増毛町
増毛町(ましけちょう)は北海道北西部の留萌振興局管内南部にある町。日本海の海岸美がみられる雄冬海岸と暑寒別天売焼尻国定公園の一部である暑寒別岳を抱える。歴史は古く、町内には北海道遺産に選定されたレトロな建物が立ち並ぶ。ボタンエビの漁獲高が日本一であるが、アマエビやタコなどの水揚げも多い。良質の水を利用して酒造も行われており、明治時代からある國稀酒造(元:丸一本間合名会社)は、日本最北にある造り酒屋である。
町名の由来はアイヌ語の「マシュキニ」「マシュケ」(カモメの多いところ)から。
Contents
地理
留萌管内南部、日本海側沿岸に位置する。西部の日本海と東部の山地に挟まれた険しい地形で、ほとんどの集落は沿岸部に集中する。ただし別苅以西の海岸は急峻な断崖が続き、国道231号開通まで船以外の交通手段がほぼ存在しない「陸の孤島」であった。
隣接している自治体
歴史
かつては増毛支庁が置かれ、この地域の中心であった。現在は支庁が留萌市に移転し留萌振興局となっている。
- 1751年(宝暦元年):松前の商人、村山伝兵衛が出張番屋を置く。
- 江戸時代後期:ロシアの進出にそなえ、久保田藩により元陣屋が設置、北方警備の拠点となる。
- 1897年(明治30年)11月:増毛支庁を設置。
- 1900年(明治33年)7月1日:増毛郡増毛市街9町、増毛村、別苅村(べつかり)、岩尾村、暑寒沢村(しょかんざわ)、阿分村(あふん)、舎熊村(しゃぐま)が合併、一級町村制、増毛郡増毛町になる。
- 1914年:支庁を留萌に移転、留萌支庁に改称。
- 1921年(大正10年)11月5日:留萠線(現留萌本線)が増毛まで開通。
- 1981年(昭和56年)11月10日:南方の断崖絶壁により開通できていなかった雄冬地区までの国道が開通(詳細は後述)。
- 2016年、増毛-留萌駅間の路線が廃止される。
雄冬地区
雄冬(おふゆ)地区は浜益郡浜益村(現石狩市)に隣接する町内最南端の集落で、アイヌ語で燃える岬を意味する「ウフイット」をその名の由来とする。古くからニシン漁で栄えていた漁村であったが、高さ100 mの断崖が連なっているため、陸上交通は細い山道を数十 kmも歩くほかなく、この集落との連絡路は事実上増毛中心部からの定期船のみであった。そのため「陸の孤島」と呼ばれていたが、その唯一の交通機関である定期船も、海が時化ればすぐに運航が取りやめになるため、海上交通もまた容易ではなかった。
1903年(明治36年)に海路を含めて国県道の「西海岸線」に指定され、1920年(大正9年)には準地方費道に指定されたが、昭和初期には廃道化が進んでいき、滅多に往来することはなかった。1953年(昭和28年)には二級国道231号として、上述の海岸線を併走する山道が認定された。
1958年(昭和33年)、大別苅(おおべつかり)地区から車道開削のための工事が開始された。12.1 kmの山越え道路の建設に15年の歳月と事業費16億円を投入して、1973年(昭和48年)には歩古丹(あゆみこたん)トンネルの手前まで開通し、海上輸送によって開始していた反対側の工事も進められ、同年に歩古丹トンネルは竣工した。
歩古丹トンネルより雄冬側(南側)には、岬の断崖を貫く約1,200 mの長大トンネルである天狗トンネルが計画され、1971年(昭和46年)に着工した。こちらは8年の歳月をかけて、1979年(昭和54年)に竣工し、ついに最奥部の雄冬に車道が到達した。陸の孤島であった雄冬地区に道路が開通するのは、住民の悲願であった。
この時、浜益・石狩方面へ通じていなかった車道も建設され、1981年(昭和56年)に国道231号が全通した。これにより、陸の孤島は解消された。
なお、開通したトンネルは急勾配や屈曲、トンネル自体に変状をきたしている箇所があり、また暫定的開通の部分があるため、現在でも各所で改良・路線付け替え工事が行われ、現在は2,890 mの長大トンネル(日方泊トンネル)があるほどになっている。
経済
