仲村秀生
仲村 秀生(なかむら しゅうせい、本名:中村 秀男、1935年3月9日[1] - 2014年7月30日[2])は日本の俳優、声優、ナレーター。現役時は、同人舎プロダクション[3]、ぷろだくしょんバオバブを経て81プロデュースに所属していた。声質は端正なバリトン。血液型はO型。
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来歴・人物
東京府(現:東京都)生まれ。両親の郷里・長野県上田市に戦中疎開。長野県上田高等学校を経て、信州大学を卒業[4]。
水谷八重子・毛利菊枝等を育てた演出家・竹中荘吉主宰の京都の「劇団くるみ座」にて俳優修行を積む。
1956年、新劇演出家を目指して上京し[5]、舞台芸術学院にて演出家・程島武夫の指導を受ける。1957年3月下村正夫主宰「新演劇研究所」に入所[3]、スタニスラフスキー・システムを学ぶ。
「新演劇研究所」の発展的解消に伴い、劇団「新演」創立に参加。
同じ劇団に所属していた寺島幹夫が『アンタッチャブル』で声優の仕事をしていたことがきっかけで、1959年より放送されたアメリカの西部劇ドラマ『ローハイド』の吹き替えで声優デビュー[3]。
民放テレビ局が続々と開局するに伴い、太平洋テレビ芸能部に在籍しマスコミ出演を始め、1960年には東京俳優生活協同組合創立に参加。以後、劇団解散などの事情もあり、外画、アニメ、CMナレーション・ナレーターなど声の仕事を中心としていった[5]。
1969年から放送の『鬼警部アイアンサイド』ではドン・ギャロウェイ演じるエド役でパイロット版から7年にわたって出演した。主演作に『外科医ギャノン』[3]。
アニメでも草創期から声優として活躍し、1974年に始まった『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの島大介役が有名である。端正な声質から理知的な役柄が多かったが、1970年から放送の『あしたのジョー』の力石徹役は低くくぐもった声で演じていた。シリーズ完結編として制作された1983年公開の『宇宙戦艦ヤマト 完結編』は胃潰瘍で体調を崩して最後まで演じ切ることができず、島大介の代役はささきいさおが担当。1988年末からリリース開始のOVA『銀河英雄伝説』のロムスキー役で、古代進役の富山敬と『宇宙戦艦ヤマト 完結編』以来11年ぶりに共演した。
1990年代後半には劇団魚座を旗揚げして演劇活動に再び打ち込み、東京アナウンス学院と代々木アニメーション学院の講師としても後進の育成にも積極的に力を入れるようになる[5]。しかし一方、私生活ではアルコール依存症や躁鬱病を発症し、統合失調症や妄想性人格障害のような症状も併発させ、闘病生活を送るようになっていた[6]。
この影響により、90年代以降は声優活動での持ち役の多くを降板し、70歳を越えてからは事実上休業状態に入っていた[6]。そのため、2008年4月6日放送のテレビ朝日『大胆MAP』にて取材を受けた際には、声優業を引退していると報じられている。
2011年に完成した自主制作の記録映画『甦る里山』でナレーションを担当し、久々の出演作となった。その後、2012年4月6日CS放送ファミリー劇場で放映された『宇宙戦艦ヤマト2199公開記念特別番組〜新生ヤマト発進宣言〜』でナレーションを務め、これが公的な出演作で最晩年の作品となった[7]。
2014年6月に体調を崩して再び療養生活を送るようになり、7月30日、入院先の東京都立松沢病院で入浴中に溺死した[6]。79歳没[4]。死去が報じられた際には、関係者の意向により死因は伏せられ、告別式も密葬で行われた。
後任
仲村の声優活動停止に伴い、アニメ、吹き替えの持ち役を継いだ声優は以下の通り。
- 堀秀行 - 『ボクシングマニア あしたのジョー』:力石徹 役
- 中田譲治 - 『あしたのジョー タイピング泪橋』 :力石徹 役
- 石井康嗣 - 『あしたのジョー 〜まっ白に燃え尽きろ!〜』:力石徹 役
- 東地宏樹 - 『パチスロ あしたのジョー2』:力石徹 役
- ささきいさお - 『宇宙戦艦ヤマト 遥かなる星イスカンダル』:島大介 役[8]
- 田中秀幸 - ゲーム版『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』以降のゲーム作品:島大介 役
- 稲田徹 - 『超獣機神ダンクーガ』:ムゲ・ゾルバドス皇帝 役(スーパーロボット大戦シリーズ)
- 藤本譲 - 『銀河漂流バイファム』:フレデリック・ローデン 役(バイファム13)
