天空の城ラピュタ
天空の城ラピュタ | |
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LAPUTA: Castle in the Sky | |
監督 | 宮崎駿 |
脚本 | 宮崎駿 |
原作 | 宮崎駿 |
製作 | 高畑勲 |
製作総指揮 | 徳間康快 |
出演者 |
田中真弓 横沢啓子 寺田農 初井言榮 常田富士男 |
音楽 | 久石譲 |
主題歌 | 井上あずみ「君をのせて」 |
撮影 |
高橋宏固 白神孝始 |
編集 | 瀬山武司 |
制作会社 | スタジオジブリ |
製作会社 | 徳間書店 |
配給 | 東映 |
公開 | 1986年8月2日 |
上映時間 | 124分 |
製作国 | 日本 |
興行収入 | 約11.6億円 |
配給収入 | 5億8300万円 |
『天空の城ラピュタ』(てんくうのしろラピュタ)は、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画作品。スタジオジブリ初制作作品。監督は宮崎駿。
Contents
上映データ
公開日 上映時間 |
1986年(昭和61年) | 8月2日 | 日本 | 124分04秒22コマ |
サイズ | カラー | ワイド | ||
上映スクリーン数 | 東映洋画系103館[1]。 | |||
制作期間 | 1985年6月15日 | 1986年7月23日 | ||
作画枚数 | 6万9262枚 | |||
使用色数 | 381色 | |||
キャッチコピー | 「ある日、少女が空から降ってきた…」 | |||
同時上映 | 「名探偵ホームズ」「ミセス・ハドソン人質事件」「ドーバー海峡の大空中戦!」 |
概要
監督である宮崎の小学校時代に考えていた架空の作品が骨子となっており、原作となる作品が存在しない初のアニメオリジナルの監督作品である[2]。製作は徳間書店。高畑勲の映画『柳川堀割物語』の製作遅延により資金調達に追われた宮崎が、徳間書店の鈴木敏夫に相談したことから企画が立ち上げられ、この映画をきっかけに設立されたスタジオジブリ制作映画の1作品目となった。次第に高年齢向けになっていくアニメに対して、マンガ映画の復活を目標に小学生を対象に古典的な冒険活劇として企画され、それが結果的に大人の鑑賞に耐えうる作品になるというのが宮崎の方針であった[3]。音楽は冒険活劇ということから宇崎竜童に決定していたが、プロデューサーの高畑勲の再考により『風の谷のナウシカ』の久石譲が続投することになった[4]。興行こそ数字的には振るわなかったものの(後述)、配給した東映による観客満足度調査は97.7%と高く[5]、物語は幅広い年齢層に支持され、ビデオソフト化による販売は好調であった。
「ラピュタ」という名称は、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』に登場する、空を飛ぶ島にある王国「ラピュタ王国(en:Laputa)」からとったもの。劇中に空飛ぶ島の物語を空想した人物としてスウィフトの名前も出てくるが、名前の借用以外は『ガリヴァー旅行記』との関連はない。19世紀後半、産業革命期のヨーロッパを元にした架空世界での冒険を描く。
あらすじ
少女シータは、政府の特務機関に捕らえられ飛行船に乗せられていた。彼らの狙いはシータが亡き母から受け継いだ、謎の青い石だった。そこへその石を同じく狙う空中海賊ドーラ一家の襲撃があり、逃げようとしたシータは誤って飛行船から落ちる。シータは石が放つ不思議な光に包まれて気を失いながらゆっくりと落ちて行き、鉱山で働く少年パズーに助けられる。
パズーはシータが追われていることを知り、彼女を守って共に逃げる。ドーラ一家に追われた二人は谷の廃坑に落ちるが、石の力によって再び救われる。石に詳しい老人ポムによればそれは昔ラピュタで作られた飛行石だという。ラピュタは空に浮かぶという伝説の城だが、今は亡きパズーの父はラピュタを見ており、ラピュタへ行くのはパズーの夢だった。不思議なことにシータの家には"ラピュタ"という秘密の名前も受け継がれていた。
ポムと別れ、地上に戻った二人は特務機関に捕まり、軍の要塞へと連行される。そこでシータは特務機関を指揮するムスカ大佐から、以前ラピュタから落ちてきた壊れたロボット兵を見せられる。ラピュタは遠い昔に滅びたが、かつて高度な科学力で天空から世界を支配した強大な帝国であり、今も空のどこかに浮いているという。飛行石はラピュタの王族が、いつかラピュタに帰るために代々受け継ぐ物だった。ムスカはシータがラピュタ王の末裔だと明かす。ラピュタが平和にとって危険である、と表向きにはまっとうな理由を言いながらムスカはパズーの命を盾として突きつけ、シータはパズーの身を案じてやむなくそれを受け入れる。牢屋から解放されたパズーと再会したシータはラピュタの探索をあきらめるようにパズーに告げ、失意と共に要塞を去っていくパズーを涙とともに見送った。その夜、愁然としていたシータは昔教わった"困った時のおまじない"を何げなく唱える。彼女は知らなかったが、それはラピュタの封印を解く言葉だった。その言葉によりロボット兵が突如目覚めて暴れ出し、飛行石は空に光を放ってラピュタの位置を指し示す。
一方ムスカに解放されたパズーはいつの間にか自宅に入り込んでいたドーラ一家に捕まってしまう。シータに裏切られたと思い込みふさぎ込んでいたパズーは、ドーラの叱咤を受けて自分を突き放すような態度を取ったシータの真意に気付き、飛行石を奪うために要塞へ向かうドーラたちに自分も連れて行くように懇願する。ドーラも、その方がシータが言うことを聞くだろうと考えて同行を許し、ロボット兵によって混乱する要塞から協力してシータを救い出す。しかし、飛行石はムスカの手に渡り、彼はロボット兵を破壊した軍と共に先んじてラピュタに出発する。パズーとシータもドーラの飛行船に乗せてもらい、後を追う形でラピュタへと向かう。
だが、ドーラの飛行船は軍に発見され雲間に逃れるも、再度遭遇し攻撃されてしまう。巨大な低気圧の中心「竜の巣」が迫る中、ドーラの命令で見張り台を切り離してグライダーとして使用していたパズーとシータだったが、軍の攻撃により繋いでいたワイヤーが断ち切られ、飛行船とはぐれて「竜の巣」に飲み込まれてしまう。雷に打たれたパズーは目前に現れた青白い父の飛行船の幻影を目撃し、それに導かれるようにラピュタに辿り着く。園丁のロボット兵に城内を案内されたパズーとシータは、爆発音を聞いて外に出る。下層に目をやると、そこには軍に捕まったドーラ一家の姿があった。パズーはドーラを助けるが、シータはムスカに捕まってしまう。ムスカの本当の狙いとは、ラピュタの力を手に入れて世界を支配することだった。ムスカはシータに自分もラピュタ王の末裔だと明かし、飛行石で城の力を操って、軍の兵隊を皆殺しにする。
それを見たシータはムスカから飛行石を奪って逃げ、助けに来たパズーと共に、昔教わった滅びの言葉「バルス」を唱える。すると飛行石が強力な光を発して城は崩壊し、ムスカは瓦礫と共に海へ落ちる。パズーとシータはグライダーで城から離れ、フラップターで脱出していたドーラ一家と空で再会して喜び合う。二人はドーラ一家と別れ、灯がともり始めた港町へ、ゆっくりと降りていく[6]。ラピュタを浮遊させていた巨大な飛行石の結晶は、ラピュタ全体を覆っていた大樹の根に囲まれて、城の上層部とともに更に高空へと飛び去っていった。
登場人物
※声の記述は、日本版/ディズニー英語版の順で表記
主要人物
- パズー(Pazu)
- 声 - 田中真弓/ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク
- 本作の主人公。スラッグ渓谷の鉱山で働く見習い機械工で、明るく元気いっぱいで正義感と行動力あふれる10代前半の少年。天涯孤独で、両親の残した家で一人暮らしをしている。ラピュタの発見に関して詐欺師の汚名を着せられたまま死んだ父のため、自作のオーニソプター(はばたき飛行機)でラピュタの実在を証明することを夢見る。
- シータと出会ったことで、飛行石とラピュタを巡る冒険の旅へと出る。体は頑丈で、親方のゲンコツよりも硬い石頭だと自称する。実際、ムスカにも「彼の石頭は私のものより頑丈だったよ」と言わしめている。飛行するフラップターの上から、数百メートルは離れている塔の上に居るシータに一瞬で気付くほど目も良い。日の出と共にトランペットで『ハトと少年(スラッグ渓谷の朝)』を演奏し、飼っている鳩に餌をやるのが日課だが、ドーラ一家に迎え入れられた際に世話が出来なくなった為、その鳩達を全て逃がしている。
- ドーラ一家と仲間になった際に、父の形見のゴーグルを着けて出発したが、そのゴーグルはムスカの放ったリボルバーの弾丸により失われた。また、タイガーモス号ではモトロ(後述)の機関助手として働き、機関室でレバーを引くほか、垂直尾翼の点検をしている。
- 小説版のラストでは、ラピュタでの一件の後スラッグ渓谷へ帰り、シータとは別々に暮らしているが、文通をして交流を続けている。
- シータ / リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ(Sheeta / Princess Lusheeta Toel Ul Laputa)
- 声 - 横沢啓子/アンナ・パキン
- 本作のヒロイン。はるか北方にあるゴンドアの谷に住んでいる。ラピュタを狙うムスカの特務機関に拉致され、飛行船で運ばれているところ、ドーラ一家の襲撃に遭い、逃げ出そうとして飛行船から転落、パズーに匿われることになる。
- 10代前半。長い黒髪を二本の三つ編みおさげにし[注 1]、先祖秘伝の飛行石のペンダントを首から提げている。かつて、天帝としてラピュタに君臨した王族の宗家たるトエル家の末裔で、継承名は「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」。ラピュタ語でウルは「王」、トエルは「真」を意味し、彼女が真のラピュタ王である事を意味している。
- 淑やかで心優しい少女だが、ムスカを背後からワイン瓶で殴り脱出しようとする、ドーラの制止を振り切りパズーと暴風荒ぶ見張り台に残る等、行動的な一面も持つ。山育ちで、視力は良い。彼女も天涯孤独の身であり、両親や祖母の残した畑やヤクを飼って生活していた[注 2]。
- 家事全般が得意。ドーラ一家の仲間になった後は、ドーラの息子や子分たちにアイドルのような扱いを受けており、台所に覗きに来られるほどであるが、年甲斐もなく子供っぽい彼らとも嫌がることなく打ち解けている。
- 名の由来は、宮崎自身が学生時代に書いた人形劇のヒロインであるシータ(ギリシャ文字のθ)から[7]。構想段階では、シータも海賊の娘であり、風の谷のナウシカ(ワイド漫画版)同様、シータの命によってロボット兵がラピュタを破壊するラストシーンにする予定であった。
