企業資源計画
企業資源計画(きぎょうしげんけいかく、Enterprise Resource Planning)は、企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念のこと。ERPと略称される。これを実現するための統合型(業務横断型)ソフトウェア(統合基幹業務システム)を「ERPパッケージ」と呼ぶ。
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概要
ERPは資材所要量計画 (MRP; Material Requirements Planning) から派生した名前である。ERPが一般的に扱うものは企業における製造・物流・販売・調達・人事・財務会計である。ERPパッケージはこれらの基幹業務に関する業務活動の情報管理を支援する。
商用ERPソフトウェア
商用のERPソフトウェアとしては、1972年に創業したドイツSAP社のSAP R/3やSAP S/4HANAを始め、オラクル社のE-Business Suite, PeopleSoftなどの大手企業向けERPソフトウェアが市場を席巻しており、SAP R/3およびSAP ERP、SAP S/4HANAなどを有するSAP社が過半数のシェアを握っている。特に経済誌フォーブズ(Forbes)が毎年選出するフォーブズ・グローバル2000にランクインする大企業においては、87%がSAP製を採用している[1][2]。又、昨今ではオラクル社がJD Edwards、SAP社がSAP Business OneやSAP Business All-in-Oneなどの中堅・中小企業向けを提供しているほか、マイクロソフト社が2007年にDynamics AXを発売して国内市場に参入するなど中堅・中小企業向けのERPソフトウェアが各社より活発にリリースされている[3]。2015年にはSAPがインメモリープラットフォームを活用した第4世代ERPであるSAP S/4HANAをリリースした[4][5][6]。ERPソフトウェア市場は拡大と激しい競争の時期を迎えている。
主なERP製品には以下のものがある。(アルファベット順)
- A.S.I.A.: 東洋ビジネスエンジニアリングの開発した純国産ERPソフトウェア。
- 奉行V ERP: OBCの開発したクラウド型ERPソフトウェア。
- COMPANY: ワークスアプリケーションズ社の開発したERPソフトウェア。
- dDREAMS: ドコモ・システムズの開発したクラウド型ERPソフトウェア。
- EXPLANNER: NECの開発したERPソフトウェア。
- GEMPLANET: 日立製作所の開発したERPソフトウェア。
- GRANDIT: GRANDIT社の開発した純国産ERPソフトウェア。
- GrowOne Cube: ニッセイコムの開発したERPソフトウェア。
- Infor M3: Infor社の開発した流通、製造業向けERPソフトウェア。旧製品名はMovex。
- MA-EYES: 株式会社ビーブレイクシステムズの開発したプロジェクト管理型ERPソフトウェア。
- MCFrame: 東洋ビジネスエンジニアリングの開発した純国産ERPソフトウェア。
- MCFrame online 原価管理:MCFrameをベースとしたSaaSモデル。
- Microsoft Dynamics NAV: マイクロソフトの開発したERPソフトウェア。
- Microsoft Dynamics AX: マイクロソフトの開発したERPソフトウェア。
- NetSuite: ネットスイート社の開発したERPソフトウェア。
- OBIC7: オービック社の開発したERPソフトウェア。
- Openbravo ERP: Openbravoの開発したオープンソースERPソフトウェア。
- Oracle E-Business Suite: オラクル社の開発したERPソフトウェア。
- ProActive: 住商情報システム(現社名:SCSK)の開発したERPソフトウェア。
- RossERP: CDC Softwareの開発した食品・化学向けERPソフトウェア[7]。
- SAP Business All-In-One: SAP社の開発した中堅企業向けERPソフトウェア。
- SAP Business ByDesign: SAP社が提供する中堅・中小企業向けクラウドネイティブのSaaS型ERPソフトウェア。
- SAP Business One: SAP社が提供する中堅・中小企業向けERPソフトウェア。
- SAP R/3: SAP社の開発した第3世代ERPソフトウェア。(提供終了)
- SAP S/4HANA: SAP社の開発したインメモリープラットフォームを採用した第4世代ERPソフトウェア[4]。
- SuperStream-NX: SuperStream社の開発したERPソフトウェア。
- ツバイソ: ツバイソの開発したクラウド/SaaS型ERPソフトウェア。
- WorkPLAN: 個別受注生産管理向けに開発したERPソフトウェア。
- ZAC Enterprise: オロ社の開発したクラウド/SaaS型ERPソフトウェア。
- Reforma PSA: オロ社の開発したクラウド/SaaS型PSAソフトウェア。
オープンソースERP
2000年からいくつかのERPシステムがロイヤルティーフリーのオープンソースライセンスの下でオープンソースシステムとして無料で利用できるようになっている。現在利用できる、安定されたバージョンをもったパッケージとしてはiDempiere, Adempiere, Compiere, Openbravo, OpenERP-現Odoo などがある。
- iDempiere: Compiere -> Adempiere -> iDempiereと発展しているコミュニティーベースのオープンソースのERPソフトウェア。
- ERP5: オープンソースERPソフトウェア。
ERPのSaaS化
基幹システム関連でのSaaS提供企業はまだまだ少数だが、製造業向けERPコンサル大手(要出典)である東洋ビジネスエンジニアリングが2009年1月から、日本初の製造業向けSaaS型原価管理サービスとして、従来型のMCFrameをSaaS化した、MCFrame online原価管理を提供開始している。ERP世界最大手SAPは2007年にクラウドネイティブERPであるSAP Business ByDesignをグローバルでリリースし、2013年には日本国内でも提供開始した。[8][9][10] オラクル社からはFusionのSaaS化であるERP Cloudが提供されている。2016年にはSAPが従来オンプレミスパッケージであったSAP S/4HANAをSaaS化したSAP S/4HANA Enterprise Management Cloudを提供開始するなど、ERPのSaaS化が進んでいる。[11]
SaaSでは、従来型のライセンシングに対し、サービス利用企業の初期投資が低額で済むため、今後の急速な普及が予測されている。
出典
- ↑ 日経BPビジョナリー経営研究所『SAP 会社を、社会を、世界を変えるシンプル・イノベーター』日経BP(2014)
- ↑ SAP Facts and Information
- ↑ SAPジャパン、中小向けERP「SAP Business One」最新版を提供開始
- ↑ 4.0 4.1 [速報]欧SAP、R/3後継となる次期ERP「SAP S/4HANA」発表。HANAインメモリデータベース専用に新規開発
- ↑ SAPジャパン、第4世代の新ERP「SAP Business Suite 4 SAP HANA」発表
- ↑ S/4 HANA導入は予想以上、マイグレーションに注力--SAPプラットナー氏
- ↑ CDC SOFTWARE と CONSONA CORPORATIONが合併しAPTEANに
- ↑ SAPがSaaSに本格参入、中小向けERP発表
- ↑ SAPジャパン、クラウド型ERP「Business ByDesign」国内投入
- ↑ NECとSAP、クラウド型ERPサービス「SAP(R) Business ByDesign(R)」ビジネスでグローバル協業
- ↑ SAP、次世代ERPのSaaS版を国内投入、PaaSの活用でアドオンを分離