- 園江治 - 『名探偵ポワロ チョコレートの箱』:クロード・シャンタリエ 役 ※完全版DVD収録時の追加録音
- 坂東尚樹 - 『宇宙大作戦 惑星M113の吸血獣』:グリーン 役 ※デジタルリマスター版DVD収録時の追加録音
- 大川透 - 『ダーティハリー』:チコ・ゴンザレス刑事 役、『ダーティハリー2』:ニール・ブリッグス警部補 役 ※WOWOW放映時の追加録音
- 世古陽丸 - 『ハンター』:スポタ 役 ※WOWOW放映時の追加録音
- 藤原啓治 - 『アタックNo.1』:本郷俊介 役※SANYO パチンコ・パチスロ版
出演
テレビドラマ
映画
テレビアニメ
劇場アニメ
OVA
ゲーム
- 宇宙戦艦ヤマト(LDゲーム)(1985年、島大介)
吹き替え
俳優
映画
- 愚か者の船(シューマン医師/オスカー・ウェルナー)※1973年4月20日放映 NET(テレビ朝日)版
- 愛の狩人(ジョナサン/ジャック・ニコルソン)※1976年10月28日放映 東京12チャンネル「木曜洋画劇場」版
- 悪魔の美しさ(ルシファー、若返ったファウスト教授/ジェラール・フィリップ)
- 悪魔と深海(ジャッケル中尉/ケーリー・グラント)
- アビス(バッド・ブリッグマン/エド・ハリス)
- アンネの日記(リチャード・ベイマー)※テレビ朝日版
- 宇宙水爆戦(カール・ミッチャム博士/レックス・リーズン)
- 海の牙(アンリ・ヴィダル)※木曜洋画劇場版
- エイリアン(ケイン/ジョン・ハート)※フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版(日本語吹替完全版Blu-rayBOX収録)
- 踊れ!サーフィン(ガードナー・ディング・プルーイット三世/ジェームズ・ダーレン)
- 怪奇家族大暴れ(ロジャー・モレスビー/ロバート・パイン)
- 帰らざる河(ロリー・カルホーン)※テレビ朝日版
- 風と共に去りぬ(レット・バトラー/クラーク・ゲーブル)※JAL機内上映版
- カレンの裁判(デヴィッド・ハフマン)※1978年8月12日放映テレビ朝日版
- 凶弾の舞台(リチャード・バートン)※1973年3月10日放映NET版
- 空爆特攻隊(リッチマン大尉/スコット・トーマス)※テレビ朝日版・DVD収録
- グリズリー(ドン・ストーバー/アンドリュー・プライン)※テレビ東京系「木曜洋画劇場」版
- 孤独な旅路(モンゴメリー・クリフト)※1975年2月7日放映
- ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖(フランク/ハロルド・ウェイン・ジョーンズ)※フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版
- サセックス物語(ベン・クロス)※1975年2月5日放映 東京12チャンネル
- サンセット大通り(ウィリアム・ホールデン)※1975年放映 TBS「月曜ロードショー」版
- 地獄のノルマンディ(ガイ・マディソン)※1973年11月12日放映 東京12チャンネル
- シャーロック・ホームズの素敵な挑戦(シャーロック・ホームズ/ニコール・ウィリアムソン)※TBS「月曜ロードショー」
- 勝利なき戦い(リップ・トーン)
- 十月のミサイル(R・F・ケネディ/マーティン・シーン)※1975年10月9日放映NET(テレビ朝日)版
- ダーティハリー(チコ・ゴンザレス刑事/レニ・サントーニ)※テレビ朝日「日曜洋画劇場」版
- ダーティハリー2(ニール・ブリッグス警部補/ハル・ホルブルック)※テレビ朝日「日曜洋画劇場」版
- 黄昏のチャイナタウン(ジェイク・ギテス/ジャック・ニコルソン)※ビデオ・DVD版
- 脱走特急(ライアン大佐/フランク・シナトラ)※1977年3月28日放映TBS「月曜ロードショー」版
- 地球の頂上の島(デービッド・ハートマン)※1979年9月24日TBS「月曜ロードショー」版
- ディア・ハンター(アクセル/チャック・アスペグレン)※フジテレビ版(思い出の復刻版ブルーレイに収録)
- 嘆きのプレリュード(エロール・フリン)※1974年11月21日放映NET版
- ナバロンの要塞(パパディモス一等兵/ジェームズ・ダーレン)※テレビ朝日「日曜洋画劇場」版
- 肉体のすきま風(ローレンス・ハーヴェイ)※1973年12月13日放映
- ノーバディーズ・フール(サリー/ポール・ニューマン)※JAL機内上映版
- ハーツ・アンド・マインズ?「名誉ある戦い」の記録?(コーカー中尉)※NET(テレビ朝日)版
- 灰とダイヤモンド(マチェク/ズビグニエフ・チブルスキー)※1970年11月放映NET(テレビ朝日)版
