三個の平方数の和

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この記事は「平方数」、「三角数」、「多角数定理」などの補遺に当たる。ここに示す事実は古くから知られている[1]ものであるが呼びかたが定まっていない。日本語では「三平方和定理」などと呼ばれることもあるが、ピタゴラスの定理とは全く別のものである。


自然数[math]N[/math]が三個の平方数の和で表されるための必要十分条件は、[math]n\ge0,k\ge0,a\in\{1,2,3,5,6\}[/math]により、[math]N=4^n(8k+a)[/math]と表されることである。逆に、[math]N=4^n(8k+7)[/math]で表される自然数は三個の平方数の和で表されない。これはディオファントスの時代から研究されてきた[1]ことであるが、1798年、ルジャンドルによって証明された。

証明

十分条件の証明は初等的に行うことは可能であるが、二次形式に関する議論を必要とし、複雑である[2]。必要条件の証明は次に記すとおり、容易である。

必要条件

[math]N\equiv7\;(\operatorname{mod}\;8)[/math]が三個の平方数の和で表されないことは、[math]x^2\equiv{s\in\{0,1,4\}\;(\operatorname{mod}\;8)}[/math]から明らかである。仮りに

[math]N=4^n(8k+7)=x^2+y^2+z^2[/math]

と表されるとすれば、[math]x,y,z[/math]は全て偶数であるから

[math]\begin{align} &4^n(8k+7)=(2x')^2+(2y')^2+(2z')^2\\ &4^{n-1}(8k+7)=x'^2+y'^2+z'^2\\ \end{align}[/math]

となり、数学的帰納法により、[math]N=4^n(8k+7)[/math]は三個の平方数の和で表されない。


三個の三角数の和

[math]8N+3[/math]の形の自然数は高々三個の平方数の和で表されるから

[math]8N+3=(2x+1)^2+(2y+1)^2+(2z+1)^2[/math]
[math]N=\frac{x(x+1)}{2}+\frac{y(y+1)}{2}+\frac{z(z+1)}{2}[/math]

となる整数[math]x,y,z[/math]が存在する。故に全ての自然数は高々三個の三角数の和で表される。

四個の平方数の和

全ての自然数は[math]n\ge0,k\ge0,a\in\{1,2,3,5,6,7\}[/math]として[math]4^k(8n+a)[/math]で表される。その中で[math]a\ne7[/math]のものは高々三個の平方数の和で表され、[math]a=7[/math]のものは[math]4^k(8n+6)+(2^k)^2[/math]として高々四個の平方数の和で表される。従って、全ての自然数は高々四個の平方数の和で表される。なお、四個の平方数の和については初等的な証明(→多角数定理)が知られている。

出典

  1. 1.0 1.1 Wolfram MathWorld: Sum of Squares Function
  2. 初等的な証明は例えば Melvyn B. Nathanson, Additive number theory : the classical bases, GTM 164, Springer-Verlag, New York, Tokyo, 1996. の第1章に掲載されている。