丸久
- 丸久(まるきゅう)は山口県防府市に本拠を置くスーパーマーケットチェーン。本項で詳述。
- 丸久(まるきゅう)は過去に山形市にて営業していた日本の百貨店。現在は起業支援のための施設などが入居する「ナナビーンズ」。
- 丸久(まるひさ)は徳島県鳴門市に本社を置く、子供服・婦人服をはじめとする衣料品の製造販売業者。
株式会社丸久(まるきゅう)は、スーパーマーケットのチェーンストアを展開する企業。山口県防府市に本部を置く。
概要
1954年(昭和29年)(昭和29年)3月12日に[1]、「防府専門大店」として創業[1]。現在は山口県を中心にスーパーマーケットの「マルキュウ」「アルク」「サンマート」「ピクロス」とショッピングセンター「アトラス」を展開する。(中央フードも展開しているが、元は丸久グループの傘下のスーパー企業である。)「丸久」の屋号は、当時屋号に「丸」を付けるのが流行していた[注釈 1]ことと、9つの問屋の合同にちなみ「九」を「久」に読み替えたものである。
1980年代、バブル期に広島県、福岡県など山口県外に積極的に出店する。さらにGMSへの展開を目指し、家電販売「丸久家電プラザ」、書籍販売「BOOKS09」(山口市と旧小郡町と宇部市では「BOOKS21」)、コンビニエンスストア「パコール」など新規業態への展開や、外食事業にも進出。また、防府読売マラソンのスポンサー、台湾に台湾丸久として進出するなど会社の規模は拡大させていった。丸久ブランドを冠したプライベートブランドの開発にも取り組んだ。
しかし、バブル崩壊に伴い売上高が減少し、多くの事業から撤退。1992年(平成4年)10月にはコンビニエンス部門の営業権をローソンに譲渡し、1996年には「Let's 09」(宇部市)「アトラス美祢」(美祢市)「アトラス長門」(長門市)といった大型店を閉鎖(アトラスの2店舗はフジに営業譲渡)し、書籍部門も1999年(平成11年)に明屋書店などに営業譲渡(明屋書店は子会社「山口明屋書店」を設立して承継)した。県外の店舗もこの時期にほとんど閉店しており、保有していた女子陸上競技部はファーストリテイリングに移譲している(現・ユニクロ陸上競技部)。
一時は経営悪化で破綻がささやかれたが、食品スーパーに特化することで奇跡的な復活劇を遂げ、経済誌などで賞賛された。なお、丸久厚狭店(山陽小野田市)は経営不振時にダイエーに売却、ダイエー厚狭店として運営されていたものが1999年のダイエーの経営不振に伴う撤退により丸久が再取得した珍しい例である。
近年では、大手コンビニエンスストアや丸和、サンリブ、イズミ、イオンなど周辺地域の同一業態資本による出店攻勢を見据え、一部の店舗について郊外型大規模店舗 (SSM)「アルク」(ARUK=「MARUKYU」の中4文字を取ったもの[広報 1])へのリニューアルを進めている。また、県北部や旧町村部をはじめとする一部地域では小規模食品スーパー「サンマート」(かつては子会社による運営であった)による出店となっており、「マルキュウ」としての店舗数は減少傾向にある。
2005年(平成17年)10月11日にイズミと業務・資本提携で基本合意し[2]、資材調達や物流拠点の共同化のほか、丸久の「マルキュウポイントカード」とイズミの「ゆめカード」との間でポイントサービスの相互互換などを行っている[広報 2][広報 3]。その一方、同じ山口県に本部を置く中央フードを買収した[3]。
なお、山口県外の店舗は、長らく広島県大竹市(「マルキュウ」2店舗)、島根県吉賀町(「サンマート」1店舗)の3店舗のみであったが、2008年(平成20年)11月19日にアルク廿日市店(広島県廿日市市)を出店して[4]バブル期以来の県外への新規出店を行うなど、以後も徐々にではあるが広島・福岡両県への進出を行っていた。
2015年(平成27年)7月1日、大分県佐伯市に本社を置き、九州地方を地盤とする株式会社マルミヤストアと経営統合。従前の株式会社丸久は株式会社マルミヤストアを完全子会社化するとともに持株会社に移行し、株式会社リテールパートナーズとなった。現在の株式会社丸久は、この際に既存事業を会社分割により承継した法人である。なお、持株会社移行時にイズミとの資本業務提携は解消されており、ポイントサービスの総合互換も2015年10月31日をもって終了した。現在は独自の電子マネーつきポイントカード「maruca」を導入している。
経営機構
