人身売買
人身売買(じんしんばいばい)とは、過去の奴隷制度の時代は別として、現代では文字通りの意味ではない。多様な実態と法的位置づけの、広い範囲に用いられている用語である。
Contents
概要
現代の多くの先進国において、人身売買が語られるさい、それは「人身や行動範囲を強く拘束するような契約を、当人の了承を要さずに他人間でかってに売買し、それが人道的に悪質であるもの」のことである。悪い典型的な形は「高額の契約金を当人でなく別の者が受け取り(または高額の密入国費用を借金して払い)、当人が何年も不自由な場所で拘束され、知らぬ間に別の相手や場所へ契約が移転し、価値観上または肉体的に苦痛か危険な労働を長期間強制されて過ごすうちに当人に不利な条件が追加されて抜けられない」というような状況である。(管理売春であるというだけではこれに当てはまらない。)
多くの文明国の場合、法的には直接的に売買されるのは、"契約"や"契約相手である権利"、"契約金や密入国費用という貸した金の権利"なのである。これが契約内容による不自由さや無知、その他の環境によって一般社会の法的に保護された状態から外れた環境に置かれることで、人間自体を売買し拘束できるかのような状態が作られる。このような種類の契約や実態を(非難の意味を込めて)人身売買という。当人側がこのような不利な苦労と危険をある程度は覚悟して了承し、契約をすることを身売りという。このような状態に置かれた人を(非難の意味を込めて、実質的な)奴隷と表現することもある。現代の中・先進国で人身売買の奴隷と表現される人の多くはこの状態のことであり、借金か一定期間の拘束契約がその実質的な拘束力の中心をなしている(合法という意味ではない)。低中進国では契約より慣習の力が強いこともある。
文明国では、たいていは一般の労働契約との延長線上にある面があり、その実際上の拘束や搾取レベルが一定を越えたところで法的保護によって防止・救済されるべきものでもある。このレベルは時代によって異なる面がある。 (現在、多くの国では労働基準法及び職業安定法相当の法律によって違法な労働や契約を強行法規的に禁止しており、違法レベルの条件で結ばれた契約は法的に無効である[1]。)
治安の悪い街・未開発地域・政情不安定な地域では、拉致誘拐などの暴力的手段による犯罪としての人身売買があることが、時おり報道されることがある。麻薬や人さらい、架空契約から始まる人身拘束は始めから確実に犯罪であり、上記の説明とは種が異なる。つまり「身売り(契約)」と「人さらいなど(暴力・犯罪)」の二つの異なるルートがあり、中間に「詐欺的なもの」などもあって、身売りから悪い条件が重なり転売されるなどして闇のルートに近づくこともある。
それらとは別に、金銭と引き換えを目的とする養子縁組が生じることがある(慣例としての謝礼はありうる)。これが個々の親子・縁戚関係であれば、人権問題があっても人身売買問題としては一般に取り扱われにくい。そのようなことを業としたり繰り返したり組織的あっせんがある場合において、人身売買の問題となる。これもまた、保護や人権擁護がどの程度行われているかによって本質評価が大きく異なる。
奴隷制度終焉以後の人身売買は一般に、自ら了承して身売りしたり(借金の返済、親族に必要な金銭の用立てなど)、親が子に強要したり、親が子の替わりに契約を行ったり、また既にその状態の人を売買(転売)することもあるが、誘拐などの強制手段や甘言によって誘い出して移送することも多数あり、広義には当人に気づかせないグループ詐欺的な方法を含むことがあるなど、多様な実体・本質と分野を含む用語である。人身売買の非難アピールでは、それ以上に拡大して用いられたりする。
特に国際間の移動が絡むときには、組織の根本的摘発がやりにくいうえに、当人側も一種の不法入国という立場性や言語の壁などから当人が法的保護を受けにくくなる状況があり、詐欺的な就労を強制しやすく、全くの犯罪としての人身売買は悪質化して、行方不明になる率も高くなる。また子供は保護権の悪用も加わり、これらは悪質さの典型・象徴となる。1990年代以降、特に1996年の児童の商業的性的搾取に反対する世界会議以降、国際的な人身売買が国際問題として取り上げられることが多くなっている。
