品種
日本語では、次の3つが混在して品種と呼ばれうる。
ラテン語 | 英語 | 略号 | 区別 |
---|---|---|---|
varietas | variety | var. | 変種 |
cultivar | cultivar | cv. | 栽培品種 |
forma | form | f. | 品種 |
Contents
variety、cultivar
種の中で、他の個体と区別できる、人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており、それにより他と区別できる、もしくは産業上区別する意味の認められる個体群。クローン個体群も含まれる。品種内で遺伝的に斉一か雑ぱくかは問われない。農業(畜産も含む)上のハイブリッド品種など、ある品種同士の子孫が親と同じ品種とみなされないことも多い。
一般社会で使う場合、種と混同したりする例もある。たとえばシェパードやチワワは種ではなく犬の品種である。植物、動物、菌(キノコ)で認められる。細菌、酵母、カビなどでは系統[1]と言われ、品種とはいわない。
ただし「variety」を「変種」とした場合は、動物分類学においては、種内のあらゆる変異型をさす多義的な概念。色彩多型・季節多型・栽培生物・飼養生物・亜種および非遺伝的な変異などがこれに含まれる。動物命名規約では,現在はこれを正式な階級として扱わない。
国際栽培植物命名規約(ICNCP)の規約 (1995) では、亜種と品種(羅: forma)の間に位置する分類階級。複数の形質において他と異なる変異型に対して用い、命名の際は「var.」の符号を添えた変種名を種名の次に付加する。規約上は亜種より下位とされるが、研究者によっては亜種を用いず、変種を用いることもある[2]。
例えばハクサイの品種「耐病60日」は次のようになる。
- Brassica rapa variety pekinensis cultivar 耐病60日
- Brassica rapa subspecies pekinensis cultivar 耐病60日
- Brassica rapa variety 耐病60日
- Brassica rapa cultivar[3] 耐病60日
学名記載時は「variety」は「var.」と、また「cultivar」は「cv.」と省略して表記する。また「subspecies」は「subsp.」「sub.」「ssp.」などと表記される。動物ではこのsubsp.を省略して表記するが、植物の場合、様々な下位階級が使われているため、階級名を分類群名の前に前置する[4]。
- Brassica rapa var. pekinensis cv. 耐病60日
- Brassica rapa subsp. pekinensis cv. 耐病60日
- Brassica rapa sub. pekinensis cv. 耐病60日
- Brassica rapa ssp. pekinensis cv. 耐病60日
- Brassica rapa var. cv. 耐病60日
- Brassica rapa subsp. cv. 耐病60日
- Brassica rapa sub. cv. 耐病60日
- Brassica rapa ssp. cv. 耐病60日
ただし、園芸上の品種(栽培品種)は cv. とはせずに「‘」と「’」で括るのが正式であり、varaiety も曖昧であることが多いため表記しないことが多く、先の例は次のようになる。
- Brassica rapa ‘耐病60日’
form
自然(野生)状態で、形態などにおいてははっきりと区別できるものの、同じ地域の同種個体群とは生殖的に隔離されていない個体群を指す。植物のみで使われる。多くの顕花植物に見られる白花品などはこのように扱われる。