ロック (音楽)
音楽ジャンルとしてのロック、もしくはロック・ミュージック、ロック音楽(ロックおんがく、英語: rock music)は、1950年代にアメリカ合衆国におけるロックンロールを起源とし、1960年代以降、特にイギリスやアメリカ合衆国で、幅広く多様な様式へと展開したポピュラー音楽のジャンルである[1][2][3]。
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ロックの特徴
ロックのサウンドは、伝統的にエレクトリックギターが中心となるが、現代的な形態のエレクトリックギターは1950年代にロックンロールの人気とともに登場したものであった[4]。ロックにおけるエレクトリックギターのサウンドは、典型的な場合、同時期にジャズにいち早く導入されたエレクトリックベース[5]と、ドラムとシンバルを組み合わせたドラムセットによるパーカッションによって支えられる[6]。この3つの楽器によるトリオに加えて、他の楽器が追加されることも多く、特にピアノ、ハモンドオルガン、シンセサイザーといったキーボード類が加えられることがよくある[7]。ロック音楽を演奏するミュージシャンのグループは、「ロックバンド」「ロックグループ」と呼ばれることが多く、典型的には2人から5人のメンバーから構成される。ロックバンドの古典的な形は、ボーカル、リードギター、リズムギター、ベース、ドラムス、また時にはキーボードその他の楽器から、ひとつ以上の役割を引き受けるメンバー4人によって編成される[8]。
ブリティッシュ・インヴェイジョンとフォーク・ロック
1960年代後半の時期は、ロックの「黄金時代 (golden age)[1]」「ルネッサンス」、後にクラシック・ロック(classic rock)[2]」とも呼ばれた。
1964年、ビートルズはロックンロールが誕生した国、アメリカへの上陸を果たし、全米チャートでヒットを連発することになった。ビートルズ以外にも、エリック・バードン率いるアニマルズやローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクス、アニマルズ、ゾンビーズ、デイヴ・クラーク5といったイギリスのロック・バンドなどがこの時期にアメリカでヒットを出したことから、これはブリティッシュ・インヴェイジョン [11](British Invasion: イギリスの侵略)と呼ばれる。アメリカでもブリティッシュ・インヴェイジョンの影響を受けて、後にガレージロックと呼ばれるグループが次々と登場し、一部のバンドは成功を収めた。
また、時を同じくしてブリティッシュ・インヴェイジョンの影響を受けたフォーク・グループも次々と登場した。これらのグループの多くは元々はフォークを演奏していた若者たちによって結成されたものであり、彼らの音楽性もフォークからの影響を受けたものであったため、この動きはフォーク・ロック[12]と呼ばれた。フォーク・ロックの代表的アーティストには、ボブ・ディラン、バーズ、タートルズ、ママス&パパス、ボー・ブラメルズ、グラスルーツ、バッファロー・スプリングフィールドなどがいた。
ハードロックとグラム・ロック
1960年代末にレッド・ツェッペリン、クリームなどが登場し、ブルースをよりロック的に演奏することに重点を置くようになった。エレクトリックギターのエフェクター類の発展や、大音量の出せるPA等も、これらの新しいサウンドを支えた。そしてビートルズ(曲「ヘルタースケルター」)、ジミ・ヘンドリクス、クリーム、キンクスなどをルーツしたハードロック[14]が登場した。ディープ・パープル、レッド・ツェッペリンは1970年代前半に商業的成功を収めたハード・ロックとなった。グランド・ファンク・レイルロード、ブラック・サバス、マウンテン、ユーライア・ヒープらが後に続き、70年代にはその影響を受けたクイーン、キッス、エアロスミスがデビューした。70年代前半には、派手なメイクのTレックス、デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージック、モット・ザ・フープルやアリス・クーパーらのグラム・ロック[15]も人気を博した。
プログレッシヴ・ロック
1960年代末には実験的サウンドへの志向が強まり、長尺の曲や、難解な歌詞、楽器の演奏技術を極限まで極める傾向も出てきた。この傾向はヨーロッパ、特にイギリスにおいて強かった。シンセサイザーやメロトロンなど最新の楽器を使用し、クラシックを背景に高度な技術を駆使したロックはプログレッシブ・ロック[16]と呼ばれた。代表的なバンドにはピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ジェネシス、ムーディー・ブルースなどがいた。
パンク/ニューウェイヴ
1970年代前半のプログレッシブ・ロックやハードロックが隆盛だったが、75年以降は産業ロックがチャートに目立つようになってきた。それに対して「ロックは死んだ」と宣言しストレートでシンプルなロックに回帰したのが、1970年代後半に生まれたパンク・ロック[18]だった。
