伊予灘ものがたり
伊予灘ものがたり(いよなだものがたり)[1]は、四国旅客鉄道(JR四国)が松山駅 - 伊予大洲駅・八幡浜駅間を予讃線(愛ある伊予灘線)経由で2014年より運行している観光列車である。
概要
四国初の本格的な観光列車であり[2]、2014年7月26日より運行が開始されている[3]。運行に先立ち、伊予灘ものがたりが走る予讃線の伊予市駅 - 伊予大洲駅間の伊予灘沿い区間(伊予長浜駅経由)は、2014年3月15日に愛称が「愛ある伊予灘線」となった[4]。
コンセプトはレトロモダンで、伊予灘をはじめとした美しい景観、アテンダントや地元住民によるおもてなし、地元食材を使用した供食サービスなどが楽しめるようになっている[2][5]。
これらの特色で利用客から高い評価を得ており、日本経済新聞調べ(2015年8月)のおすすめの観光列車ベスト10で第1位となっている[6]。乗車率は平均85%程度[7]で全国の観光列車の中でも高い[8]。
運行状況
土日・祝日に松山駅・伊予大洲駅間1往復と、松山駅・八幡浜駅間1往復ずつとなっており、運行ごとに以下の別称(ものがたりの名称)が付けられている[9][10]。「大洲編」「双海編」「八幡浜編」では地元の食材等による供食サービス、「道後編」ではアフタヌーンティーのサービスが事前予約制で実施されている[9][11]。2016年度の運行計画では、利用者の要望に基づき、下灘駅での停車時間を従来より延長することとなった[12]。
全席がグリーン車指定席の扱いであり、利用には乗車区間の運賃と普通列車グリーン料金が必要。食事のサービスを受ける場合はこれに加えて食事予約券が必要であるほか、運転区間の全区間を乗車しなければならない。食事予約券はJR四国以外では東日本旅客鉄道(JR東日本)・西日本旅客鉄道(JR西日本)・九州旅客鉄道(JR九州)管内のみどりの窓口で発売する。供食サービスの関係で、本列車についてはペットの持ち込みは禁止されている。
- 「大洲編」(伊予大洲行・下り)
- 「双海編」(伊予大洲発・上り)
- 「八幡浜編」(八幡浜行・下り)
- 「道後編」(八幡浜発・上り)
停車駅
2017年3月4日のダイヤ改正から、下灘駅での客扱い乗降が見直されたが、従来どおりホーム上での記念撮影等は可能[13]。
双海編では伊予上灘駅運転停車時にホームで特産品の販売を行っている。
使用車両
松山運転所所属のキハ47形を専用車改造[14]した2両編成が使用される(計50席)[15]。1号車「茜の章」は伊予灘の夕焼けをイメージした茜色、2号車「黄金の章」は愛媛の柑橘類と太陽をイメージした黄金色に塗装されている。車内のどの席でも伊予灘の景色を楽しめるよう、山側の座席は一段高くなっている[2]。なおこの車両は同社の社員がデザインした[16]。
- 1号車(八幡浜方):キロ47 1401(←キハ47 501)
- 2号車(松山方):キロ47 1402(←キハ47 1501)
改造種車のキハ47形2両はいずれも2011年3月31日付で廃車され[17]、解体されずに残されていた。2014年7月1日付で復籍している。
BGMや警笛、チャイムは松山出身の音楽家、向井浩二が作曲したものを使用している[18]。また、松山のアマチュアシンガーソングライターによりテーマソング「伊予灘ものがたりの歌」が作成されており、松山駅や車内で使用されている[19]。
脚注
- ↑ 四国旅客鉄道の登録商標(第5686228号)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 入江学 (2014年7月14日). “瀬戸内の走るホテルは茜色、「伊予灘ものがたり」”. NIKKEI STYLE. 日本経済新聞社. . 2017閲覧.
- ↑ “レトロに楽しむ景色と食事 「伊予灘ものがたり」出発式”. 朝日新聞社. (201407-27). オリジナルの2014年7月27日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ “予讃線、海回り区間に愛称を設定”. 鉄道コム. 朝日インタラクティブ (2013年11月22日). . 2017閲覧.
- ↑ “和洋調和 観光列車「伊予灘ものがたり」公開”. 愛媛新聞社. (2014年7月2日) . 2017閲覧.
- ↑ “1位「伊予灘ものがたり」 お薦めの観光列車、ベスト10”. NIKKEI STYLE. 日本経済新聞社 (2015年8月30日). . 2017閲覧.
- ↑ 平均乗車率は脅威の85% 観光列車「伊予灘ものがたり」が愛される理由
- ↑ “新観光列車運行などで乗客増へ”. 日本放送協会. (2016年3月13日). オリジナルの2016年3月13日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 9.0 9.1 “JR四国「伊予灘ものがたり」7月26日から運行”. 朝日新聞社. (2014年5月1日). オリジナルの2014年5月19日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ “伊予灘ものがたり 運行ダイヤ” (PDF) (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2014年4月30日), オリジナルの2014年7月22日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ “アフタヌーンティーの提供について”. 四国旅客鉄道 (2015年2月25日). 2015年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2017閲覧.
- ↑ “観光列車「伊予灘ものがたり」の時刻変更と平成28 年度上期運転日について” (PDF) (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2016年1月22日) . 2017閲覧.
- ↑ “伊予灘ものがたりの時刻変更・リニューアルについて” (PDF) (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2016年12月16日) . 2017閲覧.
- ↑ ただし、改造は車内と外装のみで、駆動機関などの足回りは種車のままである。また、出入口のドアは各車両1ヶ所(連結部寄り)のみとなっている。
- ↑ “観光列車「伊予灘ものがたり」の運行について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2014年4月30日), オリジナルの2014年5月19日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 大坂直樹 (2015年5月3日). “水戸岡デザインは古い?「観光列車」に新時代”. 東洋経済ONlINE. 東洋経済新報社. . 2016閲覧.
- ↑ 『鉄道ファン』、交友社、2014年9月、 64頁。
- ↑ “観光列車「伊予灘ものがたり」、砥部焼の器で料理提供 愛媛”. 産業経済新聞社. (2014年6月12日) . 2017閲覧.
- ↑ iyonada.monogatariの投稿(345943428928437) - Facebook
関連項目
- 四国まんなか千年ものがたり - 当列車に続くJR四国の観光クルーズ列車。
- 他の鉄道事業者における類似の観光クルーズ列車
これらは発想は共通しているが、販売形態が「きっぷ」(乗車券と料金券)ではなく「旅行商品」である(従って団体専用列車となる)ことが「伊予灘ものがたり」との根本的な違いである(ただし、「おれんじ食堂」は食事を伴わなければ通常の乗車券・指定券で利用可能)。