塩谷町
塩谷町(しおやまち)は、栃木県北部に位置し、塩谷郡に属する町である。通勤率は、宇都宮市へ13.8%、矢板市へ11.4%、日光市へ10.6%(いずれも平成22年国勢調査)。
Contents
地理
歴史
沿革
- 1889年4月1日 - 玉生村(たまにゅうむら)、船生村(ふにゅうむら)、大宮村(おおみやむら)の3村が成立。
- 1957年3月31日 - 玉生村・船生村・大宮村が合併、塩谷村となる。
- 1965年2月11日 - 町制施行、塩谷町となる。
人口
塩谷町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
行政
- 塩谷町(村)長
代 | 氏名 | 就任 | 退任 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 小野﨑良一 | 1957年(昭和32年)5月10日 | 1969年(昭和44年)5月9日 | 1965年2月11日から町長 |
2 | 大嶋長重 | 1969年(昭和44年)5月10日 | 1973年(昭和48年)5月9日 | |
3 | 手塚治良 | 1973年(昭和48年)5月10日 | 1977年(昭和52年)5月9日 | |
4 | 柿沼尚志 | 1977年(昭和52年)5月10日 | 1989年(平成元年)5月9日 | |
5 | 大島藤吾 | 1989年(平成元年)5月10日 | 1997年(平成9年)5月9日 | |
6 | 植木誠也 | 1997年(平成9年)5月10日[1] | 2004年(平成16年)7月20日[2] | |
7 | 柿沼尚志 | 2004年(平成16年)8月29日[3] | 2008年(平成20年)8月28日 | |
8 | 手塚功一 | 2008年(平成20年)8月29日[4] | 2012年(平成24年)8月28日 | |
9 | 見形和久 | 2012年(平成24年)8月29日[5] | 現職 |
出典:『栃木県町村会七十年史』, p. 505
- 出典に記載がない部分を『全国市町村要覧』と『広報しおや』を参考にして追加
広域行政
- 塩谷広域行政組合:矢板市、さくら市、塩谷町、高根沢町で組織され、塩谷広域行政組合消防本部(消防)と塩谷広域環境衛生センター(ごみ焼却施設及び粗大ごみ処理施設)及びしおや聖苑(火葬場)の運営を行なっている。
指定廃棄物最終処分場候補地
2014年7月30日、放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場の候補地として塩谷町上寺島(寺島入)の国有地が提示された[6]。環境省からの提示を受けた見形和久町長は「明確に反対ということで話をした」と述べた[6]。同年7月31日、県指定廃棄物処理市町村長会議で石原伸晃環境大臣が候補地での詳細調査への協力を求めた[7]。同年8月5日、塩谷町議会が候補地の白紙撤回を求める意見書を全会一致で可決した[8]。意見書では候補地が尚仁沢湧水に隣接し不適切であると表明している[8]。
同年8月31日、最終処分場建設に反対する「塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会」が町内で住民集会を開き、候補地選定の白紙撤回を求める決議を採択した[9]。主催者発表によると同集会には約2,000人が参加した[9]。
同年9月19日、塩谷町議会は「町高原山・尚仁沢湧水保全条例」案を全会一致で可決し、条例は即日施行された[10]。条例に基づき町は湧水等保全地域を指定し、指定後は同地域内での指定廃棄物の最終処分場の設置等の際には町の許可を要することとなる[10]。
同年10月29日、塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会は候補地選定の白紙撤回を求める173,573人分の署名を環境省に提出した[11]。
この問題に対して、見形町長は指定廃棄物を福島第一原子力発電所周辺に貯蔵すべきと主張している[12]。同年11月4日、5日、見形町長は県内24市町を訪問し各市町長にこの主張への理解を求めている[12]。なお、指定廃棄物を福島第一原発周辺に集約すべきという主張は見形町長が初めてではなく、以前に矢板市が最終処分場の候補地に選定された際に福田昭夫衆議院議員が指定廃棄物を福島第一原発敷地内で一時保管すべきと主張していた[13]。
同年11月9日、県指定廃棄物処理促進市町村長会議で見形町長は福島第一原発周辺に処分場を作ることを主張したが、望月義夫環境大臣は県内処理を見直さない方針を表明し、福田富一知事は国の方針を支持した[14]。同会議で福田知事は指定廃棄物を放射線量が減衰した時点でリサイクルし原状回復する方法を提案した[14]。