人身売買が行われる目的は、強制労働、性的搾取、臓器移植、国際条約に定義された薬物の生産や取引、貧困を理由として金銭を得る為の手段などにある。現代社会においては、概ねどの国においても人身売買は犯罪行為とされている。
人身売買は別名、人の密輸、ヒューマン・トラフィッキング(英語: Human Trafficking)あるいはトラフィッキング(英語: Trafficking[2])ともいわれ、日本国政府はこれを人身取引と表現している[3][4]。
送出国・中継国・受入国
国際的な人身売買者に関わる国は、送出国・中継国・受入国の三つに分類される。
送出国には政情不安、社会不安、内戦、自然災害、経済状況の変化、差別、周囲や家族からの圧力などの要因(プッシュ要因)があり、また受入国には、性関連のサービスおよび児童との性行為、非合法な臓器移植や実験、テロリスト、過酷な条件下の労働などに対する需要(プル要因)がある。このため非合法な人身取引がビジネスとして成立する。
略取の対象には、反抗する力のない貧困層、少数民族、災害の罹災者、移民などのマイノリティーや、子供が選ばれやすい。これらの対象者は、出生届や身分を証明する書類もなく行政などの保護を受けづらいため、人身売買の対象とされやすい。
2005年のスマトラ島沖地震の際には、大災害の混乱に紛れ、人身売買を目的とした子供の誘拐が多発した[5]。
国際的な取り組み
人身売買を禁止する最初の国際条約は1904年に欧州12ヶ国で締結された「醜業を行わしむるための婦女売買取締に関する国際協定」である。この協定は女性が売春婦として売られることを防止することを目的にしており、6年後に、人身売買に従事する業者への罰則を追加した「醜業を行わしむるための婦女売買禁止に関する国際条約」が欧州13ヶ国で締結され、それらを包括する「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」(1921年)が日本を含む28ヶ国で締結された。
現代では、1949年に発効した国際連合の人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約(人身売買禁止条約)、1956年採択の奴隷制度廃止補足条約、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(国際組織犯罪防止条約)の「人身取引」に関する議定書、さらにジョグジャカルタ原則第11原則に於いて人身売買の禁止が明記されている。
人身取引議定書
2000年、国際組織犯罪防止条約を補完する議定書として国際連合国連総会で採択、2003年に発行された条約。日本は2005年(平成17年)6月8日、国会で承認した。議定書の締結は条約の締約国であることが条件となっているため、条約が定める組織犯罪に対する国内法整備が進まない日本は議定書の締結にも至っていなかったが、2017年6月に国内法整備に伴い批准、締約に至った。
各国の事例
日本
日本での人身売買に関する最古の記録は『日本書紀』677年(天武天皇5年)の売買許可願いである [6]。下野の国司から凶作のため百姓の子どもの売買の申請が出され、不許可となっている。しかし、この許可願いの存在から、それ以前の売買の存在が推認されている。大宝律令・養老律令でも禁止はなされていたが、密売が行われていた。奴婢は相続財産として扱われ、その売買は禁止されていなかった[7]。人買いの語が多く見られるのは鎌倉時代、室町時代である。「撰集抄」には幼童、青年、老人さえ金で売られることが記され、「閑吟集」には「人買船は沖を漕ぐ、とても売らるる身ぢやほどに、静かに漕げよ船頭どの」という歌がある。謡曲では「隅田川」「桜川」などが、古浄瑠璃の山椒大夫とともに有名である。
戦国時代、16世紀後半、九州の諸大名はポルトガル商人から銃器を購入するため、日本人を奴隷として売却していた。日本人奴隷はポルトガル・中国・朝鮮などに輸出され、その人数は5万人ほどとされる[8]。これが豊臣秀吉によるバテレン追放令や、江戸幕府による鎖国体制の原因の一つになったとも言われる[9]。秀吉が天正18年8月の宇都宮国綱に送った掟条では百姓を土地に縛りつけると同時に人身売買の一切を禁じている [10]。