- 小説版のラストでは、ラピュタでの一件の後ゴンドアの谷へ帰り、パズーとは別々に暮らしているが、文通をして交流を続けている。
空中海賊「ドーラ一家」
- ドーラ[注 3](Dola)
- 声 - 初井言榮/クロリス・リーチマン
- 空中海賊「ドーラ一家」の女首領にして、飛行船・タイガーモス号の船長。50代。頭脳明晰かつ決断力に富み、三人の息子や子分たち以上の健脚で、「女は度胸だ」と危険にも果敢に飛び込む胆力の持ち主。タイガーモス号やオートモービル等様々な乗り物やランチャー等武器の扱いにも長け、状況を観察し百戦錬磨の経験から洞察力にも優れている。小説版では「面倒見が良く、赤子が産まれたアジト近くの家庭に石炭半年分を贈った」「今まで一度も捕まったことがないが、それは潤沢な資金を元手に各地にアジトと情報網を構築したため」という記述がある。また、ムスカに並ぶ暗号解読の天才でもあり、軍が飛行戦艦を呼び寄せる無線暗号を「ANGO」というタイトルの本で解読し、「東洋の計算機」と称してそろばんを使いこなして航法計算をしている。当初は高価と踏んだ飛行石のみを追い求めていたが、パズーの証言や政府の動きからラピュタ実在を確信し、軍に先んじてラピュタの財宝を手に入れることを目論む。飛行石を稼働させる鍵となるシータと、彼女を助けたパズーを追い回すが、後に2人をタイガーモス号に仲間として受け入れ、よき理解者となる。パズーからは「おばさん」、シータからは「おば様」と呼ばれている。パズーに対して当初は「船長とお呼び」と言っていたが、後に訂正しなくなっている。亡き夫は天才的な発明家だったらしく、現在タイガーモス号で使われている備品の殆どは夫の遺品。元々、亡夫は誘拐同然に連れて来られて空賊稼業に入ったという。映画本編では、タイガーモス号の私室に掲げた若かりし頃の肖像画を見ることができる。
- 空賊のボスらしい豪胆さを見せる人物であり、シータの発言や態度について「あたしの若い頃にそっくり」「嫁にするならああいう娘にしな」と言って、息子や子分達を「ママのようになるの?」「あの子が!?」と驚かせている。また、機関室に連れて行かれたパズーを心配するシータに対し、「とって食いやしないよ」と言うなど、優しさを見せるシーンもあるほか、パズーとシータの見張り台での会話を伝声管で聞いていた際に、「ドーラもきっと分かってくれる。見かけよりずっといい人だし」というパズーの発言に驚くと同時に満更でもない笑みの表情を浮かべたり、直後にシータの理屈と豪胆さに感服して高らかに笑うシーンもある。
- 古参船員のモトロ(後述)とは互いに憎まれ口を叩きあいながらも、静かに思案する様子も見せるほか、シータと再会した際にはその豊満な胸に抱きとめて、女性らしい機微を気遣う様子も見せた。ラピュタ脱出の際には緊急時にも関わらず息子達や部下達と共にちゃっかりと財宝を一掴みずつ持ち出す抜け目なさを発揮している。小説版では、ラストの別れの際にパズーへ「あたしの惚れた夫のように立派な男になるんだよ」[注 4]と、シータ共々再会を期する言葉をかけ、半年後には新たな飛行船で軍の給金を頂戴するなど、その後も一家で空を駆け巡って活動を続けている記述がある。
- 宮崎駿監督は、自作の中で一番思い入れの深いキャラクターにドーラを挙げている。キャラクターモデルは宮崎監督の母親とのこと。
- シャルル(Charles)
- 声 - 神山卓三/マイケル・マクシェーン
- ドーラの長男で、30歳。豊かな髭をたくわえた大男で、ダッフィーと力比べを繰り広げた。胸筋を膨らませてシャツの前を吹き飛ばすことができるなど筋骨隆々で腕力も兄弟で一番強い。プディングが好き。ルイからは「兄貴」、アンリからは「兄ちゃん」と呼ばれている。
- ルイ(Louis)
- 声 - 安原義人/マンディ・パティンキン
- ドーラの次男で、25歳。ちょび髭を生やしている。ドーラ一家の中で真っ先にシータに惚れた。ミンス・ミートパイが好物。パズーの小屋を家捜しした際、船員のクから名前を呼ばれている。口調はやや高圧的な部分もあるが、コミカルな言動や表情が多い。
- アンリ(Henri)
- 声 - 亀山助清/アンディ・ディック
- ドーラの三男で、20歳。主にタイガーモス号の操縦を務めており、あまり表に出ない。常に格好をつけているが、海賊の息子の割には少々気弱な性格。帽子を被っていると目が隠れる。三兄弟の中で唯一髭が無く、頬にそばかすがある。シータに好物をリクエストする際、迷った末「なんでも食う!」と言った。三兄弟の中では唯一、名前を呼ばれるシーンが無い。
- ハラ・モトロ(Motro)
- 声 - 槐柳二
- タイガーモス号のベテラン機関士。船員たちからは「じっちゃん」と呼ばれていて、ドーラの父の代からいる古参の部下[注 5]。ドーラからは「クソジジイ」呼ばわりされる事もあるが、船内では唯一、対等な口がきける信頼厚い古くからの友人でもあり、盛装で私室に呼ばれチェスを楽しむこともある。その言動からもラピュタやゴリアテなどの情報に精通しており、ドーラ同様に盗賊家業のベテランであることも示唆されている。パズーを引き合わせた際には「怒らせるとママより怖い」とルイから紹介されたが、もともと助手を欲しがっていた所に、積極的で飲み込みの早い[注 6]パズーが現れたことで、助手として可愛がる事になる[注 7]。機関士としてタイガーモス号にはとりわけ愛着が強く「可愛いボロ船」の喪失を悲しんでいた。
- EDでは「老技師」とクレジットされている。
- カ、キ、ク、ケ、コ
- ドーラの部下たち。ポルトガル人のカ、エジプト人のキ、中国人のク、日本人のケ、セネガル人のコの5名がいる。ドジョウ髭でルイより先に調理室でイモの皮むきをしており、最初にシチューのおかわりをしたのはコ、シャルルに似て髭が豊かで右頬に傷痕があるのがカ、髭が無く色黒で右目に眼帯を付けているのがキ、調理室ですりこ木を廻しているのがケ、パズーの家を探った際に「ルイ、女の子の服だ」と叫んだ(調理室では壁を磨いている)のがクである。5人とも出身国以外の経歴等は不明だが、小説版では「素質を見込み世界中から集めた5人」という記述がある。
- カは台詞は全くないが、ルイ、ケ、コとタイガーモス号の船上で一杯飲んでいる際に顔が大きく描かれている。キはオートモービルの運転やタイガーモス号のブリッジで無線機を操作しているなど、機械類に強いという描写がある。また、コは普段は口元を隠しているが、素顔が描かれているシーンがある[注 8]。
- アニメ版では名前及び出自は出てこなかったが、小説版にて名前が出る。ケはジブリの作品群史上最初に登場する日本人キャラである。
政府・軍の関係者
- ムスカ / ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ{{safesubst
- #invoke:Anchor|main}}(Muska / Romuska Palo Ur Laputa)
- 声 - 寺田農/マーク・ハミル
- 政府から派遣された、特務機関(情報部)所属の諜報員であり、階級は大佐、年齢は28歳。視力が悪く、度の入ったサングラスをかけている[注 9]。中折れ式リボルバー拳銃を愛用している。表向きは慇懃な口調で紳士的に振舞うが、目的の為には手段を選ばず、上司や部下すらも見捨て、嬉々として虐殺行為に手を染める残虐な冷血漢。ラピュタの城の持つ強大な力に魅せられ、新たな王としてラピュタに君臨し、地上の全世界を自分の欲望のままに恐怖支配しようという独裁者・野心家の本性を露にする。
- ラピュタ名(継承名)は「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」。ラピュタ王族の分家であるパロ家の末裔であり、ムスカ本人によれば、王家は地上に降りた際に二つに分かれたという。シータの家系は飛行石、ムスカの家系はラピュタに関する古文書を継承しており、劇中では古文書の写しと対訳を書き記した手帳を持ち歩いている。ラピュタ全体を一時統制下に置き、古代ラピュタ帝国の復活と自身が王に君臨して地上世界を支配下に置くことを宣言するが、パズーとシータが唱えた「滅びの言葉」によってラピュタは崩壊し、その際に飛行石から発せられた強烈な光線で目を潰され視力を失ったまま、崩壊していくラピュタと運命を共にした。
- 『未来少年コナン』のレプカとは服装や性格が似ており、実際に『ジブリ・ロマンアルバム 天空の城ラピュタ』など一部の資料ではムスカをレプカの先祖として紹介している[注 10]。
- 当初ムスカ役の声優は根津甚八に依頼されていたが、根津本人から直接断られ、代わりに寺田農が依頼を受け、これを引き受けた[8]。
- モウロ将軍(General Muoro)
- 声 - 永井一郎/ジム・カミングス
- ラピュタ探索の指揮を執る軍人で、小説版によると、政府軍のティディス要塞の司令官で階級は中将。怒りっぽい性格の持ち主である[注 11]。行政管轄権も掌握しているが、要塞そのものが僻地に位置する為、現状に強い不満を抱いており、ラピュタ探索を成功させることで中央への返り咲きを狙っている。無線通信をドーラに傍受されて飛行客船を襲われたり、ムスカに出し抜かれて主導権を奪われたり等、司令官としては頼りない所がある。
- 一方で、軍人気質の持ち主でもあり、作戦行動時は自ら先頭に立って突き進むタイプで、部下からの信頼は非常に厚い。勲章を3個身に着けていることから、それなりに功績を上げていることも窺える[注 12]。また諜報機関に属し、政府の密命を盾に作戦に介入するムスカを快く思っていない[注 13]。ムスカの情報によってラピュタを発見し実際に上陸には成功したものの、財宝に目が眩んでいる隙に本性を現したムスカの裏切りで罠に嵌められ、ムスカを射殺しようと発砲したことが引き金となり、雲より遥か上空のラピュタ展望室から大多数の兵士共々遥か下の海上に放り出されて死亡する[注 14]。
- 作中では専ら「閣下」と呼ばれ、EDでは「将軍」としかクレジットされておらず、「モウロ」の名は小説と設定資料上でしか出てこない。
- 黒眼鏡(特務機関員)
- 声 - 大塚芳忠、菅原正志
- ムスカに忠実に従う部下。飛行船では3人、シータを捕えたティディス要塞では4人が登場し、ラピュタまで同行したのは2人であったが、ラピュタの黒い半球状の構造体の内部でムスカに置き去りにされる。置き去りにされた黒眼鏡2人は何とか元来た場所に戻ろうと巨石を登ろうとしたが、ムスカが構造体を稼働させた際に足場を失った上に、しがみ付いた巨石から悲鳴を挙げながら弾き飛ばされていった。
スラッグ渓谷
- ポム(Uncle Pom)
- 声 - 常田富士男/リチャード・ダイサード
- ドーラ一家と軍から逃れる為に廃坑内を彷徨っていた、パズーとシータの元に現れた風変わりな老人。パズーとは古くから面識があり、深く慕われており、「ポムじいさん」と呼ばれている。鉱物に精通し、鉱石の状態変化を「石たちの声」と呼び、廃坑の中を一人散策することを楽しんでいる。飛行石についての情報や「石が騒いでいるのは上空にラピュタが来ているから」と云った言い伝えを、パズーとシータに提供し出口を案内してくれた。謎の多い人物だが、冒頭で描かれるラピュタの人々と格好が似ているなどから、ラピュタの労働者階級の生き残りではないかとも言われる[9]。モデルは森康二と近藤喜文[10]。
