三界
提供: miniwiki
三界（さんがい、梵: tri-dhātu）とは、仏教における欲界・色界・無色界の三つの世界のことであり、衆生が生死を繰り返しながら輪廻する世界をその三つに分けたもの[1]。三有（さんう）ともいう[1]。仏陀はこの三界での輪廻から解脱している。
三つの世界
- 欲界（よくかい、よっかい、梵: kāma‐dhātu） - 淫欲と食欲がある衆生が住む世界[1][2][注釈 1]。無色界および色界の下に位置する[2]。八大地獄から六欲天までの領域であり、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の6種の世界が欲界に含まれる[1]。六道はここに位置する[1]。
- 色界（しきかい、梵: rūpa-dhātu） - 淫欲と食欲の2つの欲を離れた衆生が住む世界[1][注釈 2]。色天や色界天ともいう[3]。欲界の上、無色界の下に位置する[3]。色とは物質のことであり、色界とは物質的な世界という意味[1]。色界には、清らかで純粋な物質だけがあるとされる[1]。欲や煩悩は無いが、物質や肉体の束縛からは脱却していない世界である[3]。四禅を修めた者が死後に生まれる世界[3]。色界は四禅天に大別され[1][3]、またそれを細かく17天に分ける[3]。
- 無色界（むしきかい、梵: ārūpa-dhātu） - 物質的なものから完全に離れた衆生が住む世界[1][4]。欲界および色界の上に位置する[1][4]。物質が全く存在せず[1]、心の働きである受・想・行・識の四蘊だけからなる世界[4]。無色界は四天に分けられ、その最高処を有頂天（非想非非想天、非想非非想処）という[1][4]。
全体の構造
経典によって説は異なるが、大乗仏教初期の代表的な分類を以下に示す。ここでは阿修羅はまだ天竜八部衆に属し、人と畜生の間には置かれていない。
用法
『法華経』譬喩品に「三界は安きことなく、なお、火宅のごとし」というのは、迷いと苦しみのこの世界を、燃えさかる家にたとえたもの。
「三界に家なし」とは、この世界が安住の地でないことを意味し、後には女性の不安定な地位を表す諺になった。