大韓民国の経済

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大韓民国の旗 大韓民国の経済[1]
通貨 大韓民国ウォン (KRW)
会計年度 暦年1月1日-12月31日
貿易機関 APECWTOOECD
経済統計
名目GDP 8,003億ドル (2009年推計)
GDP(PPP) 1兆3,430億ドル (2009年推計)
実質GDP成長率 -0.8% (2009年推計)
一人当りGDP(PPP) 3万5,485ドル (2014)
部門別GDP 農業 3%
工業 39.5%
サービス業 57.6% (2008年推計)
インフレ率 (CPI 2.8% (2009年推計)
貧困線未満の人口 15% (2003年推計)
労働人口 2,437万人 (2009年推計)
部門別労働人口 農業 7.2%
工業 25.1%
サービス業 67.7% (2007年)
失業率 4.1% (2009年推計)
主要工業部門 電子機器、通信機器、自動車、化学、造船、鉄鋼
貿易
輸出 3,551億ドル (2009年推計)
輸出品 半導体、通信機器、自動車、コンピュータ、鉄鋼、船、石油化学製品
主要輸出相手国 中華人民共和国の旗 中国 21.4%
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 10.9%
日本の旗 日本 6.6%
香港の旗 香港 4.6% (2008年)
輸入 3,134億ドル (2009年推計)
輸入品 機械類、電子機器とその部品、原油、鉄鋼、輸送機器、有機化学製品、プラスチック
主要輸入相手国 中華人民共和国の旗 中国 17.7%
日本の旗 日本 14%
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 8.9%
サウジアラビアの旗 サウジアラビア 7.8%
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 4.4%
オーストラリアの旗 オーストラリア 4.1% (2008年)
財政状況
歳入 1,915億ドル(2009年推計)
歳出 2,272億ドル(2009年推計)
国家借入金 GDPの28%(2009年推計)
外貨準備 2,459億ドル(2009年12月31日推計)
対外債務 3,336億ドル(2009年12月31日推計)

大韓民国の経済(だいかんみんこくのけいざい)では、大韓民国国民経済について述べる。

韓国経済は朝鮮戦争による内戦でインフラが壊滅したことで大きく立ち後れていたが、所謂漢江の奇跡と呼ばれる経済発展以降は成長を続け、2008年の経済規模(GDP)で世界15位であり[2]、2006年にはおよそ東京都レベルにあった[3] 。主要な産業はIT、造船、鉄鋼、自動車など。またファンドなどの金融が急成長を見せており、韓国国内外合わせたファンド投資の総評価差額は07年には総額44兆2393億ウォン(約5兆3122億円)に達し、06年の10兆2222億ウォン(約1兆2274億円)の4.3倍に膨れ上がった。海外ファンドのみの評価差益は207億ドルであり、07年の貿易収支黒字の推定値である150億ドルの1.4倍に達している。[1] 新興工業経済地域(NIEs)の一つに数えられた時期を経て、1996年にアジアで2番目のOECD(経済協力開発機構)加盟国になった。


財閥による支配

韓国の経済は、そのほとんどを三星財閥LGグループSKグループおよび、分割された現代財閥、解体された大宇財閥の系列企業で占められており、その構造的な問題点を指摘する声もある。

2011年の財閥(チェボル、ko:재벌)10社の売上高は946兆1000億ウォン(約66兆円)で、韓国の国内総生産の76.5%に及び、その比率はサムスングループが21.9%、現代・起亜自動車グループが12.6%、SKグループが11.7%、LGグループが9.0%、GSグループが5.4%、現代重工業グループが5.0%、ロッテグループが4.5%、ハンファグループが2.8%、韓進グループが1.9%、斗山グループが1.7%となっている[4]

サムスンへの依存の高さ

韓国のGDPにおいて三星財閥に依存する割合が高く、現在韓国のGDP(国内総生産)の18%、輸出の21%も占めている[5]

経済的な構造

韓国は天然資源に乏しく、資材を輸入し製品を輸出するという貿易立国である。

アジア通貨危機

1997年アジア通貨危機のため、韓国経済は大きな危機に直面し、大量倒産や失業と財閥解体が起こった。韓国は国際通貨基金(IMF)の管理下に入り、経済支援を受けた。金大中政権(「朝鮮戦争以来の国難」を受けて発足した野党政権)による、現代財閥の分割や大宇財閥の解体などが行われた。この危機時の借入金は、のちにIMFに対しては2001年8月、アジア開発銀行に対しては2005年までに完済された[6]

韓国経済の問題点

アジア通貨危機以前は、多くの財閥企業が存在し、傘下の企業が過当競争を繰り広げていたが、IMF管理下で市場の寡占化と外資導入が進んだ。市場の寡占化の結果、企業は国内では海外よりも高値で販売して利益を上げている。大手輸出企業は外国人株主が半数を占めることになり、銀行は外国人株主の比率が7割から8割になった。中には100%外資という銀行もある。大手輸出企業は人件費を切り下げて競争力を高め、グローバル市場で競合に打ち勝って利益をあげており、さらに税制優遇措置を受けている。また、社会保障の支出は対GDP比7.7%と、OECD加盟国中でも極端に低く、最下位である。このように従業員や消費者よりも株主を優遇する経済構造となっている[7]

