四季 (ヴィヴァルディ)
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16px Vivaldi:Four Seasons/Quattro Stagioni - ジャニーヌ・ヤンセンのVn独奏およびアムステルダム・シンフォニエッタ(Amsterdam Sinfonietta)による演奏。AVROTROS Klassiek公式YouTube。 | |
16px Vivaldi - Seasons - スレーテン・クルスティチ(Sreten Krstić)のVn独奏およびザグレブ・ソロイスツによる演奏。ザグレブ・ソロイスツ公式YouTube。 | |
16px ヴィヴァルディ:四季 - アンタル・シャライ(Antal Zalai)のVn独奏およびThe Chamber Orchestra of St. Petersburg State Symphony Orchestraによる演奏。当該Vn独奏者自身の公式YouTube。 | |
16px VIVALDI - Four Seasons - アレクサンドラ・コヌノーヴァ(Alexandra Conunova)のVn独奏およびOrchestre International de Genèveによる演奏。Beyond Groove Productions《映像制作者》公式YouTube。 |
「四季」(イタリア語:Le quattro stagioni、英語表記はThe Four Seasons)は、イタリアの作曲家・アントニオ・ヴィヴァルディによって作曲された、4曲から成るヴァイオリン協奏曲集。
Contents
概要
本作の題名は『和声と創意への試み』 (Concerti a 4 e 5 "Il cimento dell'armonia e dell'inventione") 作品8(1725年にモルツィン伯爵ヴェンツェスラウに献呈され出版された12曲のヴァイオリン協奏曲集)のうち、 第1から第4曲の「春」・「夏」・「秋」・「冬」のために便宜上与えられたタイトルであって、ヴィヴァルディ自身は作品8の献辞以外でこれら4曲を「四季」と総称したことはない。
ヴィヴァルディは本作において新しい旋律法やダイナミズムを追求したとされているが、既にこの作品以前から彼ならではの兆候は現れている。各曲はそれぞれ3つの楽章から成り立っており、各楽章にはソネットが付されている。これらソネットの作者は不詳であるが、ヴィヴァルディ自身の作詩という説もある。本作はヴァイオリン協奏曲という絶対音楽に分類されるが、ソネットが添えられていることから標題音楽の要素も含んでいる。
楽器編成
- 独奏ヴァイオリン
- 第1・2ヴァイオリン
- ヴィオラ
- 通奏低音(チェロ、ヴィオローネ、オルガン)
- 通奏低音のオルガンは一般的に持ち運び可能なポジティブ・オルガン(小型のパイプオルガン)を指すが、ヴィヴァルディの時代にはチェンバロを含む鍵盤楽器全般を指した[1]。したがって、『秋』の第二楽章の通奏低音のパートに"Il cembalo arpeggio"(チェンバロはアルペッジョで)という指示が書き込まれているのも不思議ではない。
構成楽曲および楽曲毎の構成・ソネット要約
ヴァイオリン協奏曲集「四季」は、以下に示す4つの楽曲から構成されている。構成4楽曲全てを通しで演奏する場合の演奏時間は約40分[2]。
協奏曲第1番ホ長調 RV 269「春」(La Primavera)
協奏曲第1番 RV 269「春」を楽章毎に試聴
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- 第1楽章 アレグロ
- 春がやってきた、小鳥は喜び囀りながら祝っている。小川のせせらぎ、風が優しく撫でる。春を告げる雷が轟音を立て黒い雲が空を覆う、そして嵐は去り小鳥は素晴らしい声で歌う。鳥の声をソロヴァイオリンが高らかにそして華やかにうたいあげる。
- 第2楽章 ラルゴ
