戻したときに捕手に触れて守備の妨げになった場合。このようなときは打者の守備妨害とはしないが、直ちにボールデッドとし、盗塁しようとしていた走者を投球当時の占有塁に帰らせる。打者にはストライクを宣告し、これが第3ストライクに当たるときは、打者をアウトにする。
打撃後の打球に関する接触など
規則6.05(h)では、次のように定めている。
「打者が打つか、バントしたフェアの打球に、フェア地域内でバットが再び当たった場合。」
この具体例としては、原注などにより、以下の場合がある。
- 故意であったか否かに関わらず、バット全体がフェア地域に飛んで、プレイをしようとしている野手(例えば、打球を処理しようとしている、送球しようとしている、あるいは送球を受けようとしている野手)を妨害した場合。
- 折れたバットの一部がフェア地域に飛んで、打球または走者や野手に当たった場合はボールインプレイのままである。ファウル地域で打球に当たったときはファウルボールである。
- 打者が打ったフェアの打球が、フェア地域で再びバットに当たった場合。
- フェアの打球が転がってきて、打者が打った後地面に落としたバットに偶然フェア地域で当たった場合はボールインプレイが継続する。ただし、打球の進路を変えようと打者が意図的にバットを置いたのでないと審判員が認めた場合に限る。
さらに規則6.05(i)には、
「打者が、打つか、バントした後、一塁に走るにあたって、ファウルボールの進路を、どんな方法であろうとも故意に狂わせた場合。」
とある。ファウルボールに触れてしまった場合、それが故意に行ったのであれば守備妨害とするが、故意でない場合はファウルボールのままとする。
一塁手への妨害
規則6.05(k)では、次のように定められている。
「一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。ただし、打球を処理している野手を避けるために、スリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることはさしつかえない。」
なお、スリーフットラインとファウルラインとの間の区間をスリーフットレーンと呼ぶ。
例えば、打者が捕手前にゴロを打った場面で、打者が一塁に向かって走っているとき、打球を処理した捕手が一塁へ送球したところ打者の背中に当たってしまった場合、打者がスリーフットレーンの中を走っていたのであればボールインプレイのままとするが、スリーフットレーンの外を走っていたのであれば守備妨害とする。
走者の妨害
次のような場合は走者の守備妨害であり、原則としてその走者はアウトになる。
- まだファウルと決まらないままファウル地域を動いている打球の進路を、どんな方法であろうとも、故意に狂わせた場合。(7.09b)
- 走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかったか、あるいは送球を故意に妨げた場合。(7.08b, 7.09j)
- 走者がまだ野手に触れていないフェアボールにフェア地域で触れた場合。(7.08f, 7.09k)
- ただし、以下の場合には、走者はフェアボールにフェア地域で触れたという理由でアウトは宣告されない(7.09k)。もちろん、このようなフェアボールであっても故意に蹴ったりした場合は守備妨害でアウトが宣告される。また、一度内野手に触れた打球を守備しようとしている他の野手を走者が妨害した場合は、7.08bの適用で、この走者がアウトになる場合もある。(7.08f【注1】)
- 一度でも内野手が触れたフェアボールに触れた場合
- 投手を除く内野手の股間や横を通過したフェアボールに、そのすぐ直後で触れた場合で、この打球に対して他の内野手が守備する機会がないと審判員が判断した場合