漁業が盛ん。昭和30年ごろまでは千石場所が置かれニシン漁で栄えたが、資源枯渇により漁獲量が激減。太平洋戦争後は近海漁業、水産加工が中心となった。漁業のほかには商業、農業(主に果樹栽培)、工業(食品工業)があるが、特にどの産業に依存するということはなく縮小均衡している。
農協・漁協
- 南るもい農業協同組合(JA南るもい)増毛支所
- 増毛漁業協同組合
郵便局
- 増毛郵便局(集配局)
- 舎熊郵便局(集配局)
- 別苅郵便局
- 雄冬郵便局
公共機関
地域
人口
増毛町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
消滅集落
2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[1]。
- 増毛町 - 御料
教育
閉校した学校
- 道立高等学校
- 北海道増毛高等学校(2011年3月閉校)
- 中学校
- 増毛第二(2008年3月閉校)
- 小学校
- 新信砂、歩古丹、信砂、舎熊(しゃぐま)、阿分
- 小中学校
交通
鉄道
町内に鉄道はない。 以前は北海道旅客鉄道(JR北海道)留萌本線があったが、2016年(平成28年)12月5日に廃止された。町内には増毛駅、箸別駅、朱文別駅、舎熊駅、信砂駅、阿分駅があった。
バス
- 沿岸バス
- 町内のバスの主体となっている。札幌への長距離路線として「特急はぼろ号」、普通便として「留萌別苅線」・「別苅雄冬線」を運行している。
道路
文化財
重要文化財(建造物)
- 旧本間家住宅5棟:旧商家丸一本間家
町指定史跡
- 開拓使増毛船改所跡
- 御料局札幌支庁増毛出張所跡
- 増毛運上屋跡
- 津軽藩増毛勤番越年陣屋跡
- 秋田藩増毛元陣屋跡
- 増毛治安裁判所跡
- 秋田藩元陣屋第一台場跡
- 開拓使増毛外五郡役所跡
- 官立札幌病院増毛出張所跡
- 山口藩増毛出張所跡
- 雄冬冷清水
- 雄冬遺跡
- 松浦武四郎信砂越えの地
- 増毛土木派出所跡
- 入船町浜茶屋跡
- 旧増毛山道入口
- 増毛郡役所出張所跡
- 旧高橋農場跡
- 別苅発祥の地
- 普伝寺跡
- 秋田藩元陣屋第二台場跡
- 仁奈良山道仁奈良駅逓跡
- 水戸藩主一行宿営の地
- 舎熊遺跡
- 阿分発祥の地
- 増毛新廓跡
- 信砂水田発祥の地
- リンゴ栽培の父藤原筆吉翁の碑
- 増毛税務署跡
- 天塩国水産会さけます孵化場跡
その他
神社
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
観光
- 暑寒別天売焼尻国定公園
- 郷土芸能 雄冬神楽
- 総合交流促進施設「元陣屋」
- 歴史的建造物群(北海道遺産指定)
- 弁天神社
- 岩尾温泉
出身の有名人
- 三國清三 - フランス料理シェフ
- 池田三男 - メルボルンオリンピックレスリング金メダリスト
- 桂本和夫 - 元国鉄スワローズ、メルボルンオリンピック5位入賞
- 琴若央雄 - 元大相撲力士(最高位は前頭2枚目)
- 遠田誠治 - 元中日ドラゴンズ
- 本間一夫 - 日本点字図書館創設者
- 本間貞雄 - 元札幌信用金庫理事長
- 本間欧彦 - 札幌市出身、フジテレビプロデューサー、本間貞雄の孫
- 石崎喜太郎 - 元道漁連会長、町長石崎大輔の父
- 小笠原賢二 - 文芸評論家
- 富野康日己 - 順天堂大学医学部教授
その他
増毛駅、雄冬岬などが映画『駅 STATION』のロケ地になった。
脚注
- ↑ [|総務省統計局統計調査部国勢統計課] (2017-01-27) (CSV). 平成27年国勢調査小地域集計01北海道《年齢(5歳階級),男女別人口,総年齢及び平均年齢(外国人-特掲)-町丁・字等》 (Report). 総務省 . 2017閲覧..※条町区分地の一部に0人の地域がある場合でも他の同一区分地で人口がある場合は除いた。
- ↑ http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gst/grp/01/0630masike.pdf
- ↑ http://www.town.mashike.hokkaido.jp/menu/bousai/bousai.html
関連項目
外部リンク