レーオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホ

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騎士レーオポルト・フォン・ザッハー=マーゾッホドイツ語: Leopold Ritter von Sacher Masoch, 1836年1月27日 - 1895年3月9日 フランクフルト・アム・マイン近郊リントハイム Lindheim)は、オーストリア小説家貴族。レンベルク(現ウクライナリヴィウ)生。ガリツィアをテーマにした物語が多い。「ザッヘル・マゾッホ」とも書かれる。ただしウィーンの発音では、母音の前のsを有声化しないため、「サッハー・マーソッホ」になる。

初期は故郷を題材にした歴史小説を書いていた。『毛皮を着たヴィーナス』など、作品の一部に特徴付けられる精神的あるいは肉体的な苦痛に快楽を感じる倒錯は、精神科医クラフト=エビングによって、1886年に著書「性の心理学」でマゾヒズムと名づけられた(当時、マゾッホは存命中であった)。哲学者ジル・ドゥルーズによる『サドとマゾッホ』という著作もある。これは、精神分析において二項対立的に語られたサディズムマゾヒズムが、実は対立しない別ものである事を主張するものだった。

『毛皮を着たヴィーナス』はマッシモ・ダラマーノ監督によって1968年に映画化されている(『毛皮のヴィーナス』。主演、ラウラ・アントネッリレジス・ヴァレ)。

ファイル:Leopold von Sacher-Masoch with Fannie.jpg
毛皮を着たファニーにひざまずくマゾッホ

マゾッホ本人も情婦ファニー・ピストールと「夫人の奴隷となり、その願望と命令をすべて実現する」旨の誓約書を交わし、隷従した。この時に毛皮を着たファニーに対してマゾッホがひざまずく写真が残されている。また、アウローラ・リューメリンというお針子の若い女性と結婚し、彼女に『毛皮を着たビーナス』の登場人物と同じ名前である「ワンダ」を名乗らせた上に貴婦人に仕立て上げ、ファニーの時と同様の誓約書を交わし隷従していた。しかし10年ほどで2人の関係は破綻し、「ワンダ」は青年ジャーナリストとパリへ去り、作品と同様の結果となっている。

日本語訳

  • 毛皮を着たヴィーナス (種村季弘訳、河出文庫、新装版2004)
  • 魂を漁る女 (藤川芳朗訳、同学社、1998/中公文庫、2005) 
  • 聖母 (藤川芳朗訳、中央公論新社、2005)
  • 残酷な女たち (池田信雄飯吉光夫訳、河出文庫、2004)
  • ユダヤ人の生活 マゾッホ短編小説集 (中沢英雄訳、柏書房、1994)

外部リンク