文禄・慶長の役では、秀吉は朝鮮の民衆を慰撫するため、乱取りなどの拉致行為を禁じる朱印状を発布した[11][12]が、朝鮮半島に従軍した僧慶念が『朝鮮日々記』に「日本よりもよろずの商人も来たりしたなかに人商いせる者来たり、奥陣より(日本軍の)後につき歩き、男女・老若買い取りて」と記したように、人身売買を目的とした商人が渡航していた。これらの奴隷商人は下級の兵士と通じて朝鮮人を調達していたため、加藤清正などは「乱暴狼籍に身分の低い者をこき使う者があったならば、その主人の責任として成敗を加える。」と禁令を発している[13](ただし、清正は朝鮮人を人身売買ではなく鏖殺の対象としていた。たとえば、清正配下の本山安政による『本山豊前守安政父子戦功覚書』には「働男女、生子迄も不残撫切に致し、鼻をそぎ。其日々に塩に致し」と記されているが、人身売買については全く記載がない[14])。多聞院日記によれば、朝鮮人の女性・子供は略奪品と一緒に、対馬、壱岐を経て、名護屋に送られた[15]。人身売買は長崎などで行われ、イタリアの商人カルレッティは、朝鮮人は1人あたり銀24匁(米1斗=銀1匁)ほどで売られていたと記録している[16]。
しかし、大阪観光大学観光学研究所客員研究員の渡邊大門によれば、文禄・慶長の役にでかけた兵たちは、耳や鼻を削いで持ちかえる残虐行為とともに人間狩りをし、朝鮮の老人、女、子供を拉致し奴隷化した[17]。朝鮮半島に従軍した僧慶念は『朝鮮日々記』という日記を残しており、「男女・老若買い取りて、縄にて首をくくり集め、先へ追い立て、歩み候わねば後より杖にて追い立て、打ち走らかす有様は、さながら阿坊羅刹の罪人を責めけるもかくやと思いはべる」「かくの如くに買い集め、例えば猿をくくりて歩くごとくに、牛馬をひかせて荷物持たせなどして、責める躰は、見る目いたわしくてありつる事なり」と書いている[18]。渡邊大門によれば「乱取りは多くの大名が黙認し、幅広く行われた」のであり、『多聞院日記』は、彼らが奈良に運ばれた事を書き、『本山豊前守安政父子戦功覚書』は船で生け捕った男女を尾張徳川家の居城である名古屋城に送ったという [19]。さらに、大門は最初、乱取りを禁止していた秀吉も方向転換し、捉えた朝鮮人を進上するように命令を発していると主張している[20]。
明治初期の「芸娼妓解放令」が有名無実なものとなると人身売買に対する法的規制が後退し、他人を売るより子孫を売る方が罪が軽く「和売」とされていた[21]。明治から昭和にかけての人身売買について牧英正は、農村の慢性的貧困は変わらず、父権の強さがあり、人身売買を発生させる温床としての構造上の理由を説明している[22]。
人身売買は現代においても暴力団が関与して発生したケースもあり、2007年には風俗店の女性従業員が遅刻や無断欠勤を理由に、暴力団員の同風俗店経営者に「罰金」と称して架空の借金(約150万円)を通告され返済を迫られ、女性は拒否して逃走するも同暴力団員に捕らえ、別の風俗店に売り渡される事件が発生、栃木県警が暴力団員と風俗店を人身売買罪を初適用して逮捕・検挙したことが報じられている[23]。
2004年、日本は「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を経て「人身取引対策行動計画」[24]を発表した。2005年6月には刑法を改正して「人身売買罪」を新設し、人身売買が誘拐と並んで扱われるようになった[25]。出入国管理及び難民認定法も改正され、人身取引などの被害者は、退去強制の対象外となり、また上陸特別許可や在留特別許可を与えて保護するなどの対応に切り替えられた[26][27]。
アメリカ国務省の人身売買報告書2011年版[28]では、日本を「Tier2: 人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていないが、満たすべく著しく努力している国」として挙げている。2014年版でも日本は目的国、供給国、通過国であることが指摘されており[29]、年次報告書によれば、日本企業の実施する「外国人研修・技能実習制度」が、賃金不払い、長時間労働、パスポートを取り上げるなどの不正行為によって移動の制限を行うなどにより、中国、東南アジア出身者の人権を蹂躙したり、暴力団組織が性風俗産業で外国人女性を強制労働させている実態を紹介し、日本政府による対応の不備を指摘した。Tier2の分類は7年連続となった。2015年版では、日本について女子高生による援助交際などを問題視し、JKビジネスが売春を容易にしていると指摘した他、外国人技能実習制度で入国した研修生の一部が強制労働の状況に置かれていることを挙げて改善を求め、「強制労働や売春に関わる人身売買の送り先であり発信地でもある」として、主要7か国で唯一、上から2番目(4段階評価、後述)に据え置かれている[30]。