アジア通貨危機による経済的な危機から脱却して以降は、半導体インターネット関連事業の成長により、貿易が黒字基調に転化した。その一方で、通貨危機以前は比較的緩やかだった貧富の差が拡大する傾向にある。金大中政権でのクレジットカード振興策によって2000年頃よりクレジットカードの利用が増加し、内需拡大の一端ともなったが、2003年頃には自己破産が急増し国内での信用不安が高まったため、金融恐慌状態となり内需不振となった。2005年〜2006年にかけても国内消費の低迷をはじめ原油高、ウォン高などの不安材料もあり、経済成長の鈍化を懸念する声もある。2000年頃から、人件費が安く、消費が拡大している中国などに生産拠点を移す韓国企業も増えてきており、産業の空洞化も懸念されている。

特に近年、中国の安い人件費に抗えず、かといって日本の先端化された技術に追いつくこともできないというジレンマに陥っており、韓国内ではこれをサムスングループ総帥の李健熙[8][9]らがサンドイッチに喩えたことから「日中サンドイッチ論」と呼ばれている。 現在は円キャリー取引などの一環で外国人投資家の投資が集中しており、それに伴うウォン高、不動産価格の上昇などが不安定要因として存在している。

韓国経済は輸出依存度および貿易依存度が非常に高く、その一方で内需に乏しいために世界経済の影響を受けやすい傾向にあり、これが過去のアジア通貨危機における経済危機の主因となった。貿易依存度は盧武鉉大統領の時代は50〜60%であったが、リーマン・ショック後に更に高まり、2011年には96%となっている。ちなみに日本は27%、アメリカは25%、中国は40%、ドイツは60%である。輸出は相手国との政治的な要因によって上下動する傾向があるため、内需の拡大こそが安定した経済基盤を作るという主張が国内でなされているが実現に至っていない。

韓国の対外輸出の増加にともない、日本からの部品輸入や日本への特許使用権料の支払いが増加しており、戦後一貫して韓国の対日貿易は赤字が続いている。2007年度には対日貿易赤字が過去最高の289億ドル(約3兆2000億円)に達し[10]、その原因として技術、部品、素材など、あらゆる面で日本への依存度が極めて高く、市場においては韓国製品の信頼性は日本製の物に比べ著しく劣り、韓国製品の日本輸出が難しいという問題があるとされている。[11]「韓国が世界貿易で稼いでも、その半分以上を日本へ引き渡している構図である」[12]との指摘もある。この構図から、「韓国は日本の鵜飼いの鵜」と比喩されている。格付け機関の米スタンダード・アンド・プアーズは、北朝鮮問題、労働市場改革の遅れ、中小企業の経営再建の遅れ、国内の負債が国内総生産(GDP)比34%に達するなど負債規模が大きいなどのマイナス要因から2005年7月に韓国の格付けを「A‾」から「A」に1段階引き上げた後、格付けを据え置いている[13]。 OECD加盟国の債務比率の平均は77%であり、韓国は平均を大きく下回っている。租税負担率も20%台であり、これもまたOECD加盟国平均租税負担率の30%を下回っている。[2][3]

2012年時点で個人と非営利団体、民間企業(金融除く)、一般政府の負債総額が3607兆3000億ウォン(約307兆8200万円)に達し、2012年の名目GDP(1272兆5000億ウォン)に対する負債総額比率は過去最大の283%となっている[14]

また、韓国では労働時間が長い。経済協力開発機構の調査では、2014年の韓国の年間労働時間は2057時間で、メキシコ(2327時間)、チリ(2064時間)に次いで3番目に長い[15]

経済指標

経済成長率

2004年:4.7%
2005年:4.0%
2006年:5.0%
2007年:5.0%
2008年:2.2%
2009年:0.2%
2010年:6.2%
2011年:3.6%

※外務省北東アジア課『韓国経済の現状と日韓経済関係』より。[16]

インフレ率

2003年:3.5%
2004年:3.6%
2005年:2.8%
2006年:2.2%
2007年:2.5%
2008年:4.7%
2009年:2.8%
2010年:3.0%
2011年:4.0%

※韓国統計庁データベースより。[17]

失業率

2003年:3.6%(13.0%,7.7%)
2004年:3.7%(14.1%,7.9%)
2005年:3.7%(12.5%,7.7%)
2006年:3.5%(10.4%,7.7%)
2007年:3.2%(9.3%,7.1%)
2008年:3.2%(10.2%,7.0%)
2009年:3.6%(12.2%,7.9%)
2010年:3.7%(11.9%,7.8%)
2011年:3.4%(10.8%,7.4%)

※カッコ内は15歳~19歳,20歳~29歳の若年失業率。求職断念者と不就業者は統計に含めず。 韓国統計庁データベースより。[18] 韓国では失業者の定義が非常に狭く、働いていない多くの人が失業者として扱われていないという。2011年10月27日の東亜日報の記事では、国際労働機関(ILO)標準のアンケート方式で調査すると、潜在失業率は21.2%に上るとされている。韓国の失業率はOECD加盟34カ国中トップクラスの低さであるが、就業者率では下から数えたほうが早い。

脚注

文献情報

  • 「韓国「財閥」の所有構造と経営パフォーマンス」飯島高雄(慶應義塾大学 日本金融学界2004年度秋季大会2004年)[4][5][6]

関連項目