内閣官房
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内閣官房(ないかくかんぼう、英語: Cabinet Secretariat、略称:CAS)は、日本の行政機関の一つである。
内閣法に基づき、内閣に置かれる。「内閣の補助機関」であるとともに、「内閣の首長たる内閣総理大臣を直接に補佐・支援する機関」である。具体的には、「内閣の庶務、内閣の重要政策の企画立案・総合調整、情報の収集調査など」を担う。
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概要
内閣官房の入る内閣府庁舎の所在地は、東京都千代田区永田町一丁目6番1号(通称「本府ビル」[1])。幹部の執務室や内閣広報室など、内閣官房の内部組織の一部は、この庁舎から道を隔てて隣にある総理大臣官邸に置かれる。
内閣官房は、閣議事項の整理、内閣の庶務、行政各部の施策の総合調整などを行う。内閣総理大臣を主任の大臣とし、国務大臣たる内閣官房長官が事務を統括する。内閣官房長官は「総理の女房役」と呼ばれることもあり、組閣の際には真っ先に任命されて、首相の右腕として働く。
官僚組織としては、すべての府省より上位に位置する組織とされる。事務担当の内閣官房副長官は、認証官であり官僚のトップとされ、旧内務省系の省庁(総務省、警察庁、厚生労働省、国土交通省)の事務次官経験者から任命することが多い。
沿革
- 1924年(大正13年)12月20日:内閣所属部局及職員官制(大正13年勅令第307号)を制定して、内閣官房を設置する。
- 1947年(昭和22年)5月3日:内閣法(昭和22年法律第5号)を根拠とする内閣官房を設置する。
- 1957年(昭和32年)8月1日:内閣参事官室、内閣審議室、内閣調査室を設置する。
- 1973年(昭和48年)5月1日:内閣広報室を設置する。
- 1986年(昭和61年)7月1日:内閣審議室、内閣調査室、内閣広報室を廃止して、内閣内政審議室、内閣外政審議室、内閣安全保障室、内閣広報官室、内閣情報調査室を設置する。
- 1998年(平成10年)4月9日:内閣安全保障・危機管理室を設置する。
- 2001年(平成13年)1月6日:中央省庁再編により、内閣参事官室、内閣内政審議室、内閣外政審議室、内閣広報官室、内閣安全保障・危機管理室を廃止して、内閣総務官室、内閣官房副長官補室[4]、内閣情報調査室、内閣広報室を設置する[5]。
- 2014年(平成26年)1月7日:国家安全保障局を設置する。
現任
- 幹部
- 内閣総理大臣 安倍晋三 (あべ しんぞう)
- 内閣官房長官 菅義偉 (すが よしひで)
- 内閣官房副長官 (政務) 西村康稔 (にしむら やすとし)
- 内閣官房副長官 (政務) 野上浩太郎 (のがみ こうたろう)
- 内閣官房副長官 (事務) 杉田和博 (すぎた かずひろ)
- 国家安全保障局長 兼 内閣特別顧問 谷内正太郎 (やち しょうたろう)
- 内閣危機管理監 髙橋清孝 (たかはし きよたか)
- 内閣情報通信政策監 遠藤紘一 (えんどう こういち)
- 内閣官房副長官補 古谷一之 (ふるや かずゆき)
- 内閣官房副長官補 兼原信克 (かねはら のぶかつ)
- 内閣官房副長官補 中島明彦 (なかじま あきひこ)
- 内閣広報官 長谷川榮一 (はせがわ えいいち)
- 内閣情報官 北村滋 (きたむら しげる)
- 内閣総務官 土生栄二 (はぶ えいじ)
- 内閣総理大臣補佐官
- 内閣総理大臣補佐官 河井克行 (かわい かつゆき)
- 内閣総理大臣補佐官 柴山昌彦 (しばやま まさひこ)
- 内閣総理大臣補佐官 衛藤晟一 (えとう せいいち)
- 内閣総理大臣補佐官 和泉洋人 (いずみ ひろと)
- 内閣総理大臣補佐官 長谷川榮一 (はせがわ えいいち)
組織
- 内閣官房長官(1人)
- 内閣官房副長官(3人)- 内閣人事局
- 国家安全保障局長(1人)- 国家安全保障局
- 内閣危機管理監(1人)
- 内閣情報通信政策監(1人) - 内閣官房情報通信技術総合戦略室
- 内閣官房副長官補(3人)
- 危機管理審議官(1人)
- 内閣広報官(1人) - 内閣広報室
- 内閣広報室内閣副広報官(1人)
- 内閣広報室企画官(1人)
- 内閣広報室調査官(1人)
- 内閣情報官(1人) - 内閣情報調査室
- 内閣情報調査室次長(1人)
- 内閣情報調査室調査官(8人)
- 内閣情報調査室内閣衛星情報センター所長
- 内閣総務官室
- 内閣サイバーセキュリティセンター
- 内閣サイバーセキュリティセンター長(安全保障担当内閣官房副長官補が併任)
- 副内閣サイバーセキュリティセンター長(2人)
- 内閣サイバーセキュリティセンター企画官(併任)
- 内閣サイバーセキュリティセンター上席サイバーセキュリティ分析官(1人)
- 内閣サイバーセキュリティセンターサイバーセキュリティ補佐官(1人)
- 内閣サイバーセキュリティセンター長(安全保障担当内閣官房副長官補が併任)
- 内閣人事局
