ラテン文字化
ラテン文字化(ラテンもじか、仏: romanisation 英: romanization)は、文字転写の一種。ラテン文字(ラテンアルファベット)以外の文字体系を使っている言語を、ラテン文字によって表記することを言う。
目的
英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語など、ラテン文字を使用する言語で非ラテン文字で記された言語について言及する場合どうしてもラテン文字に転写する必要がある。そこから非ラテン文字言語について本来の表記法以外にラテン文字での表記法を確立することが盛んに行われた。
また、元来非ラテン文字であった言語のなかにはベトナム語やトルコ語など従来の表記法を廃止してラテン文字に切り替えたものもある。この場合、ラテン文字使用言語の話者が学習しやすくなるが、世代が下るにつれそれまでの時代に著された文献を読むことのできる者が著しく減少するといった問題や、独自の文字を用いていた場合文字体系そのものが継承されず消滅してしまうという問題が発生する。
問題点
どのような文字であれ、別の文字体系で記された言語をすんなりと表記できるわけではない。例えば朝鮮語では eu や eo という本来の発音とは似ても似つかない綴りの転写法が生まれる。日本語のローマ字でも、日本語では区別しないタ行やサ行の子音の異音を書き分けるか否かをめぐって対立が見られる。
ラテン語には A(ア)、E(エ)、I(イ)、O(オ)、U(ウ)、Y(ユ)の六つしか母音がないため、とりわけ母音の多い言語を転写するには不向きである。また、子音も20個しかなく、しかもCとK、Qはラテン語以来同音を表す事態になった。
また、同じ発音を転写する場合でも、英語式、仏語式、独語式などで転写した綴りが異なり、ラテン文字圏と交流の多いキリル文字圏の事物などは様々な転写例が混在することとなった。加えて、英語はラテン文字圏の中でも発音がかなり特殊であり、ラテン語をベースに転写した場合、英語として読むと本来の発音とはかけ離れてしまうことがある。
実例
- 日本語のローマ字表記
- ヒンドゥスターニー語のラテン文字表記
- 朝鮮語のラテン文字表記 :詳しくは別項「文化観光部2000年式」および「マッキューン=ライシャワー式」を参照のこと。
- 中国語のラテン文字表記 :漢語拼音、ウェード式、ラテン化新文字などがある。
- ロシア語などのキリル文字を使用する言語のラテン文字転写
ラテン文字に切り替えた例:
- アゼルバイジャン語の現行表記 :元はキリル文字。
- ウズベク語の現行表記 :元はキリル文字。
- ベトナム語の現行表記クオック・グー :元は漢字とチュノム。
- トルクメン語の現行表記 :元はキリル文字。
- トルコ語の現行表記 :元はアラビア文字。
関連項目
外部リンク
- ローマ字(多言語文字)ルビ振りサイト — ローマ字で日本語Webサイトに、ルビを振るサイト
- UNGEGN Working Group on Romanization Systems — 地理学的名称に関する国連専門家グループ (UNGEGN) ラテン文字化方式に関する作業部会
- BGN/PCGN Romanization Systems アメリカ地名委員会/英国地名常任委員会ラテン文字化方式
- ロシア語文献をラテン文字(ローマ字)翻字検索する場合の注意事項 — 国立国会図書館 テーマ別調べ方案内
- アジア言語の翻字(ローマ字化)について — 国立国会図書館 テーマ別調べ方案内
- 中国・コリアの人名のローマ字表記について — 国立国会図書館 テーマ別調べ方案内
- ヒンディー語書誌における表記文字に関して — 国立国会図書館 アジア情報室通報 第5巻第1号(2007年3月)
- ALA-LC Romanization Tables — アメリカ図書館協会及びアメリカ議会図書館 ラテン文字化表
- Unicode Transliteration Guidelines — Unicode翻字ガイドライン
- CDLR Transliteration Charts — CDLR翻字表