- 牧草地に花は咲き乱れ、空に伸びた枝の茂った葉はガサガサ音を立てる。羊飼は眠り、忠実な猟犬は(私の)そばにいる。弦楽器の静かな旋律にソロヴァイオリンがのどかなメロディを奏でる。ヴィオラの低いCis音が吠える犬を表現している。
- 第3楽章 アレグロ
- 陽気なバグパイプにニンフと羊飼いが明るい春の空の下で踊る。
協奏曲第2番ト短調 RV 315「夏」(L'Estate)
協奏曲第2番 RV 315「夏」を楽章毎に試聴
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- 第1楽章 アレグロ・ノン・モルト-アレグロ
- かんかんと照りつける太陽の絶え間ない暑さで人と羊の群れはぐったりしている。松の木も燃えそうに熱い。カッコウの声が聞こえる。そしてキジバトの囀りが聞える。北風がそよ風を突然脇へ追い払う。やって来る嵐が怖くて慄く。ヴァイオリンの一瞬一瞬の“間”に続いての絶え間ない音の連続が荒れる嵐を表現している。
- 第2楽章 アダージョ
- 稲妻と雷鳴の轟きで眠るどころではない、ブヨやハエが周りにすさまじくブンブン音を立てる。それは甲高い音でソロヴァイオリンによって奏でられる。
- 第3楽章 プレスト(夏の嵐)
- 嗚呼、彼の心配は現実となってしまった。上空の雷鳴と雹(ひょう)が誇らしげに伸びている穀物を打ち倒した。
協奏曲第3番ヘ長調 RV 293「秋」(L'Autunno)
協奏曲第3番 RV 293「秋」を楽章毎に試聴
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- 第1楽章 アレグロ(小作農のダンスと歌)
- 小作農たちが収穫が無事に終わり大騒ぎ。ブドウ酒が惜しげなく注がれる。彼らは、ほっとして眠りに落ちる。
- 第2楽章 アダージョ・モルト(よっぱらいの居眠り)
- 大騒ぎは次第に弱まり、酒はすべての者を無意識のうちに眠りに誘う。チェンバロのアルペジオに支えられてソロヴァイオリンは眠くなるような長音を弾く。
- 第3楽章 アレグロ(狩り)
- 夜明けに、狩猟者が狩猟の準備の為にホルンを携え、犬を従える。獲物は彼らが追跡している間逃げる。やがて傷つき獲物は犬と奮闘して息絶える。
協奏曲第4番ヘ短調 RV 297「冬」(L'Inverno)
協奏曲第4番 RV 297「冬」を楽章毎に試聴
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- 第1楽章 アレグロ・ノン・モルト
- 寒さの中で身震いしている。足の冷たさを振り解くために歩き回る。辛さから歯が鳴る。ソロヴァイオリンの重音で歯のガチガチを表現している。
- 第2楽章 ラルゴ
- 外は大雨が降っている、中で暖炉で満足そうに休息。ゆっくりしたテンポで平和な時間が流れる。
- 第3楽章 アレグロ
- 私たちはゆっくりと用心深く、つまづいて倒れないようにして氷の上を歩く。ソロヴァイオリンは弓を長く使ってこの旋律を弾き、ゆっくりと静かな旋律に続く。しかし突然、滑って氷に叩きつけられた。氷が裂けて割れ、頑丈なドアから出ると外はシロッコと北風がビュービューと吹いていく。そんな冬であるが、もうすぐ楽しい春がやってくる。
参考:作品番号8の5から12までの作品
- 協奏曲第5番 変ホ長調 RV 253「海の嵐」
- 協奏曲第6番 ハ長調 RV 180「喜び」
- 協奏曲第7番 ニ短調 RV 242
- 協奏曲第8番 ト短調 RV 332
- 協奏曲第9番 ニ短調 RV 454
- 協奏曲第10番 変ロ長調 RV 362「狩り」
- 協奏曲第11番 ニ長調 RV 210
- 協奏曲第12番 ハ長調 RV 449
関連作品
- 『そよ風のささやきに』(Dell 'aura al sussurrar) - 作者自身による歌劇『嵐の中のドリッラ(RV 709)』内の合唱曲。「春」第1楽章の旋律を一部転用し、歌詞も春について歌われている。
- ピョートル・チャイコフスキー『四季』(12の性格的小品)
- アストル・ピアソラ:『ブエノスアイレスの四季』 - 夏(南半球の1月)から始まる。
