国道156号
国道156号(こくどう156ごう)は、岐阜県岐阜市から富山県高岡市へ至る一般国道である。
Contents
概要
岐阜県・富山県に跨る山間部は、庄川の谷の斜面を削って道を付けた区間で、かつては道幅が狭く大変危険だったため、路線番号にかけて「(谷に落ちたら)イチコロ線」と揶揄された。
高山市荘川町岩瀬から大野郡白川村牧の御母衣湖にかけてはトンネルの幅が狭く、大型車同士のすれ違いが困難となっている。ローカルルールとしてトンネル内での対面を避けるため、入口手前でクラクションを鳴らしながら通行するトラックが多い。ほぼ全線にかけて東海北陸自動車道が並走しているが、荘川から白川郷の30km区間は中部縦貫道・松本方面との接続を考慮し東側の飛騨清見へと迂回している[1]。現在、当国道の御母衣湖周辺区間において数本のトンネル建設を含めた福島バイパスの計画があり、2010年に福島第3トンネルが供用された。ただし県の財政が厳しいことから、同バイパスの他の区間については、建設期間が長期に及ぶ可能性が高い。白川村岩瀬付近で庄川を挟んだ対岸に目を向けると綺麗に積み上げられた山が見えるが、これは東海北陸自動車道の飛騨トンネル掘削時に排出された残土である。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点 : 岐阜市(茜部本郷交差点=国道21号上、国道22号・国道157号・国道248号終点)
- 終点 : 高岡市(四屋交差点=国道8号交点)
- 重要な経過地 : 岐阜県羽島郡岐南町、関市、美濃市、同県郡上市[注釈 2]、同郡白鳥町[注釈 2]、同県大野郡荘川村[注釈 3]、同郡白川村、富山県東礪波郡平村[注釈 4]、同郡庄川町[注釈 5]、砺波市
- 総延長 : 215.5 km(富山県 63.8 km、岐阜県 151.7 km)[3][注釈 6]
- 重用延長 : 2.8 km(富山県 - km、岐阜県 2.8 km)[3][注釈 6]
- 未供用延長 : なし[3][注釈 6]
- 実延長 : 212.7 km(富山県 63.8 km、岐阜県 148.9 km)[3][注釈 6]
- 指定区間[4]
- 岐阜市茜部新所一丁目23番 - 郡上市白鳥町向小駄良字内田775番2(茜部本郷交差点起点 - 向小駄良交差点)
- 砺波市庄川町小牧字矢ケ瀬71番8 - 高岡市上四屋663番の1(小牧ダム湖畔 - 四屋交差点終点)
歴史
道路法(昭和27年法律第180号)に基づく二級国道として初回指定された路線のひとつである。国道指定当初は、岐阜県郡上郡白鳥町[注釈 2]まで二級国道157号金沢岐阜線(後の一般国道157号)と重用区間として指定されていたが[5]、1975年(昭和50年)に国道157号の経路が変更され[6]、起点の岐阜市でのみ接続するようになった。
年表
路線状況
かつては、岐阜・富山間の山岳部の庄川沿いに続く道路が狭隘な山道で会ったことから「イチコロ」と揶揄されていた。そのような狭い道路はバイパスを含めた道路改良によって整備され、清流を望む快走路となっている[8][9]。
バイパス・道路改良事業など
- 岐大バイパス(岐阜県)※国道21号重複区間
- 岐阜東バイパス(岐阜県羽島郡岐南町八剣 - 関市山田、延長13.4km)[10]
- 大和改良(岐阜県郡上市大和町剣 - 同市白鳥町中津屋、延長2.6km)[11]
- 福島バイパス(岐阜県大野郡白川村福島 - 同村牧、延長2.0km)
- 白川バイパス(岐阜県)※東海北陸自動車道白川郷ICの事実上の取付道路
- 砺波除雪拡幅(富山県砺波市、延長5.3km)
- 砺波高岡拡幅(富山県砺波市太郎丸 - 高岡市上関、延長13.0km)
通称
- 清流街道156(岐阜市)
- さくら街道・さくら道(高山市)
- 飛騨街道
- 郡上街道
- 上保街道
- 越前街道
- 白川街道(岐阜県郡上市八幡町 - 富山県南栃市)
- 飛越峡合掌ライン
分岐区間
- 岐阜市日野南(日野南5丁目東交差点) - 同市岩田西(岩田西3丁目交差点)
重複区間
- 国道21号・国道22号:岐阜県岐阜市(茜部本郷交差点) - 岐阜県羽島郡岐南町(岐南インター交差点)
- 国道248号:岐阜県岐阜市(北一色1丁目交差点) - 岐阜県関市(山田交差点)※以前は小屋名交差点まで重複していた。
- 国道256号:岐阜県郡上市八幡町吉野(相生交差点) - 岐阜県郡上市八幡町城南町(城南交差点)
- 国道158号:岐阜県郡上市白鳥町向小駄良(向小駄良南交差点) - 岐阜県高山市荘川町牧戸(牧戸交差点)
- 国道471号:富山県砺波市庄川町小牧 - 富山県砺波市庄川町金屋(金屋交差点)
- 国道359号:富山県砺波市太郎丸(太郎丸交差点) - 富山県砺波市となみ町(花園町交差点)
道路施設
道の駅
- 美濃にわか茶屋(岐阜県美濃市)
- 美並(岐阜県郡上市)
- 清流の里しろとり(岐阜県郡上市)