警察庁が2001年から行っている人身取引被害者統計によれば、外国人被害者の国籍はタイ、フィリピン、インドネシア、コロンビア、台湾などが多く[31]、勧誘時に説明を受けた職種と実際に従事する職種が異なるなど欺罔を手段とするものが多いとされる[32]。
従来これらの問題に際しては、刑法上の営利誘拐や(外国人の)不法就労、強制労働を禁じた法・売春防止法などで各々のケースに個別対応して、明確な奴隷および人身売買として深刻に対処されていなかったという背景と、これら人身売買被害者の外国人労働者では、このような被害の発覚の時点で不法就労により本国に強制送還され、人身売買加害者側の裁判では被害者を欠いた形で裁判が行なわれることも問題視されていた。アメリカ国務省は依然として日本には未解決の問題が存在していることを指摘している[28]。 日本政府は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて「人身取引対策行動計画2014」を策定し、人身取引対策に取り組んでいる[33]。
朝鮮・韓国
李氏朝鮮では強固な身分社会が築かれており、白丁や奴婢なる被差別階級が存在した。奴婢の人々は主人や政府の所有物とされ、金銭で売買されており、この身分から抜け出すのはかなりの困難を伴った。1894年の甲午改革によって廃止された。
日本統治下の朝鮮において朝鮮人売春斡旋業者による少女の誘拐・人身売買事件(朝鮮南部連続少女誘拐事件)が多発した。犯人は女性業者の場合もあった。また日本軍慰安婦として人身売買が多発し、業者のみならず日本政府も関与していたとする主張があり、現在も日韓で歴史認識論争、外交問題にもなっている。また韓国軍慰安婦にさせられたと主張する女性たちは韓国政府への責任を訴えている。性暴行と殴打、監禁、強制堕胎、性病強制検診、性売買業者主人と警察公務員の癒着不正など、数え上げることも難しい国家犯罪があったとし、韓国は国連人身売買禁止協約(韓国は1962年に発効)をおこなっているが、それは「紙クズ同然」だったとの証言が報道されている[34]。
2014年には、韓国塩田奴隷労働事件が発生し、知的障害者が人身売買され無償労働を強制されていたことが発覚した。
脱北者と人身売買
北朝鮮脱北女性は人身売買の対象となっており、20 - 24歳の女性は7,000元、25 - 30歳の女性は5,000元、30歳以上は3,000元で中国などに売られている[35]。
中華人民共和国
中華人民共和国では、毎年、数万人もの児童が誘拐され、売買されている。大半が男児とされる。背景には、一人っ子政策により、子供を多く持ちたくても持てないため、児童を買いたいという需要がある他、児童を買う家族に罰則が存在しないことがあげられる。多くは内陸の貧しい家庭から誘拐され、東部沿岸部の裕福な家庭に売られるという。家族が警察に訴えても、警察は捜査を拒むこともある。
中国政府も対策には乗り出していない。児童売買に医師などが関与する例もある[36][37]。また一人っ子政策の規定を超える子供を持ってしまい、罰金を支払えない親が子供を売りに出す例もある。これらは養子縁組という形で売買されている。インターネットでの取引も活発である[38]。 中国政府は児童誘拐年1万人(専門家は7万人)としている[39][40]。
誘拐による被害の他に実の親による児童の売買犯罪も多く、2014年度の中国国内における裁判所判例では、人身売買犯罪の約4割が経済的困窮を事由とする実の親による児童売買であった[41]。
また、中国国内で児童の人身売買先となる地域は、山東省、河南省、福建省の順で、2014年の統計では人身売買先の約2割が山東省となっている。
