命名権
命名権(めいめいけん)は、人間や事物、施設、キャラクターなどに対して命名することができる権利である。1990年代後半以降、スポーツ、文化施設等の名称に企業名を付けることがビジネスとして確立した。また、科学の世界においても、新発見の元素や天体に対して発見者が、生物の学名は記載者が、それぞれ命名権を持つ慣習がある。
Contents
人の命名権
世界の多くの地域では、親または親から委託を受けた者が新生児を命名している。
日本でも親が子を命名するのが一般的であるが、その命名権の保有・行使について、命名権は親権に含まれるとする意見がある一方、本人固有の権利であるが親が代行しているとする意見など、議論は分かれており法学的な定説はない。法務行政上は、命名権の濫用と認められる場合、社会通念上不適当と認められる場合には、戸籍の届け出が受理されないことがある(例:悪魔ちゃん命名騒動)。
科学分野での命名権
元素については、名称が未確定な新元素はIUPACの命名法による元素の系統名で呼ばれる。IUPAC及びIUPAPによって発見が認定されると、発見者に命名権が発生し、IUPACによる承認を経て最終的に名称が確定する(未発見元素の一覧#発見の定義参照)。
天体については、小惑星についてのみ発見者に命名提案権が与えられており、IAUの小天体命名委員会による審査を経て命名される(小惑星#命名規則参照)。準惑星については命名規則は定められていないが、エリスの場合には発見者グループが提案した名称が採用されている。
スポーツ、文化分野での命名権
従来から、スポーツ大会などにスポンサーの名称を冠する形での命名権ビジネスは存在していたが、1990年代後半頃から、アメリカにおいてスポーツ施設等の名称に企業名を付けるビジネスが広がった。まず、メジャーリーグでクラシカルな新球場が多く建設されたとき、その名称に企業名が命名され始め、高い費用対効果が認められたことから、他のスポーツ種目やヨーロッパのスポーツ界へと広がっていった。日本においては、2000年代前半から赤字の公共施設の管理運営費を埋め合わせる手段のひとつとして導入され、その範囲はスポーツ施設や文化施設、路面電車の停留所などに及んでいる。ちなみに地方自治法において命名権売却は「公有財産の処分」にあたらないため、各自治体の議会での議決は必要ない[1]。
施設等の管理者にとっては、命名権を販売することにより収入が得られるメリットがあり、命名権を購入する企業にとっては、スポーツ中継やニュースなどで命名した名称が露出する機会を得られ、宣伝効果が見込まれる。
なお、国際大会では主管団体の規定により命名権が使用できない場合がある。この場合、命名権を導入している施設については施設名に正式名称を使用することが義務付けられる。正式名称そのものが命名権によるものになっているケース等では、別称を付けて対応することとなる。
NHKは放送法第83条により広告放送が禁止されていることを踏まえ、取材・政策の基本姿勢を示した『NHK放送ガイドライン』において企業名の取り扱いについて「本質的に必要なのか、その他の表現に置き換えることは出来ないのか」等の観点から判断しており、(施設)命名権に基づく名称については『施設の名称である以上、放送に使用することはやむをえないが、名前の一部に企業名などが含まれているため、ニュースや番組の中では繰り返しを避けて、抑制的に名称を用いる」とした上で、「企業名などを除いた施設名が定着している場合には、企業名などを除いた名称を使うこともある」としている[2]。独自に名称の差し替えを行っている例としては大相撲中継のケースがあり、本場所の会場で命名権が導入されている大阪府立体育会館(春場所、2013年から)と愛知県体育館(名古屋場所、2018年から)の名称を、主催者(日本相撲協会)が使用(併記)している命名権名称ではなく、従来からの「大阪府立体育会館」「愛知県体育館」の正式名称で表記している。
問題点
同一の施設でありながら、契約満了または契約変更によって比較的短いスパンで別の名称に変わることを問題視する意見がある。例えばYahoo!BBスタジアム→スカイマークスタジアム→ほっともっとフィールド神戸について、アメリカでの命名権(20年契約などの長期契約が基本)と比較して「球場名に愛着を抱くファン心理への配慮」が足りないことを示唆する批判がある[3]。Yahoo!BBスタジアムの場合は、同一スポンサーのヤフーが福岡ドームに「ヤフードーム」、そののちに「福岡ヤフオク!ドーム」とまったく別の施設に類似した名称をつけた。また、西武ドームは球場名が何度も変わっているが、最寄の西武鉄道の駅は「西武球場前駅」と変更しなかった。