- インフィールドフライが宣告された後に、塁についている走者に飛球が触れた場合
- ただし、以下の場合には、走者はフェアボールにフェア地域で触れたという理由でアウトは宣告されない(7.09k)。もちろん、このようなフェアボールであっても故意に蹴ったりした場合は守備妨害でアウトが宣告される。また、一度内野手に触れた打球を守備しようとしている他の野手を走者が妨害した場合は、7.08bの適用で、この走者がアウトになる場合もある。(7.08f【注1】)
- 走者が明らかに併殺を阻止しようとして、故意に打球を妨げたり、打球処理しようとしている野手を妨げたりした場合。この場合、走者がアウトになるのはもちろん、野手がどこで併殺を狙おうとしていたかに関係なく、打者走者もアウトになり、他の走者には進塁が認められない。(7.09f)
その他、攻撃側プレイヤーの妨害
- アウトになったばかりの打者または走者、あるいは得点したばかりの走者が、味方の走者に対する野手の次の行動を妨害した場合(7.09e)。代表例は、アウトになった走者が併殺を狙う二塁手や遊撃手をスライディングで故意に転ばせる行為や、本塁に達して得点した(または得点しようとしてアウトになった)走者が捕手の次の行動を妨げようと、故意に接触するような行為。……守備の対象であった走者がアウトになる。なお、複数の走者がいて、どの走者に対して守備が行われていたかが判定しにくいときは、最も本塁に近い走者をアウトにする。
- 攻撃側プレイヤーが、走者が向かってくる塁に接近して立ったり、密集したりして、守備を困難にした場合。……守備の対象であった走者がアウトになる。
- 三塁または一塁のベースコーチが、帰塁しようとする走者を支えたり、離塁しようとする走者に触れたりして、走塁を肉体的に援助した場合。……援助を受けた走者がアウトになる。(→肉体的援助)
- 走者三塁のとき、ベースコーチがコーチスボックスを出て、何らかの動作で野手の送球を誘致した場合。……三塁走者がアウトになる。
- 攻撃側プレイヤー(次打者やベースコーチ、ベンチにいる選手も含む)が、打球や送球を処理しようとしている野手のために場所を譲らなかったために、野手の守備を妨害した場合。……その守備の対象であった打者または走者がアウトになる。
審判員の妨害
- 球審が捕手の送球を妨害した場合。……各走者は、投球当時の占有塁に戻る。
- 妨害があっても捕手が送球でき、その送球で走者がアウトになった場合は、妨害がなかったものとする。送球の結果ランダウンプレイ(挟殺プレイ)になった場合は、球審は直ちにタイムを宣告する。
- 審判員が、まだ野手に触れていないフェアボールにフェア地域で触れた場合、あるいは投手を除く内野手の股間や横を通過していないフェアボールに触れた場合。……打者は走者となって一塁が与えられる。その結果、塁を明け渡さなければならなくなった走者は進塁する。
- 審判員に打球が触れた際にプレイが成り行きのまま継続する喩えとして、しばしば「審判員は石ころと同じ」と言われる。しかしながら、単純にそのような表現をすると誤解を招きやすい。以下のように「石ころと同じ」と見做してよい場合もあるが、上記のように打者に一塁が与えられる場合もあるからである。
- まだ野手に触れていない打球にファウル地域で触れた場合(ファウルボール)
- 一度でも野手が触れたか、投手を除く内野手の股間や横を通過して守備の機会があったフェアボールに触れた場合(ボールインプレイ)
- 審判員に打球が触れた際にプレイが成り行きのまま継続する喩えとして、しばしば「審判員は石ころと同じ」と言われる。しかしながら、単純にそのような表現をすると誤解を招きやすい。以下のように「石ころと同じ」と見做してよい場合もあるが、上記のように打者に一塁が与えられる場合もあるからである。
その他の人の妨害
