名刺
名刺(めいし、中: 名片、米: Calling Card、英: Visiting Card、Business Cardの表記も)は、本人が自らの名前と所属・連絡先等を示すために他人に渡すことを目的としたカードである。
概要
名刺は、自己紹介の一環として交換されたり、職業上の儀礼のために手渡されるものである。一般的に氏名を最も強調し、所属(いわゆる肩書き)・連絡先(電話番号・所在地など)を記載する。中には証明写真や、ウェブサイトのURL・メールアドレスを記載しているものもある。保存性・耐久性の点から厚い紙が用いられ、携帯の利便性から人の手よりも小さいサイズの紙製のものがよく使用される。
日本や韓国・台湾・中国などの東アジア圏では、業務上の初対面時に名刺交換を行うことが慣習化しており、東南アジア諸国でも一般的である。
欧米では、かつては名刺交換の頻度は低かったが、近年ではURL・メールアドレスなどの交換の必要性や、東アジアでのビジネスの増加により、だんだんと珍しくない光景になりつつある。
一方で、平凡社の『日本人の大疑問⑨』(1995年刊 ISBN 4-582-62529-0)の記述するところでは、1854年にフランスのディストリという写真家が写真入り名刺の特許を取っており、サイズの記載もある。パーティなどの場で名前だけのものを使用していたようである。欧米各国での使用例が記載されている。ロシア・ドイツにおいては外国と商売する人のみ使用するとされていたが、近年、特に営業職では携行するのが一般化している。
名刺交換の慣習で西洋と日本での大きな違いは、欧米では別れ際に氏名や住所・役職・連絡先などの確認のために交換することが多いのに対し、日本では商談に入る前、会ってすぐに交換をすることである。
名刺のサイズはいわゆる黄金比である。日本の標準サイズは91ミリ×55ミリ。欧米の標準サイズは3.5インチ×2インチ(89ミリ×51ミリ)。他に3号サイズ(49ミリ×85ミリ)や小型4号サイズ(70ミリ×39ミリ)もある。近年ではあえて非定型だったり標準サイズとは違う名刺を使用する会社もある。例としてレゴ社ではミニフィグの形をした「名刺」を利用する社員もいる。
小型のものは主に女性用として、特に水商売の女性には四隅を丸く処理したものが好んで用いられる。また、舞妓用として花名刺がある。
東洋での名刺
発祥は古代中国の後漢頃に遡る。士大夫階級が、誰かの邸を訪問する際に、門前の箱に「刺」と呼ばれる、姓名と身分を書いた札を投じて、取次ぎを要請した習慣がそれとされる。
三国時代の呉の武将・朱然の墓が1984年に発見され、発掘された結果、副葬品に彼の「名刺」が発見された。これが現存する最古の名刺とされる。
その他の名刺
祭礼で名刺が使われることがある。
北海道・江差町で行われる姥神大神宮渡御祭では、御輿渡御及び山車行列の際、神社関係者や各山車の関係者が沿道と近隣の家・企業などから御祝儀を頂いた時や切り声と呼ばれる民謡を謡った後などに名刺を渡す習慣がある。名刺とは呼ばれているが、1枚の大きさが姥神大神宮の物で136ミリ×297ミリ、各山車の物で100~115ミリ×263~273ミリ[1]あり、姥神大神宮や各山車に関する紹介・説明・歴史が書かれた物で、通常の名刺とは異なる。
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姥神大神宮渡御祭にて配布される姥神大神宮名刺(表面)
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姥神大神宮渡御祭にて配布される姥神大神宮名刺(裏面)
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姥神大神宮渡御祭にて配布される義公山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される源氏山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される松寳丸名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される新栄山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される神功山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される政宗山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される清正山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される聖武山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される楠公山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される蛭子山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される豊年山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される豊榮山名刺
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姥神大神宮渡御祭にて配布される譽山名刺
脚注
- ↑ いずれも実測値