2015年2月2日、環境省は現地にて候補地の面積確認をしようとするも、候補地へ通じる林道入口付近に最終処分場建設に反対する住民らが集結し同省職員らの立ち入りを阻止した[15]。
同年6月9日、塩谷町は環境省への抗議文を同月8日付で送付したと発表した[16]。望月環境大臣が県内処理を見直さない方針を表明したことについて、同町は文書の中で検証結果を待たず結論を誘導するものだと批判している[16]。また、同文書では各県ごとに最終処分場を設置することを定めた放射性物質汚染対処特措法の見直しを求めている[16]。
同年6月26日、環境省による住民説明会開催の要請に対して、塩谷町はこれを拒否すると回答した[17]。
同年7月8日、県指定廃棄物処分等有識者会議は環境省による候補地選定プロセスが適切であったとする最終報告をまとめた[18]。また、環境省は一時保管している指定廃棄物のうち放射能濃度が10万Bq/kg超のものが171トンであることを公表した[18]。
同年10月9日、県市長会長の佐藤栄一宇都宮市長と県町村会長の古口達也茂木町長が塩谷町役場を訪問し、環境省の説明会開催の要請に応じるよう説得するも見形町長は拒否した[19]。
同年10月14日、環境省は現地調査を行ったところ、関東・東北豪雨によって候補地の一部が冠水した可能性があることが判明した[20]。これに対し調査に同行した環境省の有識者は対策を講じれば処分場建設は可能とする見解を表明した[20]。同年10月16日、丸川珠代環境大臣は候補地を変更しない意向を表明した[21]。なお、この現地調査の時に有識者が処分場建設の詳細調査に向けた情報収集を目的に挙げるなど災害調査の目的を逸脱した発言をしたとして、見形町長は同年10月26日に環境省を訪問し抗議文を提出している[22]。
また、環境省が町の全世帯に対して指定廃棄物について考えを聞くダイレクトメールを郵送したことに関して、町は10月22日付で環境省に対して抗議文を郵送した[23]。町は抗議文の中でいたずらに町民の不安をあおる行為だと批判している[23]。環境省によると、このダイレクトメールに対する町民の回答は10月23日までにおよそ900通で、そのうち環境省の意向に理解を示す意見は1割弱にとどまり、9割以上は環境省の方針に反対する意見だったという[24]。同年10月29日、環境省は町の全世帯に対して再度ダイレクトメールを郵送した[24]。前回のダイレクトメールには連絡先の記載がなかったが、今回は連絡先を記載した上で質問への回答形式で処分場の安全性などを説明している[24]。同年11月6日、町は再度のダイレクトメール郵送に関して環境省に対して抗議文を郵送した[25]。なお、同年12月には環境省が町の全世帯に対して3回目となるダイレクトメール郵送を行っている[26]。
同年11月20日、町民対象の報告会で町は9月の豪雨の被害状況を説明した[27]。報告会の中で見形町長は、豪雨で冠水した候補地は候補地になり得ないと述べ、環境省に候補地の返上を伝える意向を表明した[27]。
同年11月30日、環境省は会見で先の豪雨の影響調査の結果を公表した[28]。その中で候補地の一部で冠水の痕跡があったことを認めたものの、大規模な土石流の影響は受けにくいとしている[28]。また、環境省は影響を正確に把握するため詳細調査が必要だと説明したが、見形町長は詳細調査を拒否する考えを表明している[28]。
この問題で同年12月9日、塩谷町民と福田知事が県公館で初めて話し合いをしている[29]。
2016年1月22日、井上信治環境副大臣が福田知事、見形町長と会談し、環境省が各県ごとに1か所ずつ処分場を造る方針を断念したとする一部報道について、その事実がないことを説明した[30]。
同年10月17日、県指定廃棄物処理促進市町村長会議で環境省は指定廃棄物のうち国の基準値の8千Bq/kgを下回ったものを一般ごみとして処理し、また個人で保管している農家などの負担を軽くするために焼却による減容化、保管場所の集約の方針を説明した[31]。
2017年7月10日、環境省は宇都宮市内で行われた会議で、農家が一時保管している廃棄物の減容化や保管場所の集約を提案したが合意には至らなかった[32]。
地域
町名一覧
玉生地区
- 大字飯岡(いいおか)
- 大字金枝(かなえだ)
- 大字上寺島(かみてらしま)
- 大字喜佐見(きざみ)
- 大字熊ノ木(くまのき)
- 大字下寺島(しもてらしま)
