マクワウリ
マクワウリ(真桑瓜、英名:Oriental melon、学名:Cucumis melo var. makuwa)は、ウリ科キュウリ属のつる性一年草、雌雄同株の植物[1]。メロンの一変種で果実は食用する。南アジア原産。季語は夏。
概要
種としてのメロン (Cucumis melo) は北アフリカや中近東地方の原産であり、紀元前2000年頃に栽培が始まった。そのうち、特に西方に伝わった品種群をメロンと呼び、東方に伝わった品種群を瓜(ウリ)と呼ぶ。マクワウリもその一つである。
2世紀頃から美濃国(岐阜県南部)真桑村(のちの真正町、現:本巣市)が良品の産地であったことから、マクワウリの名前が付けられた。この系統のウリが日本列島に渡来したのは古く、縄文時代早期の遺跡(唐古・鍵遺跡)から種子が発見されている。
古くから日本で食用にされ、古くは「うり」と言えばマクワウリを指すものだった[2]。 他、アジウリ(味瓜)、ボンテンウリ(梵天瓜)、ミヤコウリ(都瓜)、アマウリ(甘瓜)、カンロ(甘露)、テンカ(甜瓜)、カラウリ(唐瓜)、ナシウリ(梨瓜)といった様々な名称で呼ばれる。
品種が多く、果実も様々な色や形のものがある。代表的なものはアメリカンフットボールのような形。果皮の色については#品種を参照。
マクワウリと西洋メロン
近縁のマスクメロンが日本の市場に流通するのは1925年(大正14年)以降の温室栽培に成功してからである[3]。しかし当初は一般家庭には手の届かない高級品であり、庶民はもっぱらマクワウリを食べていた[3]。
利用
放射状に切って先割れスプーンなどですくったり、そのままかぶりついたりして食べるが、メロンほどの甘味は無い。お盆のお供えとしてよく使われる。
韓国では「チャメ」とも呼ばれており[4]、特に慶尚北道星州郡での生産が盛んである[5]。現在もブドウやスイカと並ぶ夏場のポピュラーな果物の1つで、各地で盛んに栽培され、郊外や農村には直売所が設けられている。
栽培
品種
さまざまな品種があり、果皮の色については以下の3色系統が存在する。
- 緑色系
- 白色系
- 黄色系
交配品種
- プリンスメロン
- マクワウリの一種(ニューメロン)と西洋のスペインメロンの一種(シャランテ)を交配させた品種。サカタのタネが開発。
- 網干メロン(アボシメロン)
- マクワウリの一種と西洋メロンの交配品種。1921年より栽培、1927年に命名。兵庫県立蔬菜採種場で改良。主に兵庫県姫路市周辺で栽培。
- 妻鹿メロン(メガメロン)
- 古来、ペッチンウリとして栽培、1930年に「妻鹿メロン」と命名。
- タイガーメロン
- マクワウリの一種と西洋メロンの交配品種。果皮が緑・黄色の縦縞、果肉は白色。株式会社タカヤマシード(高農交配)が開発。
- キンショウメロン、キンショーメロン
- マクワウリの黄色種とスペイン系メロンとの交配品種。
地方名
- 味瓜(アジウリ):北海道・東北・中国地方での呼称。
- あじゅうり:秋田県での呼称。果肉は黄緑色のもの味瓜を指す。
- 甘瓜(アマウリ):富山県や長野県[7]での呼称。果皮が黄色、果肉は白色のものを指す。
- 甘露(カンロ):北海道地方での呼称。
- 甘露甜瓜(カンロマクワウリ・カンロマクワ・カンロメロン)
- 甜瓜(テンカ・マクワウリ・マクワ):東北地方以南での呼称。
- 真桑瓜(マクワウリ・マクワ):正式名、学名にも由来。岐阜県真桑村より命名。
- マッカ瓜(マッカウリ・マッカ・金マッカ):関西地方での呼称。果皮が黄色のものを指す。
- メロンウリ:マスクメロンのような香りがあるものを指す。
脚注
- ↑ (三省堂)大辞林 第三版「まくわうり(真桑瓜)」 2015年01月10日閲覧
- ↑ 小学館 日本語源大辞典(初版) 2005 「うり」の項
- ↑ 3.0 3.1 日本ビジネスプレス『固い皮の中は謎だらけ、「メロンパン」の形はどこからやって来たのか』JBpress 2013年03月08日 2015年06月12日閲覧
- ↑ 韓国の夏のフルーツ | ソウルナビ
- ↑ 韓国農水産食品 | チャメ(マクワウリ)
- ↑ 井上昌夫『DVDだからよくわかる!野菜づくり』西東社 2008年
- ↑ 『佐久市志民俗編下』長野県佐久市平成2年2月20日発行1387頁