- 『白い道』 - NHK「みんなのうた」の楽曲。冬の第二楽章に歌詞をつけた。
- 『おはようさん』 - NHK「連続テレビ小説」の第16作。テーマ曲に「春」の第1楽章を編曲したものが用いられた。
- ミシェル・コレット:『主をほめたたえよ』(Laudate Dominum) - 春の音楽素材を借用して詩篇第148番の詞をつけた声楽作品。1768年。3人の独唱者と合唱と器楽からなる。
- 『あなたの言葉』- Loveの楽曲。東海テレビドラマ『天使の代理人』主題歌。
- 『V』、『V2』 - dj TAKAの楽曲。コナミ社製音楽ゲームbeatmaniaIIDX他BEMANIシリーズに収録。
- JR大井町駅の発車メロディに『春』アレグロ(1番線、東京・上野方面)と『秋』アレグロ(2番線、蒲田・大船方面)が採用,高尾駅2番線(『春』アレグロ)及び4番線(『秋』アレグロ)でも採用されている。
- 『関東私鉄「踏切」協奏曲〜警報音の相違による音楽実験室〜』 - スギテツの楽曲。四季「冬」の第1楽章に乗せて踏切音を演奏。
- 『Viva!』-「冬」の第一楽章をポップアレンジしたbondの楽曲。
- ウリ・ジョン・ロート:『メタモルフォシス〜天界の旅』 - 全楽章をエレクトリック・ギター協奏曲に編曲し、自作の組曲『メタモルフォシス』を追加したアルバム。2003年。
- 『Aura/ヴィヴァルディ:四季[3]』女声5人のクラシック・ア・カペラ、アウラAuraによる全曲録音(ソニーミュージック)。
- 『オレたちひょうきん族』 - フジテレビのバラエティ番組。1981年5月16日放送の第1回アバンタイトルコント「ディナー」のBGMに「春」を使用。その後1989年10月14日放送の最終回エンディングで、同コントを再現した時は、「秋」を使用した。
- 『吾輩は猫である』 - フジテレビ『日生ファミリースペシャル』で1982年に放送された単発テレビアニメ。冒頭のBGMに「春」を使用。
- 『大相撲中継』 - 総合テレビのオープニング限定で、→Pia-no-jaC←の「春」の第1楽章(アルバム『EAT A CLASSIC 2』に収録)を使用。BS1の102chとラジオ第1では従来どおり寄せ太鼓を流す。
- 『駆け込みドクター!運命を変える健康診断』 - TBSで放送していた医療番組。テーマソングとして→Pia-no-jaC←の「春」の第1楽章を使用。
- 『ビックリマン2000』 - テレビ東京系で放送されたテレビアニメ。悪魔軍のバカラ軍曹達が乗る飛行メカ「ガスベラス」の登場シーンに使用。また第18話で、「ホワイトゾーン」を荒らし回る「滑降悪役レーサー」(悪魔)と「ハ組の暴剣」(魔守)の前に、「直郭公爵」(天使)が登場したシーンにも使用。
- 『劒岳 点の記』 - 2009年6月20日に公開の映画版において、仙台フィルハーモニー管弦楽団による音源がバックミュージックで使用された。
- あいの風とやま鉄道線 富山駅 発車メロディ 「四季」(ヴィヴァルディ作曲) - 上記の映画で使用されていることから2017年より使用。福島直哉編曲。季節により演奏曲が変わる。詳細は当該項目を参照。
脚注
- ↑ Michael Talbot: THE VIVALDI COMPEDIUM, Boydell Press, 2011, p.132
- ↑ “オリヴィエ・シャルリエ with PAC ヴィヴァルディ「四季」 (PDF)”. 兵庫芸術文化センター管弦楽団 (2015年5月1日). . 2017閲覧.《→アーカイブ (PDF) 》
- ↑ Aura/ヴィヴァルディ:四季 - Amazon.co.jp
外部リンク
- テンプレート:IMSLP2《ピアノ絡みの編曲版のみ(2017年4月15日現在)》
- テンプレート:IMSLP2《構成楽曲毎にオリジナル版総譜掲載有》
- The Four Seasons, Op. 8 - Musopenより《構成4楽曲分の総譜(リンク)掲載有》
- 『Free-scores.com』より《構成楽曲毎の楽譜一覧》