- 大字玉生(たまにゅう)
- 大字道下(どうした)
- 大字鳥羽新田(とばしんでん)
- 大字原荻野目(はらおぎのめ)
- 大字東房(ひがしぼう)
- 大字芦場新田(よしばしんでん)
大宮地区
- 大字泉(いずみ)
- 大字上沢(うわさわ)
- 大字上平(うわたいら)
- 大字大久保(おおくぼ)
- 大字大宮(おおみや)
- 大字風見(かざみ)
- 大字風見山田(かざみやまだ)
- 大字田所(たどころ)
- 大字肘内(ひじうち)
船生地区
- 大字佐貫(さぬき)
- 大字船生(ふにゅう)
教育
高等学校
- 栃木県立塩谷高等学校(平成25年3月閉校、現:日々輝学園高等学校開桜館)
- 日々輝学園高等学校
中学校
小学校
- 塩谷町立玉生小学校
- 塩谷町立大宮小学校
- 塩谷町立船生小学校
かつて存在した学校
- 塩谷町立玉生中学校(2005年に塩谷中学校へ統合)
- 塩谷町立船生中学校(2005年に塩谷中学校へ統合)
- 塩谷町立大宮中学校(2005年に塩谷中学校へ統合)
- 塩谷町立大久保小学校(2007年3月末で廃校:大宮小学校に統合)
- 塩谷町立田所小学校(2007年3月末で廃校:大宮小学校に統合)
- 塩谷町立玉生小学校 熊ノ木分校(開校:明治7年 廃校:平成11年3月玉生小学校に統合)
- 塩谷町立船生西小学校(廃校:船生小学校に統合)
- 塩谷町立船生東小学校(廃校:船生小学校に統合)
- 塩谷町立熊ノ木小学校 鳥羽新田分校(開校:明治20年 廃校:昭和43年)
- 塩谷町立熊ノ木小学校 東古屋分校(開校:明治34年 廃校:昭和42年)
- 塩谷町立熊ノ木小学校 西高原分校(開校:昭和32年 廃校:昭和50年3月)
郵便
郵便番号は「329-22xx」(玉生地区)、「329-23xx」(大宮地区)、「329-24xx」(船生地区)が該当する。集配局は町内全域が玉生郵便局の管轄となる。
郵便局
- 船生郵便局(07038)
- 玉生郵便局(07069)
- 大宮郵便局(07108)
電話番号
一部地域(後述)を除く町内全域が大田原MAの管轄となり、市外局番は「0287」。収容局は以下のビルが該当し、市内局番は以下の通り。
- 玉生局:41(1000・2000番台)、45
- 栃木大宮局:41(3000・4000番台)、46
- 船生局:41(5000・6000番台)、47
下記地域は塩谷町外の収容局が管轄となる。
- 矢板局:40、43、44
- 大字喜佐見の一部地域が該当。
- 塩野室局(今市MA・市外局番は「0288」):26(7000・8000番台)、32(6000・7000番台)
- 大字佐貫の一部地域が該当。
- 鬼怒川川治局(今市MA・市外局番は「0288」):70、76、77
- 大字上寺島の一部地域が該当。
- 上河内局(宇都宮MA・市外局番は「028」):674
- 大字上平の一部地域が該当。
交通
道路
- 一般国道
- 県道
- 主要地方道
- 一般県道
※ なお、東北自動車道が上河内スマートIC - 矢板IC間で当町東部を通過している。
路線バス
このほか、町が運営していた塩谷町営バスは2012年(平成24年)に廃止となった。また、2014年(平成26年)に藤田合同バス:新高徳駅 - 矢板駅線が休止(廃止)された。
鉄道
- 東北新幹線(JR東日本)が宇都宮駅 - 那須塩原駅間で約 930m にわたって当町東部を通過している。
- 東武矢板線が町内を走っていたが、1959年6月30日をもって廃止になった(廃止代替で、現在の新高徳駅 - 矢板駅間のバスが運行されている)。
出身有名人
- 船村徹(作曲家) - 旧船生村出身。
- ギュウゾウ(大島剛人) - 電撃ネットワーク-玉生梍橋(さいかちばし)出身。
- 鈴木従道(陸上選手・長距離走) - 玉生出身。
- 銀粉蝶(女優) - 船生出身。
- 木下龍太郎(作詞家) - 船生出身。
- 和気史郎(画家) - 旧玉生村出身。
- 直井研二(演出家)(東京藝術大学助教)-玉生東房出身
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 尚仁沢湧水(名水百選)
- 尚仁沢名水パーク(東荒川ダム親水公園)
- 道の駅湧水の郷しおや
- 佐貫観音院(東海寺別院)
- 高原山水源の森(水源の森百選)
- 塩谷温泉
脚注
- ↑ 『全国市町村要覧』平成16年版、第一法規、p.144
- ↑ 『広報しおや』平成16年8月号[1]、塩谷町、p.2
- ↑ 『全国市町村要覧』平成19年版、第一法規、p.130
- ↑ 『全国市町村要覧』平成24年版、第一法規、p.130
