孫子算経

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ファイル:Sun Zi Suanjing.JPG
孫子算経の清代に作られた写本

孫子算経(そんしさんけい、簡体字孙子算经繁体字孫子算經ピン音:Sunzi Suanjing)は、南北朝時代に書かれた算術書であり、代に編纂された算経十書中文版の1つとなっている。著者の「孫子」について詳細はよくわかっていないが、兵法書の『孫子』を著したとされる孫武より時代は下る。

成立年代

孫子算経が著された正確な年代はわかっていないが、以下のように、内容から南北朝時代の成立と推定されている[1]

  • 下巻の問33に「洛陽長安から900里離れている」とあるが、「長安」という語が使われるようになったのが代である。
  • 下巻の問3には「19路四方の盤」とあるが、19路の囲碁は3世紀中頃から見られる。
  • 下巻で「1匹(注:長さの単位)で値段が18000の錦がある。丈・尺・寸当たりの値段はいくらか」という問があるが、孫子算経では473年に変更される前の長さの単位で計算を行っている。


内容

ファイル:Sunzi division.GIF
孫子による6561÷9の割り算
ファイル:AL Khwarizmi division.GIF
フワーリズミー (c. 780 – c. 850) による同じ計算
ファイル:Sunzi sqrt.GIF
孫子の開平法
ファイル:Labbansqrt.GIF
Kūshyār ibn Labbān (971–1029)による同じ計算

孫子算経は3巻から成っている。

上巻
上巻では、度量衡の単位と、算木の使い方(籌算)について詳しく論じられている。算木は春秋時代から使われ、算数書中文版九章算術にも現れてはいるが、算木を使った詳しい算法についてはそれらに残っていない。孫子算経では、「算木の置き方は、一は縦、十は横、百は立ち、千は倒れる」という置き方[2]や、さらには四則演算をどのように進めていくかも、充分な具体例と共に記されている。
中巻
中巻では、算木で分数を扱っている。計算として加減乗除に加えて、開平法についても扱っている[3]
下巻
下巻では、問28でのちに中国剰余定理と呼ばれる算法について扱われているほか、問31にキジウサギを数える「雉兎同籠」(日本では鶴亀算となった)がある。


脚注

  1. Lam Lay Yong中文版 and An Tian Se. "Fleeting Footsteps", p. 4. World Scientific. ISBN 981-02-3696-4.
  2. Lam Lay Yong and An Tian Se, Fleeting Footsteps p55, World Scientific, ISBN 981-02-3696-4
  3. Lam Lay Yong and An Tian Se, Fleeting Footsteps p65, World Scientific, ISBN 981-02-3696-4