奥津軽いまべつ駅

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奥津軽いまべつ駅(おくつがるいまべつえき)は、青森県東津軽郡今別町大字大川平(おおかわだい)字清川91-1にある北海道旅客鉄道(JR北海道)北海道新幹線海峡線である[1]

本項では便宜上、当駅が開業する前日限りで廃止されたJR北海道海峡線の津軽今別駅(つがるいまべつえき)についても言及する。

奥津軽いまべつ駅

概要

ファイル:JR Hokkaido Shinkansen Okutsugaru-Imabetsu Station Contact passage.jpg
連絡通路内
当駅から津軽線の津軽二股駅へは、この連絡通路で連絡する。(2018年4月)

2016年平成28年)3月26日北海道新幹線新青森駅 - 新函館北斗駅間の開業に合わせて開業した[2][報道 1][報道 2]青函トンネルの竜飛口から約6 km の地点にあり、避難駅の役割も担う[新聞 1]。本州最北端の新幹線停車駅であり、JR北海道の管轄する駅としては最南端に位置する駅であり、また、唯一北海道外(青森県内)にある駅である[注釈 1]。北海道新幹線に乗り入れる「はやぶさ」・「はやて」合計13往復のうち、7往復14本が停車する[報道 1][報道 2][新聞 2]

新幹線駅の名称は、当初は「奥津軽駅」(おくつがるえき)という仮称が使用されていたが、2013年(平成25年)4月26日に今別町がJR北海道本社に対して駅名を「奥津軽いまべつ駅」とするように提案し[3][新聞 3][新聞 4]2014年(平成26年)6月11日のJR北海道の発表で正式に採用された[3][報道 3][新聞 5]

在来線単独駅が新幹線停車駅となった事で駅名が改称された例は多いが、当駅の場合は旅客輸送が在来線から新幹線に変更されるため、津軽今別駅からの改称ではなく、在来線の旧駅を廃止扱いとした上で同地点に新幹線駅を新設する形となった。

なお、当駅は東日本旅客鉄道(JR東日本)津軽線津軽二股駅と隣接しており[3]、津軽二股駅付近から連絡通路が整備されている[4]。また、道の駅いまべつにも隣接している。

今別町は、2016年(平成28年)4月に、新幹線で青森方面に通学する児童・生徒(北海道側への通学は適用対象外)の定期券料金の3分の1を助成している[新聞 6]

ダイヤ

北海道新幹線は上下線ともに1日7本が発着し、3時間以上発着のない時間帯もある。また、津軽二股駅との接続は考慮されていない。

歴史

駅構造

600px

2面3線(うち1線は下り通過線)の地上駅(橋上駅)であり、駅本屋棟の外側には海峡線運行列車が通過する狭軌の待避線(上下各2線)が設けられている。新幹線のホームは有効長が263メートルで、可動式ホームドア日本信号製)が設置されている[報道 8]

駅舎は鉄骨造り3階建て[新聞 7][新聞 8]。「本州最北の地から北の大地へ 〜津軽海峡の四季が感じられる駅〜」をデザインコンセプトとしている[報道 5]。高台に設置されている駅本屋棟と高さ約25メートルの昇降棟があり、両者は下り狭軌線及び保線用線路を跨ぐ通路がつないでいる。昇降棟の壁面はガラス張りで、今別町のシンボルである青函トンネルをゲート風にデザインし大きな弧を描いている[新聞 9]

のりば

番線 路線 方向 行先
11 北海道新幹線 上り 新青森東京方面
12 下り 新函館北斗方面

終日社員配置駅。みどりの窓口、指定席券売機、新幹線自動改札機設置。駅出入口は1ヶ所で、反対側へは直接出られない。構内には売店などの設備[注釈 2]はない。駅レンタカー業務については「道の駅いまべつ」が受託で行っている。

みどりの窓口や指定席券売機では、隣接する津軽二股駅発着の乗車券も購入可能である(JR北海道発行の他社関連扱いのため『1-タ』と表示される)。

駅名の表記

駅名は奥津軽いまべつと平仮名が正式な表記であるが、きっぷは奥津軽今別駅発行と漢字表記で発券される。

旧津軽今別駅

概要

元々は、青函トンネルの本州側の保守基地としての役割を担う「新津軽二股信号場」(しんつがるふたまたしんごうじょう)として開設する計画だったが、地元の請願により旅客駅として開業した。全列車通過扱いとなるまでは、特急白鳥」2往復のみが停車していた[注釈 3]が2015年8月10日以降は新幹線工事のため全列車通過となっていた[報道 9]。また、8名以上のグループで利用する場合、1か月前に申請すると特急を臨時停車させることができた[5]

2002年平成14年)、「青函トンネルの本州側入口に位置する駅」として、東北の駅百選に選定された。JR北海道の駅で東北の駅百選に選定された駅は津軽今別駅が唯一である。

