力水 (相撲)

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力水を口に含んだ力士。使った柄杓呼出に返し、次に力紙を受け取る

力水(ちからみず)とは、大相撲における儀式の一つで、力士土俵に上がったときに他の力士から渡される清めので、神聖な土俵に上がる時に身を清めるために使われる。原則として十両以上の取組で使用する。

作法

水桶を白房下と赤房下の東西に1個ずつ配置し、呼び出しが水桶から柄杓(ひしゃく)で水を汲んで「力水をつける」役の力士に渡し、これを力水とする。土俵上の力士は柄杓を受けるが、これを飲むのではなく、一口だけ口に含むのみ[1]。受ける側は片膝を立てて行う方法が本来の正しい形であるが、現在はほとんどの力士は慣習上蹲踞の姿勢で力水を受けており、豊真将などが数少ない例外である[2]。力水をつけた後は、次いで渡される力紙(化粧紙ともいう。半紙を半裁し二つ折りにしたもの)で口や顔の汗などを拭いて(この時、含んだ水を桶の横にある盥に吐く)身を清める儀式を行う。

柄杓を使うようになった時期は1941年からで、それ以前は杯を使用していた。

「力水をつける」力士

「力水をつける」役をする力士は直前の取組で勝った力士に限られ、負けた力士はつけることができない。勝った力士は次の力士に力水をつけるまで土俵下に待機する。負けた力士は取組を終え土俵を降りると共に退場し、力水を付ける役は、土俵下で控えている次の取組の力士が務める。十両や幕内の最初の取組では力水は二番目の取組の力士がつける。

結び二番前の取組で勝った力士は次の取組の力士に水をつけた後、退場せずに控えに残る(勝ち残り)。結び前の取組で勝ち残り力士と異なる方屋の力士が勝った場合、結びの一番では勝ち残り力士が再度水をつける。一方、結び前の取組で勝ち残り力士と同じ方屋の力士が勝った場合、負けた力士は控えに残るが(負け残り)、水をつけることができず、結びの一番では土俵上に上がっている力士の付け人花道に出て力水をつける。この場合でも付け人なら誰でも良いというわけではなく、当日の取組で勝った付け人のみが力水をつける。このとき、付け人は、浴衣を着て片肌脱ぎの装いをする。付け人がいない場合、間に合わない場合には、呼び出しが力水をつける[3]。十両最後の取組でも同様の進行となる。

千秋楽これより三役は、最後の三番をとる6人のみで進行するため、その直前の取組の力士は両者ともに退場し、一番目の力士の力水は二番目の力士がつける。初日と千秋楽の協会あいさつの直後の取組でも、直前の取組の力士が両者とも退場しているため、力水は次の取組の力士がつける。

力水に使用する水

福岡県直方市の米菓製造会社もち吉が自社製品の「力水」を1992年の3月場所から無償で提供している[4]

脚注

  1. もっとも、極度の緊張や口渇のために力水を飲んでしまった事例も多数存在する。
  2. 『大相撲ジャーナル』2014年2月号64頁
  3. 2013年3月場所8日目の結びの一番では、東方の力士が相次いで敗れたため、本来は付け人が力水をつけるはずだったが、付け人がそれを忘れていたことから、呼び出しが力水をつける事態となった。
  4. 相撲愛で湧く力水(日刊スポーツ)

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