仁淀川
仁淀川(によどがわ)は、愛媛県・高知県を流れる一級河川で、愛媛県内では面河川と呼ばれる[1]。流域面積1,560km2、流路延長124km。吉野川・四万十川に次ぐ四国第三の河川で、流域人口は約11万人。水質は全国1位(2010年)である[2]。
中流域には四国で第2の規模である多目的ダム・大渡ダムをはじめとして治水・電源開発のための施設も多く、水辺利用率も全国1位(2002年)であり、ほぼ100%に近い。
Contents
地理
四国の最高峰である石鎚山に源を発する面河川と、分水嶺である三坂峠から流れる久万川が、御三戸(愛媛県久万高原町)で合流して形成される。四国山地に深いV字谷を刻みこみながら南下し、やがて高知県高知市/土佐市付近で太平洋へと注ぎ込む。三坂峠から御三戸を経て高知県越知町までの区間では、松山と高知を結ぶ国道33号が並行する。
流域解説
上流域
源流部は石鎚国定公園の指定区域にあたり、石鎚山の山麓にある御来光の滝付近から流れ出た面河川は、紅葉で知られる国の名勝面河渓を下り、三坂峠方面から流れてきた久万川と御三戸で合流する。これらの最上流域は険しい山地地形というよりもむしろ盆地に近いものがあるが、旧柳谷村の付近から仁淀川町にかけては、仁淀峡谷と呼ばれる標高差が数100mという険しいV字谷を刻みながら南下する。久万高原町には面河第三ダム、仁淀川町には流域最大の大渡ダムなどがあり、それらのダム付近から越知町にかけてはやや水量が乏しくなるが、ダムより下流側で長者川・土居川、越知町で大桐川といった支流と合流にするにつれ、水量を回復する。面河第三ダム下流の県境から仁淀川と河川名が変わる。
中〜下流域
越知町より下流側は水量も豊富になり、夏場ともなると川辺はキャンプ客や釣り人で埋まる。川面にはカヌーや川漁師の小舟がのんびりと浮かび、水辺利用率全国1位の実力をみせつけてくれる。キャンプ場も多く整備されており、それぞれ利用率も高い。また沈下橋も片岡橋・名越屋橋など大型のものが数多く残っている。いの町出来地で上八川川、いの町勝賀瀬で勝賀瀬川などと合流すると川幅はよりいっそう広がり、大河の様相を呈してくる。国道33号仁淀川橋付近にある河原では毎年5月に「紙のこいのぼり」が行われるほか、春から秋にかけて連日テントがはられている姿をみることができる。
河口部
1977年に、黒潮ラインの一部として仁淀川河口大橋が開通した。当初は有料道路だったが2001年4月に無料開放された。高知県内有数のサーフスポットであり、一年中サーファーの姿が見られる。また、シラスウナギ漁が盛んであり、漁が解禁される12月から翌年3月にかけて河原や周辺の海岸にはブルーシート製の作業小屋が並ぶ。小屋内ではタモで掬ったシラスウナギを雑魚と選別する作業が行われている。
面河水源の森
石鎚山南方面河川の面河渓周辺の森林で、1995年に林野庁が「水源の森百選」の一つ「面河水源の森」として選定した[3]。
山岳 | 面積 (ha) |
標高 (m) |
人工林 (%) |
天然林 (%) |
主な樹種 | 制限林 | 種類 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
石鎚山 | 2,921 | 900〜1,982 | 0 | 100 | ブナ・モミ・ツガ | 水源かん養保安林、面河自然休養林[4]、保健保安林、石鎚山系森林生態系保護地域[5] | 流水(面河川) |
所在地: 愛媛県浮穴郡久万高原町(データは指定年である1995年7月時点のもの)
主な支流
- 河口から約2.2キロメートルの地点で合流する、土佐市を流れる支流。仁淀川との水位差によりたびたび水害を起こすため、国土交通省では仁淀川に合流させず、仁淀川河口西まで人工河川を引く「波介川河口導流事業」を進めている。2011年度完了予定[6]、総事業費約358億円[7]。
利水施設
- 面河第三ダム - 久万高原町、四国電力管理発電用ダム
- 大渡ダム - 仁淀川町、国土交通省四国地方整備局多目的ダム
- 加枝ダム - 仁淀川町、四国電力管理発電用ダム
- 筏津ダム - 越知町、四国電力管理発電用ダム
主な橋梁
- 仁淀川河口大橋 - 高知県道23号須崎二ノ線
- 仁淀川大橋 - 国道56号
- 左岸いの町、右岸土佐市
- 仁淀川橋 - 高知自動車道
- 八天大橋 - 高知県道38号高知土佐線
- 両岸ともいの町
- 左岸いの町、右岸日高村
- 柳瀬橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 両岸とも越知町
- 鎌井田大橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 横畠橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 横倉橋 - 高知県道300号柳瀬越知線
- 左岸仁淀川町、右岸越知町
- 寺村橋 - 国道33号
- 両岸とも仁淀川町
- 上仁淀橋 - 国道439号
- 大渡ダム大橋 - 仁淀川町道
- 別枝大橋 - 仁淀川町道
- 落出大橋 - 国道33号
- 柳谷大橋 - 国道440号
- 矢淵大橋 - 国道440号
文学作品
仁淀川を舞台とした文学作品で名高いのが、宮尾登美子の自伝小説『櫂』『春燈』『朱夏』『仁淀川』である。宮尾は高知県に生まれ育ち、戦前および戦後の引揚げ後の2度にわたり仁淀川流域で暮らした経験があり、上記作品群はその経験を元に書かれたものとなっている。近年では高知県出身の女性作家有川浩の作品『空の中』において、仁淀川で河漁師として生計を立てる人物が作中重要な役割を果たしている。
脚注
関連項目
外部リンク
- 河川管理者
- 高知河川国道事務所 - 国土交通省 四国地方整備局
- ポータルサイト
- わくわく仁淀川 - 仁淀川わくわく会議
- 仁淀川お宝総合案内所 - 特定非営利活動法人 仁淀川お宝探偵団
- 仁淀川ネット - 個人運営サイト
- その他