税金で建設された公共施設を、一私企業の名称に変更することは公共イメージが損なわれるという意見もある。事実、ナイキジャパンは宮下公園の命名権を取得し「宮下NIKEパーク」と改称する予定だったが、反対運動が相次いだことで命名権行使を撤回した(ただし、命名権使用料の支払いは継続)。また、京都市美術館については、2019年に新館建設などリニューアルを実施するのに合わせ、京都市は2016年9月1日から31日にかけ、費用の獲得と愛称を決める目的で命名権を募集したが、市民団体や有識者などからは、「公共の文化財に一企業の名称が被るのは相応しくない」などの異論が出ている[4][5]。最終的に京都市美術館は、伏見区に本社を置く京セラに命名権を売却すると発表、再オープン後は「京都市京セラ美術館」の名称となる[6]。
新しい名称がなかなか定着せず、旧称を併記した結果、契約違反に問われることがある(中台運動公園におけるサウンドハウスとの命名権契約解除事例)。
命名した企業に不祥事が発覚した場合、命名権を導入した側に批判が寄せられるケースもあり(オリンパスホール八王子に対する八王子市への批判など[7])、実際に命名権契約が解除され名称が変わることもある(西武ドームにおけるグッドウィルとの契約解除など)。
また、命名権の契約金の高さから企業の買い手がつかない場合というケースもある。一例として、札幌ドームでは2011年に「5年間5億円、札幌ドームの名称を基本的に使うこと」を条件に募集したが、初回募集の1社とは折り合いがつかず、再募集の時には応募企業がなく、その後契約年数を延ばし実質的値下げにも踏み込んで下交渉を行ったものの見通しが立たないことから2011年内の再々公募を見送った経緯がある[8]。
施設管理者が一方的に命名権の導入を試みた結果、その施設を本拠地として使用しているプロスポーツチーム等の反発を招くことがある。前述の札幌ドームのケースでは北海道日本ハムファイターズが「(札幌市が自分たちへの)連絡なしに命名権を公募することに疑問を感じる」と猛反発しており[8]、2016年に報道された本拠地移転計画の遠因となった。一方で、キンチョウスタジアム・ZOZOマリンスタジアムなどのように、施設命名権の契約にプロスポーツチームが関与した場合、契約料をプロスポーツチームと折半する(施設の命名権による収入が全額施設のものとなると限らない)ケースもある[8]。
留意事項
都道府県や市町村などの地方自治体が所有している公共施設が命名権を導入する場合、施設の呼称そのものを対象とするケース(横浜市・新潟県など)と、施設の愛称のみを命名権の対象とし、正式名称も従来通り使用するケース(岡山県・香川県など)とがある。特に前者の場合、マスメディア等で対外的に施設名称を表示する際には、命名権による呼称のみを優先的に使用しなければならない旨について自治体側が規定を設ける場合がある。但しいずれの場合も、命名権によって制定された呼称を条例上の施設名称にまで及んで改称したケースはほとんど無く、条例上の施設名称は本来のものを継続して使用している。
国際サッカー連盟 (FIFA) や国際陸上競技連盟 (IAAF) など国際競技団体の一部は、自らが主催・主管する大会に於いて「企業名・商標名を冠する競技施設では公式戦を開催できない」と規定している。また大会・興行の公式スポンサー以外の企業名称が使用できない場合や、命名権を取得している企業の同業他社がスポンサーに付くケースもある。これらのケースにおいては施設名には正式名称(旧称)を使用する。また必要に応じて、場内に掲出されている企業名のロゴを覆い隠す措置を執ることもある(FIFAではこれらの規定を「クリーンスタジアム」と称している)。
また珍しいケースではあるが、命名権を購入した企業側が「旧名称のままとするのが望ましい」として呼称変更をあえて行わないことがある。鎌倉市の海水浴場3ヶ所の例では、2013年に『鳩サブレー』で知られる菓子店の豊島屋が権利を購入したものの、一般公募の結果呼称変更を行わず旧名称のまま運営を続けている(ただし形式上は「命名権を行使して、旧名称と同じ呼称を名付けた」形である)[9]。
命名権取得ではない施設
公共性のある施設に企業名・商標名を冠していても、必ずしも命名権によるものとは限らない。下記はその例。主に施設を所有又は運営している(いた)企業が、自社の企業名・商標・ブランド名を冠する場合が多い。
- ゼビオアリーナ仙台(宮城県仙台市太白区) - ゼビオ所有の体育館。
- 東北電力名取スポーツパーク(宮城県名取市) - 東北電力所有のスポーツコンプレックス。2012年6月に全面閉鎖。
- 栃木SC宇都宮フィールド・ブレックスアリーナ宇都宮(栃木県宇都宮市) - いずれも宇都宮市営の施設だが、同市が推進する「施設愛称によるプロスポーツ応援事業」として、無償で宇都宮市を本拠地とするプロチーム名(栃木SC・リンク栃木ブレックス)を冠した名称としている。
