国道305号
国道305号(こくどう305ごう)は、石川県金沢市から福井県南条郡南越前町に至る一般国道である。
Contents
概要
石川県金沢市から国道157号や国道8号金沢西バイパスと重複して南下し、能美市の大長野西交差点より分岐して単独区間が始まる。東尋坊や奇岩・呼鳥門などがある越前海岸の景勝地付近を経由することから、北陸の代表的な観光道路として紹介されることもある[1]。終点は、福井県南条郡南越前町の国道365号に接続するが、実際の路線の端点は北陸自動車道の今庄インターチェンジ (IC) である[1]。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点 - 金沢市(武蔵交差点=国道159号、国道249号終点、国道157号起点)
- 終点 - 福井県南条郡今庄町(今庄IC=国道365号交点)
- 重要な経過地 - 石川県石川郡野々市町[注釈 2]・松任市[注釈 3]・小松市・加賀市[注釈 4]・福井市(浜住町)・福井県丹生郡越前町[注釈 5]・同県南条郡河野村[注釈 6]・同郡南条町[注釈 6]
- 総延長 : 174.5 km(石川県 67.0 km、福井県 107.6 km)重用延長を含む[3][注釈 7]
- 重用延長 : 44.2 km(石川県 44.1 km、福井県 0.1 km)[3][注釈 7]
- 未供用延長 : なし[3][注釈 7]
- 実延長 : 130.3 km(石川県 22.8 km、福井県 107.5 km)[3][注釈 7]
- 指定区間 - なし[4][注釈 8]
歴史
福井県越前町の海岸沿いにある呼鳥門は、礫岩が波と風の浸食作用によって出来た洞穴で、かつてこの洞穴の中を国道305号がくぐり抜けており、天然トンネルを全国で唯一国道がくぐり抜けるという極めて珍しい場所で知られていた[5]。その後の2002年(平成14年)にこれを迂回するトンネル開通によって、呼鳥門は国道指定をはずされた。
かつては、南越前町内を南北に走る国道8号と国道365号の間を横断して菅谷峠(すげんたんとうげ)を越える自動車通行不能な登山道(点線国道)の区間が約 4kmあったが[1]、ホノケ山トンネルが2013年に開通したことにより、車両不通区間は解消されている。
沿革
- 1970年(昭和45年)4月1日 - 一般国道305号(金沢市 - 福井県南条郡今庄町)として指定施行[6]。
- 1972年(昭和47年)12月 - 国道8号線の金沢バイパス全線開通による指定変更で、野々市交差点 - 三日市交差点が単独指定区間となるが、国道標識や案内標識での表示は一切設けられず(ただし、市販の一部の地図では表示されていたものもあり、混同を招いていた)。
- 1989年(平成元年)7月16日 - 越前町玉川で岩盤が崩落。15人死亡。(後述)
- 1992年(平成4年)6月17日 - 事故現場を迂回する玉川トンネルの供用開始。
- 1993年(平成5年)4月1日 - 一般国道305号(石川県金沢市 - 福井県南条郡今庄町[現 南越前町])
- 2002年(平成14年)3月23日 - 呼鳥門を迂回する呼鳥門トンネルの供用開始。
- 2008年(平成20年)
- 4月1日 - 石川県内の路線指定変更に伴い、国道8号線との重複区間だった能美市大長野西交差点 - 小松市街地 - 加賀市箱宮ICが単独指定区間となり、案内表示を設置(国道8号と交換)。
- 9月30日 - 国道305号と国道8号を接続している福井県南越前町河野海岸有料道路を福井県に移管、無料開放。南越前町側が国道305号、敦賀市側が福井県道204号大谷杉津線に指定された。
- 2009年(平成21年)1月21日 - 25日:越前町厨(くりや)付近で土砂崩れ、4月28日まで片側通行それ以降は対面通行可。
- 2010年(平成22年)7月14日 - 越前バイパス(越前町厨 - 同町茂原区間)部分開通。
- 2013年(平成25年)11月4日 - ホノケ山トンネルを含む6.4kmの区間が開通し、全区間で車両通行が可能となる[7]。
玉川岩盤崩落事故
1989年(平成元年)7月16日午後3時30分頃、越前町玉川の国道305号で高さ40 m(推定重量1,500 t)にわたる大規模な岩盤崩落が発生、落石防止用の覆道(ロックシェード)を突き破って、現場を走行中のマイクロバスを押し潰した[8]。この事故でバスに乗っていた15人全員が死亡した。事故の瞬間はバスの後方を走っていた乗用車により偶然ビデオ撮影されており、轟音とともにバスが一瞬で押しつぶされる瞬間が写っていた。
この崩落の12年前の1977年(昭和52年)5月にも現場付近で崩落が発生した。その措置として福井県はトンネル案と海上道路案を提示したが、トンネル案は玉川観音が素通りになり、海上案も水産資源への影響による反対があり、中間となる「現道にロックシェードを設置する案」で決着した。
