マスクメロン

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ファイル:Muskmelon Shinjuku takano 2007.jpg
桐箱に梱包して販売されるマスクメロンの一例

マスクメロン (muskmelon) は、麝香 (musk) のような強い芳香を持つメロンの総称である。別名はジャコウウリ

日本では、主にアールスフェボリット(あるいはその系統の品種、後述)のことを指し、品種名ではない。

上記のように、名称の「マスク」は麝香を意味する"musk"(発音は /mʌˈsk/)で、「仮面」などを指す「マスク」(mask)ではない。

特徴

果実は、ほぼ球形。果皮表面には、コルク質の網目を生じる。果肉は黄緑色で、果汁が多く、非常に甘い。つる割れ病に抵抗性がなく、うどんこ病などの他の病害にも抵抗性がないので、栽培は非常に難しい。が弱く、つる割れ病抵抗性のメロン(大井、バーネットヒルフェボリットなど台木専用種)に接ぎ木をして栽培されている[1]

生産

栽培は温度・湿度を管理した温室内で行わなければならず、まめに手を加えなければ良質なものはできない。また1本のつるからは1個だけしか生産しない。このため価格も高く、高級品では1玉3万円を超えるものもある。主産地は静岡県で、高知県がこれに次ぐ。

果皮表面に網目状模様ができる性質を利用して、祝いや感謝のメッセージを浮かび上がらせる贈答用メロンの生産を請け負う農家もある[2]

なお、複数の実が結実した場合、1個を残し他は小さいうちに摘み取られる。摘み取られた実は「小メロン」の名で漬物メロン漬け)や刺身つまに利用されることがある。

歴史

この品種が開発されたのは19世紀末のイギリスである。「伯爵のお気に入り」という意味の名は、ラドナー伯爵邸の農園で作られたことに由来する。日本では1925年(大正14年)に導入され、静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所の前身である磐田温室農協丸静支所などで栽培方法の確立が行われ、日本全国へと広まっていった。現在、本国イギリスではこの種は栽培されなくなっている。

主なマスクメロン

ファイル:Melon cantaloupe.jpg
カンタロープメロン

カンタルペンシス群 (Cantalupensis group)

ネットの網目と果皮が粗い(イボがある)もの、楕円形型の形状。
カンタロープスペインメロンなど。

レティクラトゥス群 (Reticulatus Group)

ネットの網目が細かく、球形型の形状。
アンデスメロン・、アールスメロン(アールスフェボリット)、タカミメロン夕張メロンなど

アールスフェボリット

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アールスフェボリットメロン(アールスメロン)

アールスフェボリット (Earl's Favourite)は、網メロンの代表品種である。略してアールスメロンとも呼ばれる。

アールス系品種

アールスの弱点である耐候性・病害抵抗性を付与して改良された、外見がアールスと似たそっくりの品種を指す。ハウスメロン並みの丈夫さを持ち、栽培が容易で、糖度も上がりやすい品種が多い。上手に栽培すると純粋なアールスと見分けがつかなくなるぐらいで、食味もアールスと同等の品質のメロンである。サカタのタネの「アールスナイト」、八江農芸の「アールスセイヌ」、横浜植木の「雅」シリーズが各地で栽培されている。この三つのシリーズは全てうどんこ病耐病性・つる割れ病抵抗性であり、栽培も容易である。茨城県愛知県熊本県が主な産地。

交配種

赤肉メロンの代表格である夕張メロンは、この「アールスフェボリット」(母)と「スパイシーカンタロープ」(父)の交配種である。

薬効

かつて、マスクメロンはデザイナーフーズ計画のピラミッドで3群に属しており、3群の中でも、バジルタラゴンカラスムギアサツキと共に3群の上位に属する、予防効果のある食材であると位置づけられていた[3]

脚注

  1. 大井とバーネットはアールスが導入される前に温室栽培での主流であった品種である。つる割れ病抵抗性があったため、台木として使用されるようになった。つる割れ病はアールス種に大発生することから「アールス病」と呼ぶ場合もある。
  2. 果物に託すメッセージ/もらってうれしい 食べておいしい/メロンやバナナ 農園などが一工夫『日経MJ』2018年2月26日(フード面)
  3. がん予防と食品、大澤 俊彦、日本食生活学会誌、Vol.20 (2009) No.1

外部リンク