- EDでは「ポムじい」とクレジットされている。
- ダッフィー(Duffi)
- 声 - 糸博/ジョン・ホスティター
- 鉱山夫で、坑内のエンジンやエレベーター等の大型機械を扱うベテラン機械工。パズーの親方。性格は荒っぽいが、パズーを何かと気にかける仁義に篤い男。海賊相手にも怯むこと無く立ち向かうが、妻には頭が上がらない様子。鉱山夫らしい立派な体格を持っており、ドーラ一家の力自慢シャルルと互角の殴り合いを演じた。その際に鉱夫から名前を呼ばれている。
- EDでは「親方」とクレジットされている。
- おかみさん
- 声 - 鷲尾真知子
- ダッフィーの妻。度胸があり肝も据わっている。パズーを息子のように可愛がっている様子。
- EDでは「おかみ」とクレジットされている。
- マッジ(Madge)
- 声 - TARAKO
- ダッフィー夫妻の娘。パズーとも仲が良いらしく、パズーの家に遊びに行くこともある。ティディス要塞から帰ってきたパズーを最初に発見した。
- 軽便鉄道の機関士
- 声 - 西村知道/マット・K・ミラー
- 軽便鉄道を運転し、ドーラ一家や軍隊に追われるパズーとシータを助ける老機関士。パズーとは以前からの知り合いで、運転している機関車も相当の老朽車輌。パズーとシータを銃で狙った特務機関員と兵士達を機関車の排気で妨害する。
- 青い服の婦人
- 声 - 林原めぐみ
- 冒頭に登場。パズーとも親しい知り合いであるようで、すれ違った際に「まだ仕事?」と声を掛けている。
その他の人物
- シータの祖母
- 声 - 鈴木れい子
- 故人。幼いシータにおまじないとして、ラピュタに纏わる様々な呪文を教えた[注 15]。
- パズーの両親
- 共に故人。父は冒険飛行家で、かつて探検中に「竜の巣」の雲の切れ間から、伝説の「天空の城ラピュタ」を発見し、ラピュタの一部を自ら写真に収めた。しかし人々からは、ラピュタの存在を全く信じてもらえず、詐欺師の汚名を着せられたまま亡くなる。小説版では新たな飛行船の製作のためのスポンサー探しに出た際に事故死したと記載がある。なお、彼がラピュタを発見した際に乗っていた飛行船には同乗者がいた[注 16]。また、母についての詳しい説明はパズーの口からはないが、パズーの小屋に遺影が掲げられている。
ラピュタの設定
約700年以上前に存在した古代国家。国章は「翼のある町」[11]。ラピュタの民は飛行石の結晶化技術を有し、圧倒的な超科学技術で天空から全地上を支配していた恐怖の帝国であった[12]。ラピュタ王は代々天帝と称され、王家に伝わる飛行石の結晶と「黒い石」と呼ばれる石版を用いてラピュタ城の機能を制御していた。贅沢の限りを尽くし、人類の夢を体現したラピュタ人は、約700年前にラピュタの科学力でも克服出来ない疫病に蝕まれ、止むを得ず地上へ降りることを決断した[11]。
パンフレットでは上記とは異なる説明がなされている。空中都市の描写のあるジョナサン・スウィフトの著書『ガリヴァー旅行記 第三章 ラピュータ』のモデルは、プラトンの失われた地理誌『天空の書』に記された「ラピュタリチス」である[13]、[注 17]。ラピュタリチスは、かつて地上で大技術文明が栄えた時に戦争を嫌い、天空へと逃れた一族によって築かれた広い領土を持つ浮島である[13]。だが、あまりに高度に発達した文明生活の末に、ラピュタ人は生命力を失い、人口は減少し、紀元前500年頃に突如発生した奇病により、その後滅亡した[13]。一部の人々は地上へ降り、姿を隠しながら生き延びたと伝えられているが詳細は不明[13]。
作中では帝国そのものではなく、ラピュタ帝国の聖都であり、ラピュタ人が飛行石を用いて建造したとされる空中都市のみを指す場合が多い。ラピュタ人が地上へ降りた後、聖都は飛行石の力で天空に留まり、長らく無人のままで上空を回遊していた。ラピュタ人はラピュタに再び人が近づくことの無いよう「竜の巣」と呼ばれる巨大な低気圧の渦を作り出し、城に接近することを困難にした。王家の証である飛行石の首飾りを持つ者が望んで近づくと、龍の巣は自然に消滅し、ラピュタは白日の下にその姿を現す。偏西風と共に移動しており[13]、城の内部には雲を発生させる塔や、風を起こす道具などが設置されている[注 18]。その為、決して地上からは見ることができない[13]。元の絵コンテでは、ラピュタは王家の血筋の人間が現れると、ラピュタ底部の穴(本編でロボット兵の飛び出す穴の部分)から、超低気圧の雲の壁を急速に吸収する機能があったという[15]。
本来は天空の城にふさわしい外観をしているが、本編でのラピュタは神殿や下部が崩落して原型が無い[16]。宮殿が無人化した後も、王の帰還を待つロボットたちにより守られ続けたが、永い間に大部分は損壊して、今はその一部のみが空中を漂っている[注 19]。階層ごとに、住まう人々の身分が分けられている。頂点に神殿、その下の第一界が聖なる光と天帝の住居、その下の第二界が騎士の住居と十二神将の塔、第三界はエデンの園、第四界は人民の住居、最下部には聖都が地上にあった頃に使用されていた閉鎖された巨大な門がある[16]。ラピュタ下部の黒い半球状の構造体の中には、王族のみが入れるという中枢部が存在する[16]。
中枢部には飛行石の巨大な結晶体が浮かんでおり、その部屋にある「黒い石」に飛行石の首飾りを翳す事で、ラピュタの各機能を起動・制御出来る。球体部分の底部からは七基の石柱が展開し、膨大なエネルギーを集束することで、プラズマと共に巨大な爆発を生む強力な光弾を発射することが出来る[18]。ムスカはこれを「ラピュタの雷(いかずち)」と称し、これこそが『旧約聖書』のソドムとゴモラを焼き払ったという「天の火」や「ラーマヤーナ」の「インドラの矢」だとも述べている。現代の核兵器をも遥かに凌ぐオーバーテクノロジーであり、その痕跡は主にインド地方などの上記の「ラーマヤーナ」や「マハーバーラタ」の伝説に見られるという[13]。内部には多数のロボットも格納されており、発射口から投下して出撃させる。他にも劇中では床を任意に変形させられる展望室を展開させたりもしており、多くの機能があることが窺える。
ラピュタが木々に覆われているのは、宮崎自身の趣味であると同時に、飛行石が植物を成長させる力を持つ宇宙の聖なる根源であるからで、シータが一人で生きてこられたのも飛行石によって畑がよく実ったからだという[注 20]。木々が茂る庭園部はドーム状の建物に覆われ、外部からはただの外壁に見えるが、内部からは透明で日光が入る物質で出来た壁によって造られている。庭園内には墓石や壊れて苔むした幾つもの園丁ロボットもある。墓守等の役目をしている園丁ロボットが少なくとも1体はいまだに稼働しており、豊かな植物だけでなく多くの小動物(ヒタキなどの実在の鳥類や、キツネリス、ミノノハシなどの架空の動物もおり、キツネリスのみ「風の谷のナウシカ」にも共通して描かれる)と共に長い時を過ごしているのが窺える。特に庭園の大樹は著しい成長を遂げており、上部はドームを突き抜けて枝を伸ばし、下部のラピュタ中枢にまで根を巡らせるまでになっている。また、庭園の下層にあたる城の中の市街部には帝国全盛期に集められた金銀宝石といった類の財宝が大量にあり、上陸した軍の兵隊はここで大挙して掠奪に奔った(完全崩壊の際、ドーラ一味が財宝の極一部をどさくさに紛れて回収している)。
最後はパズーとシータの「滅びの呪文」(バルス)により崩壊し、上層部の内で大樹に支えられた部分と巨大飛行石のみを残して、更に高い高度へと飛び去って行った。テレビ放映後、エンディングを見た子供達から「(大気の無い)宇宙でキツネリス達はどうなるの?」という疑問が寄せられたが、ラピュタは実際には宇宙空間までは上昇しておらず、空気の存在する高度で飛び続けていると説明された。ラストのスタッフロールシーンでも地上が俯瞰できる空中に留まっている。
用語
- オートモービル
- ドーラ一家の自動車。序盤に登場。スラッグ鉱山では珍しいようで、劇中、パズーもその旨の発言をしている[19]。
- オーニソプター
- パズーがラピュタ探索に向け手作りしていた木製枠組みのオーニソプター(はばたき飛行機)。
- シータの前でゴム動力の模型を飛ばしている。
- 『ジ・アート・オブ 天空の城ラピュタ』には、当初は完成したオーニソプターでシータの住むゴンドアの谷に向け飛行する予定であったが、レオナルド・ダ・ヴィンチの頃から成功しなかった物を、パズーが成功させるのは如何なものか、という意見があったことから、断念したことが記載されている。
- ただし、完成させたオーニソプターにシータを乗せ、ドーラ達のフラップターと飛行しているイラストが描かれ、ジグソーパズル[注 21]に採用されている。
- 軽便鉄道
- スラッグ渓谷を走る軽便鉄道(鉱山鉄道)。蒸気機関は蒸気機関車内部にあり、機関車は蒸気動車を短くしたようなフォルムである。貨車(無蓋車)を3両連結している。
全長(m) | 312 |
---|---|
全高(m) | 82 |
全幅(m) | 84 |
巡航速度 | 58ノット(約107km/h) |
最高速 | 98ノット(約181km/h) |
航続距離(km) | 16000(無風巡航時) |
乗員数 | 360人 |
- ゴリアテ
- 軍がラピュタ探索に使用した大型の飛行戦艦。劇中の字幕には「飛行戦艦」ではなく、「飛行船艦」と表示されている。また絵本では「空飛ぶ要塞」とも呼ばれている。見た目は硬式飛行船を通り越した装甲飛行船といった形状で、艦体各部の大型のプロペラによって浮力と推進力とを得ており、全体に主砲(小説版では125mm榴弾砲)や速射砲、対空砲等の重火器を多数搭載し、強風下でも安定して飛行可能である。また、設備があれば普通の飛行船のように係留も可能。直撃すればロボット兵を破壊出来るだけの強力な火力を持つ他、艦底部にロケット艇を3機搭載している。ムスカとモウロ将軍一行が乗り、飛行石の示す道を辿ってラピュタへと向かった。途中ドーラ一家の母船タイガーモス号を攻撃して大破させたが、ラピュタ到着後、軍を離反したムスカの策略で無線機を破壊されて本国との連絡を絶たれモウロはじめ多数の将兵を喪った状況でラピュタと直接交戦する羽目となる。重火器を斉射してラピュタの下半球部を攻撃するも全く効かず[注 22]、ラピュタ底部から発射されたロボットの大群に包囲されて反撃を受けてしまう。最終的に破壊され、炎に包まれ船体が折れて爆散しながら多数の兵士と共に海に墜落していった。
- 名前の由来は、『旧約聖書』に登場するペリシテ人の巨人「ゴリアテ」。小説によると、後に軍は「不慮の事故の為に長期改修を余儀なくされた」という名目で事実を隠蔽しつつ、密かに同型艦の建造に着手したとされている。
