女王陛下万歳

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God Save the Queen
和訳例:女王陛下万歳
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1745年10月15日のThe Gentleman's Magazineに掲載された初期の譜面。掲載ページのタイトルは "God save our lord the king: A new song set for two voices" 。

歌の対象
国歌として
イギリスの旗 イギリス海外領土
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
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王室歌として
オーストラリアの旗 オーストラリア
バハマの旗 バハマ
バルバドスの旗 バルバドス
ベリーズの旗 ベリーズ
カナダの旗 カナダ
グレナダの旗 グレナダ
ジャマイカの旗 ジャマイカ
セントクリストファー・ネイビスの旗 セントクリストファー・ネイビス
ソロモン諸島の旗 ソロモン諸島
ツバルの旗 ツバル
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別名 God Save the King
(国王陛下万歳(王が男性の時))
作詞 ヘンリー・ケアリーEnglish版
作曲 不明
テンプレート:Extra musicsample
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女王国王陛下万歳』(じょおう〔こくおう〕へいかばんざい)、または、『神よ女王国王を護り賜え[1]』(かみよじょおう〔こくおう〕をまもりたまえ、原題: God Save the Queen (King)は、多くの英連邦王国およびイギリス王室属領で使用されている賛歌アンセム)である。

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス)およびイギリス海外領土の事実上の国歌であり、ニュージーランド(1977年〜)の二つの国歌のうちの一つである。オーストラリア(1984年〜)およびカナダ(1980年〜[2])、ジャマイカツバルマン島[3]では王室歌 (Royal Anthem) として公式に採用されている。ジャージー[4]ガーンジー[5]マン島[6]においても、イギリス王室属領の立場では公式な国歌である。

公式行事などで使用される場合、通常第1節のみが歌われる。時代により王が男性 (King) であるか女性 (Queen) であるかで、曲名および歌詞が変わる。

概要

イギリスにおいて国歌として法律で制定されてはいないが、一般に国歌として広く認知されている(連合王国の構成国であるウェールズ北アイルランドスコットランドでは独自の国歌を持ち、サッカーなどウェールズ、スコットランド[7]が個別に代表を出しているスポーツの試合では、女王陛下万歳ではなく、それぞれの国歌が演奏され歌われる)。かつてイギリス連邦諸国でも国歌として採用されていたが、現在は公募などによって別の歌を国歌として採用している。ニュージーランドでは今日でも『神よニュージーランドを守り給え』とともに国歌のひとつである。カナダオーストラリアバハマジャマイカマン島では王室歌 (Royal Anthem) として採用されている。イギリス連邦ではないが、リヒテンシュタインでは同じ旋律を流用して独自の歌詞を乗せて国歌としている(かつてのスイスドイツ帝国ザクセン王国ロシア帝国アメリカ合衆国も同様であった)。

動詞が三単現「saves」ではなく「save」なのは、神に対する加護の要請を示す仮定法現在、つまりいわゆる祈願文であるためである。[8]「Save」が大文字なのは、一般的に英語では楽曲の題名に含まれる名詞・動詞などは語頭を大文字にする慣習があるからである。[9]

公式の場で斉唱する場合であっても女王(国王)自身は歌唱しない[10]

歴史

旋律は少なくとも16世紀まで遡るものであり、すでに複数の君主をたたえるために歌われていた。深く関わっているのはドイツ人から帰化したヘンデルである。1739年にヘンデルのオラトリオ『サウル』の「葬送行進曲」、翌年にはジェームズ・トムソンEnglish版の詩とトマス・アーンの作曲で「ルール・ブリタニア」が、1742年には『メサイア』の「ハレルヤ」が生まれた。この3年後に作者不詳の「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」が登場したが、誰も「国歌」と呼ぼうと考えていなかった。いずれにしろ、当時宮廷音楽家であったヘンデルの影響は免れない[11]

1744年にイングランド上陸に失敗した小僭王チャールズ・エドワード・ステュアートは、1745年に側近のみを引き連れてスコットランドに上陸した。ハイランド地方氏族は小僭王の下に結集し、政府軍をプレストンパンズ (Prestonpans) において破り、以後ジャコバイトはイングランドへ向けて侵攻を開始した。ジャコバイトがイングランド中部ダービーまで南下してロンドンを脅かす中で、アーンは君主と国家の安寧を祈って「神よ、国王陛下を護り給え」を編曲した。

1745年9月28日、ドルリー・レーン王立劇場 (Theatre Royal, Drury Lane) においてベン・ジョンソンのオペラ『錬金術師』 (The Alchemist) 終演後に公式に演奏され、以後ロンドン各地の劇場で演奏されるようになって爆発的に広まった。この熱狂的な雰囲気によるものか、1746年カロドン・ミュアの戦いにおいて政府軍はジャコバイトを決定的に破り、小僭王は命からがらフランスに逃げ帰ることになる。

ただし、以上はあくまで現在確認されている公式の初演の経緯であり、アーンが自ら作曲したとは考えられていない。1740年ヘンリー・ケアリーEnglish版が作曲したという説もあれば、さらに遡って16世紀の聖書の詩句、賛美歌にその起源を求める声もある。そもそもイングランド起源ではなく、ジャコバイトの側の歌であり、フランスから輸入されたものだとする者もいる。このように多くの研究があるものの、明確な起源は今なお判明していない。

歌詞

女王ではなく国王が在位している場合は、Queenの代わりにKingを、herの代わりにhimを用いる。また3番の第6行は"With heart and voice to sing"となる。

