レクサス・NX
NX(エヌエックス、Lexus NX )は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」が販売するクロスオーバーSUVである。
概要
「NX」は、「Premium Urban Sports Gear」をコンセプトに、都会を機敏に駆け抜ける高い走行性能と、SUVらしい力強さを兼ね備えた「レクサス初のコンパクトクロスオーバーSUV」として開発が行われた[1]。
ラインアップは、レクサス初となるターボエンジン搭載モデル「NX200t」(2017年9月より「NX300」に改称)、ハイブリッドシステムを搭載する「NX300h」の2タイプ。
「NX200t」には、新開発の直列4気筒2.0Lターボエンジン「8AR-FTS」型を搭載。ツインスクロールターボチャージャーと可変角を拡大したDual VVT-iW[注 1]を組み合わせるとともに、最適な燃焼効率を実現するD-4ST[注 2]を採用。また、トランスミッションはターボエンジンに合わせて6速AT(6 Super ECT)を新開発。マニュアル感覚のシフトチェンジを可能にするシーケンシャルシフトマチックやパドルシフト、コーナリングでの変速制御を最適化する「G AI-SHIFT制御」を採用した[2]。
「NX300h」にはアトキンソンサイクルを採用した直列4気筒2.5Lエンジン「2AR-FXE」型に、高トルクモーターを内蔵したハイブリッドトランスミッションを組み合わせ、JC08モード走行燃費で21.0km/l(「標準仕様」と「I Package」の2WD車。「F SPORT」と「version L」の2WD車、およびAWD車は19.8km/l)を実現した。
LEXUSスポーツの走りを継承するスポーティバージョン「F SPORT」は、NAVI・AI-AVS[注 3]やパフォーマンスダンパーを標準装備し、乗り心地や操縦安定性を向上。さらに、足回りに専用のチューニングを施している。
AWDはタイプによって機構が異なる。「NX200t」のAWD車には「ダイナミックトルクコントロールAWD」を採用。走行状態に応じて前後輪のトルク配分を100:0から50:50まで自動的にコントロールすることで、旋回時にはステアリング操舵量からドライバーが意図するターゲットラインを予測して最適なトルク配分を行い、機敏で安定したコーナリングを実現する。また、通常走行時には前輪駆動状態で走行し、燃費向上に貢献する[3]。
一方、「NX300h」のAWD車には、「E-Four(電気式AWDシステム)」を採用。フロントモーターに加え、独立したリヤモーターを追加し後輪を駆動するシステムであり、滑りやすい路面(雪路、氷路)での発進性や走行安定性をアシスト。コーナリング時には車両の走行状態に合わせ前後トルク配分を最適化し、操縦安定性を高めている[4]。
安全装備では、「プリクラッシュセーフティシステム」 (ミリ波レーダー方式)、「レーンディパーチャーアラート」[LDA](ステアリング制御機能付)、「ブラインドスポットモニター」 [BSM]を全車にメーカーオプションで設定[5]。また、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)はアイドリングストップとの連携機能をレクサスでは初採用(全車にメーカーオプション)。さらに、同じくレクサスでは初採用となるパノラミックビューモニター(左右確認サポート付)(全車にメーカーオプション)、LEDコーナリングランプ(全車に標準装備)を設定している。 また、2017年9月に実施したマイナーチェンジでは、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」を全車に標準装備とし安全性能の強化を図っている。
その他、タッチパッドを用いた新型「リモートタッチ」(全車に標準装備)、ワイヤレス充電機能の「おくだけ充電」(全車にメーカーオプション)、カラーヘッドアップディスプレイ(全車にメーカーオプション)等の利便性を高める機能・装備を用意した。
年表
- 2013年9月4日
- 第65回フランクフルトモーターショーに、コンパクトクロスオーバーSUVのコンセプトカー「LEXUS LF-NX」を出展すると発表。後に登場する「NX」を示唆するデザイン要素を採用している[6]。
- 2014年4月20日
- 第13回北京モーターショーにおいて、新型コンパクトクロスオーバーSUV「NX」を発表。合わせて、発売は2014年後半を予定、と発表した[7]。
- 2014年7月29日
- 「レクサスNX」を発売[8]。
- ラインアップは、直列4気筒2.0Lターボエンジンを搭載する「NX200t」、直列4気筒2.5Lハイブリッドシステムを搭載する「NX300h」の2モデル。全グレードが2WDとAWDを選択可能。各モデル共に、「標準仕様」・「I Package」・「F SPORT」・「version L」の4種の仕様が用意される。