- 装甲列車
- 軍がシータ捜索のためにスラッグ鉱山に出動させた列車。3両編成で2両目が機関車。1両目と3両目が戦闘車で、砲塔とサーチライトを搭載している。なお、老機関士に蒸気を掛けられた特務機関員と将校が降車したのは1両目。
- タイガーモス号{{safesubst
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- ドーラ一家が根城にしている空中母船。ブリッジの外見もあいまって巨大な鳥を思わせるような形の飛行船。
- ラピュタに向かう途中でゴリアテと遭遇し空中戦になり、大破するもタイガーモス号はなんとかラピュタに不時着する。しかしドーラ一家は同じくラピュタに乗り込んできた軍隊に捕虜にされてしまう。
- ラピュタ崩壊時に、タイガーモス号は瓦礫に飲み込まれるが、パズーに拘束を解かれたドーラ一家はフラップターで脱出する。
- 飛行客船
- 冒頭に登場。ムスカ一行がシータと共に乗船していたが、ドーラ一家に襲撃される。『ジ・アート・オブ 天空の城ラピュタ』には、硬式飛行船をモチーフにしているが、物語の展開上、ブリッジを上にした事が触れられている。
- 飛行石{{safesubst
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- 時に青白く発光する、深い青色をした石。飛行石を岩盤から採掘し、結晶化する技術を有していたラピュタ人は、この飛行石の結晶を利用した高度な科学技術を誇っていた。飛行石自体は地下の岩盤に多く含まれており、特段珍しい物では無いが、直に空気に触れると、ただの石に変わってしまう為、特性を保持したまま飛行石を採掘する方法は作中の時代では失われている。ラピュタ人の作った飛行石の結晶は特定の人物や呪文に反応し様々に作動する仕組みを備えており、その名の示す通り物体を浮遊させる力もその一つである。ムスカの持つ古文書にはラピュタの伝承が記録されていたが、飛行石の結晶化の技術や呪文に関しては記されてはいなかった。
- 飛行船
- パズーの父と同乗者が搭乗した飛行船。序盤に登場。
全長(m) | 2.040 |
---|---|
全高(m) | 1.220 |
全幅(m) | 7.200(翼展開時) |
時速(km/h) | 0-111(0-60ノット)[注 23] |
最高速(km/h) | 182(下部ブースター使用時) |
航続距離(km) | 88(無風巡航時) |
- フラップター
- 電流で駆動する人工筋肉を利用して、4枚の薄膜状の羽根を高速で羽ばたかせ、浮上、飛行するオーニソプター(羽ばたき飛行機)。
- タイガーモス号と同様にドーラの亡き夫の発明品であり、ドーラ一家の活動には欠かせない飛行機械。機体前面は流線型の金属板で被覆されている。機体後部はオープンデッキとなっており、そこに1人もしくは2人の乗員がフック付きの結束バンドで身体を機体に繋いで搭乗する。
- 羽根の可変ピッチと体重移動により、上昇、下降、前進、左右転回、ホバリング等の動作を自在に行う。また、急旋回時には機体側面からパルス噴射の火炎が噴出する。羽根が高速で羽ばたいている為、極度に高度を下げ過ぎたり、建物や樹木等に接近し過ぎたりすると、羽根が接触、破損して墜落する危険性がある。機体底部には加速用の格納式ブースターが搭載されており、これを利用して緊急時等に急加速が可能。ブースター点火の際には、羽ばたきが完全停止する。また煙幕を放出する機能もある。映画本編では、発電用エンジンをクランクで回して起動させる描写があるほか、ラピュタに向け出発する際に、燃料を補給している描写もある。エンジンを停止してバッテリーを稼働させることで、最高速で約6分間の無音飛行が可能である。
- タイガーモス号には翼を畳んだ状態で数機を格納出来る(劇中に登場したのは4機)。また機体を前後に連結した状態でも飛行可能である。格納庫には、予備の翼や部品が幾つかあり、簡単な修理や部品の交換も可能。
- フラップターの登場場面には、久石譲がデビュー当時の作風であるミニマル・ミュージックの手法に基づいた音楽を手がけた[注 24]。
- ラピュタの王家
- かつてラピュタに君臨し全地上を支配した王家。ラピュタが滅び、地上に降りた際にトエル家とパロ家の二つに分かれた。トエル家は飛行石とそれに関わる呪文を、パロ家はラピュタの伝承を記した古文書を受け継いできた。シータはトエル家の末裔、ムスカはパロ家の末裔である。トエルはラピュタ語で「真」を意味し、トエル家の末裔であるシータこそが真のラピュタ王、即ち天帝である事を意味している[20]。パロ家もラピュタの王族であるが、こちらは支族(分家)とされている。パロ家も地上へ降りた当初はゴンドアの谷で生活していたが、産業革命を機にそれまでの農耕生活を捨て、積極的にラピュタの探求を行うようになった[21]。一方、トエル家は長い時の中でラピュタに関する記憶の多くを喪失していった。
- 竜の巣
- 航行において危険空域とされる巨大な積乱雲の集合体。雲の内部はその名の通り、まるで龍のように激しく轟く雷の巣窟。外部とは逆方向に風が吹いており、その気流が風の壁となって侵入者を阻む。堅牢な戦艦をも容易に破壊する一方で、逆風に靡くことの出来るパズーの父の飛行船や、パズーとシータの乗っていた凧は、逆風による破壊を免れて無事に竜の巣を通り抜けることが出来た。その正体は、封印されたラピュタを守るべく人工的に作り出された低気圧の渦。パズーの父は偶然竜の巣の中に突入し、ラピュタを目撃した。
- ロケット艇
- 政府が空賊に対抗して開発した中型飛行艇。ロケットのパルス噴射により飛行し、極めて高い機動力を持つ。劇中ではシータとパズーを拉致する際に使用された。武装の有無は不明だが、機首に機関砲らしきものを2門搭載している。ゴリアテの下部にも3機搭載されている。なお、準備稿では、ゴリアテから発進するシーンもあったが、本編では描かれることはなかった。
- ロボット兵
- ラピュタ城内に多数配備されている自律式の半有機体ロボット。身長344cm、体重238kg。戦闘、看護、園丁など、胸の紋章と色彩で区別された多種類のロボットが存在していたとされる。戦闘用ロボットは赤茶、園丁用ロボットは緑掛かった色をしている。劇中では、材質が金属なのか粘土なのかも現代科学では分からないと表現されているが、設定資料には「形状記憶弾性ハイセラミック製」と記されており、柔軟かつ必要に応じて自在に変形するとされている[22]。顔部中央にある二つのランプは音声装置とセンサーとを兼ね[注 25]、飛行石を持つ者の命令に従属し、彼らを衛護するプログラムが組み込まれている[23]。歩行は二本脚と四本脚どちらでも可能だが園丁ロボットは劇中ではもっぱら二本脚で歩いている(この時、独特の歩行音も出している)。戦闘ロボットは、胸部に搭載された一対のブースターと、両腕の骨格の突起物の間に形成される翼膜を併用して飛行することが出来、更に頭部には大小2門の攻撃用のビーム砲が搭載されており、一国の軍事要塞を単機で壊滅させるほどの高い戦闘力を有する。格納されている状態では手足を畳み独特の丸まった形態をとっている。
- 現在のラピュタでは、機能停止したロボットが野晒し同然で朽ち果てているが、ムスカは城内各所に保管されていた多数の無傷のロボットを解き放った。
- 戦闘用のロボットの一体が機能停止状態で上空から落下して来たことが、政府がラピュタの調査に着手するきっかけとなった。当のロボットは故障して、既に「死んだ状態」だと思われていたが、要塞に囚われていたシータが何気なしに呟いた「守りの言葉」に反応して即座に再起動し、自ら動き出した。頑丈な石壁や鋼鉄の扉、更には砲台の装甲すら溶断するほどの非常に強力なビーム砲で、要塞をたちまち火の海にした。拳銃は勿論のこと、小銃や機関銃の連射にも耐え、信管を抜かれた要塞砲榴弾の直撃を受け、装甲が大きく陥没した状態でも正常に稼働し続ける耐久性があるが、最終的にゴリアテの長砲身砲からの砲撃により破壊された。
- フライシャー・スタジオ製作『スーパーマン』第2話「The Mechanical Monsters」(1941年)に登場した現金強奪ロボットがモデルとされる。また、宮崎が「照樹務」名で脚本と演出を担当したTVアニメ『ルパン三世』第155話「さらば愛しきルパンよ」に本作より先に登場しているが、首からプロペラが展開して飛行する方式になっていたり、双頭になった陸戦専用機が登場するなど細部が異なる。『ルパン』への登場はフライシャー版『スーパーマン』に対するオマージュとしてであった。宮崎は「気に入っていて一度テレビ(新・ルパン三世・最終話)で使ったんですが、どうも心残りがありまして今回もう一度、使ってみたんです」[24]と発言している。
声の出演
役名 | 日本語版 | 英語版 | |
---|---|---|---|
海外初公開版 | BVHE版 | ||
パズー | 田中真弓 | バーバラ・グッドソン | ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク |
シータ | 横沢啓子 | ララ・コーディ | アンナ・パキン |
ドーラ | 初井言榮 | レイチェル・ヴァノウン | クロリス・リーチマン |
ムスカ | 寺田農 | ジェフ・ウインクレス | マーク・ハミル |
モウロ将軍 | 永井一郎 | マイク・レイノルズ | ジム・カミングス |
ポムじいさん | 常田富士男 | エドワード・マニックス | リチャード・ダイサート |
シャルル | 神山卓三 | バリー・スティグラー | マイケル・マクシェーン |
ルイ | 安原義人 | デイヴ・マロウ | マンディ・パティンキン |
アンリ | 亀山助清 | エディ・フライアーソン | アンディ・ディック |
ハラ・モトロ | 槐柳二 | 同上 | マット・K・ミラー |
親方 | 糸博 | クリフトン・ウェルズ | ジョン・ホステッター |
おかみさん | 鷲尾真知子 | ララ・コーディ | トレス・マクニール |
マッジ | TARAKO | バーバラ・グッドソン | デビ・デリーベリー |
シータの祖母 | 鈴木れい子 | ||
軽便鉄道の機関士 | 西村知道 | マット・K・ミラー | |
黒眼鏡(A) | 大塚芳忠 | ||
黒眼鏡(B) | 菅原正志 | ||
キ(エジプト人の子分) | 大滝進矢 | ||
ク(中国人の子分) | 平井隆博 | ||
ケ(日本人の子分) | 峰恵研 | ||
コ(セネガル人の子分) | 菅原正志 | ||
青い服の婦人 | 林原めぐみ | スーザン・ヒックマン | |
役名表記なし | 福士秀樹 古田信幸 田中和実 関俊彦 |
コーリー・バートン ジョン・ディマジオ スコット・メンヴィル エディ・フライアーソン アンドリュー・フィルポット マイケル・ソリッチ |
スタッフ
製作 | 徳間康快 | |