- 日立柏サッカー場(千葉県柏市) - 開館時は日立製作所所有のサッカー場、後に日立柏レイソル(柏レイソルの運営法人)に施設譲渡。
- 東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅(東京都中央区) - 1932年(昭和7年)の初代東京地下鉄道による本駅の開業に際し、三越が全額負担して建設された。
- サントリーホール(東京都港区) - サントリー芸術財団が運営(森ビルが所有)するサントリーのコンサートホール。
- 明治神宮野球場(東京都新宿区) - 宗教法人明治神宮所有の野球場。
- NHKホール(東京都渋谷区)・NHK大阪ホール(大阪府大阪市中央区) - 日本放送協会 (NHK) 所有の多目的ホール。
- ヤマハスタジアム(静岡県磐田市) - ヤマハ発動機所有のグラウンド。
- テバオーシャンアリーナ(旧・大洋薬品オーシャンアリーナ、愛知県名古屋市港区) - 武田テバファーマ(旧・大洋薬品→テバ製薬)所有の体育館。
- パナソニックアリーナ・パナソニックベースボールスタジアム(旧・松下電器体育館、旧・松下球場。大阪府枚方市) - パナソニック所有の体育館・野球場。
- 近鉄花園ラグビー場(大阪府東大阪市) - 近畿日本鉄道(近鉄)が所有していたラグビー場。2015年に東大阪市に譲渡され「東大阪市花園ラグビー場」となり、企業名が外れた。
- 日本生命球場(日生球場、大阪府大阪市中央区) - 日本生命保険(日生)が所有していた野球場。1997年閉鎖。
- ワールド記念ホール(兵庫県神戸市中央区) - 正式名称「神戸ポートアイランドホール」。ワールドからの寄付金により建設された。
- 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市) - 阪神電気鉄道所有の野球場。なお「甲子園」の名は、球場完成年の1924年(大正13年)が、干支の「甲子」の年に当たることに由来するもので、企業名でも本来の地名由来でもない。
- ノーリツアリーナ和歌山(和歌山県和歌山市) - ノーリツ鋼機所有の体育館。
- 大塚ヴェガホール(徳島県徳島市) - 大塚製薬所有の多目的ホール。
- 福岡市九電記念体育館(福岡県福岡市中央区) - 開館時は九州電力所有の体育館である「九電記念体育館」だったが、2003年に福岡市に無償譲渡された。
施設の名称に導入した事例
特定施設の名称に導入した事例
日本のプロスポーツにおいて、公式戦開催時のみ場内の特定施設(観客席など)に命名権を採用するケースがある。
神戸市御崎公園球技場(神戸ウイングスタジアム)では、Jリーグのヴィッセル神戸の主催ゲーム限定で2005年3月より観客席の名称に命名権を採用しており、メインスタンドを「楽天スタンド」、バックスタンドを「Kawasakiスタンド」と称している。施設全体に企業名を冠する場合とは異なり、スタジアムではなく、興行主のヴィッセル神戸(運営会社クリムゾンFC)に2社から広告料が支払われる。
阪神甲子園球場では、2008年からプロ野球開催日のみ、新設されたフィールドシートに「SMBCシート」(1・3塁側 2012年まで「みずほ銀行シート」)「東芝シート」(バックネット裏)の命名権が、また、2009年からプロ野球開催日のみ、3塁側に新設された掘りこたつタイプのボックスシートに「三ツ矢サイダーボックス」(アサヒ飲料)の命名権が取り付けられた(2012年からは1塁側にも新設・命名)。さらに2013年から1塁側アルプス席の最前列にセブンイレブンジャパンと締結した「セブンイレブンエキサイトシート」(ライトポール側付近)、「セブンイレブンファミリーシート」(アイビーシート側付近)が設置される。球場そのものの命名権は現在予定されていない。
広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)では、プロ野球開催日のみ、正面及び内野砂かぶり席と2階テラスシート、ライトポール際観客席(びっくりテラス)、ライトスコアボード際観客席(寝ソベリア、2011年シーズン - )に命名権を採用しており、正面砂かぶり席を「東芝シート正面砂かぶり」(2009年シーズン、東芝))→「ビックカメラシート正面砂かぶり」(2010年シーズン - 、ビックカメラ)、内野砂かぶり席を「KIRINシート砂かぶり席」(キリンホールディングス)、2階テラスシートを「コカ・コーラテラスシート」(日本コカ・コーラ/コカ・コーラウェスト)、ライトポール際観客席を「エバラ黄金の味 びっくりテラス」(エバラ食品工業)、ライトスコアボード際観客席を「セブン-イレブンシート寝ソベリア」(セブン-イレブン・ジャパン)と称している。この場合は、同球場の指定管理者の広島東洋カープとともに同球場の共同運営を行う三井物産に3社から広告料が支払われる。