中国では、東南アジアから売られてくる外国人の数も増えているとされる[42]。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では、特に南部のプランテーションで黒人奴隷が酷使されていた。西アフリカからアメリカには、1000万人もの奴隷が売られていった。アメリカでは、黒人を家族ごと購入する例があった。人道的な理由からではなく、こうすれば、その家族の子供が次代の奴隷となり、わざわざ奴隷商人から奴隷を買わなくても、奴隷の数を維持できるというのが主な理由であった。一部の州では奴隷制度廃止運動が盛んとなったが、アメリカ全土で奴隷制度が廃止されたのは、1840年、エイブラハム・リンカーンにより奴隷解放宣言、そして南北戦争による北軍が勝利した後のこととなる[43]。黒人以外にも、苦力と呼ばれた中国人など世界各地の有色人種が、労働力としてアメリカに売られていった。日本でも、石垣市にある唐人墓に眠る清人の悲劇などが伝わっている。
しかし、奴隷制が廃止されても、有色人種に対する苛烈な差別は根強く残り、現在でも根絶されていない。また、現在でも中南米などから女性を売買し、搾取する人身売買組織が存在する[44]。
アメリカ国務省の分類
アメリカ合衆国国務省は、「人身売買に関する年次報告書」を毎年発表している[45]。Tier2 WatchListと最低ランクのTier3は監視対象国である。アメリカの貿易促進権限法で、Tier3の国との通商協定を結べないことになっており、例えばTier3の国はTPPに加盟できない[46]。
Tier1 | 基準を満たす |
---|---|
Tier2 | 基準は満たさないが努力中 |
Tier2 WatchList | 基準は満たさないが努力中で被害者数が顕著、かつ前年より改善が見られない、または次年以降の改善を約束しない |
Tier3 | 基準を満たさず努力も不足 |
2015年
2015年国務省報告書によるランキング[47]は以下の通り。
- Tier1:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チリ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、ニュージーランド、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ合衆国、大韓民国、台湾等、31の国と地域
- Tier2:アフガニスタン、アルバニア、アンゴラ、アルゼンチン、バングラデシュ、バーレーン、ベニン、ブラジル、コロンビア、クロアチア、キプロス、エクアドル、ジョージア、ギリシア、ホンジュラス、ハンガリー、インド、インドネシア、イラク、ヨルダン、ケニア、コソボ、メキシコ、モンゴル、モンテネグロ、モロッコ、オマーン、パラオ、ペルー、フィリピン、ルーマニア、ルワンダ、セルビア、スロベニア、トーゴ、トルコ、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、ベトナム、ザンビア、日本、香港等、89の国と地域
- Tier2 WatchList: ボリビア、ブルガリア、ミャンマー、カンボジア、中華人民共和国、キューバ、エジプト、ガーナ、ハイチ、ジャマイカ、ラオス、レバノン、マレーシア、マリ、パキスタン、カタール、サウジアラビア、スリランカ、スーダン、タンザニア、チュニジア、トルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタン等、44の国と地域
- Special Case: ソマリアのみ
人身売買を扱った作品
ここでは、作品中である程度一貫して人身売買の問題に焦点が当てられている作品及び「人身売買」という行為が作中の重要な主題となっている作品を扱う。「登場人物に人身売買と関わりがあるものがいる」程度の作品は扱わない。
映像
- リリア 4-ever(2002年)スウェーデン製作の映画。旧ソ連とスウェーデンを舞台にした売春奴隷犯罪を描いた作品。
- セックス・トラフィック(2004年)イギリス制作のテレビドラマ。モルドヴァなどの貧しいヨーロッパの国々から、売春目的で売買される女性たちを描いた作品。
- ヒューマン・トラフィック(2005年)アメリカ製作のテレビドラマ。人身売買を扱った社会派ドラマ。
- ある子供(2005年)生まれたばかりの我が子を金欲しさに売ってしまった不良少年の辿る道を描く。ダルデンヌ兄弟がカンヌ国際映画祭で二度めのパルムドールに輝いた作品。
