外郭団体
テンプレート:言葉を濁さない 外郭団体(がいかくだんたい)とは、日本に於いて、官公庁の組織の外にありながら、その官公庁から出資・補助金を受けるなどして補完的な業務をおこなう団体のこと。事業・活動の内容や人事などの面で所管官公庁と密接な関連をもつが、設立の経緯、目的、組織形態、所管官庁の出資割合や出向職員数について、そのあり方は多種多様である。所管特例民法法人(2008年12月までの公益法人)、監理団体、出資法人など、所管官庁によってさまざまな呼称がある。
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概要
外郭団体は、主に特例民法法人及び公法人並びに特殊法人(「財団法人」ないし「社団法人」及び「独立行政法人」並びに「法人格のない財団」(いわゆる「任意団体」)等)の形態をとっている。昭和50年代以降にいわゆる行革・民活を推進する中で、行政組織を縮小しつつ、増大する行政ニーズに応えるために設立された団体も多い。
監督官庁の退職者(いわゆる天下り)ないし出向者が、その能力・経験・人脈などを生かして役員や幹部職員に就任することも多かったが、近年の天下り批判に対応して、独立行政法人などは役員や幹部職員を公募する例も増えてきている。
日常業務はその外郭団体の正職員や臨時職員によって行われる。この幹部対一般職員間のヒエラルキーは大変強く、外郭団体の生え抜き正職員(≒「プロパー」と言われる)がその団体の理事等に就任することは少ないが、近年ではプロパー上がりの役員(常勤の理事長及び専務理事並びに常務理事等)もしばしば存在する。
また、監督官庁職員の人件費を見かけ上少なくするために職員を出向させる受け皿として設立される場合も見られる。本来的には請け負い業務が減少すれば統廃合をするのが正道である。
職員の身分と待遇
多くの団体においては、職員は公務員ではないものの公務員と同等の待遇で扱われ、監督官庁の給与表が「準用」される。給与面では「平均的」に公務員とほぼ同じであるが、結局は民間団体であるため具体的な設定は自由で、同一地域、同一監督官庁であっても、個々の団体自体ないしはその会員の財政状況等によって落差がある。
給与及びその他共済制度等の待遇面では、黒字団体ではむしろ公務員より上(民間の大手黒字企業と同様)で、赤字団体では公務員より下(赤字企業並)であり、結局、名目上は「公務員のものを準用」とあっても、あくまでも概ねの目安であって、実質あまり意味を持たない。また、労働組合の力が強ければ団体職員の待遇は良好であるが、弱いと待遇が悪く、監督官庁からの派遣職員と団体生え抜き職員に明確な差がある傾向がうかがえる。特に、法人格のない財団及び事務局内が小規模である団体等、そもそも労働組合自体が存在しない団体では、就業規則及び給与規程等の福利厚生面での規程が簡素、ないしは厳密であっても全然遵守されない傾向があり、採用時の給与規程上の等級及び役職と経歴及び年齢との関係が非常に曖昧で、正職員が無条件でほぼ最低等級からスタートするのに対し、監督官庁からの派遣職員は無条件で高級からスタートする傾向がある。年次有給休暇についても同様である。更に、本来使えるはずの特別休暇も実際は使わせてはもらえず、長期に亘る出産休暇及び病気療養等で年次有給休暇の消費を余儀なくさせられる場合もある。
近年、地方公共団体の財政悪化などに伴い、統廃合される外郭団体も出てきている。特定独立行政法人等のごく一部の公務員型のみ、出向している公務員は元の監督官庁に復帰するが、それ以外であれば非公務員型で、外郭団体に天下りした時点で退職なので、高額な退職金を税金もしくは団体の財源から支給される。反面、身分は普通の民間人であるので、監督官庁には復帰はできず、更なる外郭団体に再天下りするか、民間企業の役員に迎え入れられる。それに対して、外郭団体のプロパー職員は団体の統廃合に伴い、解雇される場合もある。その際も当然、職員に対して退職金が支給される。退職後、別の外郭団体に再就職する場合が多いようである。ただし、労働組合の力が弱い団体及び法人格のない財団並びに労働組合を持たない団体では、職員規程等がいい加減で、退職金が満足に支払って貰えないこともある。逆に労働組合の力が強すぎ、幹部と激しく対立を繰り返していると、団体統廃合後にプロパー職員の再就職先を紹介して貰えないこともある。