2014年(平成26年)3月15日竜飛海底駅吉岡海底駅知内駅が廃止されて以来、海峡線内の駅としては、唯一廃止されずに存続してきたが、前述の通り2015年(平成27年)8月9日をもって旅客乗降のための設備の使用を終了し(通路を閉鎖し、ホームを撤去)、旅客駅としての営業を終了した。その時点では廃止されずに全列車通過扱いの駅として存続していたが、北海道新幹線開業の前日にあたる2016年(平成28年)3月25日に津軽今別駅(在来線)としての営業を終了した[報道 10]。翌26日、北海道新幹線の開業に伴い、同地点に奥津軽いまべつ駅が開業した。

歴史

津軽今別駅時代の駅構造

2013年10月のホーム切り替え以前の津軽今別駅
スノーシェッド付き階段等の連絡通路はホーム切り替え後も2015年8月9日まで継続使用
2013年10月のホーム切り替えから2015年8月9日までの津軽今別駅のホーム部分
緑色の線は三線軌条で敷設されている線路(本線) 
赤色の線は狭軌(在来線)で敷設されている線路 
黒色の線は標準軌(新幹線)で敷設されている線路 
Aの黒色の破線は新幹線駅舎 
Bの橙色の破線は上り2番線ホームに渡るための構内踏切
①は海峡線の上り2番線仮設ホーム
②は新幹線の青森方面のホーム
③は新幹線の函館方面のホーム
④は海峡線の下り1番線仮設ホーム


上下方向別の単式ホーム2面2線を有する無人駅であった[1]。駅の設備は簡素で跨線橋がなく、下りホームへの移動は構内踏切を利用していた。開業当初は相対式ホーム2面2線であったが、北海道新幹線の建設工事に伴い、2013年(平成25年)に旧ホームの外側に新たに在来線用の線路と仮設ホームが設置され、同年10月に仮設ホームの使用を開始し(上り線は18日、下り線は25日)、旧ホームは撤去された[8][新聞 10]。その後、旧ホームのあった位置には新幹線ホームが建設され、在来線は本線から分岐して新幹線ホームを抱き込み、仮設ホームはさらにその外側に設置されていた。なお、上りホームへ行くためにはあいかわらず函館方の構内踏切を渡る必要があったので、将来新幹線の本線となるレールを一般の旅客に歩いて渡らせるという珍しい状態が続いた[注釈 5]。また、踏切からは建設中の新幹線ホームを間近に見ることができた。

駅に向かう通路(階段)には屋根が設置されていたが、ホームには屋根がなかった。開業当初の旧ホームは有効長が5両分しかなかったため、それを越える長さの編成の場合は一部のドアが締切扱い(ドアカット)となっていた[注釈 6]が、仮設ホームは旧ホームより有効長が延びたため、8両編成への増結時を除きドアカットは中止された[注釈 7]。なお、2014年(平成26年)12月1日から2015年(平成27年)8月9日まで、北海道新幹線の試験走行に伴い、上り特急「白鳥96号」発車後から翌朝の下り特急「白鳥93号」発車前まで、安全上の観点から海峡線ホームは立ち入り禁止となっていた。2015年(平成27年)8月10日[注釈 8]以降、ホームに立ち入るための通路が閉鎖され、同月中に仮設ホームも撤去された[新聞 1]

のりば
番線 路線 方向 行先
1 海峡線(津軽海峡線) 下り 木古内函館方面
2 上り 青森新青森方面

発車時刻表運賃表はホーム待合室および、道の駅いまべつの玄関前待合スペースに掲示していた。公衆電話は開業当初より設置されていない。ホーム待合室内に設置されている電話は一般利用のできない業務用電話(JR電話)であり、公衆電話は津軽二股駅構内にあるとの案内がなされていた。

旅客営業における特記事項

北海道新幹線開業までの特急料金不要の特例

木古内駅#旅客営業における特記事項も参照。

2002年(平成14年)12月1日のダイヤ改正で快速海峡」が廃止されてから北海道新幹線が開通する2016年(平成28年)3月25日(事実上21日)まで、津軽今別駅を含む海峡線の蟹田駅[注釈 9] - 木古内駅間は特急列車のみの運転となり、普通(快速)列車が設定されていなかった。そのため、上記区間に含まれる各駅相互間で特急列車の普通車自由席に乗車する場合には、特急料金が不要となる特例が設けられ、『青春18きっぷ』や『北海道&東日本パス』といった普通列車専用の特別企画乗車券でも適用されていた[注釈 10]

北海道新幹線開業後

北海道新幹線開業後は青函トンネルを通る定期旅客列車は全て新幹線列車となり、この特例も廃止されたが、代わって『青春18きっぷ』については「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」(2,300円)を購入する場合のみ、(津軽線津軽二股駅乗り換え⇔)奥津軽いまべつ駅[注釈 11] - (北海道新幹線)木古内駅 - (道南いさりび鉄道線五稜郭駅(⇔函館本線乗り換え)間を本きっぷ1枚で1回乗車できる特例が新たに設けられた、また、『秋の乗り放題パス』でも同様に「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」(大人2,300円、小人1,150円)が発売される。また、『北海道&東日本パス』については、別途特定特急券を購入すれば、当駅を含む「新青森 - 新函館北斗」相互間で、指定席の空席を利用できる特例が設けられた[報道 15]

