冠山 (岐阜・福井県境)
冠山(かんむりやま)は、両白山地南部の越美山地の岐阜県と福井県にまたがる標高1,257 mの山である。揖斐川及び九頭竜川支流の足羽川の源流となる山で、冠山峠がその分水嶺となっている。
Contents
概要
鋭く尖った冠型の特徴のある山容[1]を冠山林道(林道冠山線)からも望むことができる。日本各地には同様な烏帽子形の特異な山容の冠山があり、その山容が山名の由来となっている[2][3]。岐阜と福井の県境の冠山峠には両自治体の石碑(美濃国揖斐川町、美濃国徳山村、美濃国藤橋村、越前国池田町)があり、冠山及び金草岳の登山口になっている。冠山の山頂直下には、国道417号の未開通区間を繋ぐ冠山峠道路の大規模なトンネル建設が進んでいる(岐阜県側の1号トンネルは2017年7月31日に貫通[4])。
岐阜県側の山腹はかつてはブナ林であったが、第二次世界大戦後にほとんどが伐採された[5]。「日本三百名山」[1]、「ぎふ百山」[6]、「21世紀に残したい日本の自然百選」[2][7]のひとつに選定されている。
登山道
南側のシタ谷から南面の岩壁を登攀する難コースなどの3ルートは廃道となった[3][8]。林道冠山線開設後に冠山峠から登山道が整備されて、約1時間ほどで登頂できるようになった[5][8][9]。冠山峠から尾根尾根づたいにいくつかの少ピークを越えてブナの原生林の中を進むルートである。山頂直下の北側は冠平(かんむりだいら)と呼ばれる平坦地で遭難碑がある。1955年(昭和30年)11月6日に沢沿いのルートで福井銀行員24名が遭難し、うち2名が死亡した事故の慰霊碑である[2]。周辺はクマザサに覆われ、ニッコウキスゲ、コバイケイソウなどの花が見られる平坦地で[5]、正面には冠山頂上がそびえる。山頂部の北側の岩肌の急斜面にはロープが設置されていて、山頂には三等三角点(点名「冠山」)[10]が設置されている。奥美濃唯一の岩峰である山頂は人が10人ほど座れる程度であるが、遮るものがなく360°の展望が得られる[11]。下りの所要時間はおよそ45分[5]。山頂周辺ではイワカガミ、ササユリ、タテヤマリンドウ、ホンシャクナゲなどの花も見られる[2][5][11]。
地理
周辺の主な山
両白山地南部の越美山地の山である。西側にある金草岳との鞍部に冠山峠がある。
山容 | 山名 | 標高 (m)[10][12] |
三角点等級 基準点名[10] |
冠山からの 方角と距離(km) |
備考 |
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冠山峠から望む白山(2014年11月8日) | 白山 | 2,702.17 | 一等 「白山」 |
北東 52.9 | 日本百名山 |
杓子岳から望む荒島岳(2005年4月9日) | 荒島岳 | 1,523.49 | 一等 「荒島山」 |
北東 24.4 | 日本百名山 |
冠山から望む金草岳(2008年11月13日) | 金草岳 | 1,227.14 | 二等 「塚奥山」 |
30px西 4.5 | |
花房山から望む冠山(2012年11月25日) | 冠山 | 1,256.60 | 三等 「冠山」 |
30px 0 | 日本三百名山 |
前山から望む能郷白山(2010年4月4日) | 能郷白山 | 1,617.33 | 一等 「能郷白山」 |
東 9.7 | 日本二百名山 |
夜叉ヶ池山から望む三周ヶ岳(2008年11月6日) | 三周ヶ岳 | 1,292.02 | 一等 「三周岳」 |
30px南西 14.5 | |
南側の前衛峰から望む小津権現山(2010年3月22日) | 小津権現山 | 1,157.79 | 二等 「小津」 |
30px南南東 21.7 |
源流の河川
以下が主な源流の河川で、揖斐川は太平洋へ、他は日本海へ流れる。
周辺の峠
- 冠山峠 - 林道冠山線、山頂から西北西1.8 kmに位置する。標高1,050 m。
- 桧尾峠[5] - 山頂から西北西3.4 kmに位置する。
- 温見峠 - 国道157号 、山頂から東9.9 kmに位置する。標高1,020 m。
交通・アクセス
- JR西日本今庄駅が、山頂の西19.0 kmにある[13]。
- 養老鉄道養老線揖斐駅が、山頂の南南東37.4 kmにある。
- 北陸自動車道今庄インターチェンジが、山頂の西20 kmにある。
- 西山腹を林道冠山線が通る。周辺は特別豪雪地帯であり[1]、林道冠山線は積雪期に閉鎖される。
冠山周辺の風景
- Mount Kanmuri from Mountain pass.jpg
冠山峠から望む冠山
- Kanmuri.jpg
冠山林道から望む冠山
- Mount Kanmuri from Kanmuridaira.jpg
冠平から望む冠山
- Mount Kanakusa from Mount Kanmuri.jpg
冠山方面から望む金草岳と冠山峠
- Mount kanmuri from Mount Kanakusa.jpg
金草岳方面から望む冠山
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 日本三百名山 (1997)、232頁
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 福井県の山 (2010)、58-59頁
- ↑ 3.0 3.1 新日本山岳誌 (2005)、1209-1210頁
- ↑ 7月31日に(仮称)冠山峠1号トンネルが貫通しました。、国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所、2017年8月1日
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 岐阜県の山 (2009)、100-101頁
- ↑ 岐阜県山岳連盟 『ぎふ百山』 岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
- ↑ “日本の自然100選”. 森林文化協会 (1983年). . 2017閲覧.
- ↑ 8.0 8.1 日本の山1000 (1992)、525頁
- ↑ 岐阜の山旅 (2005)、103-104頁
- ↑ 10.0 10.1 10.2 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「kijyun
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 11.0 11.1 名古屋周辺の山 (2010)、260-261頁
- ↑ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「kokudo
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 『コンサイス日本山名辞典』 徳久球雄(編集)、三省堂、1992-10、修訂版、151。ISBN 4-385-15403-1。
参考文献
- 『日本の山1000』 山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992-08。ISBN 4635090256。
- 『日本三百名山』 毎日新聞社、1997-03。ISBN 4620605247。
- 柚本寿二 『越前・若狭魅力の日帰り40山』 北国新聞社、2000年4月、86-88。ISBN 4833011042。
- 吉川幸一 『こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃〈上〉』 風媒社、2005年3月。ISBN 4833101149。
- 日本山岳会 『新日本山岳誌』 ナカニシヤ出版、2005-11。ISBN 4-779-50000-1。
- 島田靖、堀井啓介 『改訂版 岐阜県の山』 山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2009-12。ISBN 978-4-635-02370-2。
- 宮本数男 『改訂版 福井県の山』 山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2010-03-15。ISBN 978-4-635-02369-6。
- 『改訂新版 名古屋周辺の山』 山と溪谷社、2010-07-26。ISBN 9784635180177。
関連項目
外部リンク
- 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:冠山
- 冠山 (揖斐川町)