企画 | 山下辰巳、尾形英夫 | |
音楽 | 久石譲 | |
作画監督 | 丹内司 | |
原画頭 | 金田伊功 | |
原画 | 篠原征子、遠藤正明、二木真希子、桜井美知代、森友典子、大谷敦子、小林一幸、賀川愛、前田真宏、福田忠、川崎博嗣、高坂希太郎、大塚伸治、河口俊夫、近藤勝也、名倉靖博、鍋島修、江村豊秋、友永和秀 | |
動画チェック | 尾沢直志、立木康子 | |
動画 | 小林研二、宮本英子、平田英一郎、本持貴、須貝美佳、中野恭子、高峰由恵、諸橋伸司、服部圭一郎、長井和久、吉野高夫、山川浩臣、村田俊治、新屋真智子、茂林良哉、坂野方子、東誠子、コマサ、竹葉直子、金子昌司、上田和佳子、片山雄一 | |
動画協力 | オープロダクション、スタジオ・ファンタジア、草間アート、動画工房、スタジオ・トト、スタジオギャロップ、進藤プロダクション、ビジュアル'80、スタジオ九魔 | |
美術監督 | 野崎俊郎、山本二三 | |
背景 | 小関睦夫、木下和宏、吉崎正樹、久村佳津、飯島久美子、太田清美、石川山子 | |
ハーモニィ処理 | 高屋法子 | |
特殊効果 | 阿部郷、寺岡伸治 | |
色指定 | 保田道世 | |
仕上検査 | 荻原穂美 | |
仕上 | 水間千春、小川典子、長嶺浩美、石井恵美子、鍋谷雅子、酒井由紀子、島田久美、阪本文也、見田竜介、仲田ひろみ、柳沢和枝、木原恵子、宮下真理、高砂芳子 | |
仕上協力 | スタジオキリー、スタジオファンタジア、プロダクションアクト、スタジオOZ、グループジョイ、スタジオ雲雀、スタジオ古留美 | |
撮影監督 | 白神孝始、高橋宏固 | |
撮影 | 高橋プロダクション 高橋宏固、白神孝始、小林武男、笠間いずみ、豊永安義、松嵜泰三、福島敏行、安原吉晃、石塚敬久、野口肇、宮島幸男 | |
音響制作 | オムニバスプロモーション | |
音響監督 | 斯波重治 | |
整音 | 井上秀司 | |
音響効果 | E&Mプランニングセンター 佐藤一俊、小野弘典 | |
音楽制作 | 徳間ジャパン 三浦光紀 | |
録音スタジオ | 東京テレビセンター | |
タイトル | 高具アトリエ | |
編集 | 瀬山武司、笠原義宏 | |
演出助手 | 飯田つとむ、木村哲、須藤典彦 | |
制作デスク | 押切直之 | |
制作進行 | 古里尚丈、木原浩和、原俊嗣、熱海正志、武藤薫 | |
宣伝プロデューサー | 徳山雅也 | |
「天空の城ラピュタ」 製作委員会 |
加藤博之、鈴木敏夫、金子彰、亀山修、滝川和俊、田所稔、粕谷昌宏、大塚勤、佐々木崇夫 武田実紀男、校条満、小林智子 | |
現像 | IMAGICA | |
協力 | 電通 | |
配給 | 東映 | |
制作 | スタジオジブリ、原徹 | |
プロデューサー | 高畑勲 | |
原作 脚本 監督 |
宮崎駿 |
主題歌・イメージソング
- 『君をのせて』[25]
- 作詞 - 宮崎駿 / 作曲 - 久石譲 / 編曲 - 久石譲 / 歌 - 井上あずみ(徳間ジャパン)
- 後に「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などの主題歌、挿入歌を担当することになる井上のジブリデビュー作。
- また、2002年のDVD発売時に合わせ、石井竜也がアンサーソングとなる歌詞違いの『君をつれて』を発表すると共に、『君をのせて』のカバーもしている。
- イメージソング - 『もしも空を飛べたら』
- 作詞 - 松本隆 / 作曲 - 筒美京平 / 編曲 - 鷺巣詩郎 / 歌 - 小幡洋子(徳間ジャパン(アニメージュレコード)[注 26])
- 本編では未使用。公開当時、味の素から発売されていた炭酸入り清涼飲料水「ラピュタ」[注 27]のCMソングであった。
- 劇中曲 - 『ハトと少年』[26]
- 劇中でパズーが演奏するトランペット曲。数原晋が演奏。
- 2010年4月、STS-131ミッションが行われていた国際宇宙ステーション(ISS)において、同曲がウェイクアップコールとしてNASAジョンソン宇宙センターミッションコントロールセンターより流された。搭乗していた山崎直子宇宙飛行士のために選曲されたものである[27]。
賞歴
- 文化庁優秀映画
- 第41回(1986年)毎日映画コンクール 大藤信郎賞[28]
- 1986年(第15回)ぴあテン 映画部門第1位
- シティロード 読者選出ベストテン 邦画第1位
- おおさか映画祭 日本映画ベストテン第1位
- 日本映画復興特別賞(高畑勲・宮崎駿)
- 映画芸術 日本映画第1位
- キネマ旬報 86年度ベスト・テン 日本映画第8位/読者選出日本映画第2位[29]
- 第9回(1986年)月刊アニメージュ アニメグランプリ 作品賞
- アビック・ビデオアワード'87 アニメーション賞
- 第4回日本アニメフェスティバル 日本アニメ大賞・アトム賞 美術部門最優秀賞
- 中央児童福祉審議会特別推薦
ここまでの出典[30]
- 文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」アニメーション部門選出
興行・売上記録
1986年の劇場公開時の観客動員数は77万人、配給収入は5.8億円であり、セールス的には観客動員、収入共にジブリワースト記録である。春・夏・ゴールデンウィーク向け子ども映画としてはドラえもんや動物映画もの、東映まんがまつりなどを下回った[31]。もっとも、スタジオジブリ自身はまずまずの成績を収めたと評価しており、次回作の製作を決定するには十分であったとされる[32]。
(日本国内)
内容 | 記録 | 補足 |
---|---|---|
興行収入 | 約11.6億円[33] | 推測[33] |
配給収入 | 5.83億円[32][33][注 28] | |
全国動員 | 77万4271人[32][33] | |
『イメージアルバム〜空から降ってきた少女〜』 | 2万枚出荷(1986年発売のLP)[35] 4万本出荷(1986年発売のCA)[35] 6万枚出荷(1986年発売のCD)[35] 3万枚出荷(1993年発売の再発CD)[35] 0.5万枚出荷(2004年発売の再々発CD)[35] |
|
『サウンドトラック〜飛行石の謎〜』 | 3万枚出荷(1986年発売のLP)[35] 6万本出荷(1986年発売のCA)[35] 15万枚出荷(1986年発売のCD)[35] 13万枚出荷(1993年発売の再発CD)[35] 1万枚出荷(2004年発売の再々発CD)[35] |
|
『ドラマ編〜光よ甦れ!〜』 | 1万枚出荷(1986年発売のLP)[35] 2万本出荷(1986年発売のCA)[35] 2万枚出荷(1986年発売のCD)[35] 1万枚出荷(1993年発売の再発CD)[35] |
|
『シンフォニー編〜大樹』 | 1万枚出荷(1986年発売のLP)[35] 2万本出荷(1986年発売のCA)[35] 4万枚出荷(1986年発売のCD)[35] 2万枚出荷(1993年発売の再発CD)[35] 0.5万枚出荷(2004年発売の再々発CD)[35] |
|
『ハイテックシリーズ』 | 2万本出荷(1989年発売のCA)[35] 6万枚出荷(1989年発売のCD)[35] 0.5万枚出荷(2004年発売の再発CD)[35] |
|
『CASTLE IN THE SKY〜天空の城ラピュタ USAヴァージョンサウンドトラック〜』 |
3万枚(2002年発売のCD)[35] | |
挿入歌 『君をのせて』 |
7万枚出荷(1988年発売のシングルCD)[35] 0.5万枚出荷(2004年発売の再発シングルCD)[35] |
|
VHS・ベータ(徳間版) | 8万本出荷[36] | 1989年7月時点 |
VHS(ブエナビスタ版) | 100万本出荷[36] | 2003年6月現在 |
DVD(ブエナビスタ、2枚組・特典付) | 53.2万枚出荷[36] | 2003年6月現在 |
テレビ放送
『名探偵ホームズ』を放送していたテレビ朝日と競った日本テレビが放映権を獲得し[37]、1988年4月2日に、日テレ開局35周年記念として『土曜特別ロードショー』で初放送され12.2%の視聴率を記録した(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。以下略)。22.6%の高視聴率を獲得した1989年7月21日の『金曜ロードショー』からは同枠で繰り返し放映される人気ソフトとなっている[36]。これ以降、日本テレビはスタジオジブリと提携を深め、宮崎が関わった映画作品は日本テレビで放映されるようになる。2011年12月9日には、劇場公開時のフィルム風合いを再現したニューマスター版が通常より40分拡大して初放送された。
視聴率
- 数値はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
回数 | 放送日 | 視聴率 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 1988年 | 4月 2日(土)12.2% | 「土曜特別ロードショー」枠で放送。宮崎本人が解説としてゲスト出演。 |
2 | 1989年 | 7月21日(金)22.6%[38] | この回から「金曜ロードショー」枠での放送となる |
3 | 1991年 | 5月 3日(金)17.1% | |
4 | 1993年 | 3月26日(金)20.4% | |
5 | 1995年 | 3月24日(金)19.9% | |
6 | 1997年 | 3月 7日(金)20.6% | |
7 | 1998年12月25日(金) | 20.6% | |
8 | 2001年 | 2月23日(金)22.2% | |
9 | 2003年 | 3月14日(金)22.2% | |
10 | 2004年12月24日(金) | 16.9% | |
11 | 2007年 | 6月15日(金)19.9% | |
12 | 2009年11月20日(金) | 15.4% | |
13 | 2011年12月 | 9日(金)15.9%[38] | |
14 | 2013年 | 8月 2日(金)18.5%[38] | |
15 | 2016年 | 1月15日(金)17.9%[38] | |
16 | 2017年 | 9月29日(金)14.4%[39] | ハラ・モトロ役で出演していた槐柳二がこの日の放送直前に死去。 |
制作背景・影響
舞台設定
物語の舞台は企画段階では「立憲君主国。ただし国王は登場しない」とされており、後に宮崎駿は舞台をイギリスのつもりで設定したと語っている[40]。宮崎は製作が始まる前の1985年5月にイギリスのウェールズをロケハンで訪れており、そこで見た風景が本作に活かされた。後に押井守や鈴木敏夫らと同地を再訪している。また登場する小火器(拳銃、小銃、重機関銃)もイギリスの兵器をモチーフにしている。
