労働市場
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労働市場(ろうどうしじょう)は、労働力を商品として、需要と供給をめぐる取引がおこなわれる市場である。労働市場の存在は、資本主義の特徴の一つである。
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世界における労働市場
労働市場では、需要と供給の調整は、賃金の調整で行われている[1]。労働の超過供給とは、「失業」であり、失業とは「賃金の下方硬直性」と密接に結びついた現象である[2]。
経済学者の飯田泰之は「安定的な労働市場が維持されれば、労働市場は売り手市場化する」と指摘している[3]。
経済学者の岩田規久男は「市場だけでは完全雇用を自動的に達成するメカニズムを持っていない」と指摘している[4]。
フリードリヒ・ハイエクは、既得権を守る労働組合・労働法制などによる労働市場の硬直性が、市場を通じた所得格差を妨げる大きな障害であると指摘している[5]。
みずほ総合研究所は「労働市場の硬直性が高失業・失業の長期化を招く。一度失業したら再就職が困難な労働市場よりも、転職が容易である流動化された労働市場の方が雇用機会が増加する。流動的な労働市場を形成し、新規の雇用を創出することが雇用のセーフティーネット拡充につながる」と指摘している[6]。
日本における労働市場
日本の労働市場は堅い解雇規制(これについては正規社員の解雇規制緩和論や整理解雇も参照)と企業風土によって硬直化しているが、技術職や専門職など社外でも技術をそのまま生かせる職能を持つ者は転職しやすく、またそれを求める需要も多く存在する。そのような職種はエンジニア(特にシステムエンジニア)やトレーダー、デザイナーなど多種多様である。
また近年では、リクナビやマイナビなどの登場により、「新卒採用の労働市場化」も顕著になってきている。
脚注
- ↑ 野口旭 『ゼロからわかる経済の基礎』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、155頁。
- ↑ 野口旭 『ゼロからわかる経済の基礎』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、100-101頁。
- ↑ 飯田泰之・雨宮処凛 『脱貧困の経済学』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2012年、260頁。
- ↑ 岩田規久男 『経済学的思考のすすめ』 筑摩書房、2011年、165頁。
- ↑ 日本経済新聞社編 『経済学の巨人 危機と闘う-達人が読み解く先人の知恵』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、66頁。
- ↑ みずほ総合研究所編 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、152頁。