- 「F SPORT」は、NAVI・AI-AVSやパフォーマンスダンパーを標準装備し、乗り心地や操縦安定性を向上。さらに、足回りに専用のチューニングを施している。また、専用デザインのスピンドルグリル(メッシュタイプ/フロントロアバンパーモール(金属調塗装)や専用アルミホイール、ブラック塗装ドアミラー、スポーツシート、メーター等、内外装に「F SPORT」専用の意匠を施している。
- ボディカラーは全10色。全グレード共通色として、「ソニッククォーツ〈085〉」、「プラチナムシルバーメタリック〈1J4〉」、「「ソニックチタニウム〈1J7〉」、「マーキュリーグレーマイカ〈1H9〉」、「ブラック〈212〉」、「スターライトブラックガラスフレーク〈217〉」、「レッドマイカクリスタルシャイン〈3R1〉」、「エクシードブルーメタリック〈8U1〉」の8色。「F SPORT」以外の仕様には、更に「ファイアーアゲートマイカメタリック〈4V3〉」、「メテオブルーマイカメタリック〈8W3〉」の2色が選択できる。
- インテリアカラーは、「標準仕様」(シートマテリアル:ファブリック)に「プラチナム」、「ブラック」、「ガーネット」の3色を設定。「I Package」(シートマテリアル:L tex)は、「ブラック」、「ガーネット」に加え、「ホワイトオーカー」、専用設定の「トパーズブラウン」の4色。「version L」(シートマテリアル:本革)は、「ホワイトオーカー」、「ブラック」、「ガーネット」に、専用色「サドルタン」の4色を設定する。また、「F SPORT」には、専用設定の「ブラック(ホワイトグレーパーフォレーション)」、「ブラック&ダークローズ」、「ダークローズ」の3色から選択できる[9]。
- 2015年5月29日
- 仕様変更[10]。(公式発表なし)
- ボディカラーの設定を変更。「スターライトブラックガラスフレーク〈217〉」は「グラファイトブラックガラスフレーク〈223〉」(全車に設定)に、「ファイアーアゲートマイカメタリック〈4V3〉」は、「アンバークリスタルシャイン〈4X2〉」(「F SPORT」以外に設定)に、「メテオブルーマイカメタリック〈8W3〉」は「スパークリングメテオメタリック〈8X9〉」(全車に設定)にそれぞれ変更。新設定の3色は、いずれも新規開発色である。また「F SPORT」には、専用色として「ホワイトノーヴァガラスフレーク〈083〉」を追加設定した。
- 2016年8月25日
- 一部改良[11]。
- ボディカラーは「エクシードブルーメタリック〈8U1〉」を廃止し、「F SPORT」専用色として「ラヴァオレンジクリスタルシャイン〈4W7〉」と「ヒートブルーコントラストレイヤリング〈8X1〉(メーカーオプション)」を追加し、全12色とした。
- インテリアカラーは「F SPORT専用ブラック」を変更。新たに追加したボディカラーに連動した色のステッチ(「ラヴァオレンジクリスタルシャイン」選択時はオレンジ、「ヒートブルーコントラストレイヤリング」選択時はブルー)を施した。さらに、全車において、G-Linkサービスの「LEXUS Apps」や「マップオンデマンド」などで高速データ通信が利用できるLTE通信に対応した。
- 「NX200t」の2WD車は、JC08モード走行燃料消費率が0.2km/l向上し、13.0km/lとなった[12]。
- 2016年11月24日
- 特別仕様車「Urban Style」を発売[13]。
- 「NX200t」と「NX300h」の各「I package」をベースに、ブラック塗装のスピンドルグリル&フレーム、ドアミラー、アルミホイールを採用したほか、フェンダーアーチモールをボディカラーと同色に変更。さらに、メッキドアサイドモールも装備した。
- ボディカラーは、「ソニッククォーツ〈085〉」、「「ソニックチタニウム〈1J7〉」、「ブラック〈212〉」、「レッドマイカクリスタルシャイン〈3R1〉」、「スパークリングメテオメタリック〈8X9〉」全5色をラインナップ。インテリアカラーは、ホワイトオーカー、ガーネット、ブラックの全3色が用意された。
- 2017年4月19日
- 第14回上海モーターショーでマイナーチェンジを実施した新型「NX」を発表。合わせて、日本での発売は2017年秋頃を予定と発表された[14]。
- 2017年9月14日
- マイナーチェンジ[15]。
- エクステリアは、フロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプ、リヤコンビネーションランプのデザインを変更。スピンドルグリルはLX、RXとの共通性をもつレイヤー状デザインとしたほか、三眼式のLEDヘッドランプは、超小型LEDランプユニットを採用。また、流れるように点灯するLEDシーケンシャルターンシグナルランプを新採用した。18インチアルミホイールもデザインを変更、新たに電着塗装によるブロンズカラーのホイールを設定した(「version L」にメーカーオプション)。「F SPORT」のエクステリアは、グリルメッシュとグリルサイドのガーニッシュを新しいFメッシュパターンで統一したほか、新意匠のアルミホイールを採用した。なお、バンパーデザインの変更に伴い、全長は10mm延長され4,640mmとなった[16]。パワーバックドアは全車標準装備としたほか、両手がふさがっている状態でもリヤバンパーの下に足を出し入れすることで開閉が可能な「ハンズフリーパワーバックドア」を新設定。「F SPORT」と「version L」に標準装備とした。ボディカラーの設定には変更が無く、全12色を用意する。
