三種の神器 (電化製品)
電化製品の三種の神器(さんしゅのじんぎ)とは、戦後日本において、新時代の生活必需品として宣伝された3種類の耐久消費財である。
歴代天皇に伝わる三種の神器になぞらえた呼称は、新しい生活・消費習慣を表すマスコミ主導のキャッチコピーであり、豊かさや憧れの象徴でもある。そのため、「三種の神器」と呼ばれ始めた時点における当該製品群の普及率はそれほど高くない。
1950年代後半
1950年代後半、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が『三種の神器』として喧伝された[1][2](p9)。1956年(昭和31年)の経済白書が「もはや戦後ではない」と明記し戦後復興の終了を宣言した神武景気以降、輸出拡大で日本経済が急成長した時期である。
これら3品目の家電は、努力すれば手が届く夢の商品であり、新しい生活の象徴だった。テレビ本放送開始は1953年(昭和28年)で、それ以前は電気釜(炊飯器)、あるいは掃除機が代わりに入っていたこともある。
これらのうち最も早く普及したのは白黒テレビで、逆に一番遅かったのは冷蔵庫である。当初テレビは非常に高価であったため、街頭テレビやキャラバン隊を通じて宣伝され、電器店の店頭のみならず銭湯や大型飲食店など集客能力の高い店舗から先に導入された。早期にテレビを購入できた裕福な家庭には、プロレス中継など人気番組の放映時には近隣住民が寄り合い、一同鑑賞する光景が当たり前のように見られていたが、総合家電メーカーの市場参入による量産効果で低廉化し、1958年(昭和33年)の東京タワー竣工とミッチー(ご成婚)ブームを境に爆発的に売れ出した。
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白黒テレビ
- Waschvollautomat Constructa 1950er.jpg
洗濯機
- Kühlschrank 1955 110 MF Bosch.JPG
冷蔵庫
高度成長期・3Cの登場
1960年代半ばのいざなぎ景気時代には、カラーテレビ (Color television)・クーラー (Cooler)・自動車 (Car) の3種類の耐久消費財が新・三種の神器として喧伝された。これら3種類の耐久消費財の頭文字が総てCであることから、3Cとも呼ばれた[2](p10)。中でも普及が早かったのは1964年(昭和39年)の東京オリンピックを境に売れ出したカラーテレビで、一番遅かったのはクーラーである。さらに、1968年(昭和43年)には、電子レンジ(Cooker)、別荘(Cottage)、セントラルヒーティング(Central heating)が新3Cと呼ばれるようになった[3]。
- Early portable tv.jpg
カラーテレビ
- Air Condition Unit Interior View USA.jpg
クーラー
- 1968 Toyota Corolla 1100 Deluxe.jpg
自動車
冷戦後
1990年代以後、すなわち冷戦後になると、様々な新三種の神器が三度マスコミ主導で提案されているが、浸透には到っていない。
デジタル三種の神器
2003年(平成15年)頃から2010年(平成22年)頃にかけて急速に普及したデジタル家電のデジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型テレビはデジタル三種の神器と呼ばれた[2](p18)。
- Canon Digital Ixus 50 front.png
デジタルカメラ
- Sony RDZ-D700.jpg
DVDレコーダー
- Sony KDL-S19A10.jpg
薄型テレビ
キッチン三種の神器
2004年(平成16年)4月13日に松下電器産業(現・パナソニック)が、白物家電の食器洗い乾燥機、IHクッキングヒーター、生ゴミ処理機をキッチン三種の神器と提唱した[4]
脚注
- ↑ テンプレート:Cite speech
- ↑ 2.0 2.1 2.2 立澤芳男 (2009-12-25) (PDF). 立澤芳男の生活・社会総括レポート21 第8回 ヒット商品の変遷 (Report). 財団法人ハイライフ研究所 . 2018閲覧..
- ↑ “あの日あの時 第22回 昭和43年(1968年)”. 日曜懐メロ大全集. JRT 四国放送 (2005年4月25日). . 2018閲覧.
- ↑ “松下、売り上げ確保に「キッチン三種の神器」を提案”. nikkei BPnet (2004年4月13日). 2013年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2016-1-22閲覧.