- 白鳥(岐阜県郡上市)
- 大日岳(岐阜県郡上市)
- 飛騨白山(岐阜県大野郡白川村)
- 白川郷(岐阜県大野郡白川村)
- 上平(富山県南砺市)
- たいら(富山県南砺市)
- 庄川(富山県砺波市)
- 砺波(富山県砺波市)
地理
郡上市高鷲町ひるがの高原付近で中央分水嶺を横切る。本路線が通過する岐阜県と富山県の県境は蛇行している庄川に設定されており、トンネルと橋で直線状に貫いているため、県境を7回連続で跨いでおり、一種の名所となっている[13]。庄川に沿うルートは、カーブ区間が多いが、四季折々に山峡の美しい自然を見ることができる[8][9]。またこの区間にある合掌橋や飛越橋などの7箇所の橋は総称して飛越七橋と呼称され[8][9]、橋ごとに欄干が7色に塗り分けられている[13]。
通過する自治体
交差する道路
接続する道路 | 交差する場所 | 備考 | |||
---|---|---|---|---|---|
国道21号 | 岐阜県 | 岐阜市 | 茜部本郷 | ここから岐南インター交差点まで国道21号・国道22号と重複 | |
岐阜県道14号岐阜稲沢線 | 下川手IC | ||||
岐阜県道177号下印食笠松線 | 羽島郡 | 岐南町 | 徳田IC | ||
国道21号・国道22号 | 岐南インター | ||||
岐阜県道77号岐阜環状線 | 上印食 | ||||
岐阜県道181号岐阜那加線 | 岐阜市 | 長森細畑 | |||
岐阜県道152号岐阜各務原線 | 入舟町5丁目 | ||||
国道248号・岐阜県道92号岐阜巣南大野線 | 北一色1丁目 | ここから山田交差点まで国道248号と重複 | |||
岐阜県道77号岐阜環状線 | (日野南1丁目) | ||||
岐阜県道92号岐阜巣南大野線 | 日野南6丁目 | ||||
岐阜県道93号川島三輪線 | 岩田 | ここから芥見大船交差点まで岐阜県道93号と重複 | |||
岐阜県道93号川島三輪線 | 芥見大船 | ||||
国道248号 | 関市 | 山田 | |||
岐阜県道287号上白金真砂線 | 上白金 | ||||
岐阜県道79号関本巣線 | 小屋名 | ||||
国道418号 | 小瀬6番町 | ||||
岐阜県道281号関美濃線 | 下有知追分 | ここから松森交差点まで岐阜県道281号と重複 | |||
岐阜県道94号岐阜美濃線 | 美濃市 | 下松森 | |||
岐阜県道281号関美濃線 | 松森 | ||||
岐阜県道80号美濃川辺線 | 泉町 | ||||
岐阜県道81号美濃洞戸線 | 曽代 | ||||
岐阜県道324号白山美濃線 | 新部 | ||||
岐阜県道291号御手洗立花線 | (立花) | ||||
岐阜県道288号下河和美濃洲原停車場線 | 須原 | ||||
岐阜県道61号大和美並線 | 郡上市 | 下田北 | |||
岐阜県道324号白山美濃線 | (美並町白山) | ||||
岐阜県道315号白山内ヶ谷線 | (美並町白山) | ||||
東海北陸自動車道 美並インターチェンジ | 美並IC口 | ||||
岐阜県道323号鹿倉白山線 | 羽佐古 | ||||
国道256号 | 相生 | ここから城南交差点まで国道256号と重複 | |||
岐阜県道328号安久田吉野線 | (八幡町吉野) | ||||
国道256号 | 城南 | ||||
東海北陸自動車道 郡上八幡インターチェンジ | 八幡IC口 | ||||
岐阜県道319号寒水八幡線 | 五町 | ||||
岐阜県道61号大和美並線 | 徳永 | ||||
岐阜県道317号剣大間見白鳥線 | 下剣南 | ||||
岐阜県道82号白鳥明宝線 | (白鳥町為真) | ||||
国道158号 | 向小駄良南 | ここから牧戸交差点まで国道158号と重複 | |||
岐阜県道317号剣大間見白鳥線 | 向小駄良 | ||||
岐阜県道314号石徹白前谷線 | (白鳥町歩岐島) | ||||
岐阜県道316号鮎立恩地線 | (高鷲町鮎立) | ||||
岐阜県道452号惣則高鷲線 | 正ヶ洞 | ||||
岐阜県道45号高鷲インター線 | 穴洞橋 | ||||
岐阜県道321号ひるがの高原線 | (高鷲町ひるがの) | ||||
国道158号 | 高山市 | 牧戸 | |||
岐阜県道451号白山公園線 | 大野郡 | 白川村 | (御母衣) | ||
国道360号 | (荻町) | ||||
白山白川郷ホワイトロード | 鳩谷 | 村道を介しての間接接続 | |||
東海北陸自動車道 白川郷インターチェンジ | 白川郷IC口 | 交差点から料金所までの取付道路も国道156号 | |||
富山県道54号福光上平線 | 富山県 | 南砺市 | 西赤尾 | ||
東海北陸自動車道 五箇山インターチェンジ | 五箇山インター | ||||
国道304号 | 下梨 | ||||