- インテリアは、カラーヘッドアップディスプレイ(全車にメーカーオプション)と一体化したメーターフードや、シンプルかつ機能的なスイッチ配置としたセンタークラスターを採用。また、ナビディスプレイを10.3インチに拡大し、タッチパッドを大型化した新型リモートタッチを採用した。
- インテリアカラーは、「I Package」専用の「トパーズブラウン」および「version L」専用の「サドルタン」に替わり「オーカー」を新採用。また、「I Package」、「version L」に設定の「ホワイトオーカー」に替わり、「リッチクリーム」を、「F SPORT」以外に設定の「ガーネット」に替わり、「ダークローズ」を新設定した。また、「標準仕様」は専用色の「プラチナム」が廃止された[17]。
- 「F SPORT」のインテリアカラーは、専用色として「ホワイト」と「フレアレッド」を新設定し、継続設定の「ブラック」と合わせ計3色の設定とした。また、本アルミ(名栗調仕上げ/シルバー)のオーナメントパネルをメーカーオプションで用意した。
- 走行性能においては、サスペンションのチューニングで車体のロール特性や操舵に対する応答性を向上させたほか、アブソーバーを変更。また、AVS(「F SPORT」に標準装備。「version L」にメーカーオプション)を改良し、きめ細かい減衰力の制御により、操縦安定性と乗り心地の向上を図っている。ドライブモードセレクトにはCustomモード(「FとSPORT」に標準装備。「version L」にメーカーオプション)を新設定し、パワートレーン、シャシー、空調の各制御の組み合わせを自由に選択可能とした。
- 安全装備では、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」を全車に標準装備。プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ)、レーンディパーチャーアラート[LDA](ステアリング制御機能付)、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、アダプティブハイビームシステム[AHS](「I package」・「version L」に標準装備、「F SPORT」にメーカーオプション)、オートマチックハイビーム[AHB](「標準仕様」、「F SPORT」に標準装備)をパッケージ化し、安全運転支援の強化を図った。また、パーキングサポートブレーキ (静止物)[PKSB]を全車にメーカーオプション設定とした。
- 2.0Lターボエンジン搭載車は、名称を「NX200t」から「NX300」に変更した。
- 2018年8月23日
- 一部改良、および特別仕様車「Black Sequence」を設定[18]。
- 「Black Sequence」は、2018年3月末時点においてレクサスブランドの日本国内累計販売台数が50万台を達成したことを記念した特別仕様車で、全グレードの「I Package」をベースとしている。
- エクステリアでは、スピンドルグリル&フレームとオート電動格納式ドアミラーをブラック塗装に変更[注 4]したほか、フェンダーアーチモールをボディカラー同色とした。また、ベースモデルではメーカーオプション設定となる225/60R18 100Hタイヤ&18インチアルミホイール(ダークメタリック塗装+切削光輝)を特別装備。さらに、メーカーオプションとして「ブロンズ・カラード切削光輝」アルミホイールを用意した。
- ボディカラーは、「ソニッククォーツ〈085〉」、「ソニックチタニウム〈1J7〉」、「グラファイトブラックガラスフレーク〈223〉」の3色を設定。また、専用インテリアカラーとして「アクセントホワイト」を採用した。
- その他の特別装備として、「LEXUS」ロゴが投影されるドアミラー足元照明やパーキングサポートブレーキ (静止物)[PKSB]を標準装備とした。
- 同時に、既存モデルに対し一部改良を実施。ITS専用周波数(760MHz)による路車間・車車間通信を活用した安全運転支援システム「ITS Connect」を新設定(全グレードにメーカーオプション)。また、G-Linkの機能のひとつとなる「ヘルプネット」は、新たに「D-Call Net」に対応。事故や急病時に、車両データをもとに重症度を指定してドクターヘリなどの早期出動判断を行う機能で、緊急時の対応力を高めている。合わせて、セキュリティ機能の強化も行われた。
- 2019年4月18日
- 一部改良が発表された(5月6日発売)[19]。