宮城球場(2018年より「楽天生命パーク宮城」)では、2009年設置の「グループシート5」に2010年まではローソン、2012年からはセブンアンドアイホールディングス/セブンイレブンジャパン、また「ボックスシート5」にも2012年よりみちのくコカ・コーラボトリングが命名権を取得し、前者は「ローソングループシート5→セブンイレブングループシート5」、後者は「コカコーラボックスシート5」とされている。また、2016年に左中間後方に開設された公園施設は江崎グリコが命名権を取得し、「スマイルグリコパーク」の名称で運営されている。
札幌ドームでは、それまでプロ野球開催日のみ設置していた3階席「スカイビューボックスシート」を、2012年よりローソンと契約を結び「ローソンスカイボックスシート」、三塁側外野席で陽岱鋼の背番号1をかたどった後方一部エリアを2013年シーズンより「ローソン 岱鋼シート」・中田翔の背番号6をかたどった一部エリアを2014年シーズンより「ローソン 中田翔フルスイングシート」、また一塁側内野A指定席一部の女性向け座席「シンデレラシート」をセブン-イレブン・ジャパンと契約を結び2013年シーズンより「セブン-イレブン シンデレラシート」、2015年よりシンデレラシートエリア下の一部座席を2015年シーズンより「セブン-イレブン ビジョンシート」と命名している。
横浜スタジアムは2013年の内野ファウルゾーンにエキサイティングシートというフィールドシート席が設置されるが、このうちの1塁側の箇所をセブンイレブンジャパンと締結し「セブンイレブンエキサイティングシート」と命名されている。
京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場(西京極スタジアム)では、Jリーグの京都サンガF.C.の主催ゲーム限定で2011年3月より入場ゲート(第4ゲート)に命名権を採用しており、「auゲート」(KDDI)と称している。
鈴鹿サーキットでは、最終コーナー直前のシケイン(ターン16・17)に命名権を採用、2014年3月1日に日立オートモティブシステムズとパートナー契約を締結し「日立オートモーティブシステムズシケイン」と命名されている[10]。また、2018年4月12日からは武蔵精密工業と200Rに設置された2輪用シケインのパートナー契約を締結、「MuSASHiシケイン」と命名されることになった[11]。
施設以外の名称に導入した事例
施設以外に、組織、作品、イベント、機器等に命名権が導入されるケースがある。
- 秘密結社鷹の爪 THE MOVIE - 第2弾以降で映画タイトルに命名権を導入し、スポンサー企業の商品名を組み込んでいる。映画でははじめての事例。
- 秘密結社鷹の爪 THE MOVIE2 〜私を愛した黒烏龍茶〜 - 2008年公開。当時黒烏龍茶を発売していたサントリーが権利を取得。
- 秘密結社鷹の爪 THE MOVIE3 〜http://鷹の爪.jpは永遠に〜 - 2010年公開。国別コードトップレベルドメインを管理する日本レジストリサービスが権利を取得。
- 秘密結社鷹の爪 THE MOVIE4 〜カスペルスキーを持つ男〜 - 2010年公開(正式には「THE MOVIE3」のDVD特典映像)。アンチウイルスソフトを展開するカスペルスキー・ラボが権利を取得。
- 秘密結社鷹の爪 鷹の爪GO 〜美しきエリエール消臭プラス〜 - 2013年公開。「エリエール」ブランドを手がける大王製紙が権利を取得。
- メガネの相沢プレゼンツ県民ロビーコンサート - 宮城県庁舎県民ロビーで1989年から毎月行われている無料コンサートに対して県が命名権を募集し、2009年3月までの6ヶ月分を51万円で売却。
- JFEエンジニアリングさがみ - 神奈川県が所有するヘリコプター「さがみ」(川崎・BK117B-1)の命名権をJFEエンジニアリングが取得。
- りんくうの風MAKINO - 愛知県常滑市のりんくう緑地内にある小型風力発電機の命名権をマキノが2012年4月から2年契約で取得。
- 愛川ソーラーパーク“さんてらすTOBISHIMA” - 神奈川県愛甲郡愛川町のメガソーラー設備(2013年4月完成)の命名権を飛島建設が取得。契約期間は2018年3月までの5年間。
- あしぎんマロニエ県庁コンサート - 栃木県庁舎1階ロビーにて年6回行なわれている無料コンサート。足利銀行が2011年(1年契約、現在2013年まで更新中)から取得している。
- 中国聯通号 - 中国国鉄南昌鉄路局によって命名権が販売され、中国聯通が落札し福建省内を走る中国鉄路高速(中国の高速鉄道列車)に命名された。[12]