1973年デビューのニューヨーク・ドールズや、1970年代半ばに登場したパティ・スミス、ラモーンズ、ディクテイターズなどにより1975年ごろ誕生したといわれるパンク・ロック(いわゆるニューヨーク・パンク)は、ラモーンズのロンドン公演などを機にロンドンでも存在が知られるようになる。
1976年末にはダムドが活動をはじめ、翌年にはセックス・ピストルズが結成され、ジャム、ザ・クラッシュ、ストラングラーズらが続きロンドン・パンクが興隆、社会現象となった。当時のロンドン・パンクは、1960年代のシンプルなロックンロールの原点に戻った。パンクは、テクニックを気にしないアグレッシヴな演奏、右翼からの襲撃対象となる程、権力や体制に反抗的で過激なロックだった。パンクが短期間で終息した後は、スティッフ、2トーンらのインディー・レーベルによるニュー・ウェイヴが登場した。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 P. Scaruffi, A History of Rock Music: 1951–2000 (iUniverse, 2003), ISBN 0-595-29565-7
- ↑ 2.0 2.1 W. E. Studwell and D. F. Lonergan, The Classic Rock and Roll Reader: Rock Music from its Beginnings to the mid-1970s (Abingdon: Routledge, 1999), ISBN 0-7890-0151-9
- ↑ テンプレート:Allmusic
- ↑ J. M. Curtis, Rock Eras: Interpretations of Music and Society, 1954-1984 (Madison, WI: Popular Press, 1987), ISBN 0-87972-369-6, pp. 68-73.
- ↑ R. C. Brewer, "Bass Guitar" in J. Shepherd, ed., Continuum Encyclopedia of Popular Music of the World: Volume II: Performance and Production (New York, NY: Continuum, 2003), ISBN 0-8264-6322-3, p. 56.
- ↑ R. Mattingly, "Drum Set", in J. Shepherd, ed., Continuum Encyclopedia of Popular Music of the World: Volume II: Performance and Production (New York, NY: Continuum, 2003), ISBN 0-8264-6322-3, p. 361.
- ↑ P. Théberge, Any Sound you can Imagine: Making Music/Consuming Technology (Middletown, CT, Wesleyan University Press, 1997), ISBN 0-8195-6309-9, pp. 69-70.
- ↑ D. Laing, "Quartet", in J. Shepherd, ed., Continuum Encyclopedia of Popular Music of the World: Volume II: Performance and Production (New York, NY: Continuum, 2003), ISBN 0-8264-6322-3, p. 56.
- ↑ エルヴィス・プレスリーCDJournal
- ↑ ザ・ビートルズCDJournal
- ↑ http://www.rollingstone.com/.../the-british-invasion-from-the-...
- ↑ http://www.allmusic.com/subgenre/folk-rock-ma0000002593
- ↑ レッド・ツェッペリンCDJournal
- ↑ http://www.allmusic.com/subgenre/hard-rock-ma0000002636
- ↑ http://www.theguardian.com/.../20-best-glam-rock-songs-all-t...
- ↑ http://www.progarchives.com/Progressive-rock.asp
- ↑ セックス・ピストルズCDJournal
- ↑ http://www.allmusic.com/style/punk-ma0000002806
- ↑ ニルヴァーナCDJournal