- 予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」の機能強化が図られ、プリクラッシュセーフティは単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により昼間の自転車運転者や夜間の歩行者の検知が可能となり、自動車専用道路等でレーダークルーズコントロール使用時に同一車線内中央を走行できるように操舵支援を行う「レーントレーシングアシスト(LTA)」、カメラが主要な道路標識を読み取りメーターとヘッドアップディスプレイ内に表示する「ロードサインアシスト(RSA)」、先行車の発進をメーターとヘッドアップディスプレイ内での表示とブザーで知らせる「先行車発進告知機能(TMN)」の3点が追加された。
- 併せて、コーナリング中にアクセルを踏み込む際に発生しやすいアンダーステアを抑制する「アクティブコーナリングアシスト(ACA)」を全車に標準装備された。
- ボディカラーには「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」がオプション設定されたほか、内装色には「F SPORT」にブラック&アクセントマスタードイエローが新設定された。
車名の由来
車名の「NX」は「N nimble(素早い、爽快な) X Crossover」に由来。「200」は排気量、「300」は3.0Lガソリンエンジン並の動力性能を有することを、「t」はターボモデル、「h」はハイブリッドモデルであることを表す。
脚注
注釈
出典
- ↑ “LEXUS、コンパクトクロスオーバーSUV「NX」を新発売” (プレスリリース), LEXUS, (2014年7月29日)
- ↑ “LEXUS、コンパクトクロスオーバーSUV「NX」を新発売” (プレスリリース), LEXUS, (2014年7月29日)
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2014年7月発行。LE0846-1407
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2014年7月発行。LE0846-1407
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2014年7月発行。LE0846-1407
- ↑ “LEXUS、フランクフルトモーターショーに「LEXUS LF-NX」を出展” (プレスリリース), LEXUS, (2013年9月4日)
- ↑ “LEXUS、コンパクトクロスオーバーSUV「NX」をワールドプレミア” (プレスリリース), LEXUS, (2014年4月20日)
- ↑ “LEXUS、コンパクトクロスオーバーSUV「NX」を新発売” (プレスリリース), LEXUS, (2014年7月29日)
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2014年7月発行。LE0846-1407
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2015年5月発行。LE0968-1505
- ↑ “LEXUS、CTに特別仕様車“Cool Touring Style”を設定 -同時に、HS、RC、RC F、NX、LSを一部改良-” (プレスリリース), LEXUS, (2016年8月25日)
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2016年8月発行。LE1117-1608
- ↑ “LEXUS、NXに特別仕様車“Urban Style”を設定” (プレスリリース), LEXUS, (2016年11月24日)
- ↑ “LEXUS、新型「NX」を上海でワールドプレミア” (プレスリリース), LEXUS, (2017年4月19日)
- ↑ “LEXUS、「NX」をマイナーチェンジ” (プレスリリース), LEXUS, (2017年9月14日)
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2017年9月発行。LE1213-1709
- ↑ 「レクサスNX カタログ」、2017年9月発行。LE1213-1709
- ↑ “LEXUS、GS、IS、CT、LX、RX、NXに国内累計販売台数50万台達成記念特別仕様車“Black Sequence”を設定” (プレスリリース), LEXUS, (2018年8月23日)
- ↑ “LEXUS、NXを一部改良” (プレスリリース), LEXUS, (2019年4月18日)
関連項目
外部リンク
表・話・[ 編]・[ 歴] レクサス ロードカータイムライン 1990年代- | |||||||||||||||||||||||||||||
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タイプ | 1990年代 | 2000年代 | 2010年代 | ||||||||||||||||||||||||||
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ハッチバック | CT200h | ||||||||||||||||||||||||||||
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