大阪市高速電気軌道南港ポートタウン線

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南港ポートタウン線(なんこうポートタウンせん)は、大阪府大阪市住之江区コスモスクエア駅から住之江公園駅を結ぶ大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) のAGT路線。愛称はニュートラム駅番号を表す際に用いられる路線記号は「P[1]ラインカラーは海と空を模した水色(セルリアンブルー 20px)である。

概要

大阪南港咲洲に造られた住宅団地南港ポートタウンやフェリーターミナルへの交通手段として1981年に住之江公園駅 - 中ふ頭駅間が開業した。神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)に次ぐ日本で2番目の本格的なAGTの路線で、公営交通地方公営企業である交通局)のAGT路線としては初であり、2008年に東京都交通局日暮里・舎人ライナーが開業するまでは公営交通による唯一のAGT路線であった。

すべての駅が開業時からホームドア設置の島式ホーム1面2線(停車時は終点駅以外は進行方向から向かって右側の扉が開く)となっている。両端駅はOsaka Metroの地下鉄路線と改札内で乗り換えすることができ、運賃も地下鉄と一体計算されるため、実質Osaka Metroの1路線のような扱いとなっている(運賃額は「大阪市営地下鉄#普通旅客運賃」を参照)。

駅構内案内表示板における案内表記は、開業当時から「ニュートラム」で統一されていたが、近年更新された案内表示では「南港ポートタウン線」へと変更されている。地下鉄では長らく「ニュートラムはお乗り換えです」と案内していたが、2014年3月頃から「ニュートラム南港ポートタウン線はお乗り換えです」と放送が変更されている[2]

駅により、列車発着案内が開業時からの反転フラップ式表示のものや、1997年のOTS開業時LED表示のものに変更されているものと統一されていなかったが、2012年3月より、カラーLED式の発着案内表示機に全駅で交換された。

南港ポートタウン線は歴史的経緯(後述)により、距離を示すキロポストが2つに分かれている(矢印の方向にキロ数が増える)。

  • (中央線大阪港駅→)コスモスクエア駅→中ふ頭駅:OTSの南港・港区連絡線として開通した区間を大阪港起点でキロポストを打っているため。
  • 中ふ頭駅→住之江公園駅:中ふ頭起点でキロポストを打っているため。

路線データ

  • 管轄・路線距離(営業キロ):全長 7.9 km
  • 案内軌条:側方案内式
  • 駅数:10駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電気方式:三相交流 600 V・60 Hz(側方接触式・三線剛体架線方式)
  • ホーム有効長:50 m
  • 最大停車車両数:6両(現在は4両で運行)
  • 混雑率(コスモスクエア方面行き):74%(2009年度:住之江公園駅→平林駅間)
  • 混雑率(住之江公園方面行き):72%(2009年度:コスモスクエア駅→トレードセンター前駅間)

コスモスクエア駅 - トレードセンター前駅間と中ふ頭駅 - フェリーターミナル駅間は鉄道事業法による鉄道、トレードセンター前駅 - 中ふ頭駅間とフェリーターミナル駅 - 住之江公園駅間は軌道法による軌道となっている。

運行形態

ファイル:NT SHAKO1.JPG
ニュートラム車両基地(旧WTCコスモタワー・展望台より)

コスモスクエア駅 - 住之江公園駅間全線通し運転の列車のほかに、車両基地のある中ふ頭駅を始発・終着とする列車として、早朝および朝夕のラッシュ時間帯前に中ふ頭発コスモスクエア行きが、朝夕のラッシュ時間帯後および深夜に住之江公園発中ふ頭行きが運転される。また、深夜にはコスモスクエア発中ふ頭行きの列車も運転される。

日中は約6分間隔で運行する。また、地下鉄に比べて車両全体の定員が少ないため、住之江でのボートレース開催時や南港の咲洲地区にあるアジア太平洋トレードセンター (ATC) 大阪府咲洲庁舎(コスモタワー)、インテックス大阪でのイベント開催時にはイベントなどの来場者に合わせた増発ダイヤとなる。臨時ダイヤは平日用のA1・A2と休日用のM1・M2・M3の5種類あり、イベント開催の集客数などで臨時ダイヤの種類が決まる。臨時ダイヤの場合は常設の時刻表近くに「本日は臨時ダイヤです」と表示される(場所によっては臨時ダイヤそのものが掲示されたり、5種類の臨時ダイヤが常に掲示されているところもある)。臨時ダイヤの種類の判別は、臨時ダイヤ表の右下に「M1」といった記載があるのでそれで判別できる。

南港ポートタウン線は自動列車運転装置 (ATO)・自動列車制御装置 (ATC) による無人自動運転を行っている。しかし、1981年の開業当時は無人運転の前例がなく、無人運転システムへの理解と信頼が得られるまで乗務員を添乗させて監視を行っていた(同年開業のポートライナーも当初は乗務員添乗)。1991年から無人運転が一部の列車で開始され、その後すべての列車に拡大されたが、1993年の住之江公園駅での車両暴走事故の後、しばらくは運転資格を持たない添乗員を添乗させて監視させていた。2006年のゆりかもめの車輪脱落事故の際には、乗務員を添乗させて有人手動運転を行っており、平日朝ラッシュ時等に乗務員の運転訓練のため、有人手動運転を行っている列車もある。