- イースタン・プロミス(2007年)ロンドンに暗躍するロシアン・マフィアの人身売買ビジネスをデヴィッド・クローネンバーグが描いた社会派ヴァイオレンス映画。
- 96時間(2009年)娘とその友人をアルバニアの人身売買組織に誘拐された元CIA工作員の、奪回と組織壊滅に向けた戦いを描く。題名は被害者が無事でいられると考えられる期間にちなむ。
- INTERSECTION(2009年) MTV EXITが企画したアニメ。売春宿の取り押さえ事件を登場人物それぞれの視点で描いた作品。性的搾取を扱う。
- traffick an mtv exit special(2009年) MTV EXITによる特別番組であり、題名が無い。上記の「INTERSECTION」と同じく基礎知識及びケース、対策などを扱う。
- トゥルース 闇の告発(2011年) ドイツ・カナダ合作映画。主演レイチェル・ワイズ。国際連合、国連文民警察(民間軍事会社)、現地政府・警察が関与したボスニアへの人身売買問題に対して、一人の女性派遣隊員が立ち向かう。実話に基づく。
自伝・伝記
- ある奴隷少女に起こった出来事 (大和書房)ハリエット・アン・ジェイコブズ 著, 堀越 ゆき 翻訳 1820年代のアメリカ、ノースカロライナ州で奴隷として生まれた少女ハリエットの物語り。
- サバイバー 池袋の路上から生還した人身取引被害者 (ころから)マルセーラ・ロアイサ著,常盤未央子,岩﨑由美子 翻訳 - 日本でセックスワークを強要されたコロンビア人女性の手記。
文学
- からゆきさん(朝日新聞社)1976、森崎 和江 - 貧困の中で売られ、からゆきさんとして売春を強いられた少女達の苦難の人生。
- 闇の子供たち (幻冬舎文庫) 梁石日著 - タイを舞台に売春や臓器移植を目的に売り買いされる子どもたちと彼らをめぐる日本人たちを描く。2008年には阪本順治監督で映像化されている。
童話
- 安寿と厨子王丸 説話「さんせう太夫」を元に作られた童話。 主人公の安寿と厨子王は人買いにより母と離れ離れになり山椒太夫に売り渡され酷使されるという内容がある。
- 黒い兄弟(ロミオの青い空)19世紀のスイス・イタリアを舞台にした作品。
脚註
- ↑ 日本においては、労働基準法5条、同法6条、職業安定法63条1号及び同2号、同法65条10号、労働契約法5条及び労働基準法13条、民法90条他により、奴隷的扱いを含む違法な労働が禁じられ、また契約として無効になっている。
- ↑ traffickingとは、不正売買のこと。
- ↑ 平成27年5月人身取引対策に関する取組について (PDF)
- ↑ 政府広報オンライン
- ↑ スマトラ沖地震・津波情報 - 日本ユニセフ協会
- ↑ 渡邊 大門『人身売買・奴隷・拉致の日本史』 p14、2014
- ↑ 下重 清『身売りの日本史―人身売買から年季奉公へ』p11
- ↑ 明代における澳門の日本人奴隷について[1]
- ↑ “大西洋奴隷貿易時代の日本人奴隷”. 大阪商業大学下山研究室. . 2014閲覧.
- ↑ 渡邊 大門『人身売買・奴隷・拉致の日本史』 p126-p127、2014
- ↑ 「島津史料集」 北川鐵三 人物往来社 152ページ "禁制高麗国(藉)一、軍勢甲乙人等濫妨狼藉事、一、放火事、付人取事"
- ↑ 「物語東洋史: 朝鮮」 橋本増吉 雄山閣 266ページ
- ↑ 藤木久志「雑兵(ぞうひょう)たちの戦場: 中世の傭兵と奴隷狩り」59ページ
- ↑ 史籍集覧214巻 本山豊前守安政父子戦功覚書 近代デジタルライブラリ 775ページ [2]
- ↑ 『多聞院日記 三十六』天正20年5月18日条
- ↑ 「「南蛮」から「紅毛」へ」中村 質 P28
- ↑ 『人身売買・奴隷・拉致の日本史』 p172-p174、2014年
- ↑ 内藤雋輔『文禄・慶長の役における被虜人の研究』p226、東京大学出版社、1976年
- ↑ 渡邊 大門『人身売買・奴隷・拉致の日本史』p172- p173、2014
- ↑ 渡邊 大門『人身売買・奴隷・拉致の日本史』 p175、2014
- ↑ 藤野豊『戦後日本の人身売買』p18
- ↑ 藤野豊『戦後日本の人身売買』p19
- ↑ 人身売買容疑で組員ら逮捕 日本人女性被害 - 朝日新聞 2007年7月24日付
- ↑ 人身取引対策行動計画 (Report). 内閣官房. (2004-02-07) .
