国民皆兵
国民皆兵(こくみんかいへい)とは、国民全員で国防を担おうという国家の姿勢を指す。イスラエルやスイスが代表例。 対象国では主に男性に兵役が義務づけられているところが多い。
概要
徴兵制は、いわゆる徴兵制のうち、あまり徴兵猶予を認めず予備役の期間が長いものを特に国民皆兵と呼ぶ場合が多い。すなわち、徴兵により軍籍に入り、除隊後も一定年齢に達するまでは、予備役として出動する義務がある。
現代においても国民皆兵を標榜しているのは、常時紛争状態にあり兵力維持が必要な国、兵役を体制の引き締めに利用している国、兵役忌避の代替労役が福祉などの社会システムに組み込まれている国、大国に挟まれた中小国家などである。
歴史的に兵役は男性が務めるもので、一般に国民皆兵は男性のみを対象とする。それに対して女性は徴兵される男性に代わって社会を支える役割を期待される事が多い。例外としてイスラエルは女性にも兵役がある(ただし期間や役種に男女差がある)。この用法は男性のみが兵役に就くことの当然視に基づいているとして、男女平等の観点から批判が存在する。これに立脚すれば、男女を問わず同等に兵役に就く制度のみが国民皆兵と呼ばれることになる。なお、これを実施している国は現時点では存在しない。イスラエルでは女性にも兵役の義務が存在するが、男性より短期であり、配置や猶予・免除に関する規定が緩い。マレーシアでも女性に兵役の義務が課せられているが、選抜徴兵制である。
現代では徴兵制による国民皆兵よりも、軍人を専門職化(いわゆる職業軍人化)したほうがよいとの意見が強くなっている。まず兵器がハイテク化した現代では、兵士の頭数では勝敗が決しないこと、そのため資質や意欲の点で問題が発生しがちな徴兵制の魅力が減退したこと、大国では長期にわたる総力戦や全面戦争が起こりにくくなり、国民全体を対象に大量動員する局面が限られてきていることが論拠である。
徴兵制度から志願制度への移行は、世界的な潮流となっており、現在でも徴兵制度を維持している国家は少数派である。
2013年スイスでは男性への徴兵制を廃止するかを問う国民投票を行った結果、反対多数で否決され徴兵制が存続されることとなった。