- 内閣人事局長(内閣官房副長官が併任)
- 人事政策統括官(2人)
- 内閣人事局長(内閣官房副長官が併任)
- 内閣官房副長官補室
- 内閣官房参与
- 各省大臣以外の国務大臣秘書官(各1人)
首相補佐官・秘書官
内閣総理大臣直属
- 内閣総理大臣補佐官(5人以内)
- 内閣総理大臣秘書官(定数7人)[7]
- 内閣総理大臣秘書官補
その他の組織
内閣官房副長官補のもとに30の組織が置かれている。
- 情報通信技術(IT)総合戦略室
- 行政改革推進本部事務局
- 知的財産戦略推進事務局[1]
- 空港・港湾水際危機管理チーム
- 宇宙開発戦略本部事務局[2]
- 新型インフルエンザ等対策室
- アイヌ総合政策室
- 拉致問題対策本部事務局[3]
- 2006年(平成18年)9月29日設置。内閣拉致問題対策本部の事務局で、北朝鮮による日本人拉致問題に関する庶務を担当する。
- 沖縄連絡室
- 社会保障改革担当室
- 原子力発電所事故による経済被害対応室
- 東日本大震災対応総括室
- 国土強靭化推進室
- 2013年(平成25年)1月25日設置。
- まち・ひと・しごと創生本部事務局[4] - 2014年(平成26年)9月設置。
過去に設置されていた組織
- 内閣審議室[8]
- のち「内閣内政審議室」、「内閣外政審議室」に分離 → 内閣官房副長官補に統合
- 内閣参事官室
- 廃止
- 内閣安全保障室
- のち「内閣安全保障・危機管理室」に改称 → 内閣官房副長官補に統合
- 情報セキュリティ対策推進室
- 2000年(平成12年)2月29日~2005年(平成17年)4月25日。のち機能を強化し、情報セキュリティセンターに改組 → 内閣サイバーセキュリティセンターに格上げ
- 行政改革推進事務局
- 内閣官房郵政民営化準備室
- 司法制度改革推進準備室
- 大陸棚調査対策室
- 総合海洋政策本部事務局設立準備室
- 2007年(平成19年)7月3日~7月19日。総合海洋政策本部事務局の設立準備を目的に設置され、大陸棚調査対策室と統合した。
- 都市再生本部事務局[5]
- 構造改革特区推進室[6]
- 地域再生推進室[7]
- 2003年(平成15年)10月24日~2007年(平成19年)10月8日。内閣地域再生本部の庶務を担当。関連する組織と統合し、地域活性化統合事務局に移行した。
- 中心市街地活性化本部事務局[8]
- 「美しい国づくり」推進室[9]
- 教育再生会議担当室[10]
- 行政支出総点検会議
- 郵政民営化推進室[11]
- 司法制度改革推進室
- 再チャレンジ担当室[12]
- 消費者行政一元化準備室[13]
- 教育再生懇談会担当室[14]
- イラク復興支援推進室
- 被災地復興に関する法案等準備室
- 震災ボランティア連携室
- 東日本大震災復興対策室
- 復興庁設置準備室
- 2011年(平成23年)8月25日設置。
- 地域活性化統合事務局[15]
- 情報通信技術(IT)担当室[16]
- 2000年(平成12年)8月7日設置。情報通信技術に関する事務を担当する。内閣高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の庶務も担当する。
- 行政改革推進室
- 地域活性化統合事務局[17]
- 遺棄化学兵器処理対策室[18]
- 公文書管理検討室
- 2008年(平成20年)2月29日設置。公文書の管理体制や国立公文書館の拡充等の検討を担当する。
- 情報公開法改正準備室
- 医療イノベーション推進室
- 社会的包摂推進室
- 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局
- 放射性物質汚染対策室
- 2011年(平成23年)8月25日設置。
- PFI法改正法案等準備室
- 社会保障・税一体改革情報発信推進室
- 行政改革実行本部
脚注
- ↑ 下村健一『首相官邸で働いて初めてわかったこと』(朝日新書、2013年)
- ↑ 官制沿革表、国立国会図書館。
- ↑ 省庁組織変遷図 、国立公文書館。
- ↑ 法令上存在する組織ではない。
- ↑ 中央省庁等改革のための内閣関係政令等の整備に関する政令
- ↑ この章は、幹部紹介を参照。
- ↑ “内閣官房組織令(昭和32年7月31日政令第219号)最終改正:平成23年3月31日政令第60号”. 内閣官房内閣総務官室. 2012年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2013閲覧.
- ↑ 内閣審議室の役割としては、事務次官会議や政務次官会議の陪席傍聴や多数の審議会の事務局などの通常業務から、主に外交・安全保障・治安問題以外の、その時々の案件を処理していた 『ある大蔵官僚の回想』(大島寛一、図書出版社、1991年10月31日) P256 ~ P257。
- ↑ “地方創生、次官級ポスト新設 職員を2倍の300人に”. 日本経済新聞. (2015年1月20日)
関連項目
外部リンク
典拠レコード: