ランバート反射

提供: miniwiki
移動先:案内検索

ランバート反射とは、理想的な拡散反射表面が持つべき性質である。理想的な拡散反射表面の輝度は、どの角度から見ても一定である。 技術的には、表面の輝度 (光学)等方的であり、光度 (光学)ランベルトの余弦則に従う。 ランバート反射は1760年に自著[1]で完全な拡散反射の概念を導入したヨハン・ハインリッヒ・ランベルトの名前から名づけられた。

たとえば、荒削りのごつごつした木の表面はランバート反射で近似できるが、つやありポリウレタン塗料で塗られた木材はランバート反射とはいえない(見る角度によって鏡面ハイライトが見える)。ごつごつした面がすべて完全なランバート反射をするわけではないが、面の特性が分からないときにはしばしばよい近似になる。

Spectralonは、ほぼ完全なLambert反射を実現できるように設計された材料である。

コンピュータグラフィックスにおける応用

コンピュータグラフィックスでは、ランバート反射はよく拡散反射のモデルとしてよく使われる。この反射は、面の正規化法線ベクトル[math]\mathbf{N}[/math]と面から光源を指す正規化ベクトル[math]\mathbf{L}[/math]の内積を使って計算される。そして、この値に面の色と面を照らす光の輝度を掛け算する。

[math]I_{D}=\mathbf{L}\cdot\mathbf{N}*C*I_{L}[/math]

ここで、[math]I_{D}[/math]は拡散反射光の輝度(表面の明るさ)で、[math]C[/math]は色、[math]I_{L}[/math]は入射光の輝度である。

[math]\mathbf{L}\cdot\mathbf{N}=|N||L|\cos{\alpha}[/math]

ここで、[math]\alpha[/math]は2つのベクトル間の角度である。光線ベクトルと面上の点における法線ベクトルとの方向がまったく同じであれば、光の輝度はもっとも高くなる。このとき[math]\cos{(0)}=1[/math]、つまり面は光の方向に垂直である。そして法線ベクトルが光線ベクトルに対して垂直であれば、光の輝度はもっとも小さくなる。このとき[math]\cos{(\pi/2)}=0[/math]、つまり面と光の方向が平行である。

光沢のある表面では、ランバート反射とともに鏡面反射も見られる。この場合には、表面の輝度はちょうど鏡面反射光が来る角度に観察者がいるときにもっとも高くなる。この現象は、コンピュータグラフィックスではフォンシェーディングなどといった鏡面ハイライトを考慮したモデルを用いてシミュレーションできる。

なお、Valve Softwareが開発した派生技術として「Half Lambert」(ハーフ・ランバート)と呼ばれるリアルタイム処理系向けの疑似ラジオシティ手法がある[2]。ハーフランバートは物理学的には正しくないが、陰影が失われて平面にしか見えない通常のランバート照明よりも、ハーフランバート照明のほうが視覚上、現実的で自然に見えるという特徴がある。

その他の波

通常、ランバート反射は、物体による光の反射に対して用いられるが、光以外のどのような波についても用いることができる。 例えば、超音波検査では、「粗い」組織はランバート反射を示すと言われる。

脚注

関連項目