年代は劇中で明示されていないが、パズーの父親が撮ったラピュタの写真には「1868.7」と作品世界の暦による年代らしき数字が印字されている[注 29]。
名前の由来
空に浮かぶ島の名前「ラピュタ」は、スウィフト『ガリヴァー旅行記』からで、当初は「ラプュタ」であった。言いにくいので気に入らなかったが、企画書の説得力が増すという理由のみでつけられた。宮崎はガリヴァー旅行記のダイジェスト版しか読んだことがなく、内容も大して面白いと思わず、ラピュタという名前も覚えてなかった[41]。
パズーの名前の由来は、学生時代に考えた船乗りの名前の一つで、「未来少年コナン」で使用されずに唯一残っていたという理由で使用された。シータの名前は、学生時代に創作していた人形劇「サイン・コサイン・シータ」(精神病院が舞台で、少年アルファ何号と、少女シータ何号の物語)からの転用とされる[42]。物語自体は小学生の頃に考えたもの[43]。
発表前の仮タイトルは、「少年パズー・飛行石の謎」で、サブタイトルは「空中城の虜」「空とぶ宝島」「飛行帝国」「空中魔城」「戦国魔城」などの案があった[44][45]。
設定の由来
「廃れてしまった古の機械文明」が作った「空中に浮かぶ島」、「飛行船に乗る海賊」であるドーラ一家という物語のモチーフは、幻の作品である『ラーマヤナ』(インドとの合作。一度滅亡した文明や、古代核兵器などの設定)と、『リトル・ニモ』(東京ムービー)の企画に参加していた際に、宮崎がイメージしていたものが投影されている。
ドーラの原形は宮崎駿の母親[46][注 30][注 31]。パズーの乗るグライダーは映画『地獄の天使』のツェッペリン飛行船の観測ゴンドラの影響。飛行石のモチーフは、福島鉄次の『沙漠の魔王』から[45]。
架空の言語「ラピュタ語」は出まかせであるが、ケルト語などに影響を受けている[47]。
また、庵野秀明によると、宮崎は以前にアニメ番組の企画として『未来少年コナン2』という位置付けの「主人公の少年・少女が謎のペンダントをめぐり潜水艦で世界中を旅する。そしてそれを狙う悪役一派がいる」という案をNHKに提出したが、採用されなかった。この案を後に宮崎は本作に生かし、庵野は別作品の『ふしぎの海のナディア』に持ち込んだという[48]。
都市伝説
『ラピュタのエンディング映像には続きがあり、テレビ放映の際に目撃した』などの都市伝説があったが、スタジオジブリは否定するコメントを出しており、小説版の後日談と資料集のイラストなどが混同して噂が広まったのではないかとしている[49][50]。また、テレビ放送で流された簡易版エンディング(本編の静止画、イメージボードのイラストなどにスタッフロールを乗せたもの)がその噂の元であるとする検証サイトもある。
インターネットでの影響
地上波でテレビ放送される際に、2ちゃんねる等の実況板等において終盤の山場の台詞「バルス」に合わせた大量書き込みが行われ[51][52]、高負荷によるサーバダウンがたびたび発生している[注 32]。2009年11月20日放映時にはTwitterでも同様に終盤の台詞がツイートされたものの、利用者がまだ少なかった事もありサーバダウンが発生することはなかったが[53][54]、利用者が大幅に増加した2011年12月9日放映時はTPS(1秒間あたりのツイート数)が従来の世界記録を大幅に更新する25,088TPSに達した[55]。2013年8月2日にも放映されたが、放送一週間前には前回放映時の影響から「Twitter公式アカウントが『バルス』投稿の自粛をお願いする」コラージュ画像が出回り話題を呼んだ。なお当日は大量のツイートが散見されたがトラブルは発生せず、前回を大幅に上回る143,199TPSを達成した[56]。2016年1月15日の放送時には公式に「バルス」の放映される瞬間を予想する企画も行われた[57]。結果は約55,000TPSと記録更新はならなかったものの、TPM(1分間あたりのツイート数)が345,397TPMを記録[58]。また、タニタ公式ツイッターが滅びの呪文「タニタ」[注 33]の秒間ツイート数で勝負し、勝利時は「破滅の呪文『タニタ』セット限定販売」「ラピュタパンを作る」「『君をのせて』体重計作成」、敗北時は社名を1日「バルス」に変更すると宣言[59]。結果は惨敗に終わり、公式ツイッターのアカウント名が「株式会社バルス」に変更された[60]。2017年9月29日の放送では48445TPS・237295TPMと、前回より記録が下がる結果となった[61]。
ジブリ美術館
三鷹の森ジブリ美術館では本作に登場するロボットの模型が常設展示されており、2002年には「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」が開かれた。
日本国外版
英語版
英語版は2種類存在する。最初の英語版はストリームライン・ピクチャーズ (en:Streamline Pictures) がLaputa: The Flying Islandの名で1989年にイギリスで公開し、日本のDVDにも収録されているもの。2つ目は2003年にディズニーが配給し、ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント(ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメント)よりDVDが発売されているCastle in the Sky。最初の版はパズーの声を女性声優が演じたが、ディズニー版Castle in the Skyでは男性声優がパズーを演じた。ムスカを演じているのはスター・ウォーズ旧3部作の主人公ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミル。このDVDには後述のフランス版も収録されている。
タイトルが変更されているのは、ラピュタの命名の元となったスウィフトの『ガリヴァー旅行記』第三章の飛行島ラピュータ(Laputa)は、スペイン語のLa puta(売春婦)をもじって命名されたものであり、スペイン語圏およびヒスパニックの多いアメリカ合衆国では不適切なため。
日本のDVDにも収録されている英語版は、配給元のストリームライン・ピクチャーズにより翻訳されたものではない。ストリームライン・ピクチャーズのフレッド・パットンによれば最初は全日空の国際線の機内上映のために製作されたもので、ストリームラインはそれを日本から渡されたとのことで、実際に誰が翻訳、吹き替えを行ったのかは不明とされる[62]。日本語版ではドーラが40秒、ムスカが3分間待つところは共に1分間となっている。
ディズニー版のCastle in the Skyには久石譲本人による、オリジナル版と異なる音楽が使用されている。基本となるメロディの大部分は同じだが、アメリカ側の希望により久石が大幅にアレンジを行って録音し直された[63]。オープニング曲は飛行石が輝く場面とシンクロするようになっており、またエンディング曲は、日本語オリジナル版の上にピアノの演奏がミックスされている。CDは徳間ジャパンより発売されている。
ブルーレイに収録されている英語版はディズニー版の『Castle in the Sky』で、特典映像の一つとして収録されている。スタッフロールはすべて英語表記。なお、エンディングのキャスト紹介は、日本版が「パズー→シータ」なのに対し、この英語版は「シータ→パズー」の順になっている。
フランス語版
フランスでブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントより発売されているDVD(フランス語版タイトルはLe Château dans le Ciel、映画公開は2003年1月15日)はフランス語、日本語のほか「Castle in the Sky」の英語音声も収録されている。同じDVDに収録されている日本語オリジナル版および、そのオリジナル版と同じ音楽を用いたフランス語版の音声は、音楽の音程がオリジナルより約半音高くなっている。これは秒間24コマのフィルムから秒間25コマのPAL方式にテレシネする際、1コマ分の4%早くなる為。英語版の字幕は英語版音声を忠実に書き起こしたものと日本語版からの翻訳重視のものが2種類収録されているが、フランス語版の字幕は1種類のみで、フランス語版の音声と字幕では内容が異なる。フランス語版DVDはリージョン2(日本と共通)、映像方式はNTSC/PALコンパチブルで、日本の家庭用DVDプレーヤーでも再生可能。
関連商品
作品本編に関するもの
- 映像ソフト
-
- 天空の城ラピュタ VHS - 徳間書店/徳間ジャパン/徳間コミュニケーションズ 128GH-12(1986年8月25日)
- 天空の城ラピュタ Beta - 徳間書店/徳間ジャパン/徳間コミュニケーションズ 128GB-5012(1986年8月25日)
- 天空の城ラピュタ LD - 徳間書店/徳間ジャパン/徳間コミュニケーションズ 128LX-8~9(1986年9月25日)
- 天空の城ラピュタ VHD - 徳間書店/徳間ジャパン/東芝/東芝映像ソフト VDS-A0452(1986年9月21日)
- 天空の城ラピュタ VHS - ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント(1998年9月18日)
- 天空の城ラピュタ DVD - ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント (2002年10月4日)
- 天空の城ラピュタ DVDコレクターズ・エディション - ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント (2002年10月4日)
- DVD(宮崎駿監督作品集) - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 2014年7月2日発売
- 天空の城ラピュタ Blu-ray Disc - ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメント(2010年12月22日)
- Blu-ray Disc(宮崎駿監督作品集) - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 2014年7月2日発売
- 出版
-
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(1)(1986年9月30日)ISBN 4-19-776593-2
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(2)(1986年9月30日)ISBN 4-19-776594-0