監査役設置会社の組織形態を採用している[広報 4]。取締役会のもとに経営会議、経営改革委員会、予算委員会、コンプライアンス委員会が設置されており、それぞれ毎月1回の開催を原則としている[5]。
経営陣
沿革
旧法人(現・株式会社リテールパートナーズ)
- 1954年(昭和29年)
- 1984年(昭和59年)10月 - 広島証券取引所に上場[1][6]。
- 1985年(昭和60年)10月 - 大阪証券取引所市場第二部に上場[1][6]。
- 1986年(昭和61年)8月 - 自社カードシステムである「マルキュウポイントカード」を導入[6]。
- 1987年(昭和62年) - パコールに資本参加し、コンビニエンスストア事業に進出[8]。
- 1988年(昭和63年)1月 - 株式会社くらしげ(後の株式会社サンマート)と資本業務提携を締結[6]。
- 1989年(平成元年)9月 - 加工流通センター(現・株式会社四季彩)を設置[6]。
- 1992年(平成4年)
- 9月 - POSシステムを導入。
- 10月 - コンビニエンスストア「パコール」の営業権をローソンに譲渡。
- 1996年(平成8年) - 8月に宇部市中央町で営業していた大型商業施設「Let's 09」を閉鎖したほか、「アトラス美祢」(美祢市)「アトラス長門」(長門市)をフジに譲渡。
- 1998年(平成10年)
- 11月 - 周南市に新営業戦略店舗として「アルク秋月店」を開設。
- 12月 - オール日本スーパーマーケット協会に加盟。
- 1999年(平成11年) - 書籍販売「BOOKS09」および「BOOKS21」を明屋書店などに譲渡。
- 2000年(平成12年)3月 - 東京証券取引所市場第二部に上場。
- 2005年(平成17年)10月 - 株式会社イズミと業務資本提携で基本合意[2]。
- 2006年(平成18年)11月 - マルキュウポイントカードとゆめカードのポイント相互乗入れを開始[広報 3]。
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)3月 - アルクブランドとしては福岡県初の店舗となる「アルク小倉東店」を北九州市小倉南区に開設。
- 2010年(平成22年)9月1日 - 子会社の株式会社ピクロスおよび株式会社かいたを吸収合併し、株式会社丸久に統合[10]。
- 2012年(平成24年)3月1日 - 子会社の株式会社サンマートを吸収合併し、株式会社丸久に統合[広報 5]。
- 2014年(平成26年)10月 - 山口県東部を地盤とするスーパー・株式会社中央フードと同社グループの中央商事株式会社を子会社化[広報 6][11]。
- 2015年(平成27年)
現法人
- 2015年(平成27年)
- 3月9日 - 株式会社丸久分割準備会社(現・株式会社丸久)を設立。
- 7月1日 - 株式会社丸久(旧法人)が、株式会社マルミヤストアを株式交換により完全子会社化するとともに、グループ管理以外の事業を株式会社丸久分割準備会社に吸収分割し、株式会社リテールパートナーズに商号変更。株式会社丸久分割準備会社が株式会社丸久に商号変更[広報 8][広報 9]。
- 7月22日 - イズミが自己株式立会外買付取引により丸久の保有するイズミ株式を取得し、イズミとの資本業務提携を解消[広報 10]。
店舗の展開
店舗分布の詳細については公式サイト内店舗一覧を参照のこと。
- アルク(大規模食品スーパー[4]) - 40店舗
- マルキュウ(中規模総合スーパー) - 19店舗
- サンマート(小規模食品スーパー) - 18店舗
- ピクロス(小規模食品スーパー) - 5店舗
- アトラス(ショッピングセンター) - 1箇所・詳しくは当項目記事を参照。
過去に存在した店舗
改築及び改装を経てアルク及びサンマートとなっている店舗を除く。
山口県
防府市
- 家電プラザ牟礼店 - 防府市[7]、1980年(昭和55年)4月開店[7]、店舗面積486m²[7]。
- 国分寺店 - 防府市[7]、1979年(昭和54年)7月開店[7]、店舗面積485m²[7]。
- 家電プラザ三田尻店 - 防府市[7]、1980年(昭和55年)8月開店[7]、店舗面積498m²[7]。
山口市
- 湯田店 - 山口市湯田温泉6-2-22[12]、1972年(昭和47年)11月開店[7]、店舗面積382m²[7]。
- 小郡店 - 吉敷郡小郡町[7]、1980年(昭和55年)10月開店[7]、店舗面積1,928m²[7]。現在のレクサス山口付近に位置する。(現)国道9号を挟んで向かい側の土地に「アルク小郡店」として新規開業した。