- エアアジア ブキッ・ビンタン駅 - 2015年10月、マレーシアの格安航空会社が命名権を購入し駅名を変更した[13][14]。
- 銚子電気鉄道が2015年5月から銚子駅以外の仲ノ町駅-外川駅間の9駅に愛称ネーミングライツを募集し[15]、2015年12月より7駅で運用を開始し[16]2016年2月までに9駅全ての命名権を完売した[17]。
- ポッカレモン消防音楽隊 - 名古屋市によって名古屋市消防音楽隊の命名権が販売され、3年間につき約1000万円の契約でポッカサッポロフード&ビバレッジが購入した。[18]
スポーツのリーグ戦に導入した事例
単発の大会やトーナメント戦の冠スポンサーではなく、リーグ戦の命名権者(タイトルパートナー)となった事例。
- ルートインBCリーグ - 2014年のシーズンよりオフィシャルスポンサーの1つであるホテルルートイングループがベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)の命名権を取得し、通称を改めた[19]。
- ターキッシュ エアラインズ bjリーグ(TKbjリーグ) - ターキッシュ エアラインズが日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)とネーミングライツおよびオフィシャルパートナー契約を締結し、2014-2015シーズンから導入[20]。
- 明治安田生命Jリーグ - 明治安田生命保険が日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)との間で2015年から2018年までの4年間のタイトルパートナー契約を締結[21]。3部リーグのJ3リーグには1年早く2014年からタイトルパートナー契約を締結。
- NBAゲータレード・リーグ - ペプシコ社がNBAデベロップメント・リーグとパートナーシップ契約を結び、2017-18シーズンより同社のスポーツドリンクブランドであるゲータレードをリーグ名に使用している。
スポーツのチーム名に導入した事例
日本のプロ野球
日本野球機構(NPB)管轄のプロ野球では、現在は命名権に基づくチーム名は存在しない(チーム名に含まれる企業名は基本的にオーナー企業の名称)が、二軍に限定すれば過去には複数の事例がある。独立リーグでは、2014年以降、命名権に基づくリーグ名・チーム名が誕生している。
- NPB
-
- サーパス神戸(2000年-2006年)→サーパス(2007年-2008年) - オリックス・ブルーウエーブ→オリックス・バファローズの二軍の球団名に導入。穴吹工務店が命名権を3年契約で取得し、同社のマンションブランド「サーパス」を冠した。2003年から2005年の間は命名権を取得したサイバーファームが穴吹工務店の了承を得て同チーム名としていた。穴吹工務店は2006年から再び命名権を取得するが、同社の経営不振に伴い契約を中途解除。
- インボイス(2005年-2006年)→グッドウィル(2007年) - 西武ライオンズの二軍の球団名に導入。一軍本拠地である西武ドームの命名権と同時に導入され、球場の命名権企業と同じインボイスおよびグッドウィル・グループが命名権を取得した。インボイスとは球場命名権の契約満了(球団が更新を拒否)により、グッドウィルとは同社の不祥事により、それぞれ命名権契約を中途解除。
また、実現しなかったものとして、2004年に計画された大阪近鉄バファローズの命名権導入が挙げられる。親会社の近畿日本鉄道(近鉄)の経営改善強化策の一環によるものだが、他球団からの反対により断念。このことが結果的に2004年のプロ野球再編問題の引き金となった。
このほか1970年代までに以下のようなスポンサー名への球団名変更の事例がある。ただしこれらは「球団自体へのスポンサード(経営に関与しない資金提供のみ)に付随する球団名の変更」であり、球団名のみを売却したわけではない。
- ライオン軍(1937年-1940年) - それまでの大東京軍の経営権が國民新聞社から共同印刷(の専務の大橋松雄)と田村駒治郎に移った際、小林商店(現・ライオン)スポンサーとなり(チームの運営には携わっていない)、チーム名に屋号(ライオン歯磨本舗)である「ライオン」の文字を組み込んだ。「ライオン」が敵性語と見なされたため、1940年まではこの名称で通すも、1941年に「朝日軍」に改称(小林商店からのスポンサードは継続)。戦後、松竹が資本参加して松竹ロビンスとなり、大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)との合併により事実上消滅。
- トンボユニオンズ(1955年) - トンボ鉛筆がリーグの斡旋により高橋ユニオンズ(高橋龍太郎の個人経営)のスポンサーとなるも1年で撤退。翌々年に大映スターズと合併し大映ユニオンズとなり、後に毎日オリオンズと合併して大毎オリオンズに。