崩落事故の後に迂回路として現場の海側を通る仮設道路が建設された。1992年に玉川トンネルが開通して、崩落現場を含めた約1 kmの区間は立入禁止になった。
事故現場には1993年(平成5年)に慰霊碑が設置された。玉川観音も立入禁止区間に重なったことから、玉川トンネル南越前町側坑口の近くに人工洞穴を建設し、移設した。
現在でも旧道や仮設道路の橋脚は一部を除いて残っている。
路線状況
バイパス
- 金沢外環状道路海側幹線(本線部分・整備中)
- 金沢西バイパス(8号重複区間)
- 白方町 - 川尻町バイパス(全延長8.9 kmのうち7.7 km区間が2010年7月までに開通済み)
- 越廼バイパス(狭小トンネルの拡張および海側へのバイパス道路建設がすすめられている。一部、暫定開通済み)
- 越前バイパス(越前町道口 - 同町茂原間 2010年7月14日 部分開通)
- 赤萩 - 河内バイパス
- 河内奥野々道路
通称
- まぼろしの北陸道(車両通行不能区間)
重複区間
- 国道157号(金沢市・むさし交差点 - 白山市・乾東交差点)
- 国道8号(野々市市・三日市交差点 - 能美市・大長野西交差点、加賀市・箱宮IC - 黒瀬交差点)
- 国道365号(加賀市・黒瀬交差点 - 越前町・梅浦交差点、南越前町・鯖波 - 今庄インターチェンジ)
- 国道417号(越前町・梅浦交差点 - 南越前町・桜橋交差点)
道路施設
トンネル
- ホノケ山トンネル
- 呼鳥門トンネル
道の駅
地理
通過する自治体
- ※ホノケ山トンネル内の一部は越前市域にかかっている。
交差する道路
接続する道路 | 交差する場所 | 備考 | |||
---|---|---|---|---|---|
国道159号(※重複=国道249号・国道304号・国道359号) | 石川県 | 金沢市 | 武蔵 | ここから乾東交差点まで国道157号と重複 | |
石川県道10号金沢湯涌福光線 | 香林坊 | ||||
石川県道25号金沢美川小松線 | 野町広小路 | ||||
石川県道22号金沢小松線 | 有松 | ||||
石川県道146号金沢停車場南線 | 横川 | ||||
石川県道106号野々市西金沢停車場線 | 野々市市 | 横宮 | |||
石川県道179号野々市鶴来線 | 野々市 | ||||
国道8号 | 三日市 | ここから大長野西交差点まで国道8号と重複 | |||
国道157号 | 白山市 | 乾東 | ここから徳丸南交差点まで石川県道8号と重複 | ||
石川県道190号矢作松任線 | 乾町 | ||||
石川県道8号松任宇ノ気線 | 徳丸南 | ||||
石川県道174号安吉松任線 | 倉光 | ||||
石川県道291号三日市松任線 | 宮丸 | ||||
石川県道184号松本木津線 | 宮丸町南 | ここから荒屋柏野交差点まで石川県道184号と重複 | |||
石川県道184号松本木津線 | 荒屋柏野 | ||||
石川県道157号松任寺井線 | 福留西 | ||||
石川県道58号鶴来美川インター線 | 水澄町 | ||||
石川県道103号鶴来水島美川線 | 末正 | ||||
石川県道176号草深木呂場美川線 | 能美郡 | 川北町 | 橘南 | ||
石川県道171号吉原寺井線 | 能美市 | 西任田IC | |||
石川県道102号根上寺井線 | 五間堂 | ||||
石川県道169号粟生小松線 | 小松市 | 高堂 | |||
国道8号 | 能美市 | 大長野西 | ここから園町交差点まで石川県道4号と重複 | ||
石川県道170号西二口長田線 | 小松市 | (長田町) | |||
石川県道54号寺畠小松線 | 長田南 | ||||
国道360号(※重複=石川県道4号小松鶴来線) | 園町 | ||||
石川県道25号金沢美川小松線 | 沖町 | ||||
石川県道4号小松鶴来線
石川県道22号金沢小松線 |
北浅井 | ||||
石川県道11号小松山中線 | 符津本町 | ここから粟津駅前交差点まで石川県道11号と重複 | |||
石川県道11号小松山中線 | 粟津駅前 | ||||
石川県道107号新保矢田野線 | 南部中学校前 | ||||
石川県道156号高塚粟津線 | 矢田野南 | ここから二ツ梨交差点まで石川県道156号と重複 | |||
石川県道156号高塚粟津線 | 二ツ梨 | ||||
国道8号 | 加賀市 | 箱宮IC | ここから黒瀬交差点まで国道8号と重複 | ||
石川県道43号丸山加賀線 | 分校 | ||||
石川県道39号山中伊切線 | 松山 | ||||
石川県道150号動橋山代線 | 桑原 | ここから西島交差点まで石川県道150号と重複 | |||
石川県道150号動橋山代線 | 西島 | ||||
石川県道147号片山津山代線 | 加茂 | ||||
国道8号 | 黒瀬 | ここから梅浦交差点まで国道365号と重複 | |||
石川県道145号串加賀線 | 菅生 | ||||
石川県道142号荒木田原町線 | 田原町 | ||||