主な外郭団体の例と関連する省庁・自治体
- 国の外郭団体
- (特殊会社) 日本郵政株式会社 - 総務省 情報流通行政局
- (特殊会社) 日本郵便株式会社 - 総務省 情報流通行政局
- (特殊会社) 株式会社ゆうちょ銀行 - 総務省 情報流通行政局
- (特殊会社) 株式会社かんぽ生命保険 - 総務省 情報流通行政局
- (特殊法人) 日本放送協会 - 総務省 情報流通行政局
- 一般財団法人 全日本交通安全協会 - 国家公安委員会及び警察庁 交通局
- 一般社団法人 大日本猟友会 - 環境省 総合環境政策局
- (法人格のない財団) 総合健康保険組合協議会(総合型又は連合型の任意加入に拠る健康保険組合の集合体) - 厚生労働省 保険局
- (特殊法人) 日本年金機構(旧社会保険庁) - 厚生労働省 年金局
- (公法人) 全国健康保険協会(旧政府管掌健康保険) - 厚生労働省 保険局
- (特別民間法人) 社会保険診療報酬支払基金(2003年(平成15年)10月1日 特殊法人から改組) - 厚生労働省 保険局
- (特別民間法人) 中央職業能力開発協会 - 厚生労働省 職業能力開発局
- (特殊会社) 東日本高速道路株式会社 - 国土交通省 道路局
- (特殊会社) 西日本高速道路株式会社 - 国土交通省 道路局
- (特殊会社) 中日本高速道路株式会社 - 国土交通省 道路局
- (一般の)独立行政法人 国際協力機構 - 外務省 国際協力局
- (一般の)独立行政法人 国際交流基金 - 外務省 国際協力局
- 公益財団法人 日本国際連合協会 - 外務省 国際協力局
- (一般の)独立行政法人 日本学術振興会 - 文部科学省 科学技術・学術政策局
- 公益財団法人 日本生産性本部 - 経済産業省 経済産業政策局
- 社団法人 日本産業訓練協会 - 経済産業省 経済産業政策局
- (特殊法人) 日本中央競馬会 - 農林水産省 生産局
- 都道府県の外郭団体
所管部署の名称は一例で、実際は差異がある。
- 市区町村の外郭団体
以下の例は、全ての市区町村に存在するわけではなく各自治体によって設立団体は異なる、また各自治体により名称が異なる場合があるので、一例として以下に記した。 また、自治体名を先頭に付けることが多い。例:○○市運輸振興協会
- 財団法人市区町村交通安全協会(各交通安全協会の名称に市区町村の地名の部分は含まれても、「市区町村」という文字は含まれず、市区町村単位ではなく都道府県単位で管理される。): 都道府県公安委員会及び警視庁・道府県警察並びに都道府県庁環境部交通課(部署の名称にバラつきあり)
- 法人格のない財団 市区町村猟友会(各猟友会の名称に市区町村の地名の部分は含まれても、「市区町村」という文字は含まれず、市区町村役場ではなく都道府県庁から管理される。また、これ自体は法人格及び事務所の何れも持たない個人事業主で、銃砲店等が片手間程度に事務を担当するので、監督官庁の丸投げ先にはなっても、決して天下り先にはならない。その点が、法人格及び独自の事務所を持つ上部猟友会及び市区町村交通安全協会等とは著しく異なる。)
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関連項目
外部リンク
- 国
- 内閣府施設等機関・所管の法人等
- 総務省所管公益法人一覧
- 法務省所管特例民法法人一覧表
- 外務省: 外務省所管特例民法法人一覧
- 財務省所管特例民法法人一覧
- 文部科学省所管特例民法法人一覧
- 厚生労働省所管特例民法法人
- 農林水産省所管特例民法法人一覧
- 経済産業省公益法人一覧
- 国土交通省関係特例民法法人一覧
- 環境省所管特例民法法人一覧
- 防衛省所管特例民法法人一覧
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