- ロッテオリオンズ(1969年-1970年) - 1969年に東京オリオンズ(大毎オリオンズの後身)にロッテがスポンサーとして参加。最初の2年間は東京オリオンズ時代から引き続いて大映が経営権を持っており、この間は「命名権(スポンサード)によるチーム名」だった。1971年1月にロッテが大映から球団経営権を譲受して、「親会社の名称によるチーム名」に。現在の千葉ロッテマリーンズ。
- 太平洋クラブライオンズ(1973年-1976年)→クラウンライターライオンズ(1977年-1978年) - 1973年に設立された福岡野球(中村長芳が身売りされた西鉄ライオンズを引き受けた個人運営の会社)への、太平洋クラブからの資金援助によるもの。1977年にはクラウンガスライターとも提携して(太平洋クラブとの提携も継続)球団名変更。1978年シーズン終了後に国土計画(西武グループ)に球団が売却され本拠地も移転、西武ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)に。
なお、広島東洋カープの「東洋」は球団の筆頭株主であるマツダの旧社名(東洋工業)に由来するが、実質的にはマツダの創業家である松田家による同族経営がなされている。
これは、発足以来の市民組織による球団経営への限界から、1957年に東洋工業・広島電鉄・中国新聞社・広島銀行[22]・広島ガス・山陽木材など地場企業10社によるグループオーナー形式に移行していたのが、各社による経営の主導権争いが起きて結果的に空中分解し、1968年に当時は松田家の同族経営だった東洋工業と同社の協力企業による組織である東友会協同組合による経営に一本化した際に[23]実質的に親会社となったものの、市民球団としての設立経緯を尊重した松田恒次オーナー(当時)の意向により企業としての球団の経営介入が抑えられたことに加え、1970年代中頃に第1次オイルショックなどで経営危機に陥った後、通商産業省と住友銀行などの介入により経営再建が行われた過程で東洋工業に対する松田家の影響力が薄れ、同時に銀行側の意向で広島球団に対する東洋工業・東友会協同組合の企業・団体としての経営関与がより弱められると同時に松田家による事実上の独立経営となった経緯によるものであり、「親会社の名称によるチーム名」と「命名権(スポンサード)によるチーム名」の両方に類するとも、あるいはどちらでもないとも言える。
- 独立リーグ
-
- 富山GRNサンダーバーズ(BCリーグ、2015年 - )- GRN(北陸コカ・コーラボトリングの子会社)との契約により、従来の富山サンダーバーズより改称[24]。
日本のプロバスケットボール
B.LEAGUEではチーム名に企業名を入れることを原則として禁止しているため、今後参入するチームは新たに命名権を取り入れることはできない。 ただし、前身リーグより企業名を入れているクラブについては、クラブ公式文書で使用する正式なチーム名に限り継続して使用することが可能である。B.LEAGUEの前身のひとつであるJBL→NBLでは、以下の通り命名権を取り入れたクラブが存在した(他チームに含まれる企業名は運営企業の名称)。
- リンク栃木ブレックス - 経営コンサルティング企業のリンクアンドモチベーションが2008年からの3年契約で買収。2009年からは運営会社がリンク社の完全子会社化され、「親会社の名称によるチーム名」となっていた。2016年のB.LEAGUE発足に合わせて運営会社がリンク社の資本外に変更されたが、正式なチーム名としてはリンクの名を残す。
- サイバーダインつくばロボッツ→サイバーダイン茨城ロボッツ - 精密機器メーカーのサイバーダインが2015年からチーム名を買収。
日本のサッカー
- サンライフFC(四国サッカーリーグ) - 香川紫雲FC(現・カマタマーレ讃岐)が消費者金融のサンライフと命名権契約を結んでいた。
- KOREA FootballClubグラシアス西条(四国サッカーリーグ) - フットサルコート経営のグラシアス西条と命名権契約を結んでいる。
- ひまわり牛乳南国SC(四国サッカーリーグ) - 南国高知FC(現・アイゴッソ高知)が地元の乳業会社・ひまわり乳業と命名権契約を結んでいた。
- auショップ天神FC柳町(高知県社会人リーグ) - FC柳町が四国サッカーリーグ時代に高知県のauショップ天神店と命名権契約を結んでいた。
- 日テレ・ベレーザ(日本女子サッカーリーグ) - 日本テレビ放送網(日テレ)がチームの命名権を保有。元々日テレも出資者として参加していた(日本テレビフットボールクラブが運営)が、2009年シーズン後に運営が日テレの関与しない組織(東京ヴェルディ1969フットボールクラブ)へ移管。日テレは撤退後もチームの命名権を引き続き保有し、チーム名も日テレ・ベレーザのままとなった。
