信貴生駒スカイライン
信貴生駒スカイライン(しぎいこまスカイライン)とは、近畿日本鉄道(近鉄)が所有し、子会社の近鉄レジャーサービス[注釈 1]が管理する一般自動車道で、大阪平野と奈良盆地の間に連なる生駒山地を南北に通過する私道の有料道路である[1]。
Contents
概要
大阪府と奈良県の府県境となる生駒山(標高642 m)と信貴山(標高437 m)の尾根沿いを結ぶ観光有料道路で、桜や紅葉のほか、大阪・奈良の夜景が美しいことで知られる[2][3][4]。山上線・宝山寺線・信貴山線の3つの区間で構成される道路の全長は約21キロメートル (km) あり、南の信貴山から高安山、大阪府民の森(みずのみ園地、なるかわ園地)、生駒山、生駒山上遊園地、生駒聖天など観光スポットが多い。
信貴山側は、奈良県三郷町を通る奈良県道236号信貴山線と信貴山門料金所で連絡し、生駒側は阪奈道路と登山口インターチェンジで接続する。また、ケーブルカー駅と連絡する支線もあり、南は西信貴ケーブル高安山駅前と、北は聖天口料金所から生駒ケーブル宝山寺駅前までつながっており、さらにこの道路の延長で、奈良県道237号生駒停車場宝山寺線を経て、近鉄生駒駅と連絡する。料金所は、前述の料金所のほかに、生駒山上遊園地付近にある生駒山上料金所を合わせ計3か所に設けられている。
通行料は、信貴山から生駒間全線通行した場合で片道1340円[5]。阪奈道路から生駒山上までは往復720円(いずれも普通車)。なお、阪奈道路登山口から生駒山麓公園間は無料で通行することができる。冬季閉鎖はないが、通行時刻は6:30–24:00に限られ、冬季は23:00まで短縮される[5]。
生駒山など途中から見る夜景は西は大阪市・大阪平野はもちろん、天気のよい日には明石海峡大橋、淡路島まで、東は奈良市の街並みを一望できる。特に、高い山頂から大阪平野の隅々まで見下ろすスケールの大きな夜景は格別である[5][注釈 2]。
信貴山門 - 高安山駅間は、戦前にあった信貴山急行電鉄の廃線跡地を道路に転用したもので、現在も近鉄西信貴鋼索線(ケーブルカー)に連絡する形で近鉄バスの路線バスが運行する[注釈 3]。
路線データ
- 山上線
- 宝山寺線
- 信貴山線
路線状況
通行できるのは自動車のみで、オートバイ、自転車は全面通行禁止である[2][3]。私道であるが、道路運送法に規定された自動車道であることから、道路交通法、道路運送車両法が適用され、違反者には罰則が科せられる[1]。過去には通行することができた時代もあったが、80年代のバイクブーム時に事故が多発したために通行禁止となってしまった[注釈 4]。
営業時間外は原則として閉鎖される。かつては営業時間後も門は開放されており、出入りは自由であった。このため深夜になると、夜景を見ようとする者や、違法競走型暴走族などが多く進入していた。その結果、暴走族などの騒音が原因で付近住民が不眠症などになったことから、住民は近鉄と近鉄バスに対し慰謝料を求めて提訴した。2005年4月に大阪地方裁判所は住民の訴えを認め、両社は約215万円の慰謝料を支払いを命じられている[6]。
営業時間
- 11月〜2月:6時30分〜23時
- 3月〜10月:6時30分〜24時
通行止め区間
平成29年台風第21号の影響により土砂崩れが発生したため、2018年6月現在も、十三峠駐車場付近から信貴山側への通り抜けと、信貴山門料金所から生駒山上方面への通行ができない状態となっている。生駒山上料金所から十三峠駐車場付近までの区間は2018年7月1日から開通したが、今もなお一部片側通行区間が存在している[7]。
通行料金
区間 | 乗用車 | マイクロバス | 大型バス・貨物自動車 |
---|---|---|---|
登山口 - 宝山寺(片道) | 360円 | 870円 | 1,440円 |
登山口・宝山寺 - 生駒山上(往復) | 720円(*1) | 1,740円 | 2,880円 |
生駒山上 - 高安山 - 信貴山門(往復) | 980円 | 2,470円 | 3,910円 |
全線片道(登山口・宝山寺 - 信貴山門) | 1,340円 | 3,340円 | 5,350円 |
全線往復(登山口・宝山寺 - 信貴山門) | 1,940円 | 4,880円 | 7,860円 |
登山口 - 生駒山麓公園間は無料で通行可。料金所は聖天口、生駒山上、信貴山門に設置。
(*1)登山口・宝山寺→聖天口料金所で往復分720円を払う。
地理
北側の登山口(山上口)は阪奈道路に接続しており、第二京阪道路の寝屋川南インターチェンジ (IC) から約11 km、近畿自動車道の門真ICから約12 kmの位置にある[2][3]。また、南の信貴山門は西名阪自動車道の法隆寺ICから約10 kmの位置にある[2][3]。
道路はほぼ大阪府と奈良県の境界となる生駒山地の稜線に沿っており、道路の一部は金剛生駒紀泉国定公園内を走る。道路線形は、連続するヘアピンカーブから長いストレートまである多彩な配置で、ドライブを楽しませるワインディングである[2][3]。途中にはいくつか駐車場があり、いずれも大阪や奈良を一望でき、この地域有数の夜景スポットとして良く知られる。中でも鐘の鳴る展望台は、大阪と奈良の夜景を同時に眺められることから、絶大な人気がある[2][3]。4月はスカイライン全線にわたって桜が咲き、満開時期を過ぎると桜のトンネルは桜吹雪の美しい絶景へと変わる[4]。暗峠では、直接結ばれてはいないが日本一勾配がきつい国道で知られる国道308号と立体で交差する[5]。
通過する自治体
交差する道路
- 阪奈道路(大阪府道・奈良県道8号大阪生駒線、大阪府四條畷市大字上田原・大東市大字龍間)
- 奈良県道237号生駒停車場宝山寺線(奈良県生駒市門前町)
- 国道308号 (奈良県生駒市西畑町)※直接接続はせず、ガード下を国道308号が通過する。
- 奈良県道236号信貴山線(奈良県生駒郡三郷町信貴山西)
沿線
途中にある鐘のなる展望台は、展望台の柵のところに南京錠をカップルたちがかけて、愛を誓う「愛の南京錠」の隠れたデートスポットで知られる。しかしながら、あまりに多くの南京錠が付けられたため、その重さで展望台自体が崩落する危険性を孕んでいたが、2008年7月に南京錠を取り付けるためのモニュメント「誓いのリング」が設置された。これまでに付けられていた南京錠は撤去、溶解された後、ベル型の「メモリアルプレート」としてモニュメントそばに設置された。その後も誓いのリングに取り付けられた南京錠が増える毎に新たなプレートを設置することとしており、最近では2011年4月に撤去が行われた。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 浅井建爾 『日本の道路がわかる辞典』 日本実業出版社、2015-10-10、初版。ISBN 978-4-534-05318-3。
- 「信貴生駒スカイライン」『ニッポン絶景ロード100』 中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2016-04-10。ISBN 978-4-7779-3980-8。
- 「信貴生駒スカイライン」『日本の絶景道100選』 中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2017-04-10。ISBN 978-4-7779-4572-6。
- 『絶景ドライブ100選[新装版]』 松井謙介編、学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015-09-30。ISBN 978-4-05-610907-8。
- 須藤英一 『新・日本百名道』 大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2。