メシア
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Messiah
ヘブライ語,アラム語で油を注がれた者,すなわち聖別された者を意味した。その具体像は,時代によって多少変化している。ダビデの時代には,メシアはダビデの家系を継ぎ,他民族に対して優位を保ち続ける王として考えられ,これは王国分裂後も残っていく。イザヤの時代になると,血統によらず,むしろ正義の執行者という面が強調される。終末時の特別な人格としてのメシア像は第2神殿時代から始るが,大祭司と王という2つのタイプがあり,クムラン教団ではさらに最後の日の預言者という第3の像が加わっている。新約聖書では,イエスがダビデの家系を継ぐキリスト(メシアのギリシア語訳) とされる。イエスをメシアと認めなかったユダヤ教徒の間にはメシア待望の心が残り,ときには強く現れた (その代表が 17世紀の偽メシア,サバタイ・ツェビ ) 。メシア信仰は教理となりカバラ神秘主義から合理主義神学にいたるまでさまざまな説が展開されている。ユダヤ教近代主義運動では個人としてのメシアは捨てられ,救済された世界への信仰という形をとっている。なお,他の宗教にも救世主信仰はあり,イスラム教シーア派のマーディ,仏教の弥勒菩薩などにメシア的性格を認めることができる。