自衛隊地方協力本部

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自衛隊地方協力本部(じえいたいちほうきょうりょくほんぶ、Provincial Cooperation Office: PCO)は防衛省に置かれている自衛隊の機関の一種。防衛庁(現: 防衛省)の組織改編に伴い、2006年(平成18年)7月31日に自衛隊地方連絡部から改編された。協力本部(きょうりょくほんぶ)または地本(ちほん)と略される。

任務

都道府県下における自衛隊の総合窓口である。陸海空自衛隊共同の機関だが、その所在地を警備区域とする陸上自衛隊方面総監の指揮監督下に置かれている[1]。地方協力本部長は1佐(大都市の地方協力本部長は将補[2])の階級にある自衛官、または防衛事務官が務める。

北海道に4個、その他の各都府県庁所在地に1個、計50個置かれている。また、全国の主要都市には、各地方協力本部の下部機構として出張所や地域事務所があり、広報官と呼ばれる話し上手で営業活動に向いている自衛官(1曹~3曹)が募集活動を行っている。広報官は、有事や災害の際には、担任する地域に居住する即応予備自衛官を訪ねて召集命令の伝達も行う。

従来の地方連絡部の業務に加え、地方自治体との調整連絡などを新たに実施することとなっている。これにより地方協力本部の業務は大きく以下の5点に要約される。

  1. 危機管理: 国民保護法に基づく各自治体の対策本部への要員派遣、対処部隊と行政機関とを繋ぐ連絡調整。有事・災害発生時の被害に関する初動の情報収集に協力する
  2. 募集: 入隊志願者の応対など
  3. 広報: 各種催事を通じての広報活動
  4. 援護: 退職隊員の再就職、企業情報収集および予備自衛官などの人事管理と制度普及活動
  5. その他: 国民体育大会などのスポーツ行事支援、土木工事、災害派遣等の依頼を受けた場合の連絡調整など

「防衛庁設置法等の一部を改正する法律」(平成18年5月31日法律第45号)によって地方連絡部を改組して置かれた。改正前自衛隊法第29条1項は「地方連絡部においては、自衛官の募集その他長官の定める事務を行う。」と規定していたが、同改正により「地方協力本部においては、地方における渉外及び広報、自衛官の募集その他長官の定める事務を行う。」と渉外及び広報活動任務が与えられた。近年[3]では大規模災害対処における関係省庁との緊密な連絡調整が必要不可欠であることから、地方協力本部は政令指定都市の合同庁舎内に同居する傾向にある。

なお、地方協力本部(旧: 地方連絡部)に勤務している自衛官で通常営外居住を認められない3曹以下の独身者は、地連の管轄に営内居住可能な施設が設置されていない関係上、地本部長の裁量で営外居住が認められる場合も多く、またその場合は近隣の官舎に居住する[4](一つの組織に陸海空の自衛官が勤務する共同の部隊である関係の特例であり、また地本の事務所はその任務の特性上駐屯地外・駐屯地が所在する自治体で比較的駐屯地から離れた場所及び周辺の管轄自治体にあることが多く駐屯地に営内を構えると通勤や営内者の外出の手続き上や管理に支障があるため。地本から他部隊に転属がなされた時点で営外居住は取り消される)。

自衛隊地方協力本部の広報官も自衛官であるので、自衛官採用募集も目標数ノルマはあるが民間企業の営業手当に相当するものは無い。残業手当に相当する超過勤務手当も自衛官なので無い。出張旅費が支給されるのみである。

自衛隊地方協力本部の一覧

ファイル:Osaka National Government Building No.2.JPG
自衛隊大阪地方協力本部が入る大阪合同庁舎第2号館(大阪市中央区

北海道を除き、各本部は所在する府県を管轄する(自衛隊法施行令第四十八条)。

陸上自衛隊北部方面隊管轄北海道防衛局管内

陸上自衛隊東北方面隊管轄東北防衛局管内

陸上自衛隊東部方面隊管轄北関東防衛局南関東防衛局管内

陸上自衛隊中部方面隊管轄近畿中部防衛局中国四国防衛局管内

陸上自衛隊西部方面隊管轄九州防衛局沖縄防衛局管内

脚注

  1. 自衛隊地方協力本部の組織等に関する訓令(昭和31年防衛庁訓令第50号)第7条第2項。
  2. 過去には札幌・宮城・愛知・兵庫・福岡・熊本などの地連部長も将補をもって充てていた時期があったが1990年代中盤以降の将官削減により2010年現在では東京・大阪・沖縄の3個地本のみとなっている(前出の6個地本部長は現在1等陸佐(一)の補職)。
  3. かつては駐屯地内もしくは近傍の民間企業が運営するテナントを間借りするような運用であったが、東日本大震災以降は政令指定都市の合同庁舎に移転することで業務の効率化を図っている
  4. ただし、近隣の駐屯地に所在する部隊からの臨時勤務者はその限りでなく当該部隊の営内から通うことになる。その際、所属部隊の車両もしくは徒歩で通える距離は公用外出証等で営門を通過する。

関連項目

外部リンク


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