利用状況

北海道新幹線の開業日から2017年2月末までの利用状況について、一日平均乗車人員は約60人となっている[9]。なお、当駅は日本全国の新幹線の駅で最も乗車人員が少ない。

駅周辺

駅周辺では、今別町屋内駐車場(48台収容)と今別町屋外駐車場(34台収容)が整備された。なお、[注釈 12]

路線バス

隣の駅

北海道旅客鉄道(JR北海道)
北海道新幹線
新青森駅 - (新中小国信号場) - (大平分岐部) - 奥津軽いまべつ駅 - (竜飛定点) - (吉岡定点) - (湯の里知内信号場) - (木古内分岐部) - 木古内駅
海峡線
中小国駅 - (新中小国信号場) - (大平分岐部) - (奥津軽いまべつ駅(待避設備のみ)) - (竜飛定点) - (吉岡定点) - (湯の里知内信号場) - (木古内分岐部) - 木古内駅

脚注

注釈

  1. 新青森駅はJR東日本の管轄駅。
  2. 売店や食堂施設も「道の駅いまべつ」の施設を利用しなければならない。
  3. なお、隣接する津軽二股駅普通列車のみの停車だが、1日5往復と運行本数はやや多かった。
  4. 直前は東海旅客鉄道(JR東海)の東海道新幹線京都駅 - 米原駅間(同:67.7 km)、在来線では同じJR北海道の石勝線新夕張駅 - 占冠駅間(同:34.3 km)だった。
  5. 特に2014年(平成26年)12月以降は、試運転のために新幹線電車が実際に走行できる設備であった。
  6. なお、旧ホーム時代、8両編成で運転される場合は、6 - 8号車がドアカットとなっていた。
  7. 8両編成での運行時は7号車と8号車をドアカットしていた。
  8. 厳密には、同年8月9日の特急「白鳥96号」発車後から。
  9. 海峡線の本来の起点は中小国駅(JR北海道・JR東日本両社の境界は新中小国信号場)だが、同駅には三厩駅へ向かう津軽線の列車のみが停車し、北海道へ向かう列車は全て通過していたため、蟹田駅が実質的な分岐駅となっていた。なお、蟹田駅で三厩行き津軽線列車に乗り換えて中小国駅以北で下車する場合の運賃は、中小国駅乗り換えで計算する特例が設けられているため、蟹田駅で改札を出ない限り蟹田駅 - 中小国駅間の運賃は不要となる。
  10. 『北海道&東日本パス』では、これとは別に新青森駅 - 函館駅相互間に限り、自由席特急券を購入すれば特急列車の普通車自由席に乗車できた。
  11. 在来線との接続駅は津軽線津軽二股駅になるとの案内がされている。
  12. なお、
  13. ただし、津軽今別駅時代のJTBの時刻表には「津軽二股駅と津軽今別駅は隣接しています」の文言が欄外に添えられていた。
  14. 当初は2015年3月31日まで休業する予定だった[8]

出典

  1. 1.0 1.1 1.2 『週刊 JR全駅・全車両基地』31号 青森駅・弘前駅・深浦駅ほか 23頁
  2. 2.0 2.1 『奥津軽いまべつ駅バリアフリー情報』 JR北海道
  3. 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 3.11 北海道新幹線 > 奥津軽いまべつ駅
  4. 青森ローカル線の旅③〜北海道新幹線『奥津軽いまべつ駅』に潜入!〜”. 藤川まゆ (2015年4月30日). 2015年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧.
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  6. 6.0 6.1 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 164-165頁
  7. 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 311頁
  8. 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 広報いまべつ 平成25年10月号(591号) (PDF)”. 今別町 (2013年10月1日). 2013年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2013閲覧.
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報道発表資料

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  14. “北海道新幹線、奥津軽いまべつ駅からバス運行 青森の3市町が交通整備”. 産経新聞(産経フォトニュース) (産業経済新聞社). (2016年2月12日). オリジナル2016年3月1日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160301073828/http://www.sankei.com/photo/daily/news/160212/dly1602120023-n1.html . 2016閲覧. 
  15. “(5)DMV 道内外で機運”. 読売新聞(YOMIURI ONLINE) (読売新聞社). (2013年1月6日). オリジナル2013年7月13日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130713120312/http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/feature/hokkaido1357264519243_02/news/20130107-OYT8T00234.htm . 2013閲覧. 
  16. “線路と道路の両用車、津軽鉄道が導入断念 既存列車との併用困難”. Yahoo!ニュース(配信元Web東奥) (Yahoo! JAPAN(東奥日報社)). (2014年6月24日). オリジナル2014年6月25日時点によるアーカイブ。. http://megalodon.jp/2014-0625-0628-04/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140624-24101137-webtoo-l02 . 2014閲覧. 

参考文献

書籍

  • 田中和夫(監修) 『写真で見る北海道の鉄道』上巻 国鉄・JR線、北海道新聞社(編集)、2002-07-15、164-165頁・311頁。ISBN 4-89453-220-4。ISBN 978-4-89453-220-5。

雑誌

  • 『週刊 JR全駅・全車両基地』31号 青森駅・弘前駅・深浦駅ほか、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2013-03-17、23。

関連項目

外部リンク

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