石川県道19号橋立港線 | 大聖寺南町 | ここから舟津口交差点まで石川県道5号と重複 | |||
石川県道141号熊坂今出線 | (大聖寺地方町) | ||||
石川県道61号加賀インター線 | 三木 | ||||
石川県道5号福井加賀線 | 永井町 | ||||
石川県道117号塩屋港線 | 吉崎町 | ||||
福井県道5号福井加賀線(※重複=福井県道29号福井金津線) | 福井県 | あわら市 | (吉崎1) | ||
福井県道120号細呂木停車場北潟線 | 北潟東 | ||||
福井県道5号福井加賀線 | 舟津口 | ここから加戸まで福井県道7号と重複 | |||
福井県道152号波松芦原線 | (舟津) | ||||
福井県道7号三国東尋坊芦原線 | 坂井市 | 加戸 | ここから覚善まで福井県道151号と重複 | ||
福井県道151号加戸三国線 | 覚善 | ||||
福井県道226号三国停車場桜谷線 | 三国 | ||||
福井県道7号三国東尋坊芦原線 | 中元 | ||||
福井県道156号佐野山岸線 | 新保 | ||||
福井県道20号三国春江線 | 山岸第2 | ||||
福井県道256号福井港線 | 福井市 | (白方町) | |||
国道416号 | 柳原 | ||||
福井県道227号鷹巣港線 | (蓑町) | ||||
福井県道183号上一光大丹生線 | (大丹生町) | ||||
福井県道6号福井四ヶ浦線 | 大味 | ここから玉川まで福井県道6号と重複 | |||
福井県道6号福井四ヶ浦線 | 丹生郡 | 越前町 | (玉川) | ||
国道365号 | 梅浦 | ||||
福井県道264号越前織田線 | (道口) | ||||
福井県道4号越前宮崎線 | (厨) | ||||
福井県道19号武生米ノ線 | 米ノ | ||||
福井県道3号福井大森河野線 | 南越前町 | 糠 | |||
福井県道206号甲楽城勝連花線 | (甲楽城) | ||||
越前・河野しおかぜライン | 河野 | ||||
福井県道204号大谷杉津線 | (大谷) | ||||
国道8号 | 桜橋 | ||||
福井県道247号南条停車場線 | (鯖波) | ||||
国道365号 | (鯖波) | ここから終点まで国道365号と重複 | |||
福井県道137号杣山城址線 | (鯖波) | ||||
北陸自動車道 今庄インターチェンジ | (今庄IC) |
※ 交差する場所の括弧書きは地名、それ以外は交差点名・インターチェンジ名で表示。
(右の「表示」を押す)
峠
- 菅谷峠
関連項目
脚注
注釈
- ↑ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
- ↑ 2011年11月11日に、市制移行して、野々市市発足。
- ↑ 2005年2月1日に松任市・石川郡美川町・鶴来町・河内村・吉野谷村・鳥越村・尾口村・白峰村の1市2町5村が合併して、白山市発足。
- ↑ 2005年10月1日に、加賀市・江沼郡山中町が合併して、新・加賀市が発足。
- ↑ 2005年2月1日に、丹生郡越前町・朝日町・織田町・宮崎村が合併し、新・越前町が発足。
- ↑ 6.0 6.1 2005年1月1日nに、南条郡南条町・今庄町・河野村が合併して、南越前町発足。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 7.6 2015年4月1日現在
- ↑ 重複区間を除く
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 松波成行 2008, p. 80.
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2015閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 17. . 2017閲覧.
- ↑ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2015閲覧.
- ↑ 佐藤健太郎 「国道の名所を行く/消えゆく国道名所」『ふしぎな国道』 講談社〈講談社現代新書〉、2014年、54-55。ISBN 978-4-06-288282-8。
- ↑ 一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(昭和44年12月4日政令第280号)
- ↑ 南越前町広報平成25年11月号
- ↑ 京都大学防災研究所年報 第33号 B-1 (1990) pp.219-236 「1989年越前海岸落石災害における岩盤崩壊過程の考察」
参考文献
- 松波成行「国道305号」、『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、 80頁、 ISBN 978-4-86320-025-8。
関連項目
外部リンク