国歌として通常歌われるのは1番である。曲が短いために2コーラス歌われることがあるが、その場合、好戦的な2番ではなく、立憲君主制を想起させる3番が付け足される。BBCプロムスでは1・2番が歌唱される。2012年ロンドン・オリンピック開会式などでは1番3番が歌われた。

6番は、ジャコバイト蜂起の記憶が薄れイングランドスコットランドの融合が進む中で、19世紀初頭にはほとんど歌われなくなった。近年になって「反逆せしスコットランド人を破らしめむ」という節がスコットランド住民を敵視するものだとして、6番を削除する案が一部議員から提出されているが、反対意見が多くまだまとまっていない。歌詞に出てくるウェイド元帥とはジャコバイト鎮圧やオーストリア継承戦争で活躍した軍人ジョージ・ウェイドEnglish版のことである。

英語原詩 邦訳例
1.

God save our gracious Queen,
Long live our noble Queen,
God save the Queen:
Send her victorious,
Happy and glorious,
Long to reign over us,
God save the Queen.

おお神よ我らが慈悲深き女王(国王)を守りたまへ
我らが気高き女王(国王)よとこしへにあれ、
神よ女王(国王)を守りたまへ:
君に勝利を
幸福を栄光をたまはせ
御世の長からむことを:
神よ女王(国王)を守りたまへ

2.

O Lord, our God, arise,
Scatter her enemies,
And make them fall.
Confound their politics,
Frustrate their knavish tricks,
On Thee our hopes we fix,
God save us all.

おお主よ、神よ、立ち上がられよ
汝と君の敵を消散せしめたまへ
打ち砕きたまへ
彼らが策を惑はしたまへ
彼らが騙し手を挫きたまへ
我らが望みは汝の上に!
神よ我等を救いたまへ

3.

Thy choicest gifts in store,
On her be pleased to pour;
Long may she reign:
May she defend our laws,
And ever give us cause
To sing with heart and voice
God save the Queen.

汝が選り抜ける進物の
君に喜びと注がれむことを;
御世の長からむことを:
我らが法を守りたまひ
絶えず理想を与へたまへ
声無きも声高きも謳ひぬ(歌ふ心で歌ふ声で)
神よ女王(国王)を守りたまへ

4.

Not in this land alone,
But be God's mercies known,
From shore to shore!
Lord make the nations see,
That men should brothers be,
And form one family,
The wide world over.

神の御慈悲は
この御土のみでなく
そのくまなきに知らるる!
主はこの御国に、この広き世界の
全て人間は一つ兄弟たり、
一つ家族たることを知らしめす

5.

From every latent foe,
From the assasins blow,
God save the Queen!
O'er her thine arm extend,
For Britain's sake defend,
Our mother, princess, and friend,
God save the Queen!

闇に潜みし敵より
暗殺者の魔の手より
神よ女王(国王)を守りたまへ
君が上に汝が腕を広げ
ブリテンが為に防がむ
我らが母(父)にして君にして友
神よ女王(国王)を守りたまへ

6.

Lord grant that Marshal Wade
May by thy mighty aid
Victory bring.
May he sedition hush,
And like a torrent rush,
Rebellious Scots to crush.
God save the Queen!

主はウェイド元帥をして
その強き祐けにより
勝利をもたらしめむ
乱を制しめむ
轟々たる濁流の如くして
反逆せしスコットランド人を破らしめむ
神よ女王(国王)を守りたまへ

その他

脚注

  1. 「守り」「給え」「たまえ」など表記のバリエーションがある
  2. MacLeod, Kevin S. (2008), A Crown of Maples (1 ed.), Ottawa: Queen's Printer for Canada, p. I, ISBN 978-0-662-46012-1, http://www.pch.gc.ca/pgm/ceem-cced/fr-rf/crnCdn/crn_mpls-eng.pdf . 25 June 2010閲覧. 
  3. Isle of Man”. nationalanthems.info. . 17 August 2010閲覧.
  4. CIA. “Jersey (British crown dependency)”. The World Factbook. . 2011閲覧. ISSN 1553-8133{{#invoke:check isxn|check_issn|1553-8133|error={{#invoke:Error|error|{{issn}}のエラー: 無効なISSNです。|tag=span}}}}
  5. CIA. “Guernsey (British crown dependency)”. The World Factbook. . 2011閲覧. ISSN 1553-8133{{#invoke:check isxn|check_issn|1553-8133|error={{#invoke:Error|error|{{issn}}のエラー: 無効なISSNです。|tag=span}}}}
  6. CIA. “Isle of Man (British crown dependency)”. The World Factbook. . 2011閲覧. ISSN 1553-8133{{#invoke:check isxn|check_issn|1553-8133|error={{#invoke:Error|error|{{issn}}のエラー: 無効なISSNです。|tag=span}}}}
  7. 北アイルランドはサッカーにおいてはイングランドとともに女王陛下万歳を国歌に用いている
  8. 中山祥一郎「名詞節中の仮定法現在について」、『大同工業大学紀要』34(1998): 29-31, p. 29
  9. In-Text Citations: The Basics
  10. The National Anthem - God Save the Queen 0分39秒~1分07秒、女王自身は歌っていない。
  11. エステバン・ブッフ『ベートーベンの『第九交響曲』』(鳥影社 2004年)「第一章 「ゴッド・セイヴ・ザ・キング』とヘンデル崇拝」pp.19-38。

関連項目

外部リンク


テンプレート:アメリカの国歌