メンズキャバクラ
メンズキャバクラは、男性従業員が女性客の隣に座って接待をする日本の飲酒店。
ホストクラブと異なり、時間料金制を採用し指名替えが認められている。メンキャバという略称が多く用いられ、メンズクラブと称する店もある。初回の来店客には、年齢確認のため入り口で身分証の提示が求められる。
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概要
21世紀の日本で発祥した新しい業態の飲酒店である[1]。店舗拡大、出店を繰り返すことで認知され、発展してきた。
2001年、歌舞伎町にOPENしたグレート(2009年、Club Prism、クラブプリズムに改名)が最初のメンズキャバクラである。
また、同年(2001年)には北海道札幌市のすすきのにメンズキャバクラ太郎という店舗がOPENし、週刊誌『女性セブン』において「日本初のメンズキャバクラ」として取り上げられた[2]。このメンズキャバクラ太郎という店舗は通常のメンズキャバクラというよりもおさわり系ホストクラブに近い営業形態を取り入れており、ホストがビキニブリーフを穿いただけの姿で女性客を接客するというセクシーサービスが提供されていた[3]。
『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律』(以下、風適法という)第2条の定める風俗営業のうち接待飲食等営業の2号営業の社交飲食店[4]に該当する。基本的なサービスは、(女性客と)飲食をともにしながらの歓談、給仕、カラオケなどである。性的サービスは許されていない。
ホストクラブに行く平均的な客層よりも所得の低い人であったり、ホストクラブに行ってみたいが、ハードルが高いと意識している人たちを対象としている[5]。
営業時間
風適法第13条で、風俗営業及び店舗型性風俗特殊営業は、原則的に「午前0時から午前6時」までの深夜は営業が禁止されている[6]。そのため遅くとも午前0時には営業を終了しなければならないことになっている。従来はその制限を守らず、客がいる限り深夜4〜5時頃まで営業を行う店がほとんどだった[7][8]。しかし近年になって警察の取締が強化され深夜帯の営業が困難になりつつあること、深夜帯の営業中止により減少した売上を少しでもカバーすることなどを目的に、「二部営業」(夕方〜午前0時までの1部、午前6時〜昼頃までの2部のように営業時間を分けて営業する形態)を開始する例が見られるようになってきた。
ホストクラブとの相違点
ホストクラブが時間無制限のフリータイム制なのに対し、メンズキャバクラは時間制[10]で最初の一時間を過ぎて、延長すればするほど金が掛かる(これを延長料金という)。明朗会計のため、ホストクラブにある売掛の制度もない[11]。
ホストは原則的に永久指名制なのに対し、メンズキャバクラは指名替え可能なことやホストクラブの役職の制度がない、などの違いもある。
ホストクラブ | メンズキャバクラ |
---|---|
永久指名制 | 指名替え可能 |
売掛あり | 売掛なし |
フリータイム制 | 時間料金制 |
役職あり | 役職なし |
メンズキャバクラで働くスタッフ達
接待[12]する男性従業員は、キャバクラ同様、キャストと呼ばれる。接待以外の業務を行なう従業員は、ホストクラブと同様、内勤と呼ばれる。
店の従業員は風適法第22条により満18歳以上であることが必須とされている。また18歳未満の者を接待に使うことは児童福祉法で固く禁じられている。これに違反すると刑事罰が適用されることになる。
年齢確認
18歳未満の者を客として店に立ち入らせることはできない。また20歳未満への酒類、たばこの提供も禁止されている[13]。そのため新規の来店客には写真付き身分証明書提示による年齢確認が必須となる(見た目の若さに関係なく掲示を求められる)。誤って未成年を入店させたがゆえ、摘発をうけた店は多く、そのため身分証明書による「年齢確認」は、従業員や経営者が一番、神経を尖らせなければいけない事項である[14]。
脚注
- ↑ 木島康雄・間中利光(2008年)の101頁参照。
- ↑ 日本初!女のキャバクラでそりゃ大騒ぎ 女のための快感スポットにドキドキ潜入 『女性セブン』2001年7月26日号。
- ↑ 中村うさぎ&くらたまの突撃ホストクラブ・なび 第20回 女王、北の“メンキャバ”で失神! 札幌・ススキノ「メンズキャバクラ太郎」 『女性セブン』2002年5月30日号。(単行本化『うさぎとくらたまのホストクラブなび』 角川書店、2002年)
- ↑ 接待飲食等の2号営業は「待合、料理店、カフェーそのほか設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号<キャバレー>に該当する営業を除く。)」と定義されている(風適法2条1項2号参照)。
- ↑ この背景には、ホストクラブよりもハードルの低いカジュアルな店を出すことで、よりマーケットを拡大しようという狙いがあった。
- ↑ 風適法第二節で、届出により深夜酒類提供飲食店営業を認めているが、脱法行為防止のため、風俗営業と兼ねることはできない(風適法第32条第2号参照)。
- ↑ 木島康雄・間中利光(2008年)の20-21頁,44-45頁参照。
- ↑ ゆらつよし(2005年)の24頁参照。
- ↑ 男性客向けのキャバクラと高級クラブの違いと同様である。
- ↑ 店にいた時間単位で料金をとるシステム。入店した時間ごとに異なった料金設定が行われている。
- ↑ 「1時間○○円」という明朗な料金体系を設定しているため自分の懐具合と相談して遊べる。しかし、その半面、原則としてツケ払いは認められない。
- ↑ 風俗営業における「接待」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義される(風適法2条3項、参照)。
- ↑ ゆらつよし(2005年)の200-201頁参照。
- ↑ 木島康雄・間中利光(2008年)の82-83頁参照。