- ↑ 2005年刑法改正
- ↑ 平成17年における人身取引の被害者について
- ↑ “売春や強制的な労働などを強要される「人身取引」 被害者に助けを求められたら最寄りの警察などへ”. 政府広報 (2014年5月30日). . 2014-6-7閲覧.
- ↑ 28.0 28.1 2011年人身売買報告書(抜粋・日本に関する報告) (Report). 米国大使館 .
- ↑ 米国大使館「2014年人身売買報告書(日本に関する部分)[3]
- ↑ “JKビジネスが売春容易に…米人身売買報告”. Nippon Television Network Corporation news24 (2015年7月28日). . 2015閲覧.
- ↑ 平成25年中における人身取引事犯について (PDF)
- ↑ 平成24年中における人身取引事犯について (PDF)
- ↑ 平成27年5月人身取引対策に関する取組について (PDF)
- ↑ 2014.07.05 ハンギョレ「米軍の性病だけを心配していた政府…人間に対する礼儀を守れ」
- ↑ 脱北者の悲痛な訴え、弁護士協会が人権白書 (朝鮮日報 2008/10/13)
- ↑ “中国で横行する人身売買、17年かけて息子を探した女性の悲劇”. AFPBB News. (2014年1月26日) . 2014-1-26閲覧.
- ↑ “中国で乳児人身売買組織を摘発”. AFPBB News. (2011年11月6日) . 2014-1-26閲覧.
- ↑ “中国に巣食う「一人っ子政策の闇」、赤ちゃん売買がネットで拡大”. Reuters. (2014年4月1日) . 2014-4-1閲覧.
- ↑ 『中国の児童人身売買、誘拐された子どもの一部は米国へ―米紙』Record China 2012年12月29日(土)17時18分配信
- ↑ ミャンマーで女性の人身売買が横行、8割が嫁不足の中国へ売られる―ミャンマー紙 配信日時:2013年1月9日 13時6分
- ↑ 2014年度中国国内犯罪統計による。また、華南理工大法学院の調査では、約半数が親による我が子の売買としている。
- ↑ “アジア女性の人身売買、中国で増加”. AFPBB News. (2011年11月25日) . 2014-1-26閲覧.
- ↑ “奴隷貿易Ⅲ〜アメリカ奴隷制度の歴史〜”. 株式会社ベネディクト. . 2014-1-26閲覧.
- ↑ “米南部で性目的の人身売買組織を摘発、女性11人救出”. AFPBB News. (2013年1月18日) . 2014-1-26閲覧.
- ↑ Trafficking in Persons Report 2015
- ↑ 米人身売買報告書、マレーシア・キューバの評価引き上げ reuters 2015年7月28日
- ↑ Trafficking in Persons Report 2015 2015.7.28閲覧
関連項目
人身売買の素因
日本の伝統との関連
事件
人身売買関連の組織
法・条約・罪
- 略取・誘拐罪
- 人身売買罪
- 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約
- ジョグジャカルタ原則(第11原則)
- 人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約
- 奴隷制度廃止補足条約
- 売春防止法
- 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
- 労働基準法
- 職業安定法
外部リンク
- UNODC Human Trafficking - 国連薬物犯罪事務所
- Global report on trafficking in Persons - 国連薬物犯罪事務所
- 人身取引対策推進会議
- 人身取引対策に関する関係省庁連絡会議 - 内閣官房