- ↑ 『全国市町村要覧』平成27年版、第一法規、p.130
- ↑ 6.0 6.1 “塩谷町に国が提示 最終処分場候補地選定 町長「明確に反対」 環境相きょう首長会議で説明”. 下野新聞: p. 1. (2014年7月31日)
- ↑ “環境相が調査協力要請 塩谷町長「簡単ではない」 候補地選定で市町村長会議”. 下野新聞: p. 1. (2014年8月1日)
- ↑ 8.0 8.1 “最終処分場候補地選定 「湧水に隣接、不適切」 塩谷町議会意見書可決”. 下野新聞: p. 1. (2014年8月6日)
- ↑ 9.0 9.1 “2000人白紙撤回求める 反対住民ら緊急集会”. 下野新聞: p. 1. (2014年9月1日)
- ↑ 10.0 10.1 “最終処分場、規制対象に 塩谷町議会 湧水保全条例を可決”. 下野新聞: p. 1. (2014年9月20日)
- ↑ “塩谷町の反対同盟 撤回署名17万人分提出 環境省、管理130年試算も”. 下野新聞: p. 1. (2014年10月30日)
- ↑ 12.0 12.1 “塩谷町長 福島第1周辺へ集約を 県内全首長理解求める”. 下野新聞: p. 1. (2014年11月6日)
- ↑ “「原発内保管」発言が波紋 福島知事が関係悪化懸念 本県知事、福田議員批判”. 下野新聞: p. 2. (2012年10月30日)
- ↑ 14.0 14.1 “首長会議で望月環境相 塩谷町長と議論平行線 「県内処理見直さず」”. 下野新聞: p. 1. (2014年11月11日)
- ↑ “環境省、面積確認を中止 塩谷住民ら 300人立ち入り阻む”. 下野新聞: p. 1. (2015年2月3日)
- ↑ 16.0 16.1 16.2 “特措法見直し 塩谷町、環境省に抗議文 「検証待たず結論誘導」”. 下野新聞: p. 5. (2015年6月10日)
- ↑ “塩谷町 住民説明会を拒否 環境相要請に文書回答”. 下野新聞: p. 3. (2015年6月27日)
- ↑ 18.0 18.1 “処分場候補地 塩谷選定は「適切」 県有識者会議が最終報告 環境省公表 一時保管10万ベクレル超171トン”. 下野新聞: p. 1. (2015年7月9日)
- ↑ “市長会長と町村会長 国説明受け入れ提案 塩谷町長拒否、物別れに”. 下野新聞: p. 1. (2015年10月10日)
- ↑ 20.0 20.1 “塩谷の候補地、豪雨時冠水 環境省調査「対策講じ建設可能」”. 下野新聞: p. 1. (2015年10月15日)
- ↑ “冠水受け丸川環境相 候補地変更を否定 塩谷町の反発は必至”. 下野新聞: p. 5. (2015年10月17日)
- ↑ “塩谷町、環境省に抗議 災害調査、単独で報告会”. 下野新聞: p. 5. (2015年10月27日)
- ↑ 23.0 23.1 “「不安をあおる」環境省に抗議文 DM問題で塩谷町”. 下野新聞: p. 3. (2015年10月24日)
- ↑ 24.0 24.1 24.2 “環境省 塩谷町全戸へ再度DM 質問に回答形式、連絡先も”. 下野新聞: p. 2. (2015年10月30日)
- ↑ “環境省の再度のDM郵送に抗議 塩谷町”. 下野新聞: p. 5. (2015年11月7日)
- ↑ “環境省、3回目のDM 塩谷町全戸に”. 下野新聞: p. 4. (2015年12月15日)
- ↑ 27.0 27.1 “環境省に「候補地返上」 冠水受け塩谷町長、町民に表明”. 下野新聞: p. 5. (2015年11月21日)
- ↑ 28.0 28.1 28.2 “塩谷候補地豪雨調査 環境省、一部冠水認める 大規模土石流「影響受けにくい」”. 下野新聞: p. 1. (2015年12月1日)
- ↑ “塩谷有志と福田知事 初対談打開策手探り 話し合いの継続、確認”. 下野新聞: p. 1. (2015年12月10日)
- ↑ “環境副大臣本県入り 「集約断念の事実ない」 各県処理方針、知事に説明”. 下野新聞: p. 1. (2016年1月23日)
- ↑ “県市町長に環境省説明 個人保管の指定廃集約 焼却で減容化、農家負担減”. 下野新聞: p. 1. (2016年10月18日)
- ↑ “集約、減容化合意至らず 環境省の農家負担軽減策 6市町と個別協議へ”. 下野新聞: p. 1. (2017年7月11日)
- ↑ 10月1日から路線バス(新高徳駅〜矢板駅)を運行します。 - 塩谷町、2014年9月29日更新
参考文献
- 『栃木県町村会七十年史』 栃木県町村会、1991年6月18日。
外部リンク