- グラウンド内にいる警備員やカメラマン、バットボーイやボールボーイなどがフェアボールに触れた場合。……その行為が故意でなかった場合(避けようとしたが避け切れなかった、など)はボールインプレイのままとする。しかし、故意であった場合は直ちにボールデッドとして、審判員は、その行為がなかったら競技はどうなったかを判断して、ボールデッド後の処置を決める。
- 打球や送球に対して観衆が妨害した場合。……審判員は、その行為がなかったら競技はどうなったかを判断して、ボールデッド後の処置を決める。飛球を捕らえようとする野手を明らかに観衆が妨害した場合には、打者にアウトを宣告する。
- フェンスによじ登るなどして、スタンドへ入りそうな打球を捕球しようとしている野手が観衆に妨害された場合、野手は危険を承知でプレイしているのであるから、守備妨害とはしない。対して、観衆の方からグラウンドに入ってきたり、グラウンドのほうに身を乗り出したりて捕球を邪魔したときは、守備妨害とする。
事例
打者の守備妨害
- 2007年6月8日、阪神タイガース対オリックス・バファローズ(阪神甲子園球場)
- 8回裏、阪神の攻撃。無死一塁で、阪神の鳥谷敬のバントによる右方向への小フライを捕球しようとしたオリックス捕手の日高剛が、鳥谷の脚につまずいて転倒した。この転倒で捕球ができなかったと判断した谷博球審は、鳥谷の守備妨害を認めアウトを宣告した。
- このとき鳥谷は、スイング後に立ち位置をまったく変えておらずバッタースボックスの中で静止していた。そのため、阪神監督の岡田彰布は、鳥谷が守備を妨害しようとしてバッタースボックスの外に出たり、何らかの動作をしたりはしていないから、公認野球規則6.06(c)の規定にある、「打者がバッタースボックスの外に出るか、あるいはなんらかの動作によって、本塁での捕手のプレイ及び捕手の守備または送球を妨害した場合」に該当していないと主張したとされる。
- 一方、公認野球規則7.11には「攻撃側のチームのプレイヤー、ベースコーチまたはその他のメンバーは、打球あるいは送球を処理しようとしている野手の守備を妨げないように、必要に応じて自己の占めている場所(ダッグアウト内も含む)を譲らなければならない。…」とあり、これに反した場合は守備行為の対象となるプレイヤー(この場合は打者の鳥谷自身)がアウトになる。谷はこれを適用して鳥谷をアウトにしたとも考えられる。
- 岡田の抗議と谷の説明は平行線をたどり、岡田が谷の体を突く行為を行ったため谷は岡田に退場処分を課し、判定はそのままで試合は再開された。
- 2014年4月4日、オリックス対埼玉西武ライオンズ(京セラドーム大阪)
- 4回裏、オリックスの攻撃。無死一塁で、オリックスの安達了一が投球をバントした。打球を処理しようとした西武捕手の炭谷銀仁朗と一塁に走ろうとした安達とが交錯したが、炭谷はそのまま打球を拾って二塁に送球、さらにボールは一塁に転送された。本来ならばこれで一塁走者と打者走者との併殺が成立するが、このケースでは交錯の瞬間に球審が守備妨害を宣告しており、これが優先されて打者はアウト、走者は一塁に戻されて試合再開となった。結果的に、守備妨害をしたことが攻撃側に利することとなった[1]。
- 2014年7月23日、オリックス対北海道日本ハムファイターズ(京セラドーム大阪)
- 9回表、日本ハムの攻撃。一死一塁で西川遥輝が三振した際に、一塁走者の谷口雄也が盗塁を試みた。オリックス捕手の伊藤光が刺殺を狙って二塁送球したところ、伊藤の送球が西川が振り上げていたバットに直撃して跳ね返り、本塁上に落下した。アウトになったばかりの打者が、味方の走者に対する捕手の送球を妨害したとして守備妨害が宣告され、その上で守備の対象である盗塁を試みた谷口にもアウトが宣告され、結果として三振併殺の形で試合終了(1対0でオリックスの勝利)となった。