- 家電プラザ小郡店 - 吉敷郡小郡町[7]、1982年(昭和57年)1月開店[7]、店舗面積496m²[7]。
- 蔵敷店 - 吉敷郡小郡町[7]、1984年(昭和59年)10月開店[7]、店舗面積330m²[7]。
萩市
宇部市
- 宇部中央店 - 宇部市中央町2-1-1[12]、1971年(昭和46年)11月開店[7]、店舗面積6,997m²[7]。
- 流川店 - 宇部市[7]、1982年(昭和57年)4月開店[7]、店舗面積296m²[7]。
- 東岐波店 - 宇部市[7]、1982年(昭和57年)6月開店[7]、店舗面積296m²[7]。
- 清水川店 - 宇部市[7]、1982年(昭和57年)9月開店[7]、店舗面積296m²[7]。
山陽小野田市(旧:小野田市・山陽町)
- 西ノ浜店 - 小野田市赤崎3-73[1]、1981年(昭和56年)8月開店[7]、店舗面積498m²[7]。
- 高砂店 - 小野田市[7]、1982年(昭和57年)7月開店[7]、店舗面積473m²[7]。
- 厚狭駅前店 - 厚狭郡山陽町厚狭千町4[12]、1974年(昭和49年)2月開店[7]、店舗面積1,231m²[7]。
下関市
- 老町店 - 下関市[7]、1982年(昭和57年)7月開店[7]、店舗面積496m²[7]。
- 綾羅木店 - 下関市[7]、1982年(昭和57年)9月開店[7]、店舗面積497m²[7]。
- 角倉店 - 下関市[7]、1983年(昭和58年)11月開店[7]、店舗面積496m²[7]。
岩国市
柳井市
周南市(旧・新南陽市)
下松市
福岡県
北九州市
関連企業
- 株式会社丸久保険サービス
- 株式会社四季彩 - 丸久グループのスーパーマーケット等で惣菜、弁当等の製造、販売を行っている。
- 株式会社中央フード
- 株式会社サンライズ
- 株式会社仁保庵
丸久グループ提供番組
現在
- FM AQUA - 『デイリーサンマート』(月~金9:30頃。長門市内に2店舗を展開する「サンマート」の買得情報)
- FMわっしょい - 『マルキュウ・アルク・サンマートフレッシュニュース』(毎日9:55 - 10:00)
過去
- KRYテレビ
- 『マルキュウ サンデー劇場』(日曜11:00 - 11:30。2011年3月の廃止時点では『ONE PIECE』を放送していた。該当番組は月曜深夜に移行のうえ放送続行)
- 『防府読売マラソン』(1999年まで『マルキュウスポーツスペシャル』として筆頭提供していた)
- KRYラジオ
- 『丸久アワー奥様なんでも大学』(月曜 - 金曜 10:00 - 10:30)
店内ソング
「この街が好き」作詞・作曲 中越和明[13] その他、レッツ09には専用のテーマソングが存在した。 作曲者の中越和明は山口県のスーパーのイメージソング、CMソングを数多く手がけており、ライバル店の大和・丸喜のイメージソングも中越の作曲である。
脚注
注釈
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 流通会社年鑑 2003年版, 日本経済新聞社, (2002-12-20), pp. 392-395
- ↑ 2.0 2.1 浜岡謙治(2005年10月14日). “イズミと丸久、業務・資本提携で合意 物流や商品調達を共同化”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社)
- ↑ “県東部展開の中央フード 丸久が子会社化へ”. 山口新聞. (2014年7月5日) . 2015閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 “丸久、広島県に初出店「アルク廿日市店」オープン”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2008年12月1日)
- ↑ 【0909】マルキュウ・IR情報 経営情報 コーポレート・ガバナンス
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 『山口県企業要覧』