国道471号 | 砺波市 | 小牧 | ここから金屋交差点まで国道471号と重複 | ||
国道471号 | 金屋 | ||||
富山県道371号本町高木出線 | 示野 | ||||
富山県道11号新湊庄川線 | (庄川町示野) | ||||
富山県道143号小森谷庄川線 | 天正 | ||||
富山県道371号本町高木出線 | 五鹿屋 | ここから五郎丸北交差点まで富山県道371号と重複 | |||
富山県道25号砺波細入線 | 五郎丸 | ||||
富山県道371号本町高木出線 | 五郎丸北 | ||||
国道359号 | 太郎丸 | ここから花園町交差点まで国道359号と重複 | |||
富山県道16号砺波小矢部線 | 豊町 | ||||
富山県道17号砺波庄川線 | 山王町 | ||||
国道359号 | 花園町 | ||||
富山県道20号砺波福光線 | 栄町 | ||||
富山県道72号坪野小矢部線 | 油田 | ||||
富山県道353号西部金屋戸出線 | 高岡市 | 戸出町4丁目 | |||
富山県道9号富山戸出小矢部線 | 戸出狼 | ||||
富山県道252号戸出高岡線 | 伊勢領 | ||||
富山県道57号高岡環状線 | 佐野 | ||||
富山県道40号高岡庄川線
(※重複=富山県道247号中川南町線) |
南町 | ||||
富山県道254号立野鴨島線 | 鴨島 | ||||
富山県道23号高岡停車場線 | 片原町 | ||||
富山県道24号伏木港線 | 広小路 | ||||
国道8号 | 四屋 |
※ 交差する場所の括弧書きは地名、それ以外は交差点名・インターチェンジ名で表示。
(右の「表示」を押す)
脚注
注釈
出典
- ↑ “濃飛貫く東海北陸道全通へ 第2部「軌跡」 -幻の御母衣ルート 中部縦貫道絡み変更-”. 岐阜新聞 (岐阜新聞社). (2007年11月3日)
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2012閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 8. . 2017閲覧.
- ↑ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2012閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 ウィキソースには、二級国道の路線を指定する政令(昭和28年5月18日政令第96号)の原文があります。
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令”. 法庫. . 2013閲覧.
- ↑ 一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 小川、栗栖、田宮 2016, p. 78.
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 中村純一 編 2017, p. 78.
- ↑ 国道156号岐阜東バイパス国土交通省岐阜地方整備局 岐阜国道事務所 2018年2月4日閲覧。
- ↑ 国道156号大和改良国土交通省岐阜地方整備局 岐阜国道事務所 2018年2月4日閲覧。
- ↑ 12.0 12.1 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 83.
- ↑ 13.0 13.1 佐藤健太郎 2014, p. 153.
参考文献
- 『絶景ドライブ100選[新装版]』 松井謙介編、学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015-09-30。ISBN 978-4-05-610907-8。
- 「飛越峡合掌ライン」『ニッポン絶景ロード100』 中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2016-04-10、78-79。ISBN 978-4-7779-3980-8。
- 「飛越峡合掌ライン」『日本の絶景道100選』 中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2017-04-10、78-79。ISBN 978-4-7779-4572-6。
- 佐藤健太郎 『ふしぎな国道』 講談社〈講談社現代新書〉、2014-10-20。ISBN 978-4-06-288282-8。
関連項目
外部リンク
- 国土交通省中部地方整備局
- 岐阜国道事務所:岐阜市 - 郡上市の指定区間を管理
- 国土交通省北陸地方整備局
- 富山河川国道事務所:砺波市 - 高岡市の指定区間を管理
- 岐阜県
- 富山県
- 砺波土木センター:南砺市 - 砺波市の指定区間外を管理