- 2014年10月30日、福岡ソフトバンクホークス対阪神(日本シリーズ第5戦、福岡 ヤフオク!ドーム)
- 9回表、阪神の攻撃。一死満塁で打者の西岡剛は一塁手の前にゴロを打った。打球を処理したソフトバンクの一塁手明石健志は本塁に送球し、これを受けた捕手の細川亨は三塁走者の上本博紀をフォースアウトにした後に続いて併殺を完成させるべく一塁に送球するが、細川のこの送球が打者走者の西岡に当たってボールは一塁ファールグラウンドへ転がりこの間に二塁走者の田上健一が本塁に達した為に阪神が同点に追いついたかに見えた。だが西岡は打撃後の走塁の際に一塁ファウルラインの内側を走っており、白井一行球審は、『西岡の走塁が一塁手の守備を妨げた行為』に当たると判定して、西岡に守備妨害によるアウトを宣告した。これによって試合終了となり、1-0でソフトバンクの勝利が宣せられた。そしてこれが同シリーズにおけるソフトバンクの4勝目となったため、ソフトバンクの日本シリーズ優勝が決定した。なお、守備妨害による試合終了は日本シリーズ通算388試合目にして史上初の珍事であった。
走者の守備妨害
- 1976年5月20日、広島東洋カープ対阪神
- 2回裏、広島の攻撃。無死満塁で、打者の外木場義郎は二塁手の方向へゴロの打球を打った。阪神榊原良行二塁手がこれを捕って二塁へ送球しようとしたとき、一塁走者の水沼四郎がぶつかった。妨害発生のとき三塁走者は本塁に達していたが、二塁走者は三塁に達していなかった。審判団は水沼に守備妨害でアウトを宣告したが、塁上の走者に対して妨害発生時点に達していた塁までの進塁を認め、得点1、一死一・二塁で再開とした。
- しかし、この事例は打者走者がまだ一塁に達する前の妨害であったから、打者走者に一塁を認め、それ以外の走者には進塁できないことになる。得点0、一死満塁から再開とするべきであった。
- 2014年7月4日、読売ジャイアンツ(巨人)対中日ドラゴンズ(東京ドーム)
- 8回表、中日の攻撃。一死一・二塁から、藤井淳志の打球が巨人の久保裕也投手のグラブを弾いて二塁手方向に跳ね、これを片岡治大二塁手が捕球しようとしたところ、直前で一塁走者の和田一浩に触れ、打球を処理できなかった。
- 二塁塁審の佐々木昌信は、「片岡が打球を処理しようとしており、守備機会があった。一塁走者の和田がその守備を妨害した」と判断した。つまり、公認野球規則7.08(f)【注1】にある「一度内野手に触れた打球を守備しようとしている他の野手を走者が妨害した場合」にあたり、7.08(b)を適用しての守備妨害である。和田にアウトが宣告され、三塁に進んだ二塁走者は二塁に戻されて、二死一・二塁で試合は再開された[2]。
- 2015年7月12日、東京ヤクルトスワローズ対横浜DeNAベイスターズ(明治神宮野球場)
- 9回裏、ヤクルトの攻撃。無死一塁で一塁走者の武内晋一は中村悠平の一塁ゴロの際に既にフォースアウトとなっていたが、併殺を逃れようとしてDeNAの倉本寿彦遊撃手に向けてスライディングし、交錯する。この行為は守備妨害と判定され、打者の中村もアウトになった(このような形で併殺が成立した場合は、打者には併殺打は記録されない)。武内はこの判定に不服の態度を表し、グラウンドにヘルメットを投げつけたことが審判員への侮辱行為と見做されて退場処分を課された[3]。
審判員の妨害
- 2008年8月3日、日大鶴ヶ丘高校対鹿児島実業高校(第90回全国高等学校野球選手権大会1回戦)
- 3回、日大鶴ヶ丘高校の攻撃。無死一塁で打者が三振した際に一塁走者が盗塁を試みた(実際はヒットエンドランを試みて、打者が空振りしたもの)。捕手が二塁に送球した際、右ひじが球審のマスクに接触し、送球がやや逸れた。二塁塁審はセーフの判定をしていたが、公認野球規則2.44(c)と5.09(b)が適用され、球審が捕手の送球動作を妨害したとしてボールデッドとなり、走者が戻されて一死一塁としてプレイが再開された。
