中予地方
中予地方(ちゅうよちほう)は、愛媛県(旧伊予国)中部地方の総称。
愛媛県を東予地方、中予地方、南予地方と3つに分割した一つで、松山市、伊予市、東温市、上浮穴郡(久万高原町)、伊予郡(砥部町・松前町)にて構成される。明治期には喜多郡(現在の大洲市と内子町)も中予地方に属した。旧小田町(当時は久万高原町と同じ上浮穴郡)は内子町と合併するまでは中予に属していた。内子町と合併するときには既に内子町は南予に属していたため、合併と同時に旧小田町も南予地域になった。
特徴
50万人強という四国最大の人口を持つ松山市が中心で、他に伊予市、東温市などがあるが、いずれも松山市の衛星都市である。ただ、久万高原町は、国道440号三坂峠で地形的に分断されており、厳密には松山都市圏の一部とはいえないものの、通勤・通学などの日常的な人の流れや松山への農産物・木材等の物資の供給地として、広義では都市圏の一部とみなされる。この意味では、おおむね中予地方と松山都市圏は同一とみなしてもよい。
核が一つという点では、複数の核があり、互いに競争しあう東予地方や南予地方とは性格を異にする。
気質
松山は城下町であり、気候温暖で大災害も少ないことから、気質は温和、やんわりとした人当たりで、争いを好まないとされる。ただ、影に回ってうわさに興じたり、何かをしようとする人を冷ややかに見たり(時には足を引っ張る)、仲間内でほめ合い、陰ではほめた人の悪口を言う。あまり皆で協力し合って何かを成し遂げる、という性格ではない。古くから地元で展開しているスーパーフジ を含む地元発祥の小売店の影響力も相まって他からの企業などの参入を好まないというマイナスの面も指摘される。ゆめタウンやイオン(旧ジャスコ松山も現在はイオンとして営業しているが新居浜にあるイオンとは規模が全然違う。)が参入を白紙にしたのも地元発祥の小売店の影響によるところが大きい。そういった部分が松山の繁栄を妨害しているという説もある。
松山城がランドマークである。近年マンション等の建設により自宅から松山城が見えなくなると苦情を申し立てる人が多い。いよてつ高島屋の屋上にある観覧車(くるりん)もランドマークになりつつあるが、くるりんのせいで松山城が自宅から見えなくなり、市役所や高島屋に苦情を申し立てた市民も少なからずいた。松山空港は、おおむね松山市の人口に見合う規模の空港(中四国では最大の利用客数を誇る)であるが、鉄道の玄関口であるJR松山駅は未だに改装されず四国でも指折りの利用客数を誇っているにもかかわらず四国四県の県庁所在地にあるJRの駅の中で一番規模が小さく古い。無論、自動改札機もJR松山駅はまだ設置されずにいる。
松山市街でも、旧市内と呼ばれる地域を格上に見る傾向もある。また、近郊では単に「ご城下」「街」といえば旧松山市内を指す。農村においても、「街に出る」イコール松山市街へ行くであり、厳然たる中心である。
中予でも旧大洲藩領の御替地(旧伊予郡西部)が存在していた伊予市、旧双海町近辺の地域は、松山市や松前町等とはやや異質で、どちらかと言えば南予気質に近い部分を持っている。
産業
松山市を中心とした第三次産業と、松山市を取り巻く近郊、中山間地の農業などの第一次産業が主要産業である。商業などは東予地方、南予地方からの用務を含めた人の流入によって支えられている面がある。
構成自治体
- 中予地方の自治体一覧
自治体名 | 郡名 | 面積(km2) | 人口(人) | 人口密度 (人/km2) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
松山市 | - | 429.40km2 | 510,809人 | 1,190人/km2 | |
伊予市 | - | 194.44km2 | 35,866人 | 184人/km2 | |
東温市 | - | 211.30km2 | 34,326人 | 162人/km2 | |
久万高原町 | 上浮穴郡 | 583.69km2 | 7,821人 | 13.4人/km2 | |
砥部町 | 伊予郡 | 101.59km2 | 20,867人 | 205人/km2 | |
松前町 | 伊予郡 | 20.41km2 | 29,965人 | 1,468人/km2 | |
合計 | 1,540.83km2 | 639,654人 | 415人/km2 |
(データ出典)
※ 愛媛県『愛媛県推計人口及び人口動態』(推計人口、2018年4月1日現在:データ解説参照)。
※ 国土地理院『全国都道府県市区町村別面積調』(データ解説参照)。