- ↑ 7.00 7.01 7.02 7.03 7.04 7.05 7.06 7.07 7.08 7.09 7.10 7.11 7.12 7.13 7.14 7.15 7.16 7.17 7.18 7.19 7.20 7.21 7.22 7.23 7.24 7.25 7.26 7.27 7.28 7.29 7.30 7.31 7.32 7.33 7.34 7.35 7.36 7.37 7.38 7.39 7.40 7.41 7.42 7.43 7.44 7.45 7.46 7.47 7.48 7.49 7.50 7.51 7.52 7.53 7.54 7.55 7.56 7.57 7.58 7.59 7.60 7.61 7.62 7.63 7.64 7.65 7.66 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「nikkei-commerce-yearbook-1990
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ “ダイエーCVS、山口県のパコールを吸収、今期中ローソンへ切替え”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1992年11月11日)
- ↑ “丸久、ピクロスを子会社化へ 5月1日付で”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2008年3月26日)
- ↑ “丸久、SM子会社2社を吸収合併へ”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2010年4月14日)
- ↑ “丸久、スーパーの中央フードを子会社化 山口東部を強化”. 日本経済新聞. (2014年7月4日) . 2014閲覧.
- ↑ 12.00 12.01 12.02 12.03 12.04 12.05 12.06 12.07 12.08 12.09 12.10 『流通会社年鑑 1978年版』 日本経済新聞社、1977年10月25日。
- ↑ https://www.youtube.com/watch?v=_qmkzB5CZoc
広報資料・プレスリリースなど一次資料
- ↑ アルクの特徴 - 丸久公式サイト内
- ↑ “業務・資本提携に関するお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 株式会社イズミ, (2005年10月11日) . 2011閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 株式会社丸久 平成19年2月期第3四半期財務・業績の概況(連結) (PDF)
- ↑ 株式会社丸久 コーポレート・ガバナンスに関する報告書 (PDF)
- ↑ “連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 株式会社丸久, (2011年10月6日) . 2011閲覧.
- ↑ “株式会社中央フード及び中央商事株式会社の株式の取得(子会社化)に関する基本合意書締結のお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 丸久, (2014年7月4日) . 2014閲覧.
- ↑ “株式会社丸久と株式会社マルミヤストアの経営統合に関する基本合意のお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 株式会社丸久, (2015年1月10日)
- ↑ “株式会社丸久と株式会社マルミヤストアの経営統合契約及び株式交換契約の締結、並びに株式会社丸久の会社分割による持株会社体制への移行、定款の一部変更及び代表取締役の異動に関するお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 株式会社丸久, (2015年3月30日)
- ↑ “(開示事項の経過)株式会社丸久と株式会社マルミヤストアの経営統合における株式会社丸久の商号の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 株式会社丸久, (2015年4月10日)
- ↑ “自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自己株式の取得結果及び取得終了に関するお知らせ” (PDF) (プレスリリース), イズミ, (2015年7月22日) . 2015閲覧.
参考文献
- 財団法人山口県経済研究所 『山口県会社要覧』平成5年版、財団法人山口県経済研究所、1993-06-15。