女性の職業生活における活躍の推進に関する法律

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女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
日本の法令
通称・略称 女性活躍推進法
法令番号 平成27年9月4日法律第64号
効力 現行法
種類 社会保障法
主な内容 女性の活躍推進について
関連法令 男女雇用機会均等法など
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(じょせいのしょくぎょうせいかつにおけるかつやくのすいしんにかんするほうりつ、平成27年9月4日法律第64号)は、女性の活躍推進について定める日本法律2015年(平成27年)9月4日公布・同日施行[1]、10年間の時限立法である。通称は女性活躍推進法(じょせいかつやくすいしんほう)。安倍晋三首相の唱える「すべての女性が輝く社会づくり」の要となる法律である。

構成

  • 第一章 総則(第1条―第4条)
  • 第二章 基本方針等(第5条―第6条)
  • 第三章 事業主行動計画等
    • 第一節 事業主行動計画策定指針(第7条)
    • 第二節 一般事業主行動計画(第8条―第14条)
    • 第三節 特定事業主行動計画(第15条)
    • 第四節 女性の職業選択に資する情報の公表(第16条―第17条)
  • 第四章 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置(第18条―第25条)
  • 第五章 雑則(第26条―第28条)
  • 第六章 罰則(第29条―第34条)
  • 附則

概要

この法律は、近年、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること(以下「女性の職業生活における活躍」という)が一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定めることにより、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とする(第1条)。

女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進、職種及び雇用形態の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。また女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない(第2条)。

国及び地方公共団体の責務

国及び地方公共団体は、女性の職業生活における活躍の推進についての基本原則(以下「基本原則」という)にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない(第3条)。具体的に、

  • 政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という)を定めなければならない。基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする(第5条)。
    • 女性の職業生活における活躍の推進に関する基本的な方向
    • 事業主が実施すべき女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する基本的な事項
    • 女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する次に掲げる事項
      • 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置に関する事項
      • 職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備に関する事項
      • その他女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する重要事項
    • 前三号に掲げるもののほか、女性の職業生活における活躍を推進するために必要な事項
  • 都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(「都道府県推進計画」)を定めるよう努めるものとする。市町村は、基本方針及び都道府県推進計画を勘案して、当該市町村の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(「市町村推進計画」)を定めるよう努めるものとする(第6条)。
  • 内閣総理大臣厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主が女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を総合的かつ効果的に実施することができるよう、基本方針に即して、事業主行動計画の策定に関する指針(「事業主行動計画策定指針」)を定めなければならない(第7条)。事業主行動計画策定指針においては、次に掲げる事項につき、事業主行動計画の指針となるべきものを定めるものとする。
    • 事業主行動計画の策定に関する基本的な事項
    • 女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容に関する事項
    • その他女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する重要事項

事業主の責務

事業主は、基本原則にのっとり、その雇用し、又は雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の積極的な提供、雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備その他の女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を自ら実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に協力しなければならない(第4条)。

2016年(平成28年)4月1日より、301人以上の労働者を雇用する事業主は、以下の行動が義務付けられる(第8条)。なお300人以下の労働者を雇用する事業主については、努力義務となる。

女性の活躍状況の把握、課題分析

「採用者に占める女性比率」「勤続年数の男女差」「労働時間の状況」「管理職に占める女性比率」その他の項目について把握し、課題分析を行う。

行動計画の策定

課題分析の結果を踏まえ、事業主行動計画策定指針に即して、女性の活躍推進に向けた行動計画(一般事業主行動計画)の策定を行う。一般事業主行動計画には「計画期間」「数値目標」「取組内容」「取組の実施時期」を盛り込むものとする。

作成した一般事業主行動計画は、厚生労働大臣への届出(都道府県労働局長に事務委任)、労働者への周知、外部への公表を行わなければならない。

女性の活躍に関する情報の公表

課題分析を行った項目について、適切であると考える項目を一つ以上選んで公表する。

一般事業主行動計画を届け出た企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業は、厚生労働大臣の認定(えるぼし認定)を受けることができる(第9条)。えるぼし認定は、基準を満たす項目数に応じて3段階あり、認定を受けた企業は、認定マークを商品や広告、名刺、求人票などに使用することができ(第10条)、女性の活躍を推進している事業主であることをアピールすることができるほか、公共調達における加点評価、日本政策金融公庫による低利融資(基準利率から-0.65%)の対象になる。

脚注

  1. なお附則第1条により、第三章(第7条を除く)、第五章(第28条を除く)および第六章(第30条を除く)の規定ならびに附則第5条については、2016年(平成28年)4月1日施行。

関連項目

外部リンク