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(3)(1986年10月20日)ISBN 4-19-776602-5
- 天空の城ラピュタ―フィルムコミック(4)(1986年10月20日)ISBN 4-19-776603-3
- ジ・アート・オブ 天空の城ラピュタ(1986年11月30日)ISBN 4-19-816610-2
- 天空の城ラピュタ(徳間アニメ絵本)(1988年3月31日)ISBN 4-19-703626-4
- スタジオジブリ作品関連資料集 型録I(1996年6月30日)ISBN 4-19-860525-4
- 天空の城ラピュタ(スタジオジブリ絵コンテ全集2)(1986年10月、新装版:2001年6月30日)ISBN 4-19-861377-X
- 天空の城ラピュタ(ロマンアルバム)(1986年10月、新装版:2001年9月10日)ISBN 4-19-720156-7
- 映画 天空の城ラピュタGUIDE BOOK(1986年8月、復刻版:2010年12月15日)ISBN 4-19-720320-9。
- ※以上は全て徳間書店
- ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ(文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉)(2013年5月10日)ISBN 978-4-16-812001-5
- シネマコミック2 天空の城ラピュタ(文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉)(2013年5月10日)ISBN 978-4-16-812101-2
- 天空の城ラピュタ大百科(勁文社〈ケイブンシャの大百科〉、1986年8月)
- 音楽
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- 天空の城ラピュタ イメージアルバム 空から降ってきた少女 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72720
- 天空の城ラピュタ サウンドトラック 飛行石の謎 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72721
- 天空の城ラピュタ シンフォニー編〜大樹 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72722
- 天空の城ラピュタ ハイテックシリーズ 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004年8月25日)TKCA-72723
- (挿入歌)君をのせて(CD) 井上杏美、C/W「合唱 君をのせて」「君をのせて(カラオケ)」徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD/2004年10月27日)TKCA-72755(オリジナル盤8cmCD/1988年3月25日)
- スタジオジブリ 宮崎駿&久石譲 サントラBOX [Box set, Limited Edition] (CD) 徳間ジャパンコミュニケーションズ(2014年7月16日)
その他関連書籍
タイアップ商品
- 清涼飲料水「ライトフルーツソーダ 天空の城ラピュタ」(味の素)
- 1986年6月から販売された(味はレモン&ライム・シトラスミックスの2種類)。CMは契約上アニメ映像を使用できないため、パズーとシータの格好をした少年少女と実寸大のフラップターを使用した実写映像となっており、島本須美と松田洋治がナレーションを行ない、CMソングとして上記のイメージソングが使用された[30]。
- ビデオディスクプレーヤー マイドリーム(東芝)
小説版
著者:亀岡修、イラスト:宮崎駿によるノベライズ版が、徳間書店『アニメージュ』誌に連載され、後にアニメージュ文庫として出版された。全2巻。
映画では描かれていない飛行客船襲撃よりも前のエピソードや、映画のラストの半年後を舞台としたエピローグが書かれており、その他細かい設定や、登場人物の心情描写の補完がなされている。
- 小説 天空の城ラピュタ 前篇(1986年5月31日初版、ISBN 4-1966-9556-6)
- 小説 天空の城ラピュタ 後篇(1986年7月31日初版、ISBN 4-1966-9557-4)
なお、2002年に映画がDVD化された際、10000セット限定販売の『「天空の城ラピュタ」DVDコレクターズ・エディション』には、この小説前後篇を1冊に再構成しハードカバー化した『「天空の城ラピュタ」DVDコレクターズ・エディション版』が付属している[注 34][注 35]。
脚注
注釈
- ↑ のちに両方のおさげは、ムスカの銃で撃たれる形で切断されショートカットになる。
- ↑ 両親についてはシータの口からわずかに語られるのみで、登場するシーンはない。
- ↑ 文春ジブリ文庫『シネマ・コミック』では「マ・ドーラ」と表記。
- ↑ 『ジ・アート・オブ 天空の城ラピュタ』に掲載された準備稿にも、同様の台詞がある。
- ↑ ドーラの父が死んだ時に四散した部下の中で唯一、ドーラのもとに残り一家を盛り立ててきたという記述が小説版にある。
- ↑ 紹介早々「狭くて手が入らねぇ」とボヤくモトロの横に素早く潜り込み、整備箇所をすぐに把握して見せた。
- ↑ 小説版ではシータに「儂みたいになれる」と言っている。本編でも終盤でラピュタから生還したパズー達と再会した時にドーラの息子や部下達がシータの名を呼び歓喜する中、「小僧」とパズーを呼んで喜んでいた。また、シータについても気に入っており、ドーラとのチェスの対局中に「いい子だよ」と発言している。
- ↑ パズーとドーラ一家がティディス要塞に向け出発する際のシーン。私服を着ているためわずかだが素顔が映る。
- ↑ ただし、モウロ将軍や将校たちとの会議中、サングラスを外し、素顔を見せているシーンがある。
- ↑ これは、当初本作が、『未来少年コナン』の以前の世界観にある作品として企画されていたことに由来する。
- ↑ 演じた永井は、「欲ボケの頭の悪い将軍です(笑)。軍人はすこし頭の悪い方が出世するんですよ」と徳間書店「ロマンアルバム 天空の城ラピュタ」でコメントしている。これは、文藝春秋文春ジブリ文庫「ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ」にも掲載されている。
- ↑ 襟元に十字勲章、左胸に円形の勲章を2個。なお、十字勲章はムスカに退避を進言したゴリアテの乗員も着けている。
- ↑ ただし、「ジ・アート・オブ 天空の城ラピュタ」に掲載された準備稿には、ムスカが将軍に対し面従腹背しているきらいはあるが、「シータにロボットを見せるように将軍に対して進言する」「将軍がラピュタ探索の指揮官に任命された際に祝辞を述べる」「ゴリアテの乗員に対し将軍を収容するように指示する」「ムスカの諫言を将軍が率直に受け入れる」等、それほど対立している様子は描かれてはいない。
- ↑ 厳密には、落ちていった将軍以下の兵士たちが直接海に叩き付けられて死ぬ瞬間などは描かれていないため、全員消息不明となったのであるが助かる可能性はほぼ皆無であり、ムスカは彼らに「死ね!」と殺意を露にしていた。展望室から逃げ出すことができた兵士達も、ロボットに追撃されてラピュタより真下の海上へ転落し、なんとかゴリアテに乗り込めた者達もムスカと戦おうとしたためムスカが出撃させたロボットの大群にゴリアテを破壊されて運命を共にした。なお、ゴリアテにはロケット艇が3機搭載されていたが、それで脱出して生存できた兵士がいるかは不明。少なくとも兵の生存を窺わせるような描写は一切ない。
- ↑ このシーンでは、シータが祖母に抱きついて啜り泣いているのみだが、後に発売されたブルーレイ版により、可愛がっていたウサギが見つからなかったことが理由であると判明。これは、特典映像の「オリジナル脚本」の中で確認できる。
- ↑ 舵輪を握って操船していたのは、パズーの父である。
- ↑ プラトンの著書に『天空の書』なる書籍は存在しない(プラトンの項を参照)
- ↑ これらは物語が進行しないので省略された[14]
- ↑ 劇中では大きすぎるという理由で城のみが描かれた[14][17]
- ↑ 宮崎によると「表向きには、たまたま木が生えただけで、理屈はどうでもいい」とのこと[14]
- ↑ エンスカイ製 80ピース 天空の城ラピュタ テスト飛行 80-F003
- ↑ ムスカはゴリアテがラピュタの力に恐れて逃げずに自分と戦う判断をした事を嘲笑していた。
- ↑ 時速の0km/hはホバリングができることを意味している。
- ↑ サントラ所収「ロボット兵(復活〜救出)」
- ↑ 対象に反応して発光したり信号音も出す
- ↑ 徳間ジャパンにかつて存在したアニメ系楽曲のレーベル。1986年発売当時は同レーベルよりリリースされた。
- ↑ オーニソプターに乗って空を飛ぶパズーの実写イメージ映像が使われていた。
- ↑ キネマ旬報では7億円となっている[34]。
- ↑ ムスカの所持する銃エンフィールドNo.2が実際に開発されたのは西暦1927年。
- ↑ 鈴木敏夫は、「宮崎駿は、ムスカが好きなんです。(中略)ああいう人に対して、自己投影しているんですね。ドーラは、『ラピュタ』の制作中に亡くなったお母さんですし。でも、キャラクターに自己や母親を投影してるなんて、本人にしたら恥ずかしいことで、人には言われたくなかったんでしょう」とコメントしている。『文春ジブリ文庫 ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ』「借金を背負って発足した『スタジオジブリ』」60頁
- ↑ 宮崎駿の実弟、宮崎至朗は、「試写会の後、私にはわかったような気がした。あれは駿兄貴が映像を通してオフクロに送った、無器用だが精一杯のはなむけだったのかもしれないと」とコメントしている。初出は1989年に発行の『アニメージュ特別編集ガイドブック 魔女の宅急便』(徳間書店)。これは『文春ジブリ文庫 ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ』に「家族の風景-兄・宮崎駿」として掲載されている。
- ↑ ゴリアテが撃沈された際のムスカの台詞「見ろ、人がゴミのようだ!」の時点でサーバーが落ちることが多い[53][54]。
- ↑ 元ネタは2015年のM-1グランプリでタイムマシーン3号が披露した漫才から。
- ↑ 同梱書籍である為、価格やISBNコードの記載はない。
- ↑ ハードカバー版は当初、単体発売が予定されており、DVDパッケージに同梱された関連商品の紹介チラシにも記載されていたが、DVD発売時点では発行中止が決定されており、訂正の注意書きも同梱されていた。
