五所川原立佞武多
五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)は、青森県五所川原市で8月4日から8月8日に開催される祭りである。
青森のねぶたと構造は基本的に同じだが、その名の通り、高さが最大で20m強にも達する巨大な山車が運行される。
「立倭武多」と誤植されることもある(その中には旅行会社のウェブページやパンフレットもある)が、佞(ネイ)と倭(ワ、イ)は別字である。
山車
この立佞武多とよばれる山車は、禊ぎ祓いとして行われた夏の行事において、燈籠を作られていたものがいつしか組み人形として作られるようになったのが原形と考えられている。明治時代から大正時代にかけて巨大なものとなり、市内の豪商や集落などで競って作られていた。しかし、電線が市街地に張り巡らされたことにより、巨大な山車の運行が困難になり、立佞武多は低形化された。結果、立佞武多そのものが幻となってしまう事となった。
1993年(平成5年)、市内のある家庭で先祖の遺品の整理をしていたところ、明治・大正期の立佞武多の設計図の一部が発見された。この設計図を元に立佞武多を復活させようとするボランティア運動が始まり、彼らの手により、1996年(平成8年)に「立佞武多」として80年ぶりに復活した。この時に作られた立佞武多「武者」は同年7月1日に岩木川河川敷で運行、7日には古習に倣い火が放たれ、昇天させられた。 その2年後の1998年(平成10年)、五所川原市が立佞武多の支援を決め、夏祭りで運行されるようになった。以後、立佞武多は1年に一基ずつ新作が制作され現在に続いている。
2004年の運行では、『ドラゴンボール』の孫悟空の立佞武多が出陣した。また同年暮れ、千葉県の幕張メッセで行われた集英社のイベントにも出展され、その威容を披露した。
2006年の運行では、ゲーム『桃太郎電鉄シリーズ』の桃太郎たち&キングボンビーの立佞武多が出陣し、話題になった。それに先立って3月25日にゲーム総監督のさくまあきらとイラストを担当する土居孝幸が青森県庁に知事の三村申吾を訪ね、山車の製作を報告した。
2007年の運行では、『機動戦士ガンダム』の立佞武多が出陣した。このガンダム立佞武多は同年8月18・19日に千葉県の幕張メッセで行われた「キャラホビ2007」にも出陣した。
これら平成の立佞武多は、明治大正期の立佞武多とは構造などの面で全く異なる現代的なものとなっている。明治大正期には木や竹を骨組みにしてろうそくで明かりをともしていたのに対し、平成のものは鉄骨で基礎と柱が造られ、その周囲にブロック状に各パーツが据え付けられる。照明にも電気が使われている。
運行
囃子方のかけ声は、青森の「ラッセラー」、弘前の「ヤーヤドー」に対し、五所川原では「ヤッテマレ」である。「ヤッテマレ」は津軽弁で、標準語の「やってしまえ」に近い意味である。
JR五所川原駅前周辺を舞台に行われる運行のために、運行順路となる周辺道路一帯では電線の埋設工事や、道路拡張工事が行われている。
テーマ曲
『立佞武多』 / 作詞・作曲・唄: 吉幾三
吉は同市出身。 毎年、祭りのスタート時には吉の乗った移動ステージ車が各山車を先導し、生の歌声を聞かせてくれるのが恒例となっている。
その他
- 8月上旬の運行期間以外でも、五所川原市中心部の立佞武多の館において常設の展示を行っている。また立佞武多の製作所も併設されておりこちらの見学も可能である。
- 前日の8月3日には、花火大会がある。
参考文献
- 成田敏「ねぶた・ねぷた祭り」『Consulant Vol.232 <特集>青森~雪と共に生きる人の知恵~』建設コンサルタンツ協会、(2007年3月22日)、閲覧日2017年9月1日。