- ちふれASエルフェン埼玉(日本女子サッカーリーグ) - ちふれ化粧品と命名権契約を結んでいる。
- コノミヤ・スペランツァ大阪高槻(日本女子サッカーリーグ) - コノミヤと命名権契約を結んでいる。
- マイナビベガルタ仙台レディース(日本女子サッカーリーグ)- マイナビと命名権契約を結んでいる。
なお、Jリーグ所属クラブ(準加盟も含む)には企業名が禁止されている為、命名権をつけたチームはない。JFLでは可能とされているが、今まで命名権を採用したクラブは存在しない(運営企業名を名乗っているチームは存在する)。
日本のプロボクシング
日本のプロボクシングジムにおいては命名権を売却するケースは非常に多い。代表的な例として、以下のような事例がある。
- アルファボクシングジム - 山木ジムが2011年移転時に命名権をスポンサーのアルファ・ホームズに売却。2014年3月31日スポンサー契約が切れた後も引き続き使用している。
- 協栄ボクシングジム - 金平ボクシングジムの命名権をスポンサーの協栄物産に売却。
- グリーンツダボクシングクラブ - コム名の「グリーン」はグリーン観光に命名権を売却し、スポンサー契約が切れた後も引き続き使用しているものであり、現在、グリーン部分の命名権を販売している。創設当時は愛寿ボクシングジム。
- チャイナクイック渡辺ボクシングジム - ワタナベボクシングジムの命名権を2002年頃にチャイナクイックインキュベイト(後のCQエンターテイメント)に売却していた。
- トクホン辰東ジム→トクホン真闘ボクシングジム - 医薬品メーカーのトクホンが命名権スポンサーとなり、辰東ジムから名称変更。2014年3月31日契約切れにより真闘拳に変更。
日本の自転車競技
- 湘南ベルマーレロードレーシングチーム→レモネード・ベルマーレ・レーシングチーム→リオモ・ベルマーレ・レーシングチーム - コムレイドが湘南ベルマーレと命名権契約を締結して湘南ベルマーレロードレーシングチーム、2015年にロヂャースレーシングチームと合併に当たり、レモネード社とも契約してレモネード・ベルマーレ・レーシングチーム、同社のリオモへの社名変更により現チーム名に。
- キナンサイクリングチーム - 建設機械レンタルのキナンと命名権契約を締結。
日本のその他のスポーツ
- ノジマ相模原ライズ(アメリカンフットボール・Xリーグ所属) - 相模原ライズが家電量販店のノジマと3年間の命名権契約を締結し、2011年4月1日にチーム名を変更。
- ブルボンウォーターポロクラブ柏崎(水球) - 柏崎水球クラブが菓子メーカーのブルボンと命名権契約を締結。共に本社・本拠地を新潟県柏崎市に置いている縁による。
- ファイテンビーチウィンズ→レオパレス・ビーチウインズ→レオパレス・ウィンズ(ビーチバレー) - 2002年から2005年までスポーツ用品メーカーのファイテン、2006年から2008年まで不動産業のレオパレス21と命名権契約。
- シアタープロレス花鳥風月(プロレス) - 芸能事務所G-TALENTがプロレスイベント旗揚げ時、北区のラーメン店「オフィシャルラーメンショップ花鳥風月」と命名権契約を締結。2015年夏にラーメン店が閉店した後も使用中。
- 朝日生命体操クラブ・体操教室(体操) - 当初は朝日生命保険が社員による企業チームとして運営していたが、その後傘下として設立した「朝日生命体操教室」を通じて、外部から広範な世代の部員を受け入れ、体力作りから競技選手育成までを行う総合的な体操競技団体となった。さらに、不景気による企業スポーツ縮小の影響から、2002年にクラブ・教室の運営・指導の中心人物だった塚原光男・塚原千恵子夫妻が設立した「塚原体操センター」に運営を移管し、朝日生命の名称を引き続き冠して協賛する形式に移行した。
韓国のプロ野球
- ウリ・ヒーローズ(2008年)→ネクセン・ヒーローズ(2010年-) - 2008年、現代ユニコーンズを引き継ぐ形で韓国プロ野球に参入。投資会社センテニアルインベストメントが、メインスポンサー「ウリ・タバコ」に球団命名権を売却し、2008年から2010年までの3年契約を結んだが、2008年シーズン途中にウリ・タバコが命名権を放棄。
その後「ウリ」の冠を外し、2009年までは単に「ヒーローズ」とした。2010年にタイヤメーカーのネクセンタイヤが命名権を取得、現在の名称になった。
トルコのプロバスケットボール
- フェネルバフチェ・ユルケル(2006年 - 2015年) - フェネルバフチェ・エルケク・バスケトボル・タクムが2006年に食品メーカーのユルケルと命名権契約を締結。
命名権募集中・検討中のもの
施設
北海道・東北