出典
- ↑ 尾形英夫 『あの旗を撃て 『アニメージュ』血風録』 オークラ出版、2004年、239。ISBN 978-4-77-550480-2。
- ↑ 切通理作 『宮崎駿の<世界>』 筑摩書房・ちくま新書、2001年、27。ISBN 4480059083。
- ↑ 宮崎駿 『『天空の城ラピュタ』企画原案」『出発点 1979〜1996』』 徳間書店、1996年、394-395。ISBN 978-4-19-860541-4。
- ↑ 鈴木敏夫「宮崎・久石コンビはこうして生まれた」(「久石譲in武道館」チラシより) セブンネットショッピング内スタジオジブリ専門店
- ↑ 尾形英夫 『宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由』 朝日新聞出版、2008年、39。ISBN 978-4-02-273221-7。
- ↑ 宮崎駿 『「天空の城ラピュタ」劇場パンフレット』 スタジオジブリ、1986年、14-15頁。
- ↑ 天空の城ラピュタGUIDEBOOK復刻版84ページより。
- ↑ 叶精二 2006, p. 98
- ↑ (当時、宮崎は「ポムじいは何者だと思うか?」と隣にいた演出家に問うており、絵コンテを読み込んでいた演出がこの説を語ると、肯定も否定もしなかったものの、机で鼻歌を歌ったという。「もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代-」木原浩勝(講談社)
- ↑ 『THE ART OF LAPUTA』より
- ↑ 11.0 11.1 ジブリ・ロマンアルバム「天空の城ラピュタ」p.108
- ↑ 「天空の城ラピュタ」劇場パンフレットのストーリー解説
- ↑ 13.0 13.1 13.2 13.3 13.4 13.5 13.6 宮崎駿 『「天空の城ラピュタ」劇場パンフレット - 企画制作メモ』 スタジオジブリ、1986年、4-5頁。
「スタジオジブリ作品関連資料集1」「天空の城ラピュタ」劇場パンフレットに掲載された宮崎による企画制作メモ (P.83) - ↑ 14.0 14.1 14.2 「ロマンアルバム 映画天空のラピュタGUIDEBOOK 復刻版」(徳間書店、p.83、宮﨑の発言)
- ↑ 「もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代-」木原浩勝(講談社、p.148)
- ↑ 16.0 16.1 16.2 ジブリ・ロマンアルバム「天空の城ラピュタ」p.132
- ↑ 毎日新聞(1986年8月3日、宮﨑への学生のインタビュー)
- ↑ 「天空の城ラピュタ」劇場パンフレットのラピュタの解説
- ↑ 『ジブリ・ロマンアルバム 天空の城ラピュタ』にも、同様の記述がある。
- ↑ ジブリ・ロマンアルバム「天空の城ラピュタ」p.95
- ↑ ジブリ・ロマンアルバム「天空の城ラピュタ」p.105
- ↑ ジブリ・ロマンアルバム「天空の城ラピュタ」p.109
- ↑ ジブリ・ロマンアルバム「天空の城ラピュタ」p.125
- ↑ アニメージュ編集部『THE ART OF LAPUTA』徳間書店 1986年
- ↑ “君をのせて”. @ ELISE(アットエリーゼ). . 2016閲覧.
- ↑ “ハトと少年”. @ ELISE(アットエリーゼ). . 2016閲覧.
- ↑ “STS-131ミッション 飛行4日目開始”. JAXA宇宙航空研究開発機構 宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター (2010年4月7日). . 2016閲覧.
- ↑ “第41回毎日映画コンクール”. 毎日新聞. . 2016閲覧.
- ↑ “第60回キネマ旬報 ベスト・テン”. キネマ旬報. . 2016閲覧.
- ↑ 30.0 30.1 叶精二 2006
- ↑ 参考:一般社団法人日本映画製作者連盟[1]
- ↑ 32.0 32.1 32.2 DVD「風の谷のナウシカ」特典ディスク『ジブリはこうして生まれた。~再現映像で綴る誕生物語~』、2003年。
- ↑ 33.0 33.1 33.2 33.3 叶精二 2006, p. 104
- ↑ 「邦画フリーブッキング配収ベスト作品」、『キネマ旬報』1987年(昭和62年)2月下旬号、キネマ旬報社、1987年、 129頁。
- ↑ 35.00 35.01 35.02 35.03 35.04 35.05 35.06 35.07 35.08 35.09 35.10 35.11 35.12 35.13 35.14 35.15 35.16 35.17 35.18 35.19 35.20 35.21 35.22 35.23 35.24 叶精二 2006, p. 101
- ↑ 36.0 36.1 36.2 36.3 叶精二 2006, p. 103
- ↑ 横山宗喜「熾烈な戦い"テレビ放映権"」『あの旗を撃て 『アニメージュ』血風録』尾形英夫、オークラ出版、2004年、pp.289-290
- ↑ 38.0 38.1 38.2 38.3 “「天空の城ラピュタ」視聴率17.9%!テレビ放送15回目も根強い人気”. スポニチ Sponichi Annex. (2016年1月18日) . 2016閲覧.
- ↑ “「天空の城ラピュタ」視聴率14・4% テレビ放送16回目も安定の人気”. スポニチ Sponichi Annex. (2017年10月2日) . 2017閲覧.
- ↑ 『風の帰る場所』(p.290)
- ↑ 『ロマンアルバム 映画天空のラピュタGUIDEBOOK 復刻版』(徳間書店、p.78、宮﨑駿の発言)
- ↑ 『映画天空のラピュタGUIDEBOOK』徳間書店、1986年、p.79 - )
- ↑ ニコニコ映画実況 ~天空の城ラピュタ~ みんなで一緒にジブリ作品を見よう<テレビ実況生放送> - 2013/08/02 20:40開始 - ニコニコ生放送 42分頃の鈴木敏夫の発言
- ↑ スタンリー@金曜ロードSHOW! 公式
- ↑ 45.0 45.1 『ロマンアルバム 映画天空のラピュタGUIDEBOOK 復刻版』(徳間書店、宮﨑駿の発言)
- ↑ 鈴木敏夫「あのーね、ドーラって自分のお母さんがモデルなんですよねぇ。やっぱり性格。であのー二人の息子を相手にね、色々やってるでしょう。あれも自分のお母さん。で実はねこの映画作ってる時にね亡くなっちゃったんですよね。だからもう、ほんとど真ん中でね、葬式があったりして。で宮さんてねお母さん孝行だったから、ま辛い思いしたと思いますけれどでも、ドーラをモデルにして、そうやって映画の中で描けた事は喜んでましたよね」 - ニコニコ映画実況 ~天空の城ラピュタ~ みんなで一緒にジブリ作品を見よう<テレビ実況生放送> - 2013/08/02 20:40開始 - ニコニコ生放送 53:28
- ↑ 『ロマンアルバム 映画天空のラピュタGUIDEBOOK 復刻版』(徳間書店、p.84、宮﨑駿の発言)
- ↑ 『ふしぎの海のナディア絵コンテ全集』第1巻「ナディア懴悔話〜第1回 ナディア誕生秘話」
- ↑ 荻上チキ 『ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性』 筑摩書房、2007年、163-164頁。ISBN 978-4480063915。
- ↑ いつものジブリ日誌12月13日(金)(スタジオジブリ)
- ↑ いつもの「呪文」で2ちゃんねるが潰れそうになるほど高負荷、やじうまWatch、2007年6月19日
- ↑ お待ちかね「バルス」の天空の城ラピュタがまもなく放送!、やじうまWatch、2009年11月20日
- ↑ 53.0 53.1 ITmediaねとらぼ:Twitterサーバ、「バルス」に勝つ、ITmedia ニュース、2009年11月24日
- ↑ 54.0 54.1 Twitterサーバ、バルスに勝つのも当然?、ITmedia ニュース、2009年11月30日
- ↑ “ツイート毎秒新記録達成 2万5088 TPS - 日本の「天空の城ラピュタ」放映で”. TechCrunch. . 2011閲覧.
- ↑ 「バルス」秒間14万3199ツイート デマもびっくり過去最高の4倍超に、ITmedia ニュース、2013年8月3日
- ↑ “[天空の城ラピュタ]15回目のテレビ放送 “バルス祭り”の時間予想企画も”. マイナビニュース (2016年1月5日). . 2016閲覧.
- ↑ “「バルス」1分間で34万5397ツイート 今年も盛り上がる”. ORICON STYLE (2016年1月16日). . 2016閲覧.
- ↑ “タニタがバルスと「滅びの呪文」対決 負けたら社名を1日「バルス」に”. ねとらぼ (2016年1月14日). . 2017年10月23日閲覧.
- ↑ “「バルス!」に負けたタニタ、公約通り社名を「株式会社バルス」に”. ねとらぼ (2017年10月23日). . 2016年8月29日閲覧.
- ↑ イマツイ編集部(@imatsui_desk) (2017年9月30日). “「本日の#バルス祭り は」”. Twitter. . 2017年10月23日閲覧.
- ↑ 天空の城ラピュタ よくある質問(駿宮崎ウェブ、英語)
- ↑ 「音楽家 久石譲」『鈴木光司対談集 天才たちのDNA』鈴木光司、マガジンハウス、2001年、ISBN 4838712375、pp.152-153
参考文献
- 叶精二 『宮崎駿全書』 フィルムアート社、2006年。ISBN 4845906872。
関連項目
- 登場するメカニックのモデル
- 関連のある作品
- その他
外部リンク
- 「スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI」公式サイト
- テンプレート:Jmdb title
- 天空の城ラピュタ - allcinema
- 天空の城ラピュタ - KINENOTE
- 天空の城ラピュタ - Movie Walker
- 天空の城ラピュタ - 映画.com
- Castle in the Sky - AllMovie(英語)
- | sub | s=0000000092067 | -7 }}/ Castle in the Sky - インターネット・ムービー・データベース(英語)
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードショー(2004年12月24日放送分)
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードショー(2007年6月15日放送分)
- 天空の城ラピュタ - 金曜ロードショー(2009年11月20日放送分)
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