- 2015年6月2日、DeNA対ソフトバンク(横浜スタジアム)
- 7回表、ソフトバンクの攻撃。二死満塁で柳田悠岐の打球は二遊間を抜け、外野手の前に転がった。その間に三塁走者と二塁走者が相次いで本塁に達した。本来ならば得点2がソフトバンクに記録されるはずだが、実際には打球は二塁塁審の渡田均に触れていた。渡田に触れた時点でボールデッドとなり、柳田には一塁が与えられるため、三塁走者の得点のみが認められた[4]。
ベースコーチの守備妨害
- 2015年5月8日、千葉ロッテマリーンズ対西武(QVCマリンフィールド)
- 6回表、西武の攻撃。一死二・三塁の場面で栗山巧は三塁方向への飛球を打ったが、その飛球を追ったロッテの今江敏晃三塁手と、西武の奈良原浩三塁ベースコーチとが交錯し、今江のグラブが弾かれて打球を捕球できなかった。この一連のプレイが奈良原による守備妨害と判定され、栗山にアウトが宣告された[5]。
ボールボーイの妨害
- 2007年4月17日、巨人対広島(スカイマークスタジアム)
- 6回表、広島の攻撃。前田智徳の打球は右翼線へ飛んだ。一塁塁審はフェアボールと判定したが、この打球を一塁側ブルペン前にいたボールボーイがファウルボールと勘違いし拾い上げてしまった[6][7]。審判団の協議の結果、二塁打と判定し、二死二・三塁で試合再開とした[8]。
観衆の妨害
- 1995年6月20日、阪神対横浜ベイスターズ(横浜スタジアム)
- 9回表、阪神の攻撃。先頭打者の新庄剛志が横浜の佐々木主浩投手から打った打球は、左翼スタンドへ飛んだ。ボールはスタンドに入るかに見えたが、阪神ファンがフェンス際で振っていた応援旗に当たり、フィールド内に落下した。打球を見送りかけていた宮里太左翼手は、慌ててボールを拾って送球したが、新庄は三塁まで到達した。審判団は協議の結果、観衆による守備妨害があったと認め、打球を二塁打と判定。新庄は二塁に戻されて試合が再開された。阪神の中村勝広監督は、妨害がなければスタンドに入っていたはずだと抗議したが、認められなかった。
- 2016年6月14日、東北楽天ゴールデンイーグルス対巨人(東京ドーム)
- 7回表、楽天の攻撃。打者オコエ瑠偉は右翼へファウルフライを打ち上げた。巨人の長野久義右翼手が捕球体勢に入ったところ、グローブを付けた観客が観客席から身を乗り出して打球を捕球し、そのままフィールド内に転落した。審判団は協議の結果、観衆による守備妨害があり、妨害がなければ長野が飛球を捕球できていたと認め、オコエはアウトを宣告された。
脚注
- ↑ 「邪魔だ邪魔だ~」でも突き飛ばさなくっても…… 2014.04.04 Bs-L - 2014年4月4日 YouTube プロ野球チャンネル パ
- ↑ 中日、守備妨害で好機しぼむ 谷繁監督「全力でやっているから…」 - 2014年7月4日 SANSPO.COM
- ↑ ヤクルト武内 守備妨害→併殺→退場
- ↑ ソフトB・工藤監督、ルールブック手に猛抗議…2点打のはずが1点だけ サンケイスポーツ 2015年6月2日閲覧
- ↑ 珍し守備妨害 ロッテ今江が奈良原コーチと衝突 日刊スポーツ 2015年5月8日閲覧
- ↑ このような場合、審判員は、妨害と同時にボールデッドとした上で、もし妨害がなかったら競技はどのような状態になったかを判断して、ボールデッド後の処置をとる。「このような場合は、打者に二塁打が与えられる」という意見があるが、誤った考え方である。(公認野球規則3.15)
- ↑ なお、打球を誤って拾い上げてしまった場合は、本人の意志とは関係なく、故意の妨害と見做される。
- ↑ このとき広島のマーティ・レオ・ブラウン監督は「フェアの打球を捕るならボールボーイを外せ」と球審に抗議し、試合は4分間中断した。