- 札幌ドーム - 2011年に命名権企業を募集したが、折り合いがつかずこの年の改称は行われなかった。再募集のめども現状立っていない。
関東地方
中部地方
- 長野県伊那文化会館
- 長野県動物愛護センター(ハローアニマル)
- 長野県松本平広域公園(信州スカイパーク) - 公園内にある、総合球技場(アルウィン)およびやまびこドームについては、個別での応募も可能としている。
- 伊那スタジアム・伊那市営野球場 - 2施設セットでの募集[25]
- 伊那市陸上競技場[25]
- 伊那市民体育館
- 浜松球場
- 静岡草薙球場
- 豊橋市民球場
- ナゴヤドーム 2015年に命名権を検討していることが分かった
- 岐阜県未来会館
- 長良川球場
- 岐阜市立岐阜特別支援学校
- 大垣市北公園野球場
- 大垣市民会館
- 津球場
- 四日市霞ヶ浦球場
- 三重県総合文化センター
中国・四国地方
- 岡山県倉敷スポーツ公園野球場(マスカットスタジアム)
- 広島県立総合体育館
- さぬき市志度音楽ホール
九州地方
- アクシオン福岡
- 福岡県立ももち文化センター
- 北九州市民球場
- 佐賀県総合運動場
- 佐賀県総合体育館
- くま川鉄道
- 熊本県民総合運動公園屋内運動広場(パークドーム熊本)
- 藤崎台県営野球場
- 熊本県立総合体育館
- 長崎県立総合運動公園陸上競技場
施設以外
脚注
- ↑ 京都会館命名権、ロームに 公募せず売却、市会委紛糾 2011年2月8日 京都新聞
- ↑ NHK放送ガイドライン2015 (PDF) . 日本放送協会, pp.21-23, 2018年7月24日閲覧。
- ↑ 正平調 - 神戸新聞2011年2月28日
- ↑ 京都市美術館 命名権募集 19年度リニューアル開館 50年で50億円 /京都 毎日新聞 2016年9月6日
- ↑ 京都市美術館 京都市○○○美術館? 命名権売却先を募集 市、50年50億円希望/「公共の文化財」異論も 毎日新聞 2016年9月30日
- ↑ 命名権を売却、「京都市京セラ美術館」に 総額50億円 - 朝日新聞、2016年10月7日
- ↑ 八王子市:命名権売却「オリンパスホール」好調だが… - 毎日新聞2011年11月17日
- ↑ 8.0 8.1 8.2 徹底研究 札幌ドーム<6> - 読売新聞北海道発2011年12月22日
- ↑ 「鳩サブレー海岸」にはしません 豊島屋、命名権購入も名前はそのままに - ハフィントンポスト・2014年5月15日
- ↑ 鈴鹿のシケインがネーミングライツで名称変更,オートスポーツ,2014年3月1日
- ↑ 鈴鹿サーキット、武蔵精密工業と二輪用シケインのネーミングライツ契約を締結,オートスポーツ,2018年4月12日
- ↑ 中国、政権交代で列車名も変更 「和諧」が「聯通」に
- ↑ Bukit Bintang monorail station now called ‘AirAsia-Bukit Bintang’ - - Malay Mail Online 2015年10月9日
- ↑ KL Monorail presents AirAsia Bukit Bintang station - The Malaysian Insider 2015年10月9日
- ↑ 銚子電気鉄道 駅名(愛称)ネーミングライツの募集について
- ↑ 銚子電鉄のネーミングライツによる駅名愛称の運用スタート(archive.is)
- ↑ 命名権9駅完売、総額1160万円 銚子電鉄、外川新愛称「ありがとう」 千葉
- ↑ [1]
- ↑ BCリーグ命名権(ネーミングライツ)について - BCリーグニュース(2014年2月25日)
- ↑ “ターキッシュ エアラインズとネーミングライツパートナー契約” (プレスリリース), 日本プロバスケットボールリーグ, (2014年9月25日)
- ↑ “明治安田生命保険相互会社とJリーグタイトルパートナー契約を締結” (プレスリリース), 日本プロサッカーリーグ, (2014年12月16日) . 2016閲覧.
- ↑ 球団運営法人自体は、広島相互銀行→広島総合銀行→もみじ銀行をメインバンクとしている。
- ↑ 『よみがえれ!ライオンズ 第一部 揺れる球団⑦ 【幻影】“市民球団”カープが証明 船頭多くして崩壊』 - 西日本スポーツ・1978年10月3日。
- ↑ 富山GRNサンダーバーズ命名権発表のお知らせ富山GRNサンダーバーズ公式サイト 2015年2月26日配信
- ↑ 25.0 25.1 市有施設の命名権者(ネーミングライツスポンサー)を募集について - 伊那市(2017年9月1日)
- ↑ 泉佐野 市の名前売ります…財政難で苦肉の策 2012年3月12日 読売新聞
- ↑ 「泉佐野市の命名権、応募なし 市長「思いは伝わった」」 朝日新聞2012年11月30日