車両

現用車両

当初200系は朝ラッシュ時のみの運用であったが、徐々に日中のダイヤでも姿を見せ始めている。

過去の車両

歴史

OTSニュートラムテクノポート線の編入

コスモスクエア駅 - 中ふ頭駅間は大阪港トランスポートシステム (OTS) の南港・港区連絡線(ニュートラムテクノポート線)として1997年に開業した。

大阪府咲洲庁舎(コスモタワー、当時は大阪ワールドトレードセンタービルディング)やアジア太平洋トレードセンターなどがある南港コスモスクエア地区の交通を担っているが、運賃体系が異なっていた(2005年6月時点で大人全線230円均一)ため通算運賃が割高となり、利用者数が開業当初の見込みより低迷していた。そこで、大阪市交通局(当時)のニュートラムと運賃体系を統一することで運賃を値下げして利用者増加を図ることになり、大阪港トランスポートシステムは2005年2月9日に鉄道事業廃止届を提出するとともに、ニュートラムテクノポート線のコスモスクエア - トレードセンター前間の線路以外の施設と車両などを大阪市に売却し、第三種鉄道事業者として線路を第二種鉄道事業者となる大阪市交通局に貸与する形を採り、トレードセンター前 - 中ふ頭間については軌道事業を大阪市交通局に譲渡した。同年7月1日から大阪市交通局はこれらの区間を南港ポートタウン線の一部として運営することになった[3][4][5]。なお、2018年4月1日の大阪市営地下鉄民営化に伴い、当路線の運営も大阪市高速電気軌道に移管された。

また、それまで弁天町駅と南港を結び、OTS線に比べ運賃が安いため利用者もそれなりに多かった大阪市営バス44・44A系統(弁天町バスターミナル - ポートタウン東駅前・南港バスターミナル)が、上記のOTS線移管に伴う運賃の値下げにより乗客が減少することが見込まれるため、2005年8月16日から運行経路と区間が変更され、本数もこれまでより削減された(のちに同路線の南港への乗り入れもなくなった)。詳細は「大阪市営バス酉島営業所#44号系統」を参照。

また、2005年7月からの値下げなどの効果によりコスモスクエア駅、トレードセンター前駅の平均乗車人員は、値下げ前と比べて約 15 - 30%増えている[6]

年表

  • 1981年昭和56年)3月16日:中ふ頭駅 - 住之江公園駅間が開業。当初乗務員が添乗。
  • 1991年平成3年)10月20日:無人自動運転開始。
  • 1993年(平成5年)
    • 10月5日:住之江公園駅で車両暴走事故が発生し、車止めに衝突。乗客215人が負傷。全線運休となる。
    • 11月19日:乗務員添乗で運行再開。
  • 1997年(平成9年)
    • 10月31日:OTSニュートラムテクノポート線との相互直通運転の準備作業(試運転等)に伴い、全線終日運休。代行バス運行。
    • 12月18日:OTSニュートラムテクノポート線コスモスクエア - 中ふ頭間が開業し、相互直通運転開始[7]
  • 2000年(平成12年)2月20日:無人自動運転を再開。以降、ごくまれに有人手動運転が行われる。
  • 2005年(平成17年)7月1日:OTSニュートラムテクノポート線を編入。
  • 2006年(平成18年)4月15日16日:ゆりかもめ車輪脱落事故に対する警戒のため乗務員添乗で有人手動運転される。17日から無人運転を再開。
  • 2016年(平成28年)6月29日:200系車両営業運転開始[8]
  • 2018年(平成30年)4月1日:大阪市交通局の民営化により、大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) の路線となる。

駅一覧

全駅大阪市住之江区に所在。

駅番号 駅名 駅間
キロ
営業
キロ
接続路線
P09 コスモスクエア駅 - 0.0 大阪市高速電気軌道15px 中央線 (C10)
P10 トレードセンター前駅 0.6 0.6  
P11 中ふ頭駅 0.7 1.3  
P12 ポートタウン西駅 0.7 2.0  
P13 ポートタウン東駅 0.5 2.5  
P14 フェリーターミナル駅 1.5 4.0  
P15 南港東駅 0.8 4.8  
P16 南港口駅 0.6 5.4  
P17 平林駅 1.3 6.7  
P18 住之江公園駅 1.2 7.9 大阪市高速電気軌道:15px 四つ橋線(Y21)

輸送実績

調査年月日 乗車人員(人) 降車人員(人)
定期利用 定期外利用 合計 定期利用 定期外利用 合計
1998年11月10日 17,281 13,093 30,374 17,070 12,776 29,846
2007年11月13日 13,977 16,482 30,459 15,416 17,038 32,454

駅別乗降人員

脚注

  1. nanko Port town。Nが長堀鶴見緑地線 (Nagahori Tsurumi-ryokuchi) で使われたため。堺筋線とともに、路線記号がローマ字表記の頭文字になっていない。参照:地下鉄・ニュートラムの路線名及び駅名への記号・番号表示について (Internet Archive) - 大阪市交通局、2004年2月24日。
  2. 厳密には「ニュートラム」は新交通システムの愛称であり、路線の愛称ではない。
  3. OTS線鉄道料金 平成17年7月下旬値下げに向けて手続きを行います」(InternetArchive) 大阪市交通局、2005年2月9日。
  4. OTS線の事業主体変更等に向けた申請書・届出書の提出について (PDF) (InternetArchive) 大阪市交通局、2005年4月21日。
  5. OTS線を交通局が一体的に運営し、通算料金とします (PDF) (InternetArchive) 大阪市交通局、2005年6月7日。
  6. 咲洲コスモスクエア地区の状況 (PDF) (Internet Archive) - 大阪市交通局、2005年12月。
  7. 鉄道ジャーナル』第32巻第3号、鉄道ジャーナル社1998年3月、 56-57頁。
  8. 笑顔もカラフル 大阪ニュートラム、25年ぶり新型車両 - 朝日新聞デジタル、2016年6月29日

関連項目

外部リンク

テンプレート:大阪市高速電気軌道の路線