レンコン
レンコン(蓮根、英: Lotus root)とは、ハスの地下茎が肥大した物で、食用に栽培される。原産地は中国もしくはインド。はすね、蓮茎、藕などとも書き、主に沼沢地や蓮田などで栽培される。
内部に空洞があり、いくつかの節に分かれているが、節の長さは品種によって異なる。輪切りにすると穴が多数空いていることから「先を見通す」ことに通じ縁起が良いとされ、正月のおせち料理にも用いられる。また、レンコンを折ったときに見られる糸状の物質は、導管内壁のラセン糸が引き伸ばされて出てきたもの。
旬は10月から3月までで、「蓮根(はすね)掘る」は冬の季語である。
数え方は「1本、2本…」である。助数詞も参照のこと。
原産地
諸説があり現在のところ不明だが、2,000年以上前の縄文時代に既にあったとする説もある→大賀ハス。
レンコンに関する記述が『常陸国風土記』(718年)、『延喜式』(927年)に記されている。『常陸国風土記』には、「神世に天より流れ来し水沼なり、生ふる所の蓮根、味いとことにして、甘美きこと、他所に絶れたり、病有る者、この蓮を食へば早く差えて験あり」とある。
日本では奈良時代にレンコンの栽培が始まったものの当時の在来種は収穫量が少なく、本格的に栽培されるようになったのは新たに中国種を導入した明治初期以降のことである。
そのため、世界的にもレンコンを食用とするのは日本と中国(南部)だけとされるが、実態は不明である。現代朝鮮料理にもレンコンを用いた物があるが、伝統的な物かは不明である。
産地
日本では、作付面積、出荷量ともに茨城県が全国トップで(平成20年)、特に土浦市、かすみがうら市(旧霞ヶ浦町←旧出島村)、小美玉市(旧玉里村)、稲敷市(旧桜川村)で盛んである。
出荷量では土浦市が1位、徳島県鳴門市が2位、愛知県愛西市が3位、山口県岩国市が4位と続く。なお、通常のレンコンの穴の数は8つだが、岩国市で栽培されるレンコンは穴の数は9つであるという(もちろん自然物なのでどちらにも例外はある)。 泥のついたままの状態で出荷・販売されるが、これは光や空気からレンコンを守り、日持ちさせるためである。
おもに水煮状態のものが中国から大量に輸入されている。安価で販売されているレンコンはほとんどが中国産である。
栄養価
可食部(生からの廃棄率は20%)の約80%が水分で、残りは炭水化物が約17%、たんぱく質が約2%、灰分が約1%、繊維が約5%等。可食部100gの熱量は74kcal。カリウム、ビタミンC等の水溶性ビタミン類を含有する。脂質並びに脂溶性ビタミン類は殆んど含有しない。
調理法
下準備として、皮を剥き、大抵の場合は水や酢水に入れて黒くならないように色止めを行う。特に変色を防ぎたいとき(サラダなど)には酢水の方が適しているとされる。色止めをしたものはシャキシャキとした歯ごたえになるが、しなかったものはモチモチとした食感になる。下準備の済んだものは、輪切りなど適当な大きさに切り分けられ、冷凍または水につけられた状態で販売されている。
特徴的なもの
- 煮物
- 厚めの輪切りにして煮付ける。滑らかな舌触りとシャッキリとした食感を楽しめる。昆布・干し椎茸など、乾物との相性が良い。
- 酢レンコン
- 薄く輪切りにして軽く茹でて甘酢に漬ける。ちらし寿司のネタにも使用される。
- すり流し
- すりおろして汁物に流し入れてふわりとしたかたまりに仕上げるほか、すりおろしたものを整形して調理する。
- 砂糖漬け
- 輪切りにした蓮根を砂糖に漬けたもの。茹でてから漬ける、揚げてから漬けるなど地域によってレシピに差異がある。
- 桜蓮根(花ちらし蓮根)
- 蓮根を漬け込んで紅色に色付けした後に輪切りにしたもの。
- 蓮根羹(はすねかん)
- おろしたレンコンを寒天で固めた羊羹のような生菓子。
その他
レンコンの成分に脂質がほとんど無いので、油を使用した調理法と相性が良い。
- 金平
- 天ぷら
- 辛子蓮根 - 熊本県の郷土料理。
- レンコンチップス - ポテトチップスのように薄切りにして揚げる。塩・胡椒を振ることもある。オヤツや酒のつまみや付け合せやアクセントに。
- レンコンの揚げ団子 - すりおろしたレンコンを丸めて揚げる。
- レンコンの蒲焼 - すりおろしたレンコンを海苔に塗って揚げて甘辛い醤油タレに絡める。
- レンコンハンバーグ - すりおろしたレンコンを平たくまとめて焼く。
- レンコンサラダ - 薄く輪切りにしたレンコンを茹でて(他の野菜とともに)ドレッシングで和える。レンコンチップスのサラダもある。
脚注
関連項目
外部リンク
- ニコニコ動画 ハウス栽培のレンコン収穫(佐賀新聞社提供、佐賀県白石町のレンコン収穫)