- 白銀のレーサー(ロバート・レッドフォード)※1976年1月1日「木曜洋画劇場」版
- 花嫁の父(ドン・テイラー)
- ハリーとトント(エディー/ラリー・ハグマン)※1980年9月14日「日曜洋画劇場」版(再放送版がBD収録)
- バルジ大作戦 DVD版(ウェーバー中尉/ジェームズ・マッカーサー)
- パワープレイ(ナリマン大佐/デヴィッド・ヘミングス)※1980年9月8日放映TBS「月曜ロードショー」版
- 冬のライオン(ジョン・キャッスル)※1974年12月30日放映TBS「月曜ロードショー」版
- 蛇皮の服を着た男(バル/マーロン・ブランド)※1974年12月7日放映
- 暴力脱獄
- マッケンナの黄金(ナレーション)
- 夕なぎ(クリストファー・フランダース/リチャード・バートン)※1977年2月放映フジテレビ版
- 楽聖ショパン(コーネル・ワイルド)※1973年1月20日放映東京12チャンネル
ドラマ
- アパッチ大平原(リチャーズ大尉/ゲーリー・クラーク)
- インターン
- ER緊急救命室(カミンスキー(ポール・エイディング))
- 宇宙大作戦(ジョン・クリストファー大佐、グリーン、ロカイ)
- エディのすてきなパパ(パパ=トム・コーベット/ビル・ビクスビー)
- 大草原の小さな家(ジェシー〈デニス・ロッカー〉)
- 鬼警部アイアンサイド(エド・ブラウン刑事/ドン・ギャロウェイ)
- 外科医ギャノン(ジョー・ギャノン/チャド・エベレット)
- コンバット!(ジャック・サルミネオ)
- サンダーバード(助監督の声、ビル・クラドック)
- 0011ナポレオン・ソロ(ナンバー・セブン)
- 逃亡者(ラリー)
- 特捜刑事サム(ジム・ブリッグス刑事/デニス・コール)
- 謎の円盤UFO(ルー・ウォーターマン大尉/ゲーリー・メイヤーズ)
- ゆかいなバーニー (英語版)
- ラット・パトロール(マーク・ヒッチコック二等兵/ローレンス・ケイシー)
- ローハイド(ダリル・ヒックマン)※1961年8月2日NET
人形劇
- ひょっこりひょうたん島(ホウスケ)
特撮
- ロボット刑事(ロボット刑事Kの声)
ラジオ
- NHK「ラジオSFコーナー」ナレーション
- NHK特別企画4時間ドラマ「大放浪」(ツトム・カナコワ・ホクスワース)
- 文化放送 連続ドラマ「火の太鼓」
- ニッポン放送「ベルサイユのばら」(ルイ14世)
- オールナイトニッポン4時間ドラマ「宇宙戦艦ヤマト」(島大介)
- 東京FM「プレスリー物語」(プレスリー)
ナレーション
- 愛のサスペンス劇場「愛が見えますか」(ナレーション 1976年、NTV/東京映画)
- 動物紀行(ナレーション 1994年、NHK・TVニュージーランド合作/NHK衛星第二放送・全39話)
- 野生の驚異(ナレーション 1995年、NHK・TVニュージーランド合作/NHK衛星第一放送・全27話)
- 甦る里山 都立野山北・六道山公園の四季(ナレーション 2011年、ドキュメンタリー映画)
CM
脚注
- ↑ 『声優名鑑』、566頁、成美堂出版、1999年、ISBN 978-4415008783
- ↑ “声優の仲村秀生さん死去 「あしたのジョー」力石徹”. 中日スポーツ (2014年8月6日). . 2014閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 阿部邦雄編著『TV洋画の人気者 声のスターのすべて』近代映画社、1979年、pp.170-173。仲村秀生インタビュー
- ↑ 4.0 4.1 声優の仲村秀生さん死去 「ジョー」力石徹、「ヤマト」島大介役 スポニチ 2014年8月7日
- ↑ 5.0 5.1 5.2 小川びい『こだわり声優事典'97』徳間書店、1997年、pp.102-103
- ↑ 6.0 6.1 6.2 「『あしたのジョー』力石徹の声優 『仲村秀生』は精神病院で亡くなった』」『週刊新潮』2014年9月4日号、pp.46-47
- ↑ “甦る里山の自然映す”. 東京多摩. 読売新聞 (2011年11月27日). . 2012閲覧.泉健司 (2011年11月20日). “「甦る里山 都立野山北・六道山公園の四季」の上映会”. 私のポケット・ビオトープ掲示板. ぽけ・び!. . 2012閲覧.朝日新聞多摩版の記事はリンク切れのため、未確認。
- ↑ 仲村の休業前も、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』で仲村とのダブルキャストで演じていた。