備後落合駅
備後落合駅(びんごおちあいえき)は、広島県庄原市西城町八鳥にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅である。
概要
当駅の所属線[1]である芸備線と、当駅を終点とする木次線が接続する山間の小駅である。
かつては準急/急行「ちどり」などの優等列車の機関車付け替え・分割併合・スイッチバックなど、運転上重要な拠点駅であったことから多くの職員がいたが、現在は優等列車の廃止とCTC化に伴い、新見駅管理の無人駅となっている。駅構内に自動券売機は設置されていないため、運賃は乗車時に車内の整理券を取り降車時に駅または車内で精算する。
かつては駅構内には機関車庫・転車台・給水塔・貯炭場が、駅に隣接して備後落合駐泊所があった。車庫と周辺にあった鉄道官舎は撤去された[2][3]が、その他の貯炭場・転車台・小さな池跡は残されている。
JR西日本の岡山支社・米子支社・広島支社の境界[4]であるため、トロッコ列車の「奥出雲おろち号」を含め、全ての列車が当駅で折り返す。ただし、三次方面からの列車は夜間滞泊を行うため、駅舎の一部が乗務員宿泊施設となっている。。
木次線と芸備線の乗換駅であるものの、定期列車は三次方面1日5本、木次・新見方面はそれぞれ3本であり(木次方面は第2木曜日に一部運休あり)、各方面同士の接続もあまり考慮されていない。
当駅を含めた前後の区間は豪雨(三次方面に多い)、豪雪(木次・新見方面に多く、一度深い積雪になると春まで除雪されないため、バス代行となることが多い。)による災害が発生すれば、状況により不通となる。
歴史
- 1935年(昭和10年)12月20日 - 国有鉄道庄原線(当時)が備後西城駅から延伸し、その終着駅として開業。
- 1936年(昭和11年)10月10日 - 三神線が小奴可駅から当駅まで延伸。同時に庄原線が三神線に編入され、備中神代駅 - 備後十日市駅(現・三次駅)間が三神線となり、同線の途中駅となる。
- 1937年(昭和12年)
- 1972年(昭和47年)9月1日 - 貨物の取り扱いを廃止[5]。
- 1983年(昭和58年)10月31日 - 出札廃止(駅前旅館受託による簡易委託化)。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - 出札再開(簡易委託廃止)。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道の駅となる。
- 1998年(平成10年)10月 - 無人化。
- 2006年(平成18年)
- 2007年(平成19年)4月1日 - 芸備線復旧工事が完了し、全線で運転再開。
駅構造
単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線のホームを持つ地上駅。駅舎は木次線が使う単式ホーム側に設けられており、芸備線が使う島式ホームへは構内踏切で連絡している。開業当時は跨線橋があったが、太平洋戦争中に撤去された。
のりば
のりばは駅舎側から以下の通り。
のりば | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | E 木次線 | - | 出雲横田・木次方面 | |
2 | P 芸備線 | 下り | 三次・広島方面 | 一部3番のりば |
3 | 上り | 新見方面 |
- 本項ではJR西日本公式サイトの全域路線図[6]に従い路線記号・ラインカラーを表記しているが、各路線ごとの管轄支社の違いもあり、実際の駅構内の主だった旅客案内には、2016年3月のダイヤ改正の段階ではどちらのラインカラー・路線記号も使用されていない。
- 3番線の外側には数本の側線がある。信号システム上、新見方面から1・2番線に直接進入することはできないため、新見方面から木次線に入る列車は一旦側線に到着し、入換で2番線に転線してから木次線に入る (ただし、2015年(平成27年)3月14日改正ダイヤでは側線を使う必要がある定期列車はなく、臨時運用限定で、2004年夏に新見駅 - 出雲坂根駅間で運転された快速奥出雲号で実績あり)。
- 当駅の信号機配置によって、構造上は次のような列車発着が可能である。すなわち、1番線;木次方面からの到着と木次方面への出発。2番線;三次または木次方面からの到着と全方面への出発。3番線と3番線外側の側線;新見または三次方面からの到着と新見または三次方面への出発。
- 1番線の線路は当駅東側で2番線に合流しており、木次線から到着した列車の機関車等の入換えが可能な配線となっている。(当駅東側に1番線に対する出発信号機はない。)
利用状況
1日平均の乗車人員は以下の通り。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
出典 |
---|---|---|
2002年(平成14年) | 26 | [7] |
2003年(平成15年) | ||
2004年(平成16年) | ||
2005年(平成17年) | ||
2006年(平成18年) | ||
2007年(平成19年) | ||
2008年(平成20年) | ||
2009年(平成21年) | ||
2010年(平成22年) | ||
2011年(平成23年) | 21 | [8] |
2012年(平成24年) | 17 | [8] |
2013年(平成25年) | 17 | [8] |
2014年(平成26年) | 15 | [9][8] |
2015年(平成27年) | 16 | [8] |
2016年(平成28年) | 13 | [8] |
駅周辺
駅は山間部にあり、駅前から並走する国道183号線とは西城川の支流である小鳥原(ひととばら)川で隔てられている。国道へは広島県道234号備後落合停車場線で結ばれているが、小鳥原川を渡る橋(駅前橋)は東側へ90メートルほど行った場所にあり、橋に向かってゆるやかな下り坂となっている。
駅前には商店などはなく空き家が2軒ある。かつては県道の坂道の途中には川側には美容室・新聞販売店・道後タクシーの営業所があったが、2013年10月の時点ではタクシーの営業所の建物のみが残る。タクシー営業所も無料の直通電話の設備があったが利用できない。坂道の終点であり小鳥原川を渡る橋の正面には、大きな木造2階建ての建物があるが、もともとは旅館であった。往時には深夜に到着する列車の乗り換え客が朝の列車が到着するまで仮眠を取るために使われるなど賑わったという。現在は宿泊営業はやめているが縁側にはタバコ販売の古いショーケースが置かれタバコなどを取り扱う商店として営業を続けている[10]。
- 国道183号
- 国道314号
- 道後タクシー落合営業所
- 西城交通落合駅前バス停
- 備後落合簡易郵便局
- 庄原警察署八鉾警察官駐在所
- ドライブインおちあい(当駅から1km程度西側に位置し、冬場には備後落合駅名物だったおでんうどんを販売)
- 一ノ組集会所
隣の駅
脚注
- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ 安芸矢口企画 芸備線ニュース 2001年度上半期 2001年7月28日によれば、2001年7月に車庫の建屋は取り壊された。
- ↑ 朝日新聞『目閉じれば往時の影絵JR備後落合駅』
- ↑ 当駅は岡山支社の管轄下に置かれており、比婆山方の芸備線上り場内信号機が広島支社との、油木方の木次線下り場内信号機が米子支社との管轄境界になっている。
- ↑ 中国新聞 1972年9月1日付
- ↑ “JR西日本全域路線図 (PDF)”. JRおでかけネット. . 2016閲覧. (PDF)
- ↑ 「飲食・小売の出店を科学する出店戦略情報局」のアーカイブデータ
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 国土数値情報 駅別乗降客数データ
- ↑ “第2期庄原市生活交通ネットワーク再編計画 (PDF)”. 庄原市 (2016年3月). . 2017閲覧.
- ↑ “目閉じれば往時の影絵 JR備後落合駅”. 朝日新聞 (2009年6月13日). . 2015-2-14閲覧.